2008-10-28

石原慎太郎『子供あっての親ーー息子たちと私』


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● 石原慎太郎『子供あっての親―息子たちと私 (幻冬舎文庫 い 2-9)』(幻冬舎)

★★★ 一つの子育て論として興味深い

私の散歩のコースにはグラウンドがあって、日曜日にはよく小学生のサッカーチームが練習や試合をしている。それを見守る親御さんたちの様子を眺めながら、親の気持ちというのはいったいどのようなものだろうかと思うときがある。彼らの多くは私と同世代なのだが、私には子供がいない。それに負い目を抱くことはないのだが、ある種のうらやましさを感じないとは言わない。

石原慎太郎著『息子たちと私』は、世間的に有名な家族の記録としても面白く読めるが、男親にとって子供はいかなる存在なのか、という点において好奇心をそそられる一冊だ。石原氏はそこで、子供の成長、兄弟関係、仕事、スポーツ、性、旅、結婚といったテーマを、具体的な子育ての経験とともに語っている。それは氏の人生観そのものだ。 続きを読む…

2008-10-27

石井政之『顔面バカ一代』


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● 石井政之『顔面バカ一代―アザをもつジャーナリスト (講談社文庫)

★★★★★ 美醜の問題を考える上で、もはや古典ともいえる作品

*単行本版のタイトルは『顔面漂流記―アザをもつジャーナリスト

衝撃的な本である。そして、名著として評価されるべき内容の作品でもある。

衝撃的というのは、顔にアザを持って生まれた一人の青年が、そのことによってどれほど心に深い傷を受けてきたかを赤裸々に綴ったという意味で、これまでにあまり類のない告白であるということ。

著者は単純性血管腫という病気で、生まれつき顔面に赤アザを持っていた。幼児のときにドライアイス療法というのを受けるが、アザは消えることなく残った。そして顔面に「障害」を持つものの多くが「体験」するように、子供時代にはイジメを受ける。思春期以後、コンプレックスに打ち勝とうと勉強に専念したり、身体を鍛えたり、アザを隠すメイクを施してみたりと、さまざまなことを試みるが、心の平安はやってこなかった。成人してさえ、見知らぬ子供たちにも侮蔑的な言葉を投げ付けられる人生。 続きを読む…

2008-10-26

鈴木透『性と暴力のアメリカ』


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● 鈴木透『性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶 』(中公新書)

★★★★ なぜアメリカが性革命をなし得たのか、その背景を知ることができる

先頃アメリカ合衆国で行われた中間選挙は、上院下院ともに民主党が過半数を獲得した。これで政治の風向きもまた変わるかもしれない。近年のアメリカは、ヒッピーや反戦運動が盛り上がった60年代とは様変わりして、保守的な色彩を強くしていた。しかしそれは、アメリカが過去とは異なるものに変化したというよりは、潜在的に内包している二つの面の一方が噴出した、と見るほうが適当のようだ。

鈴木透著『性と暴力のアメリカ』は、その「原理」を建国の理念とその後の歴史から読み解こうとしている。そこでキーワードになるのが、「性」と「暴力」である。「性をめぐる問題は、他者との関係をどう築くべきか、また暴力の問題は、紛争をどう解決するかという、ともに人為的な統合や理念先行の国家というアメリカが背負った宿命と深く関係している」。 続きを読む…

いただいたご本『回転する熱帯』


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** いただいたご本の紹介には星取りは入れません。

● 望月飛鳥『回転する熱帯』(ランダムハウス講談社)

ゲイバーをやっていると思わぬひとが扉を開けてくれる。知り合い以外は、伏見憲明サイトを密かに訪れていてくれた方々が多いが、この本の著者、望月飛鳥さんもその一人だ。真夜中、エフメゾにお土産をいっぱい抱えて入ってきた彼女は、朗らかな表情のなかにも妖しい色気をのぞかせた女だった。寡聞にして、ランダムハウス講談社第一回新人賞のことは知らなかったのだけれど、「何者か」であることは間違いないオーラ(笑)。本作も、「日米同時デビュー 世界が認めた鮮烈な才能」と帯にある通り、日本文学に収まらないワイドを持った作品だった。

