2007-11-15

QJ 座談会「私はコレで会社を辞めました」後編

QJ22.jpg「ホモ」と
呼ばれるより
「好き者」の
ほうがまし

伏見 だいたいみなさんのヒストリーを聞かせていただいたと思います。児玉さんは職場でカミングアウトをしていたこともあって、それは最初はうまくいったけど、人間関係次第でどうなるかわからないということでしたが、他の方はカミングアウトというのは職場の中でしてなかったわけですよね?
junchan 職場では全然してなかった。
ラク 僕もまったくしてませんでした。
マリー 私はしてませんでしたが、完全に疑われてました(笑)。
伏見 マリーさんの場合、態度物腰でバレバレってことですか(笑)。
マリー そうですね。お客さんと付き合ってるという噂が流れたり。ただ私は一応仕事はやってますみたいな雰囲気だったので、そういったことはあまり大きなことにはならなかったんですね。
ラク 僕はバレることに関しては恐怖感がすごくあった。ここでバレたら、もうとんでもない扱いになるだろうと思った。
伏見 それはゲイの側が被害妄想的に思ってるだけじゃなくて、現実に差別的な扱いをされるということ?
ラク 例えば、こんなことがありました。入社してすぐの頃、僕はHIVの問題で少しは個人的に啓蒙活動ができたらと思ってたから、上司にエイズの話をしたんです。すると、「ああ、オカマの病気だろ」っていうような反応で、僕が「でも、そんなこともないみたいですよ」と言ったら、「ホモはしょうがないんだよ、そんな病気になっちゃっても」っていう会話で終始しちゃった。そうなると、こっちも何も言えなくなってしまう。こんなやつらが山のようにいると思ったら、とてもカミングアウトなんてできない。だから合コンの話が出たら、ゲイだって悟られないように、自分から「俺も出る!」っていうふうにわざと演じていかないといけない、と(笑)。 続きを読む…

QJ 座談会「私はコレで会社を辞めました」前編

QJ2.jpg■ 座談会「私はコレで会社を辞めました」

*初出/「クィア・ジャパン vol.2 変態するサラリーマン」(勁草書房/2000)
*この座談会の記事には、雑誌掲載時には児玉蒔さんというレズビアンの方も参加されていました。今回、連絡先が見つからずご承諾が取れなかったので、児玉さんの部分をカットしたヴァージョンのアップになりました。児玉さんがもしこのサイトを見ていたら伏見までご連絡をいただければ幸いです。
*ということで、座談の流れが若干、わかりにくい感じの部分があるかもしれません。
*また他の参加者の方も現在では社会的な立ち場がそれぞれ異なりますので、当時の話しとして読んでいただければと思います。

プロフィール(2000年当時のもの)
● ラク 
34歳。大学卒業後、情報処理関連会社の営業マンとして7年間勤務。現在、新宿2丁目でパートナーと一緒にISLANDS(アイランド)というバーを経営し5年目。パートナーのほか、猫2匹と同棲中。

● junchan
約4年のOL(オカルト・レディ)生活後、ミセコ、貧乏女装を経て、バディ編集部へ(2000年当時)。女装は引退済み。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Himawari/3346

● マリー早川 
武蔵大学経済学部経済学科卒。在学中に英国ケント大学に留学。日本国籍のマーケティング会社、米国籍の広告代理店などの勤務を経て現在、ゲイ・トラベル専門の旅行会社TRUE travel(トゥルー・トラベル)株式会社の代表取締役(2000年当時)。

司会 ●伏見憲明
続きを読む…

2007-11-10

QJ 寄稿・じゅんこ「カマ護士は見た!」その3

1010.jpg● 社会は続くよ何処までも

 浮世離れしたような印象の老人ホームですが、やはりここも人が集まって出来た一つの社会。当然、世間と同じくここにもヒエラルキーは存在します。(注4)
 ホームに入職した当初はどのお年寄りも同じように見え、そこに上下関係があるなど知る由もなかったのですが、アタシも働くうちに徐々にその現実がわかってきたのです。
 アタシが勤めるホームの入居者数は全部で五〇名ちょっと。その人たちが二つのフロアに分かれて生活しています。
 フロア分けの基準はADL(注4)の高さによります。ADLというのは「日常生活動作」という意味で、その数値が高い人ほど職員の介助が必要ではなくなります。
 比較的ADLの高い人は三階のフロアで、低い人は二階のフロアで生活します。なぜそれによって生活空間を分けるかというと、ケアの内容が変わるからです。ADLの高い人には、間接的なケアである娯楽の提供や、QOL(生活の質)(注5)の向上が求められてきます。逆にADLの低い人の場合、食事介助やおむつ交換などを丁寧に行なわないと、次のステップには進めません。 続きを読む…

