2008-10-26

いただいたご本『回転する熱帯』


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** いただいたご本の紹介には星取りは入れません。

● 望月飛鳥『回転する熱帯』(ランダムハウス講談社)

ゲイバーをやっていると思わぬひとが扉を開けてくれる。知り合い以外は、伏見憲明サイトを密かに訪れていてくれた方々が多いが、この本の著者、望月飛鳥さんもその一人だ。真夜中、エフメゾにお土産をいっぱい抱えて入ってきた彼女は、朗らかな表情のなかにも妖しい色気をのぞかせた女だった。寡聞にして、ランダムハウス講談社第一回新人賞のことは知らなかったのだけれど、「何者か」であることは間違いないオーラ(笑)。本作も、「日米同時デビュー 世界が認めた鮮烈な才能」と帯にある通り、日本文学に収まらないワイドを持った作品だった。

伏見は以前から「在留邦人」という人々になみなみならぬ関心を持っていた。それは相棒が海外暮らしが長く、そこでの人間関係などを間接的に見聞きしていると、海外に生きる場を求めた彼らのエネルギーや「胡散臭さ」が、たまらなく面白いからであった。本書はそうした「在留邦人」の視点からベトナム社会と、そこでの人間模様を描いたもので、ここには確実に現在の日本の「一部」が存在している。「母国に安住出来ない私たちは、きっと何かが足りなくて、代わりに何か余分なものを持っているように感じる」という一文に、膝を打つ思いがした。

たぶん望月さんの体験であろう、ベトナムで日本語教師をしている「私」と女性の恋人ユンの物語。女性同士の性愛の緩い官能、男女の肉欲の熟れた香りが全編に漂っていて、熱帯にワープしたような蒸暑い読書体験をすることができる。妙にエロティックで、やたら飯が美味しそうに描写された小説だ。伏見も読後、どうにも性欲が昂進し、ひたすらベトナム料理が食べたくなった。