伏見は以前から「在留邦人」という人々になみなみならぬ関心を持っていた。それは相棒が海外暮らしが長く、そこでの人間関係などを間接的に見聞きしていると、海外に生きる場を求めた彼らのエネルギーや「胡散臭さ」が、たまらなく面白いからであった。本書はそうした「在留邦人」の視点からベトナム社会と、そこでの人間模様を描いたもので、ここには確実に現在の日本の「一部」が存在している。「母国に安住出来ない私たちは、きっと何かが足りなくて、代わりに何か余分なものを持っているように感じる」という一文に、膝を打つ思いがした。

たぶん望月さんの体験であろう、ベトナムで日本語教師をしている「私」と女性の恋人ユンの物語。女性同士の性愛の緩い官能、男女の肉欲の熟れた香りが全編に漂っていて、熱帯にワープしたような蒸暑い読書体験をすることができる。妙にエロティックで、やたら飯が美味しそうに描写された小説だ。伏見も読後、どうにも性欲が昂進し、ひたすらベトナム料理が食べたくなった。

2008-10-25

小浜逸郎『「弱者」とは誰か』


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● 小浜逸郎『「弱者」とはだれか (PHP新書)』(PHP新書)

★★★★★ 差別や反差別運動を考える上での必読書

 これは、被差別者でもマイノリティでもない、「私」としての著者が、「弱者」を取り巻く問題に正面から向かい合った一冊である。

 小浜はこの本の主題を「いわゆる『弱者』や『マイノリティ』への配慮のあり方について」だとしている。そしてそういった社会的な認知を受けた人々が「自分たちの問題について語る『聖なる特権』を得……逆に、その認知を受けない他の人々は、その領域に踏み込むことに対して、不要な恐れ(畏れ)を抱くようになる」構造に、鋭く批判のメスを入れる。 続きを読む…

いただいたご本『発達障害 当事者研究』


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● 綾屋紗月+熊谷晋一郎『ケアをひらく発達障害当事者研究-ゆっくりていねいにつながりた』(医学書院)

この本の著者のお二人とは先日対談をして、『精神看護』という雑誌に遠からずそれが掲載されることになっている。内容についてはそこで語り合っているのでそんなに立ち入らないが、「精神医療」にはほとんど関心がなかった伏見にも刺激的な内容だった。

著者の綾屋さんは幼少の頃から他人との関係が上手くいかない、コミュニケーション不全の問題を抱えていて、最近になって「アスペルガー症候群」という言葉にたどり着いた。しかし既存の医学の解釈をそのまま受け取るのではなく、もう一度自分の言葉でそれをとらえ直そうと、熊谷氏との対話を通じて一冊の本を書くことにした。他人の言葉に自分を委ねず、手探りで自分の内面を言語化した知性に感嘆するばかりである。

彼らコンビがここで示したオリジナルな考え方は、「私たち自閉圏の人間は、『意味や行動のまとめあげがゆっくり』なのだというものだ」。本書ではその仮説が正しいかどうか、綾屋さんの内的な過程を分解し構成し記述することで、ていねいに検証している。読者はそれに同伴することで、自分たち自身のコミュニケーションの不思議を逆照射されることになる。そう、この本は、我々のコミュニケーションの独自の形式こそを浮き彫りにしてくれるはずだ。

2008-10-24

小浜逸郎『男はどこにいるのか』

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★★★★★ ジェンダーについて考えるときの必読書
小浜氏の議論を等閑視してジェンダーを議論するのは卑怯者のやること!

● 小浜逸郎『男はどこにいるのか』(ポット出版)再刊

この度復刊された『男はどこにいるのか』を筆者が最初に読んだのは、いまから14年前のことである。一読した感想は、「たしかにその通りだと思うが、……」。小浜逸郎氏の論に終始納得させられながらも、「……」という部分を残さずにはいられなかった。

それについては少し説明がいるだろう。本書が刊行された90年代の初頭というのは、既存の性役割りに対する窮屈さがリアルに存在していた、と振り返る。セックスに対するタブーは根深くあったし、女性の社会進出もどうにか可能になったばかり、性の多様性などということも、やっと語られるようになった時代だ。筆者の世代的な制約もあるにせよ、性役割り、つまりジェンダーをいかに乗り越えていくのか、というテーマが共感を呼ぶ土壌は広く存在していただろう。 続きを読む…

