野口勝三vs沢辺均ロング対談・第六話
それは社会に承認される可能性を持った主張か
━━これからの社会運動の命題
野口●僕の感じでいうと、人が社会性を獲得していくための前提条件は、沢辺さんが言われたように、自分の考えや意見を受け止めてもらえて、違和感も含めて率 [...]
尾辻かな子[大阪府議会議員]●声も出せない人がいることを忘れてはいけないと思う
伏見さんは、私がまだ自分のレズビアンとしての自分に正面から向き合えていない頃から、ゲイとして社会的な発信を続けてこられた大先輩にあたります。この度はその伏見さんの書評を書く機会を頂けて、非常に光栄です。しかし、私が伏見さ [...]
加藤 司◎柔らかい文体の中に仕掛けられた毒針が二十一歳の僕の胸をじくりと刺す
二十一の私は、同性愛者による社会運動が活発だった九十年代を知らない。
ゲイであると自覚した頃には、周囲の抑圧から苦しんでいる姿をそう見ることはなかった。例え過去の文献に触れ、当時を生きてきた人から話を聞いても、どこか [...]
伊藤菜子[フリーライター]●細くなくったって若くなくったってパンクスなのだ
伏見憲明さんが自身をパンクスだと表明した本だと思いました。「中野サンプラザまでクラッシュのコンサートに行ったこともあるのよー」と、以前聞いたことがあったので、へえ、伏見さんはパンクロックも好きなのねえと、漠然と思ってはい [...]
池田清彦[生物学者]●他人の恣意性の権利を侵食しない限り、人は何をするのも自由である。
最近、中島義道の『醜い日本の私』(新潮選書)と題する本を読んだ。中島は明大前や秋葉原の商店街が限りなく醜いと感じ、これに腹を立てない大半の日本人をなじっている。本のカバーには<この国には騒音が怖ろしいほど溢れかえり、都市 [...]
菅沼勝彦[メルボルン大学大学院生]●コミュニティと学問言説構築の架け橋となる
一読し終えてのぼくの感想は、エキサイティングなほどにリアルな、そして現場からの響きを直接感じ取れるほどのプラクティカルな声を発する書ということであった。90年代初頭より日本ゲイ文化(またはクィア文化)の言説形成の担い手 [...]
野口勝三vs沢辺均ロング対談・第五話
相互の「自由」を実現させるには?
━━『欲望問題』のその先にあるもの
沢辺●それ、大変だよね。相互の自由をうまく調和させましょう、折り合わせましょうというところに立つこと自体がけっこう大変だよね。
野口●具体的に政治の決 [...]
山元大輔[生物学者]●欲望の価値
伏見憲明は、日本のゲイ・コミュニティーを代表する評論家・作家である。そして『欲望問題』。とくれば、ゲイ・レズビアン=被差別者・マイノリティーからの社会批判ないし告発、しかもどことなく爆笑問題を連想させるタイトルからは、伏 [...]
野口勝三vs沢辺均ロング対談・第四話
対話から問いを立て直していく
━━『欲望問題』の面白さ
野口●今言われたように、反権力をスローガンにした社会運動はよく普通の生活者の中に生きている「常識」や「普通」に対して、過剰に反応して「常識」って一体なんだ、「普通」 [...]
野口勝三vs沢辺均ロング対談・第三話
先祖の祟りだというのと同じ!?
━━近年のジェンダー論を批判する
野口●僕もかつて、伏見さんの本を最初に読んだとき、ゲイの反差別運動と理論は性別二元制の解体というものに定位していく必要があるという結論を、なるほどその通り [...]
玉野真路[科学技術批評家]●イデオロギーからゲームへ、そして免罪の拒絶へ……
わたしたちは、日々、ゲームをしている。ゲームというのは、いわゆる遊びとしてのゲームとは限らず、日々の生活の中で自分の利得を最大に、損失を最小にするにはどうすればよいかを考えて、戦略的な行動をしているということだ。
たとえ [...]
◎All aboutで書評されました [『欲望問題』の評判]
◎All aboutで書評されました
http://allabout.co.jp/relationship/homosexual/closeup/CU20070210A/
野口勝三vs沢辺均ロング対談・第二話
初発の動機を生かし、自身を問い直す勇気
──『欲望問題』の普遍性
沢辺●今度伏見さんが書いたものは、ゲイ解放運動を先頭切ってやってきた伏見さんの大元にあった「ゲイとして、より生きやすい状況を作ろう」とか「人としていやな気 [...]
広瀬桂子[編集者]●かくも長き時間、かくも劇的な変化。
<もし私が二十代の頃、モテていなかったら、セクシュアリティの問題に関心を持つようにはならなかったかもしれません>。第2章『ジェンダーフリーの不可解』の冒頭をパクらせていただけば、こうなります。
なぜモテていたのかといえば [...]
永江朗[ライター]●簡単に語ることをためらわせる本である
この本のプルーフを読み終えたあと、「まいったなあ。レビューを引き受けるんじゃなかったなあ」と一瞬だけ思った。内容がつまらなかったからではない。伏見憲明が投げかける問題があまりに重く大きくて、軽い気持ちで語ることをためら [...]
野口勝三vs沢辺均ロング対談・第一話
『プライベート・ゲイ・ライフ』の時代
──伏見憲明の出発点をふりかえる
野口●『欲望問題』では、処女作の『プライベート・ゲイ・ライフ』(学陽書房、1991)の問い直しを始めとした、これまで伏見さんがつくってきた言説や [...]
速水由紀子[ジャーナリスト]●性的アイデンティティは危うくて、形も公式もないもの
本著を読んでいて、まだ90年代半ば、「AERA」で大学のゲイサークルの活動を取り上げたときのことをふと思い出した。
インターカレッジで都内のゲイの大学生が集まり、コミュニティを作って積極的に活動している、という内容を [...]
斎藤綾子[作家]●股間にズドンと衝撃が。
何でも誰かに責任転嫁し、全てをいい加減に済ませて、自己対峙せずに生きてきた私は、差別問題なら「難しいことってわかんな〜い」と済ますこともできた。だが、伏見憲明が命がけで書いたのは、『欲望問題』なのだ。欲の向くまま気の向 [...]
松江哲明[映画監督]●「欲望肯定」
「この本はパンクロック」と伏見さんは書いてるけど、僕も読んでいる間はそんなジャンル分けというかカテゴリーが気になって、思想書というのが一番しっくり来るのだとは思うが、こんなに「(笑い)」が多い(いや、実はそんなに多くは [...]
岩井志麻子[作家]●ぼっけえ驚いたわ
封筒開けて本を取り出して、添えられた依頼書を見て。ぼっけえ驚いたわ。
驚き、その1。……とにかく、つまらん! いやー、クソおもしろうない。
こんなつまらん本、久しぶりに読まされたわ。わしがいったい、どんな悪いことをしたと [...]