2011-08-12
スキ-人国記 オサトが笑う ●関東人はレジャ-指向 by 下関マグロ
ご無沙汰しております。
『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』担当の大田です。
前回の「とらばーゆ」の原稿に続いて、1985年頃のマグロさんの原稿を公開しちゃいます。
これは学研のスキー雑誌「ボブ・スキー」に書かれたもので、テーマは県民性について。このあたりは、いまでもまったく変わらないですね〜。
スキーなんてしたこともない駆け出しのライターだったトロさん&マグロさんが、いかにして「ボブ・スキー」で原稿を書くようになったのか、といったあたりは、ぜひ以下のあたりでチェックしてください。
・スキーができないスキー雑誌のライター集団 [北尾トロ 第21回]
・タダほど高いものはない。スキー合宿顛末記 [下関マグロ 第22回]
・ラーメンとカレーを食べまくった初取材 [北尾トロ 第22回]
・「北尾トロ」が誕生した瞬間! [下関マグロ 第23回]
・ライターの三種の神器がそろう![下関マグロ 第24回]
スキ-人国記 オサトが笑う●関東人はレジャ-指向
スキ-場には全国各地の様々な地方から多くの人がやって来る。ゲレンデやレストハウスで周囲の人間を観察していると、その言葉(方言)に代表される特性がよく出ていて面白い。この特性が県民性であり、オサトなのだ。巷で人気のある血液型は、A,O,B,AB型の4種類、星座でも12種類しかないのだから、47都道府県もある県民性は、それらよりは正確だと言える。それは、生まれ育った自然環境や歴史、風土などから生じる特性で、占いなどとは少々異なるからだ。
県民性としてまとめられたもので、最初のものは、江戸時代に作られた「人国記」(作者不明)だと言われている。その後もこの類の研究書は多く書かれているのだが、狭い国土でありながらも、県民性の違いは顕著だからなのだろう。
最近では、NHKが全国のネットワ-クを利用して作成した意識調査が有名である。
そのなかから、関東にまつわるもので、おもしろいものをいくつか紹介しよう。「生活費を切り詰めてでも、出来るかぎりお金を残したいと思うか」という質問に対して、「ハイ」と答えた人がもっとも少なかったのが東京で、次に埼玉、神奈川、群馬の順だ。つまり、関東地方の人々はせっせとお金を蓄るよりもレジャ-などに使った方がいいと考えているわけだ。また、「世の中すべて金次第だと思うか」という質問に対し、そうではないとする人は、神奈川、奈良、東京、福岡、群馬の順で多い。ここでも関東人が1、3、5位で、まさに関東人はレジャ-指向といえる。
この調査のなかで、江戸っ子気質を感じさせるものもある。「本来自分が主張すべきことがあっても、自分の立場が不利になるときは黙っているか」の問いに「ノ-」と答えた人が多いのは、千葉、神奈川、北海道、静岡、東京の順だ。関東人はレジャ-指向のみの軟派ではなく、自己主張や正義感の強い人種のようだ。
ひとくちに関東人といっても関東は広い。各地方によって特性も異なる。
しかし、首都圏だけは別に取り扱いたい。というのも、首都圏の大半が全国各地方から来た人によって構成されて、その性格を特定できない部分があるからだ。そうなると、はっきりと県民性を言えるのは北関東ということになる。
北関東の人は総じて言葉が乱暴だと言われる。初対面の北関東人とゲレンデで言葉を交すと、こちらが怒られているような気になるが、これは悪意があるわけではない。その代表選手と言えるのが、茨城県人。水戸には「水戸の三ぽい」という言葉がある。怒りっぽい、理屈っぽい、骨っぽい性格だという意味だ。全国の警察官の10分の1が茨城出身者だということからも分かるように、この地方の人は真面目で、律儀な人が多いのだ。
北関東のなかでもユニ-クなのが、近年、福田、中曽根の両総理を輩出した群馬県だろう。「からっ風とカカア天下は上州名物」と言われ、有名になった群馬県の“カカア天下”だが、一般的には、女性上位とか男を尻に敷く女、というような意味にとられているようだがこれは、誤解らしい。確かにスキ-場にやってくる群馬ナンバ-の車は女性ドライバ-が多い。しかし、カカア天下の本当の意味は、上州の男たちが他国の者へ「うちのカカアは天下一の働き者だ」と自慢したのが起源らしい。事実、群馬県の女性はよく働く。
こんな群馬県の女たちの美人度はどうだろう。もともと水のきれいなところには美人が多いという。群馬県は水の美しいところとしても有名だが、そこのところを群馬県の男に尋ねると、「な-に、駄目ですよ、その水を使わないんだもの」という答え。これも、群馬県人の謙虚さの表れなのかは、定かではない。
上州の土地は痩せていて、養蚕などの産業に頼らざるをえなかったのだが、この労働力の担い手が女性たちだったというわけだ。だからといって、男たちが怠け者やだらしがないというわけではない。国貞忠治を見ても分かるように、強気の男たちが多い。
この連載が単行本になりました
さまざまな加筆・修正に加えて、当時の写真・雑誌の誌面も掲載!
紙でも、電子でも、読むことができます。
昭和が終わる頃、僕たちはライターになった
著●北尾トロ、下関マグロ
定価●1,800円+税
ISBN978-4-7808-0159-0 C0095
四六判 / 320ページ /並製
[2011年04月14日刊行]
目次など、詳細は以下をご覧ください。
◎昭和が終わる頃、僕たちはライターになった
【電子書籍版】昭和が終わる頃、僕たちはライターになった
電子書籍版『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』も、電子書籍販売サイト「Voyager Store」で発売予定です。
著●北尾トロ、下関マグロ
希望小売価格●950円+税
ISBN978-4-7808-5050-5 C0095
[2011年04月15日発売]
目次など、詳細は以下をご覧ください。
◎【電子書籍版】昭和が終わる頃、僕たちはライターになった