2013-10-22

魅惑の真紀ママ!

makimama___.jpgA Day In The Life /火水曜担当の真紀ママ

メルマガ連載の日記をまとめてアップ!

【真紀ママ日記 その1】

こんにちは。A Day In The Lifeの火曜・水曜を担当させて頂いているマキです。私が曜日ママをやらせて頂くようになって、いつの間にか5ヶ月程が経ちました。しかし未だそう慣れることもなく、相変わらずのドタバタ営業です。いつになれば落ち着いてやれることやら……。

私が初めて二丁目に来たのは、結婚して高知の田舎から東京に出てきた20年以上前のこと。日体大の相撲部だった夫が学生時代にアルバイトをしていた二丁目のお店に連れられて行ったのが最初です。夫は先輩に言われて半強制的にバイトを始めたらしいのですが、ママがいい人で、他の店子もお客さんも面白くて優しかったので、大学を卒業して就職してからもちょくちょく飲みに通っていました。

私が初めて行った時も、サービス精神に溢れたママの話がすごく面白くて、その面白さというのはノンケにはないもので、これはまた来たくなるよなあと思いました。もしこの時につまらなかったら、こんな風に二丁目に通うようになっていなかったかもしれません。何事も第一印象には左右されるところがあると思うので、私も初めてのお客様をお迎えする時はドキドキです! もちろんそのママのような楽しさを提供できる筈もなく、せめて粗相のないようにというハードルの低さですが……。

それで初めの頃は夫と一緒に飲みに行っていたのですが、そのうち知り合いもできるにつれ、一人で飲みに行くようになりました。だいたいいつも同じ店で飲んでいたのだけれど、新規開拓をしようと、大ママ伏見さんの前のお店エフメゾに一人でふらりと入って以来常連になり、この4月からA Day In The Lifeに雇って頂いている次第です。

火曜・水曜は海鮮丼をお出ししているのですが、これはただのノンケの主婦である私の日にはなんのウリもないということで、築地で働いている夫に言われて始めたものです。なるほど材料を調達するのは夫に任せればいいのだし、海鮮丼ならネタをごはんの上に乗せるだけだから、料理の苦手な私でも簡単にできて丁度いいわい、と思っていたのですが、このただごはんの上にネタを乗せるというだけの作業にも、不器用なことにかけては高倉健にも負けぬ私は手間取ってばかり。

腐女子で多少おっちょこちょいではありますが、このように特別変わったところもないただのオバハンですので、なんの気兼ねもいりません。二丁目が初めてという方や女性でも老若男女問わず、どうぞお気軽に飲みにいらしてください。お待ちしております。

【真紀ママ日記 その2】

先週の火曜日は閑古鳥で、今夜はこれ以上お客様がいらっしゃる気配がないから早めに閉めて終電で帰ろうと、トイレから出たら、女の人が立っていて思わず「ぎゃっ!」と叫んでしまいました、お客様なのに。

お客様は初めていらした方で、A Day In The Lifeの場所で前に営業しておられて亡くなったSAYAKAさんの常連さんだったそうで、お店がどんな風に変わったのか見たかったのだと言って、しばらくはずっと泣いておられました。

ひとしきり泣いた後、SAYAKAさんの思い出やご自身の身の上を話してくださって、私と同年代ということもあってか話が弾み、気前よくシャンパンを2本も開けてくださって、楽しくお喋りして(私は楽しかったのですが、彼女も楽しい時を過ごしてくださったと思いたい!)お帰りになったのですが、翌日私は久しぶりに二日酔いに。

特に二日酔いするほど飲んだわけではないのですが、その日はお昼ごはんを食べたきりで、何も食べてなかったのがいけなかったのだと思います。二日酔いに松竹梅というランクがあるとすれば竹くらいで家で寝てればいいという程度ですが、水曜日も夕方からお店があると思うとちと辛い。

それでも夜が近づくにつれ自然とよくなり、気合いも入れて、お店を開ける7時にはいつも通りになっていましたが。でもこれからは営業前には少しでも食べておかなければと、また一つ勉強です。

それにしても、亡くなったあとでもあんな風にお客様に偲ばれるSAYAKAさんは素敵なママだったんだなあと。お会いしたことはないけれど、縁あって同じ場所でやらせて頂くからにはA Day In THe LifeもSAYAKAさんのように長く続くお店になればいいなあ、私ももっと頑張ろうと改めて思ったのでした。
今週も張り切っていきます!