2007-11-08

さよなら、がんちゃん

90年代以降、ゲイシーンでさまざまな活動を展開した春日亮二さんが亡くなられたそうです(享年37歳)。まだ若く、才能とエネルギーに溢れた方だったので、残念としかいいようがありません。友人のひとりとして寂しいです。

心よりご冥福をお祈りいたします。

本当に、楽しい思い出をありがとう。

QJ 寄稿・じゅんこ「カマ護士は見た!」その2

55.jpg● 仁義なき戦い・前編

 毎月の中頃になると、わがホームには、泣く子も黙る恐怖の痴呆老女がショートステイにいらっしゃいます。
 彼女の名前はマリコ。
 並み居る痴呆老人たちの中でも彼女の破壊力は、他の追随を許しません。先に登場したウメさんやキミエさんのような強烈な老人を相手にしている職員たちも、このマリコさんにだけはいつも敗北を喫してきたのでした。
 日中のマリコさんは、ニコニコと笑顔が絶えない一見優しそうな老女ですが、夕刻を過ぎた頃からその姿は豹変します。 続きを読む…

2007-11-07

QJ 寄稿・じゅんこ「カマ護士は見た!」その1

QJ5.jpg■ カマ護士は見た!

初出/「クィア・ジャパン VOL.5—夢見る老後!」(勁草書房/2001.5)

アタシの名前はじゅんこ
週末は新宿二丁目で番を張るおしゃべりオカマ
だけど、平日は老人ホームで介助に勤しむカマ護士なの
ここで暮らす老人たちは皆、一筋縄ではいかない猛獣たち
だけど、アタシだって負けてはいられない
オカマの意地にかけて、介護だって楽しんでみせる!
もちろん、徘徊とだって勝負してやるわ!!

1_1.jpgじゅんこ●プロフィール
介護福祉士。日々を淡々と過ごす入居者たちに、
刺激を与えるべく、ホームのイベントで女装したり、
日常の会話にゲイバーのテイストを取り入れたり
(っていうか単にオネェ丸出しなだけ)と
介護業界の異端児(というか人外)。

イラスト●みさおはるき

続きを読む…

2007-11-06

いただいたご本『社会の不思議』

shakai.jpg最近、伏見の周囲では「大ちゃん」ファンが急増中!

「だいちゃん」とはかの社会学者、橋爪大三郎先生のこと。該博で重厚な理論派といったイメージの橋爪先生だが、実はおもしろキャラ(失礼)だということが一部で知られていて、「大ちゃんって歩くウィキペディアみたい」「大ちゃんの講演なしでは生きられない」「大ちゃんの話しってバロック音楽のようで官能的!」などとマニアが悶絶寸前の声を寄せている(どこに)。

そんなところに出版されたこの新刊は、大ちゃんが小学校へ出かけていって、小学生たちの質問にぶっつけ本番で答えたライブ集だという。イラストには大ちゃんキャラまで作られていて(右下)マニアにはたまらない一冊だ。もちろん小学生向けのものながら、社会について本質的な問題を語っているので、大人が読んでも面白いこと請け合い!
 
sensei01.gifコピーは「先生の答えは、ぼくの予想を超えていました」。

「社会には、きまりがあります。でもこのきまりは誰かが決めたものではありません。気がついたら、そうなっていたのです。」

● 橋爪大三郎『誰が決めたの? 社会の不思議』(朝日出版社) 1500円+税

2007-11-02

QJwに関する注意書き

執筆者、参加者のご協力でQJシリーズの記事のサイト公開が進んでおります。

ここにアップした記事は「クィア・ジャパン」「クィア・ジャパン・リターンズ」からのデータを用いたものですが、変換が上手くいっていない箇所があります。作業の手間ひまからその辺りは適当にしてしまっているので、もし引用などをされる場合には、必ず原典(雑誌)を当たってください。お手数ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

QJr インタビュー・桜丸さん

__4_939015_77_7.jpg*初出/「クィア・ジャパン・リターンズ vol.0」(ポット出版/2005.5)

■ ある30代サラリーマンとの対話

桜丸さん
伏見憲明●インタビュアー

「ムーブメント」にも「コミュニティ活動」にも
とくに参加していない30代リーゲイは、
どんなことを考えて暮らしているのか。
個人サイトで気を吐いている発言者に、
ゲイにとっての今という時代を訊いてみた。

