ポット出版

野口勝三vs沢辺均ロング対談・第三話

先祖の祟りだというのと同じ!?
━━近年のジェンダー論を批判する
野口●僕もかつて、伏見さんの本を最初に読んだとき、ゲイの反差別運動と理論は性別二元制の解体というものに定位していく必要があるという結論を、なるほどその通り [...]

玉野真路[科学技術批評家]●イデオロギーからゲームへ、そして免罪の拒絶へ……

わたしたちは、日々、ゲームをしている。ゲームというのは、いわゆる遊びとしてのゲームとは限らず、日々の生活の中で自分の利得を最大に、損失を最小にするにはどうすればよいかを考えて、戦略的な行動をしているということだ。
たとえ [...]

◎All aboutで書評されました [『欲望問題』の評判]

◎All aboutで書評されました
http://allabout.co.jp/relationship/homosexual/closeup/CU20070210A/

野口勝三vs沢辺均ロング対談・第二話

初発の動機を生かし、自身を問い直す勇気
──『欲望問題』の普遍性
沢辺●今度伏見さんが書いたものは、ゲイ解放運動を先頭切ってやってきた伏見さんの大元にあった「ゲイとして、より生きやすい状況を作ろう」とか「人としていやな気 [...]

広瀬桂子[編集者]●かくも長き時間、かくも劇的な変化。

<もし私が二十代の頃、モテていなかったら、セクシュアリティの問題に関心を持つようにはならなかったかもしれません>。第2章『ジェンダーフリーの不可解』の冒頭をパクらせていただけば、こうなります。
なぜモテていたのかといえば [...]

永江朗[ライター]●簡単に語ることをためらわせる本である

 この本のプルーフを読み終えたあと、「まいったなあ。レビューを引き受けるんじゃなかったなあ」と一瞬だけ思った。内容がつまらなかったからではない。伏見憲明が投げかける問題があまりに重く大きくて、軽い気持ちで語ることをためら [...]

野口勝三vs沢辺均ロング対談・第一話

『プライベート・ゲイ・ライフ』の時代
──伏見憲明の出発点をふりかえる
野口●『欲望問題』では、処女作の『プライベート・ゲイ・ライフ』(学陽書房、1991)の問い直しを始めとした、これまで伏見さんがつくってきた言説や [...]

速水由紀子[ジャーナリスト]●性的アイデンティティは危うくて、形も公式もないもの

 本著を読んでいて、まだ90年代半ば、「AERA」で大学のゲイサークルの活動を取り上げたときのことをふと思い出した。
 インターカレッジで都内のゲイの大学生が集まり、コミュニティを作って積極的に活動している、という内容を [...]

斎藤綾子[作家]●股間にズドンと衝撃が。

 何でも誰かに責任転嫁し、全てをいい加減に済ませて、自己対峙せずに生きてきた私は、差別問題なら「難しいことってわかんな〜い」と済ますこともできた。だが、伏見憲明が命がけで書いたのは、『欲望問題』なのだ。欲の向くまま気の向 [...]

松江哲明[映画監督]●「欲望肯定」

 「この本はパンクロック」と伏見さんは書いてるけど、僕も読んでいる間はそんなジャンル分けというかカテゴリーが気になって、思想書というのが一番しっくり来るのだとは思うが、こんなに「(笑い)」が多い(いや、実はそんなに多くは [...]

岩井志麻子[作家]●ぼっけえ驚いたわ

封筒開けて本を取り出して、添えられた依頼書を見て。ぼっけえ驚いたわ。
驚き、その1。……とにかく、つまらん! いやー、クソおもしろうない。
こんなつまらん本、久しぶりに読まされたわ。わしがいったい、どんな悪いことをしたと [...]

吉澤夏子[社会学者]●「欲望問題」と「心の自由な空間」

 この本には、マイノリティとして在ることの痛み、生き難さを、「差別問題」ではなく「欲望問題」として主題化するまでの、生きられた理路そのものが、シンプルで力強い、しかし繊細で周到な議論によって示されている。伏見の強みは、自 [...]

浜野佐知[映画監督]●伏見さん少し優しすぎるなあ

 おこがましい話だが、私もまた伏見憲明さんと同じような軌跡を辿ってきたといえるのではないだろうか。先日、東京・下北沢のミニシアターで新作『こほろぎ嬢』(尾崎翠原作)のロードショーを終えたばかりだが、もともとピンク映画とい [...]

小浜逸郎[批評家]●私の「痛み」から出発し、社会思想的な地平に至るまで

2007/1/21
 自分は欲望のあり方についてこの世の「標準」と違ったところがある。その違ったところが自分をとても生きにくくさせている。しかもその違ったところはどう考えても変わりそうもない━━こういう感知は、生涯のある [...]

遙洋子[作家、タレント]●「現代のジェンダーにまつわる問題解説本」だ

 ジェンダーは私にとっては最近禁句になっている。その言葉を口にするなり、会場だったりスタジオだったりの空気がこう着するのを感じるからだ。なによりお客さんの、その言葉の意味の認知度が天と地ほどかけ離れている。ジェンダーにし [...]

松沢呉一[ライター]●欲望のためのジェンダーレス教育を!

『欲望問題』を読んで、やっとジェンダーフリー教育に対する私の立場が明確になりました。もともとそう考えてはいたのですが、整理し切れていなかったのです。伏見氏が意図するように、この本は議論の契機を作り出す力がありそうです。
[...]

黒川創[作家]●答えられなかったことを通して、その問いについてさらに考える

 ことの善し悪しは、法律に照らせば、確かめられるか。
 そのことが、まず、本書の冒頭に置かれる問いである。
 著者・伏見憲明のもとに、およそこんな内容の悩み相談のメールが届く。28歳の男性、同性愛者からのものである。
  [...]

橋爪大三郎[社会学者]●他者に通じる言葉で研ぎ出された欲望の相互承認への提案

 よく考え抜かれた本である。
 読んでいて感心するのは、著者・伏見さんが、自分はゲイであると周囲に宣言した当時のぎりぎり余裕のない状況から、さまざまな紆余曲折をへて、いまの考えに至るまでの道筋を、冷静に見つめ、正確な自分 [...]

中村うさぎ[作家]●小倉千加子さんは鳥で、私は犬だったのね!

 伏見氏の『欲望問題』は、今まで私の中ですごくモヤモヤしていた疑問を、一気に解明してくれた。「ああ、そうか」と、何か、胃の中に溜まっていたものがツルリと消化できた感じだ。こういうのを「腑に落ちる」というんですかね。
 ち [...]

欲望問題

『魔女の息子』で第40回文藝賞を受賞した作家であり、ゲイ・ムーブメントの先駆的役割を果たしてきた著者・伏見憲明が、「人間学アカデミー」(小浜逸郎氏主宰)で語りおろした講義録をもとに大幅に加筆・訂正し書き下ろした渾身の一冊 [...]