makimama6.jpg【真紀ママ日記 その3】

うさぎさんの容体が悪いと知ったのは、火曜日お店を開けて間もなくのこと。病院の面会帰りで憔悴しきった様子の大ママに、日曜日にうさぎさんが心肺停止で意識不明の重体になりICUに入ったと告げられたのでした。まさかそんなことになるほど酷い状態だとは思っていなかったので吃驚して、まだ大ママと話したかったけれど、うさぎさんを知らないお客様もいらっしゃったので、ひとまずうさぎさんのことは頭から締め出して通常の営業を続けました。

その日は朝までお客様がいらっしゃったので、後片づけをしてお店を出たのは日が昇ってからでした。駅への道を歩きながら、うさぎさんともこんな風に何度も朝まで飲んだあとにごはんを食べに行ったり、よく「駅まで乗っていきなよ」とタクシーで遠回りして送って貰ったりしたことを思い返していました。すると優しいうさぎさんのことばかりが次々に思い出されて、電車の中で自然と涙が出てきて参りました。

みんなで遊んで終電も出てしまった中途半端な時間に解散した時など、いつも私が何も言わなくても「朝までどっかで時間潰そうよ」と声をかけてくれたこと。つまらないことで悩んでいる時に、こちらが驚くほど真剣に話を聞いてアドバイスしてくれたこと。
うさぎさんと話していると、私が一面しか捉えていなかった事柄が、全く違う面を提示されて、ハッとさせられるようなことがよくあるのです。

電車を降りると台風のあとのせいかよく晴れたいい天気で、悲しいほどお天気とはこういうことかと思い、するとまたうさぎさんもユーミンが好きだったことを思い出し、そういえば昔チャボが好きだったといううさぎさんと、スライダーズが好きだった私で、いつか麗蘭のライブに行こうと話してたのに、行けてなかったなあなどと、またしてもとりとめもなくうさぎさんのことばかり頭に浮かびます。

家に帰りついて、その朝買ってきた文春のうさぎさんのエッセイを読みました。
今回のエッセイには、おまえの人生はおまえひとりのものじゃないという声がどこからか聞こえてきて、その声が聞こえる限り頑張って必死で生きる、ということが書かれていました。

読者にもその姿を見て何かを感じとって欲しいと。相当具合が悪くて普通の人ならとても原稿など書けなかっただろうという状態で、力を振り絞って書いたに違いない文章に胸を打たれました。でも最後は、「ーそれが私の遺言だ。さらば、愛しき読者たち。」と結ばれていて、まるで今のような状況になるのを予見していたかのようにも思え、また泣いてしまいました。

神経が高ぶっているせいかお昼を過ぎても眠れず、でもさすがに疲れてウトウトしていると大ママから「奇蹟が!」というメールが来て、びっくりして目が覚めました。
まさか、そんなことが起きるなんて、本当に奇蹟だ!と思いました。うさぎさんは必ず最後には勝って復活すると書いていたのに、私は臆病さから、どこかでうさぎさんはもうダメかもと諦めて、もしもの時のショックを少しでも和らげようとしていたのでした。

諦めたらそこで試合終了って、うさぎさんも私も大好きなスラムダンクの安西先生も言ってたのに。意気地のない自分が恥ずかしくて、でもうさぎさんは文春のエッセイに書いていた通りのことをして生きてるんだ、どんな苦しい状況でも諦めずに戦ってるんだ、嘘がなによりも嫌いなうさぎさんは、やっぱり嘘はつかなかった、凄い人だと感動と畏れのようなものがこみ上げて、また泣いてしまいました。

それから日に日にうさぎさんは回復されているようで、A Day In The Lifeのチャリティーパーティーにも多くのお客様がいらっしゃって、旦那様はもちろんのこと、沢山の人たちに愛されてるんだということをまのあたりにしました。

悲しんだり喜んだり、私にとってもなんだか慌ただしい一週間でした。
大ママに最初にうさぎさんが危ないと聞いた時にまず私が思ったのは、もううさぎさんと話ができないなんて嫌だ!ということでした。
今も私の心境を、またスラムダンクのうさぎさんが一番好きな三井の姿を借りて表すと「うさぎさん、話がしたいです」。
うさぎさんが戻ってきてくれて、ほんとうによかった。

AD2.JPG【真紀ママ日記 その4】

いつもはゲイのお客様が多いのですが、先日の火曜日は深夜私の友達の女の子たちが来てくれて、女子会のようになりました。私は声優の緑川光様の大ファンなのですが、友達たちもその関係で知り合ったファン仲間です。