● 桜丸(さくらまる)
1968年生まれの36歳。関西出身で
現在は都内某企業勤務の事務系サラリーマン。
169cm95kgトレーニング暦10年、SG体型のつもり(笑)のデブ専ゲイ。
ネットサイト「桜丸の日本男児で行こう!」で、日記・エッセー・小説等を公開中。
ゲイとしての視点から幅広い話題を取り上げ、辛口トークでぶった切ってます。
ゲイ生活は、上野・浅草のゲイバー&発展場で展開中。
政治的スタンスは保守系寄りリベラリストのつもり。

「桜丸の日本男児で行こう!」

http://home.att.ne.jp/sigma/sakuramaru/Homepage.htm

続きを読む…

2007-10-31

QJ 寄稿・トーマス・ソングさん「夢見た老後」

*初出/「クィア・ジャパン vol.5—夢見る老後!」(勁草書房/2001)
トーマス・ソングさんの執筆による自叙伝で、今回、新たに付記を寄せてくださいました。

■ アメリカ在住、ある東洋人ゲイの人生と老後

夢見た老後

トーマス・ソング

● Thomas Song(トーマス・ソング)
1929年韓国人を両親に東京で出生。大連で少年期(1934−46年)を過ごし、旧制高校一年の時(45年)日本敗戦。翌46年冬、ソ連軍占領下の大連を南朝鮮に脱出。48年夏単身渡米、高校、大学を卒業(53年)、徴兵され軍務服役後、米国に帰化(56年)、研究院修了。大学の司書と教員生活20数年後、引退。パートナーとの共同生活32年。在米生活53年。

出自と履歴

 気がついたら、とうの昔に古希をすぎていた。

 すでに在米五三年になる。僕は一八歳の時、東洋を棄てた。そして、アメリカに逃げた。「なぜか?」と君は問うかもしれない。僕の青春時代には、生まれついた国を棄てることは言語道断だと考えられたし、そんなことをしたら憎まれた。でも、僕は故郷を持たない、東洋社会からはみ出した影のない少年だった。とどのつまり幽霊だった。
 第二次大戦後、日本の偏狭な国家主義に替わって、今度は韓国に偏狭な民族主義が充満していた。そこでは、日本人なら誰であろうが憎まれた。 続きを読む…

2007-10-30

QJ座談会「アザ」と「ハゲ」の政治学 後編

ganmen.jpg外見と自己肯定感

伏見 もともとの自分の顔、「アザ」の存在を肯定的に受け止められている、それが好きだという感覚があるとしたら、逆に、メイクすることも楽しめるということはありませんか?
石井 女性特有の傾向ではないでしょうか、メイクアップを楽しむことができるということは。
伏見 それは文化の問題だと?
石井 それはありますね。男文化を生きてきた僕ではそれは難しいですね。
hage.jpg伏見 今回、僕の友達のドラァグクィーンの男の子と、石井さんで立場を交換してもらうという企画も最初考えました。ドラァグクィーンの子には素顔に「アザ」をつけてもらい、石井さんには一日女装で過ごしていただいて、そのうえで座談会をしてもらったらどうかなと。偽物、見せ物になることを楽しむドラァグクィーンと、メイクをすることで、偽物、見せ物になることの屈辱感を感じる人たちでは、いったい何が違うのか。顔に象徴的な印が存在しているという意味では同じなのに、片方はそれを見られることを喜びと感じ、もう片方はそれを屈辱と感じる。そのコントラストから見えてくる地点もあるのではないかと思いました。 続きを読む…

2007-10-29

QJ座談会「アザ」と「ハゲ」の政治学 前編

QJ3.jpg座談会「アザ」と「ハゲ」の政治学

初出/「クィア・ジャパン vol.3—魅惑のブス」(勁草書房/2000)

須長史生
社会学者
石井政之
フリーライター
司会 伏見憲明

すなが・ふみお
1966年東京に生まれる。社会学者。主著『ハゲを生きる——外見と男らしさの社会学』(1999年、勁草書房)。

いしい・まさゆき
1965年、名古屋出身。豊橋技術科学大学物質工学課程卒業。99年『顔面漂流記』(かもがわ出版)を刊行し、同時期に顔にアザやキズのある人のセルフヘルプグループ「ユニークフェイス」を設立。初代ユニークフェイス東京代表世話人。今年6月「人間にとって顔とは何か」を考える場『顔塾』をつくった。
続きを読む…

2007-10-28

クィア学会、大成功!