2008-10-10

いただいたご本『クィア・セクソロジー』

queer_s.jpg「性の思い込みを解きほぐす」という副題がついているように、本書は、ジェンダーやセクシュアリティの一般的な観念に別の方向(クィア)から光を当てるものである。著者の中村美亜さん自身、トランスジェンダーということで、ステレオタイプな性とは別の人生を生きている。本人の問題意識を深めるためにアメリカへ留学し、さまざまな研鑽を積んできただけあって、幅広く議論を網羅してあり、まじめな勉強家であることがよくわかる。

文章もわかりやすく、記事もバラエティに富んでいるので、クィア・スタディーズの初心者にはとても使える入門書と言えるだろう。

● 中村美亜『クィア・セクソロジー―性の思いこみを解きほぐす』(インパクト出版) 1800円+税

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2008-10-06

いただいたご本『風俗お作法』

fuzoku.jpg松沢呉一さんの新刊が出た。今回は風俗におけるサービスとはいかにあるべきか?がテーマになっている。っていったい誰が読む本なのよ、と思ったわけだが、帯にあるように現在は「なりたい仕事ランキング」にキャバ嬢&ホステスが9位に入る時代。風俗嬢だって予備軍(あるいは現役軍)がたくさんいるのだろう。

本書で松沢さんは良い風俗嬢とはどんな子なのか、というのを事例やら体験談を使って説明している。もちろん容姿に恵まれた女性であるにこしたことはないが、それだけでは現場で人気が出ないところが、こうした本が書かれる理由なのだ。端的に言って、男は見た目の欲望だけではリピーターにはならない。松沢さんによれば、風俗サービスで大切なのは、「ナメ・ホメ・マメ」なんだそうな。でもこれって、ナメはともかく(笑)コミュニケーションの基本ですよね。つまり、求められているのはコミュニケーション能力なのだろう。

ということで、この本は風俗嬢ばかりでなく、ふつうの人が読んでも勉強になることばかり。自分がどうも友人と上手くやれない、同僚に好かれない、学校で人気が出ないなどのお悩みがある人にはもってこいの一冊だ。

● 松沢呉一『風俗お作法 (てぃんくるbooks)』1500円+税

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2008-10-04

NHK教育テレビ「ハートをつなごう」第二弾

レズビアン&ゲイを特集したNHK教育テレビ「ハートをつなごう」の第二弾が放送された。今回は後半、LGBTというテーマにつないでいて、様々な性的少数者を取り上げていこうという方向に展開している。結婚式を挙げるレズビアンカップル、人口の少ない島で暮らすゲイ、海外のLGBTと交流する日本の当事者……などを取り上げていて、性的少数者として生を授かったものの困難さと、これからの時代を生きていくことの可能性、の両方をメッセージしていて、伏見はとても好感を持って観た。

以前にも同じことを記したが、こうした番組がテレビ媒体で放送されることで、どれだけ当事者の抑圧感は軽減され、ぼくらを取り巻く社会的な条件は向上することか。とくにNHKのような公認されたメディアで取り上げられることの影響力は計り知れない。できるだけ長くこのシリーズを続けてほしいものだ(製作者に感謝!)。サイトを観たら、近く教育テレビの他の番組でも特集が組まれるという。NHKやるね。いやあ、いい時代になりました! なんていうと、「まだまだいい時代なんて言える状況ではありません!」と怒られそうだが、社会への怒りに鮮度がある人たちにはぜひ、自分たちの運動をがんばってほしい。

ハートをつなごう
ゲイ/レズビアン第2弾 教育テレビ 9月29日(月)、30日(火) 午後8時~8時29分
再放送 10月6日(月)、7日(火) 午後1時20分~1時49分
ハートをつなごう
LGBT第1弾 教育テレビ 10月1日(水)、2日(木) 午後8時~8時29分
再放送 10月8日(水)、9日(木) 午後1時20分~1時49分
ETVワイドともに生きる
LGBT 教育テレビ 11月1日(土) 午後9時30分~午後11時30分

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2008-09-22

いただいたご本『インターセックス』

03018635.jpg編集に関わった出版社の知人にいただいたのだが、すでに時事通信で書評を書いていたので、読了済みだった。

登場人物にインターセックスの人物が配置されているのが売りのミステリーで、インターセックスという性自体に関する解説はすごく詳細に書き込まれている。日本の状況についての書き方は事実とは違うようにも思われたが、まあ、そこはフィクションということで。