しかも私以上の緑川様ファンで、大阪や静岡に住んでいるにも関わらず、緑川様がご出演なさるイベントがある度に上京して来ます。20代半ばから30代初めの独身女性たちが多く、皆仕事もお洒落もちゃんとして、黙っていればオタクということはわからなさそうですが、彼氏が欲しい結婚したいと言いながらも、オタク活動を優先してしまうのでなかなかそれも叶わないようです。

その証拠に最初はどうしたら男ができるかという話をしていたのに、自然と話は緑川様のことになり、アニメの仕事をなさっているお客様がいらっしゃったこともあって、どうやったら緑川様に私たちファンが望む良い仕事をしていただけるかということをより真剣に語り合って夜が更けていきました。

来てくださるお客様の組み合わせによっていろいろと話題が変わるのも、お店をやっていて面白いなあと思うところです。私は知らないことが多過ぎるので、お客様のお話を聞いているだけで興味深く勉強になり、ありがたいことです。

先週は夫の仕事が忙しく魚を仕入れに行く時間がなくて、海鮮丼はお休みしてしまったのですが(すみませんでした!)、バイトのクロキ君が海鮮丼のポスターを作ってくれました。
立派すぎるポスターで、写真だととても美味しそうに写っていて私が作った海鮮丼だとは思えないほどです。

写真と違うじゃないかと言われないように、今週も気合いを入れていかねば!

【真紀ママ日記 その5】

火・水曜日は終電で帰ってしまわれるお客様が多く、深夜を過ぎてから来られるお客様は少ないのですが、先週は真夜中過ぎに私の友達が飲みに来てくれました。

彼女は元々私の飲み友達でいつも楽しいお酒を飲む人ですが、その夜はなんだかいつもと様子が違い元気がない様子。話を聞いていると、仕事のことでちょっと難しい状況に陥り悩んでいるとのことでした。私は大学を卒業した後就職もせずに結婚してしまった為社会人経験もなく、会社や社会というものがどんなものなのかちっともわからず謎なので、そういう時に良いアドバイスができるわけもありません。

でもひとしきり話をしていたら気持ちが上向いてきたようで、酒豪の彼女にしては珍しくその日はお茶しか飲んでいなかったのに、途中から「よし、飲もう!」となって、朝まで飲んで、「やれるだけ頑張ってみる」と少し明るい顔になって帰って行きました。

それから数日して彼女から問題が解決したと連絡があり、私もホッと胸を撫で下ろしたのですが、彼女が「マキちゃんがA Day In The Lifeで働くようになってくれててよかった」と言ってくれたのが嬉しかったです。

もちろん私が何をしたというわけでもないのですが、誰かに話すだけで気が楽になったり考えが整理できたりすることってありますものね。私もたまに落ち込むようなことがあった時など、行きつけのバーのママに話を聞いて貰いに行ったりすることがあります。大人になると、たとえ友達でも、自分の都合で呼び出して悩みや愚痴を聞いて貰ったりするのは難しくなってくるけれど、バーのママならいつでも話を聞いてくれるのです。お金さえ払えば!

でもそんな時、そのお店があってよかったなあとつくづく思うのですが、A Day In The Lifeもそんな風になっていくといいなあ。

kaisenn.jpg【真紀ママ日記 その6】

先週は常連の大学生の男の子が後輩を8人も連れてきてくれたので、私の日には珍しく大にぎわいで有難いことでした。

終電で彼らが帰ったあと、カウンターで飲んでいた女性とゲイのお客様が「若いノンケの男ってのは女に対して容赦がないね」「童貞の若い子はまだ女の子に幻想を抱いてるんだね」などと言うので、どういうことかと尋ねたら、女は可愛い方がいいとか清楚でなくちゃとか、いろいろ理想の女性を語っていたというのですが、私はみんなが頼んでくれた海鮮丼を作る(といってもごはんにネタを乗せるだけですが)のに必死で、そんな話をしていたことも全然聞いてなかったのでした。

カウンターでは女性たちがセックスについて避妊がどうとかとても現実的な話をしていた(気がするのですが、これも海鮮丼を作るのに必死で殆ど聞いていない)ので、同じ空間でも対照的で面白いなあとあとから思ったのですが、私はもっとお客様の話を聞くことをしなければ、と反省しました。

他所のお店に飲みに行ってもベテランのママたちは、カウンターの端と端の話をちゃんと把握していて、聖徳太子のようだと感心するのですが、私はドリンクを作るのに追われたり鰻を焼いたりしているとそちらにばかり気をとられてしまいます。気をとられるわりに海鮮丼のネタもよく一つ二つ乗せ忘れてあとからシマッタ!となるのですが……。あ、たとえ乗せ忘れても、その分他のネタを余分に乗せてるので損してるってこともない筈です!(フォローになってるかな?)