昨日、東京大学で行われたクィア学会の創立大会は大盛況のうちに終わった。台風による風雨のなか、2、3百人は集まったのだろうか? 地方からの参加者も多く、また世代も幅広く集まり、会場は熱気に包まれていた。近年、こうした密度の濃い空気をクィア関係のイベントで感じたことがなかったので、ちょっと90年代の「熱」を思い出した。

クレア・マリイさんによる開会の辞もたいそう立派で、格調の高いものだった。伏見のベシャリは相当おふざけでコマッタちゃんでしたが(笑)、他のシンポジストの方々がきちんとそれぞれの考えを述べられていたので、シンポジウムも意義深いものになったのではないでしょうか(ゲイ関係のことは砂川秀樹さんが理路整然と分析していたので、安心して伏見はイロモノに徹することができた、と弁明)。河口和也さんと堀江有里さんの司会も軽妙で、よかったです(いやあ、掘江さんがあんなに笑えるキャラだとは知らなかった)。

個人的には、以前から尊敬申し上げていた沢部ひとみさんとごいっしょできて、とても光栄だったー! 編集者、ライターの大先輩としていつかお目にかかりたいと思っていたので。

「クィア学会」というので、ポスト構造主義とか、近代批判とか、「バトラー祭り」とか、そういうのがしたい人たちの巣窟になるのならどうもねえ…と思っていたのだが、交流会などに残ってみても、実にいろんな考え方の人たちが集まっていて、ここなら、異なる世界像をぶつけ合うことができるような気がしたので、伏見もお金を払って入会させてもらうことを決めた(←えらそうな物言い)。

とうか、清水晶子さんが、会に何かを期待するより自らそこに積極的に参加して盛り上げてほしいというような旨のことをおっしゃっていて、それは本当にそうだなあと思った。伏見もこれからはゲストとか人任せではなく、会員として積極的、主体的に参加しようと決意した。どうせなら、後半生はクィア学会に捧げちゃおうかしら! 最近、44歳の手習いで大学で学問を勉強をしはじめたので、ちょうどよいかもー。

ともかく、スタッフ、ボランティアのみなさん、ご苦労様でした。暴言、無礼な態度、たいへん失礼いたしました(笑)。

2007-10-25

対談「あなたがオバサンになっても」後編

back04.jpg● マッキー世代とマドンナ

伏見 エスムがマドンナを意識し始めたのはいつ頃から? 僕と違って、セクシュアリティが確立される前の頃だよね?
エスム ええ、そうです。マドンナの存在を知ったのは中学生の頃で、その時は単に「海外で売れてる人だ」くらいの認識しかなかったですね。ちゃんとマドンナを聴くようになったのは二〇歳を過ぎてから。ゲイの友達ができて、そのメッセージ性までよく理解できるようになって、初めて好きになりました。クラブのゲイナイトに行き出したのもその頃なんですけど、『ヴォーグ』とか『ディーパー・アンド・ディーパー』とか、マドンナの曲がよくかかってて「ああ、かっこいい、かっこいい!」と。 続きを読む…

2007-10-24

対談「あなたがオバサンになっても」前編

madoesumu.jpg■ 対談 あなたがオバサンになっても
キャンプと変化の行く末を見つめて

伏見憲明
エスムラルダ

*初出/ユリイカ(青土社/2006.3)
特集「マドンナ」

● ゲイ・ディーバとは誰か

伏見 『SMAP_SMAP』にマドンナが出たのを見ましたか? その時もあのピンクのレオタードだったんだけど、なんかちょっと染みがついてなかった?(笑) あの「使い込んだ感」はなんだったのかしらノノマドンナ・サイドの狙い? そもそもあの衣装からどんなメッセージを受け取ればいいんだろう?
エスム そこはノノ評価が分かれるところですよね(笑)。人によってはそのまんま「かっこいい」と捉えたみたいだし、四七歳でそれなりに皺があって、ヒップラインも垂れてきてるのに、隠そうともしないところがマドンナの狙いだ、って思ってる人もいるし。本人が果たしてどこを狙っているのかノノ 続きを読む…

2007-10-22

いただいたご本『結婚という決意』

kekkonnto.jpgいまから15年前に刊行された小浜逸郎『人はなぜ結婚するのか』がPHP新書として復刊。

結婚に関してはこの15年のあいだでずいぶん状況が異なってきたように思いますが、本質的な部分については本書で述べられたままなのではないでしょうか。結婚論としてすぐれた一冊です。

なかでは伏見の「若気の至り発言」も取り上げ、バッチリ切りまくってくれていますが、「おっしゃるとおり」としか言えません(笑)。そのことを前書きでわざわざ気に留めて記されているところが、小浜さんの実は繊細でやさしい性格なのでしょう。ホント、真面目でいい人ですね。