十年以上前に『性のミステリー』(講談社現代新書)という本を書いた伏見にとって、すでにこうしたマイナーな性をミステリー感覚でとらえる感度はないが、まだ一般的にはそれがミステリーな気分を高める素材になりうるのかもしれない。逆にミステリーでないインターセックスのレポートとして読むなら、当事者にはよい情報源になると言えるだろう。

● 帚木 蓬生著『インターセックス』(集英社) 1900円+税

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2008-09-19

いただいたご本『古代の音』

978_4_652_07836_5.jpgよりみちパン!セって、叶恭子とかバクシーシ山下とか鈴木邦男とか伏見憲明とかヤバそうな本ばかりでなく(笑)、本書のような地味ながら内容の濃い本もラインナップに入っている。

「続・神様がくれた漢字たち」と副題にあるように、この本は漢字の成立と謎に迫る書。今回は「ことばを生み出す母胎としての音の謎に鋭く迫る」一冊となっている。「漢字が成立した当初、すでに筆の使用がされていた事実は、「筆」「書」などの字形により、容易に知られることです」などと記されているのを読むと、無知の伏見は、ほうそうなのかあ!と唸ってしまう。いやあ、勉強になります。

帯には「みのもんた氏もおもいッきりイイ!!テレビで驚嘆」と記されているが、けっして胡散臭くないのでご安心を(笑)。あくまでも本格的な、そしてわかりやすい漢字解説書なのだ。

● 山本史也著『古代の音―続・神さまがくれた漢字たち (よりみちパン!セ 36) (よりみちパン!セ 36)』(理論社) 1300円+税

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2008-09-18

いただいたご本『知のジュエリー 12ヵ月』

978_4_652_07837_2.jpg「…教えて、恭子おねえさま。どうしたら、自分の道を美しく、そしていさぎよく、歩いていけるのですか?」って中学生くらいの子が思っているかどうかはともかく(笑)、今度のよりみちパン!セは叶恭子センセです。「あせらず、まず、身につけましょう。純度の高い、知性のテクニークを。」だって。

恭子おねえさまが、一年十二ヶ月、毎月ワンテーマーー「知性」「ブス」「恋愛」「欲望」「お金」等々について教えてくれるという構成になっている。

「鏡とは、うぬぼれのためだけに存在しているものではありません。自分を知るためのツールとして、徹底して使いこなすためのものなのです」

なんて言葉にクスッと笑って楽しめてしまう一冊。何よりも驚いたのは、叶恭子が「ライフスタイルプロデューサー」だったこと! 知らなかった……。プロデュースされたいようなされたくないようなだが、女性の人生の、ひとつの典型のパロディみたいな人だから、ある種のライフスタイルのエキスパートであることは間違いない。けっして学校では教えられない人生を教えてくれる書として、やはり女子中高校生にお薦めよ!

それはそうと、伏見のパン!セの3冊目はどうなるのやら?

● 叶恭子『叶恭子の知のジュエリー12ヵ月 (よりみちパン!セ 37)』(理論社/よりみちパン!セ) 1300円+税

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2008-09-02

いただいたご本『私という病』

134172.jpg中村うさぎさんが熟女ヘルスに挑戦したルポルタージュ『私という病』が、ついに文庫化されました。

最近うさぎさんと仲良しの伏見ですが、この本を読むまで彼女のことを少し誤解していたところがありました。けれど、本書の切実な内容に触れて、評 価は一変し、ぜひともお近づきになりたいと願うようになりました。そのだしに使った、松沢呉一さんも含めた「小説新潮」で連載したセックス鼎談も、そのう ち本になる予定です。

そんな縁もあって、この本の文庫解説を書かせていただく栄誉にあずかりました。まぎれもない名著ですので、解説もテンションを上げて、いっしょう けんめい書きました。

「私という病」を手にしていない方は、是非、書店でお買い求めください。新 潮文庫ですので、どこの本屋にも置いていると思います。

● 中村うさぎ著『私という病 (新潮文庫 (な-60-2))』(新潮文庫) 362円+税

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2008-08-30

いただいたご本『私の青春文学紀行』

41nqwb6tMwL._SL500_AA240_.jpgゲイバー活動に夢中で、最近、いただいたご本をご紹介していなかった。メルマガも2シーズンが終了して来春まで休憩するので、これからサイトのほうを充実させるつもり。