今月の4日でA Day In The Lifeもオープンして半年を迎えました。あっという間の半年で、不慣れなママ業トンチンカン営業にも関わらず、来てくださったお客様には本当に感謝しております。ありがとうございます。また半年経って一周年を迎える頃には、少しでも聖徳太子に近づいているよう頑張ります。

【真紀ママ日記 その7】

A Day In The Lifeで流している音楽は各曜日ママが好きなものをかけているのですが、私の日にアニソンが多いのは、オープンした時にアニオタの友達が何枚もアニソンCDをくれたからです。

私自身はアニメはあまり見ないので、なんの曲かも知らないのが殆どですが、お客様が「これは◯◯の曲」と教えてくれます。先週いらした女性のお客様はよくご存知で、なかなかのオタクっぷり。同人誌などを作っていたこともあるようです。聞けば、最近彼氏ができたそうなのですが、オタ婚パーティー(オタクの婚活パーティー)で知り合った人だとのこと。

そういう婚活に来るオタク男性はどういう人なんだろうという興味とお店の営業を兼ねて、彼氏も呼んじゃいなよと誘ったら、間もなく彼も来てくれました。オタクといっても彼はアイドルオタクの方で、自分でそういうオタクが集まるお店を経営しているそうで、社交的で話も面白く、彼女と交わされるテンポの良いオタク的な会話を聞いていると、何を言っているのか私には内容は半分もわからなかったけれど、とても楽しそうでいいなあと思いました。

自分の好きなことを思いきり語り合えるって素晴らしい!と、いつもマイナーなものにはまって1人悶々としている私は羨ましい気持ちになります。その日は深夜にそのオタクカップルが帰られた後はもうお客様はいらっしゃらないかなあと思い後片づけをしていたら、仲良しのお店のママが自分のお店が終わったあとに飲みに来てくれました。

長らく独り身の彼でしたが、今度のお休みに新しい彼氏候補が泊まりに来るので、部屋の掃除をしまくっているそうで、綺麗好きだからそれほど汚い部屋じゃないでしょ?と聞いたら、部屋を占拠している溜まりまくったフィギュアを処分しているということでした。そういえば彼はフィギュアオタクだったことを思い出し、オタクに親しんだ夜でした。

【真紀ママ日記 その8】

薄々自分は雨女ではないかと思っていたら、先週の火曜日は台風でした。たぶんこんな日にはお客様もいらっしゃらないだろうな、今日は早めにお店を閉めて帰らないと私も家に帰れなくなるかも……などと思いながら、お通しに作ってきたラタトゥイユを摘み食いしていたら、Oさんが職場の先輩と来てくれました。

Oさんは私が20年来お世話になっている美容師さんです。美容院は火曜日が定休日なので、私がA Day In The Lifeで働くようになるまでは、よく一緒にお芝居を観に行ったりごはんを食べたりお酒を飲みに行ったりしていたのですが、最近はお客様として飲みに来てくれています。先日も、A Day In The Lifeを紹介したいと先輩を連れてきてくれました。

今夜は貸し切りだねなんて言いながら女3人で楽しく喋っていたのですが、Oさんの先輩はきれいな人だけれどとてもしっかりしていて立ち居振る舞いにそこはかとない貫禄があるし、Oさんは私より2歳下なだけなので、たぶん先輩は私より年上なんだろうと思ってずっと接していて、私がそんな風なので先輩もなんとなく私よりお姉さんって感じで話してくれていました。それが途中で先輩が私より一つ下だということがお互いにわかった瞬間、一瞬ちょっとだけ気まずい空気が漂った気がします。

私は見た目はたぶん年相応じゃないかと思うのですが、中身が子供っぽいというか未熟なので、大抵の同年代の人は自分より年上に思えて、自然とそんな感じで接してしまいます。しかし私くらいの年齢の女性というのはなんとも微妙で、ちょっとでも実年齢より年上に見られるのは、それはやはり嫌なもんなんじゃないでしょうか。それからも同年代ならではの昔話などで盛り上がったのですが、これからは気をつけねばと思ったのでした。