それにしても団塊の世代の思想家って、上野千鶴子さんにしても小浜逸郎さんにしても、橋爪大三郎さんや竹田青嗣さんにしても、それぞれがそれぞれの立場ですばらしい仕事をされているのに、それに続く世代は(宮台真司さんなどをわずかな例をのぞいて)いまひとつパッとしないのは、どうしてなのでしょう。ぼく自身、もっとちゃんとした仕事をしないといけませんねえ。

● 小浜逸郎『結婚という決意』(PHP新書) 950円+税

2007-10-20

QJインタビュー 前田邦博さん(文京区議)

QJ5.jpg■ 福祉制度の利用術

—お金を貯めることより、
友達を作ること

*初出/クィア・ジャパン vol.5(2001/勁草書房)

前田邦博
文教区議会議員

前田邦博(まえだ・くにひろ)
1965年11月9日文京区に生まれる。
1988年住宅・都市整備公団に入社。母の介護問題(アルツハイマー病による痴呆症)に直面し、福祉や心理分野への関心が高まり、96年より約8年間のサラリーマン生活を終える。以降、都内を中心に全国各地でカウンセラー養成講座の講師を行い、普及のかたわら、痴呆の方の介護家族を支える活動や不登校の問題、男女共同参画社会に向けての活動を行う。1999年4月の統一地方選挙で無所属の新人として挑戦し、東京都文京区の区議会議員となる。高齢者福祉サービス評価研究会代表、生と死を考える会理事

● 母親がアルツハイマー病になった時

伏見 前田さんは文京区議会議員として、とりわけ福祉の問題に意欲的に取り組んでいらっしゃいますが、なぜそのような事柄に関心を持つようになったのですか?
前田 八年前、母親が若年性アルツハイマー病(注1)を発病したのがきっかけでした。母は現在、六三歳なので、五五歳のころですね。 続きを読む…

2007-10-19

QJr対談「二丁目の過去・現在・未来」

AD.jpg
■ 二丁目の過去・現在・未来

*初出/クィア・ジャパン・リターンズ vol.2 (2006/ポット出版)

中田たか志[Shifty Air]×福島光生[mf(メゾフォルテ)]

新宿二丁目のベテランのおふたり
中田たか志さん(Shifty Air 経営/東京レズビアン&ゲイパレード実行委員)と
福島光生さん(メゾフォルテ/二丁目振興会代表)に
新宿二丁目の今昔について語っていただいた。
若い世代には知られざる街の歴史がここに明らかに!
聞き手●伏見憲明/構成●川西由樹子

● 中田たか志 なかた・たかし
1960年8月1日生まれ。歯科医師、1996年5月「中田歯科クリニック」開業、東京都エイズ協力歯科診療所運営協議会委員。日本舞踊春謡流名取師範、春謡妙嘉新舞踊教室を開講。日本スノーボード協会公認インストラクター、ゲイのスノーボードサークル「Shifty Air Snowboard Team」主宰。東京レズビアン&ゲイパレードを主催する TOKYO Pride 副代表理事。

● 福島光生 ふくしま・みつお
1958年東京生まれ。ライター/コピーライター/ゲイバー「mf(メゾフォルテ)」経営。「東京レズビアンゲイパレード2001」実行委員長、新宿ニ丁目振興会代表。著書『ソメイヨシノは、実をつけない〜新宿2丁目的青春』(久美沙織、藤臣柊子、共著/メディア・ファクトリー)。
続きを読む…

2007-10-15

QJr 座談「こいつがいるから真っ当に生きられる」その3

debi.jpg
(写真は西野浩司さんの飼い猫、デビ)

猫が
元カレとの
友情を
復活させて
くれた

伏見 佐藤さんは犬がきてから夫との関係もより良好になりましたが、斎藤さんは男のほうが猫よりあとにくるでしょう。猫と男の人との関係性はどうですか。
斎藤 前々からそういうところあったけど、男の人との関係は遊び以外は考えられないもんね。たまたまこのあいだは生活保護受けてる人だから、この家で過ごしたけど、本来だったらホテルとかで過ごしたいからさ。1泊ぐらいだったら、朝帰りしても忠ちゃんも怒りませんから。前に7年間つきあったような関係は、もう無理だろうね。 続きを読む…

QJr 座談「こいつがいるから真っ当に生きられる」その2

tetsu.jpg
(写真は佐藤さんの飼い犬、鉄)

鉄が
夫婦の
結びつきを
強くした

伏見 佐藤さん夫婦は同居を始めて何年になるの?
佐藤 10年ちょっとですかね。
伏見 その関係性自体は、問題はないんですか(笑)。
佐藤 一緒の職場で仕事しているし、仲良しですよ。仲良しだけど、もう恋愛じゃないですよね。 続きを読む…