本書は作家の松本侑子さんが欧米の青春文学の故郷を旅したエッセイ集。「赤毛のアン」「ハイジ」「風と共に去りぬ」「アンネの日記」「若草物語」……といった誰もが知っている作品の背景、作家に関する小ネタが満載で、読んでいてあきない。へえ、そうだったんだ、みたいな感慨を多く得られる。

そして全編に掲載されているカラー写真のすばらしいこと! 松本さんって小説ばかりでなく、(元アナウンサーだけに)話しも上手いし、翻訳もプロだし……と何でもできる才女だけど、写真の腕前もなかなかのもの。その努力と、何事にも挑戦していく姿勢を見習わなければと思った。

● 松本侑子『私の青春文学紀行 (とんぼの本)』(新潮社) 1400円+税

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2008-07-15

いただいたご本『知識ゼロからの哲学入門』

300345s.jpg股間男子ばっかりアップしていると、ここがただのモッコリ好きの変態サイトのように見えてしまうので、たまにはご本の紹介。

この本は、読みやすい哲学書をたくさん書かれている竹田青嗣さんの本のなかでも、とりわけ読みやすい。読みやすいだけではなく、すっごく勉強した気にさせてくれる良書。哲学入門としては最適なのでは? ここまで噛み砕いてくれると、素人にも哲学が身近に思えてくる(でもこれだけ噛み砕ける知性って、とんでもないものだと思う)。

で、笑えるイラストとかも魅力的なのですが、伏見がファミレスで読んでいて大爆笑してしまったのがラカンについて書かれたこのフレーズ。

「ラカンは、とにかく超難解で有名。構造主義の盟友であるレヴィ・ストロースすら、ラカン熱がやたら高まっていた時代に、自分は、読んでもわからないので正直あんまり読みません、と言ったとか。バタイユ的に言えば、隠すことは、それだけで美と崇高なものの「禁止」を”ほのめかす”。だから、隠し方がうまいと、若いインテリはそれだけで発情してしまうのかも」

なんだか竹田氏の現代思想へのシニカルな思いが込められているようでいいですね。ほんと、難解な文体って人を発情させるよね。

● 竹田青嗣+現象学研究会『知識ゼロからの哲学入門』(幻冬舎) 1300円+税

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2008-07-01

ゲイバーへの道 11 結論。

shinjyuku.JPG突然走り出したゲイバー営業への挑戦。ここ二週間ばかりママ修行やら二丁目のマーケット調査などを通じて、ずっとどんなバーにしようか、どんなママになろうかと考えてきました(水曜日のみのママだって、やるときゃ真剣にやる伏見憲明)。

昨晩は開業前の最後の取材。二丁目のママたちのなかでゲイバー・アナリスト(アナルマニアという意味ではない)として高い評価を受ける、アイランドのらくママのところへ行って話しを伺った。今回もためになるネタをたくさんいただいた。さすが脱サラ組、分析力が違う!

そのときらくママが語った言葉がとても印象的だった。

「はじめてみる前にどういうバーにしようかといくら考えていても、結局やってみないとどんなバーになるかわからない」

きっとそういうものなのだろう。ちょっと前にピンクレディーの二人が、「ピンクレディーはファンと自分たちが作り上げた何かだった」みたいな発言をしていたが、ゲイバーもお客さんとママで作り上げるコラボレーション以外の何物でもない。

ということで、伏見ママはとくに何も考えずに自然体で接客することにしました。つまり、傲慢で意地悪で態度の悪いオカマのままでの、「地」の営業(笑)。だってどんなに演技でつくろってもそんなの通じるのは最初だけで、どうせすぐに化けの皮ははがれちゃうもんね。お客さんだってバーを取捨選択するわけだから、お互いにお見合いをしていきましょう、と。

そんな「日本一感じの悪いママ」でもOKっていう懐の深い人なら、Fushimi’s mfに入店してもよくってよ!! それが結論。そう新宿の明け方の空に決意を新たにした新人ママであった。

明日はいよいよオープニングパーティ。

2008-06-30

閉店時間

Fushimi’s mfのオープニングパーティの閉店時間は、一応、2時を目安にしています。それ以降もお客さんがいたら、まったり始発まで営業しているかもしれませんが。基本的には20:00〜02:00ということでご理解ください。

パーティ以降の通常営業のときは、伏見ママの始発に合わせて4時までの営業を(お客さんがいれば)目標にしています!

