2010-07-12
脳天気商会、テキトーに誕生 [北尾トロ 第28回]
思わぬ方向に話が膨らんできた。まっさんや岡本君と、バンドをやろうと盛り上がってしまったのだ。
何気なく口にした言葉が引き金となり、新しいことが始まる。そんなことはしょっちゅうだけど、思いつきで動く悲しさ。一時の興奮が冷めるとなし崩し的にどうでもよくなり、結局うやむやになってしまうのがオチである。それでも計画性に乏しいぼくたちはその場のノリで動く以外の方法を知らず、数撃ちゃ当たるとばかりに動き回るしか能がない。10のアイデアのうち、1つか2つ実現すればめっけもんだ。
バンドの話が盛り上がったのにはいくつか理由があった。まず、言い出しっぺはぼくだったが、即座にまっさんと岡本君が同意したこと。誰かが強引に口説くのではなく、最初からテンションが揃っていた。また、ぼくやまっさんはバンド経験がないが、岡本君は経験豊富。本職のキーボードだけではなくギターやバイオリンも演奏でき、譜面まで読める。しかも、これは自慢にならないが、売れっ子ライターではないぼくとまっさんは練習のための時間が確保しやすい。勤め人である岡本君の都合に合わせればいいのだ。
ぼくとまっさんはギターをかき鳴らす程度しか楽器ができないが、岡本君はそんな不安を笑い飛ばしてくれた。 続きを読む…