2007-07-14
比留間久夫『YES・YES・YES』
● 比留間久夫『YES・YES・YES』(河出文庫)
これはいわゆるゲイ小説でも、同性愛をテーマにした作品でもない。全編に男と男の性行為が描写されていた為、そう勘違いする向きもあったが、ここには同性間での性行為はあっても、同性愛は存在しない。
主人公は「自己破壊」すべくゲイ専用のホストクラブで男相手に身を売る、十代の青年である。彼は同性に性的欲望を抱くゲイではなく、女性を性愛の対象とする異性愛者だ。けれどもプロの売春夫として老若さまざまな男たち(といってもゲイだが)ベッドを共にする。そしてそういった行為の中で、時には快楽さえ獲て、「希薄な日々」を繰り返していく。 続きを読む…