● Fushimi’s mf オープニングパーティ「二丁目大好き!」

日時:7月2日(水曜日) 20:00〜
料金:三千円(飲み放題、食べ物)
場所:新宿二丁目 メゾフォルテ

http://www.g-token.com/bars/mf/main.html

トークゲスト:中村うさぎさん、エスムラルダさん

ゲイバーへの道 9 ブスの処遇

20041221_1.jpg一連のゲイバー取材のなかで、ある二丁目の大御所から考えさせられる話を伺った。

「やっぱりゲイバーのママはブスにやさしくしたら駄目なのよ」

自他ともにブスを認める伏見としては聞き捨てならない発言である。当然、

「どうして?」

と問うたわけだが、その答えが実に理に叶っている。

「だってね、ブスはどこの店でも疎まれているから、大切にされたらどうしてもそこの店に寄りつくでしょ。そうすると、いつのまにか店がブスの避難所みたいになる。そんな店にはイケメンは来なくなるから、いつのまにか店内がブスの吹きだまりになってしまうのよ。その上、ブスしか来ない店にはブスですら足を運ばなくなるから、時を待たずして、店をたたむことになる」

「うーむ」

と唸ってしまった。さらに、大御所は続ける。

「反対に、イケメンを大事にすれば、益々イケメンが集まってくるし、多少迫害されてもブスはイケメンにつられて来るから、店も繁盛して安泰」

そうか、それで伏見はこれまでバーで大事にされてこなかったのか!と、いまさらながら膝を叩いたのであった。たしかにこの法則は文句のつけようもない。

しかし、ブスの自分が営業する店でブスに冷たくできるのか。仲間を裏切ることなどできない! ブスも大事にするけど、もっともっとイケメンを優遇するってことで許してもらえないだろうか。←相当キレイごと

水曜日のパーティのときのトークゲストには、最近『英語で新宿二丁目を紹介する本』という単行本を上梓されエスムラルダ先生(写真)をお迎えするので、その辺りのご意見を訊いてみたいと思う。ブス界の束ねとして、ブスと新宿二丁目の関係について含蓄のあるお話しをしてくれるはずである。

*この記事をアップしてから気づいたのだけど、エスムの右上に写っている白い玉は何? デジカメで撮ったものなので汚れではないはずなんだけど……ホラー?

2008-06-28

ゲイバーへの道 7 店の客を喰う

Image027.jpgゲイバーのママになるからには一度はやってみたいこと、それは店の客を喰うこと。←あまりに直裁

ゲイバーのママなんてみんな店の客を喰いまくっているに違いない、と素人は誰しも思うわけで、伏見も長年そのように思ってきたわけだが、実際にママたちに訊くと必ずこう答える。

「そんなことあるはずないじゃない。カウンターのなかに入っているとまったくモテないし、間違って手を出して、そのお客さんが来なくなったら困るからね」

こんな教科書通りの回答を信じるほど二丁目歴三十年になる伏見は初心ではなーい! 絶対に深夜、店の鍵を締めてお気に入りの客とチョメチョメ(←古い)しているに違いない。とふんでいたら、とっても正直な某ママが教えてくれた。

「長くやっているといろいろあるわよ。ぼくだって、閉店間際まで下心のある客に粘られたことがあるからね」
「……え? あなたが!?」

と驚いたのは、そうおっしゃたのが解脱して久しい生き仏みたいなママだったからである。あのママでさえ(失礼)いろいろあるくらいなら、ふつうのママがやりまくりでないはずがない。と考えるのはきわめて論理的。水曜日の深夜への妄想は膨らむばかりである。

しかしタイプの客にどう接するか以前に、来てほしくない(いまのところ唯一の)人物をどう阻止するかがもっかの問題。itの侵入を阻止するために結界を敷いているところだ。赤木リツコ博士にマギのプログラムを書き換えてもらわなければ。

● Fushimi’s mf オープニングパーティ「二丁目大好き!」

日時:7月2日(水曜日) 20:00〜
料金:三千円(飲み放題、食べ物)
場所:新宿二丁目 メゾフォルテ

http://www.g-token.com/bars/mf/main.html

トークゲスト:中村うさぎさん、エスムラルダさん