松沢呉一●macskaさんのブログへの反論[更新]

編集部から●本コーナーの2月3日にアップした松沢呉一さん書評原稿「欲望のためのジェンダーレス教育を!」に対して、macska dot org[http://macska.org/]のブログで批判がなされました。本コーナーでは、その批判に対する松沢呉一さんの反論を公開していきます。適宜、追加していきますので、どうぞお見逃しなく!


では、macskaさんの批判に対する反論なり弁明なりをやっていきます。

ネットの文章なので、その必要があると思えば、修正箇所をわかるよう、適宜原文に訂正、改訂、補足を加えていきます。

一度にすべてを論じると混乱しそうなんので、ひとつひとついきます。

まず言葉の定義です。

macskaさんの引用した定義。

————————————————————–

A.よくある誤解だけど、ジェンダーフリーは、性差を全部なくすこと(ジェンダーレス)とは違います。ジェンダーフリーは、社会におけるジェンダーによる偏見やバイアスを減らしていこうというもの(参照)。 ジェンダーを全部なくすのではなく、バイアスや偏見をなくすためだからこそ、男性の育児休暇への配慮や男性の労働時間の縮減、女性の生理休暇や産休なども含まれるわけで。

————————————————————–

公教育の範囲において、私は【ジェンダーを全部なくす】ことを主張してます。すでに書いたように、どこまで可能かという問題はあるにしても、それを目指すべきと考えてます。

社会におけるジェンダーによる偏見やバイアスを減らすものであることを個別に立証する必要はなく、検討する必要もなく、ただひたすら教育の場ではなくせばいいと言っている。

だから、私の主張は「ジェンダーレス教育」だとしているわけです。定義通りに解釈しているだけだと思いますが、いかがでしょうか。

 
 

[3月1日 追記 macskaさんのコメントへの返信]

体調を崩して寝込んでしまい、返事が遅くなりました。すいません。

ジェンダーフリー論争のざっくりとした流れは『欲望問題』で読んでましたが、おかげで正確な経緯が理解できました。ありがとうございました。

ところが、いよいよわからなくなったところがあって、「ジェンダーレスとジェンダーフリーの区別は可能なのか」「その区別に意味があるのか」という『欲望問題』で提示されているテーマに行き着かざるを得ず、一から出直して、まずは『バックラッシュ!』を読んでみます。

それから改めて書きます。

このエントリへの反応

  1. コメントどうもです。

    松沢さんの議論は、「ジェンダーレス」という言葉が指すところの「性差をなくすこと」の意味を取り違えています。松沢さんは「性差をなくす」というのを「生徒の性別によって区別したり扱いを変えない」という意味に解釈していますが、そういう意味ではありません。そしてそれは、どういう経緯で「ジェンダーフリー」とは区別された概念として「ジェンダーレス」が導入され、「ジェンダーフリーはジェンダーレスとは違う」という言い方がされるようになったのかという歴史を見ればすぐに分かることです。

    いいですか、ジェンダーフリー論者が「ジェンダーレスとは違う」という時、その「ジェンダーレス」は、生徒たちのアイデンティティや生き方としてのジェンダーの在り方を積極的に否定し、抹消するような教育をする、という意味です。男らしい男や女らしい女がいたら、それはけしからん、とやめさせることをジェンダーレスと呼び、ジェンダーフリーはそういうモノではありませんよ、と言ってきたわけです。

    松沢さんは「ジェンダーを全部なくすことを主張している」と言いますが、例えば「自分は男としてこうありたい」と思っている生徒がいたとして、そうした考えを消し去ることを目的とするような教育(通常の定義によるところのジェンダーレス教育)をするべきだと考えているわけではありませんよね。「生徒を性別によって区別したり違った扱いをしたりしない」という意味で「性差をなくす」と言っているのだと思います。松沢さんが支持されているのは、一般的な定義によるとジェンダーレスではなく、ジェンダーフリー論です。

    ジェンダーレスという言葉自体、ジェンダーフリーについてのよくある誤解をジェンダーフリーから区別し、「これはジェンダーフリーではなくジェンダーレスだ」と言うために作り出されたものですから、あとから「ジェンダーレス」という言葉を「ジェンダーフリー」の意味にすり替えて使用するのは激しく不毛です。わたしはジェンダーフリー論に全面賛成するわけではないですが(だから松沢さんのポジションにも批判があります)、これ以上議論がこんがらがるのも困るので、ホントなんとかしてくださいよ。

    (来週水曜日まで出張です。お返事をいただいてもすぐには反応できませんのでご了承ください。)