2006-04-29
オカマお遍路
ただ今、お遍路やってます。といっても、これは今回のQJrにおける個人的な制作コンセプト。前回は10万円弱くらいがなんとか自分のギャラになったのだけど、vol.2ではそれすらも見込めないので、ならば中途半端にビジネス行為と受け止めず、すべて制作費につぎ込んで、ある種の「宗教行為」と位置づけて(笑)遂行しようと決心したわけです。
で、いつものように対談、座談のたぐいを自分でやってるのは当然のことながら、特集のインタビューも全部担当している次第です。最低15人の「普通」のゲイにお話しを伺おうと考えていて、すでに8人への取材を終了。お一人一人、けっこう詳細に語ってもらっています。いつもアンケートをやっても、痒いところに手が届かない感じになるので、小倉康嗣さんの博士論文の真似にもならないのだけど、質的調査っぽいものにしよう、と。
にしても、社会人として真面目に生きている人たちの話しを訊くのは、本当に勉強になります。人生破綻者(←パチンコ依存症)でリブ狂い(←人非人)の自分にできるのは、そういう生活者に参考にしてもらえるような情報提供をすることしかないのだ、と実感します。ぜひとも誌面をご期待ください。
そして今日も、テレコ片手に巡礼の旅に出るのです……

二日連続でほぼ同い年の高名な表現者にお目にかかった。一人はゲイ&SM漫画の大御所、『嬲(なぶ)り者』『銀の華』などの作品で知られる田亀源五郎さん(ゲイ・エロティック・アーティスト)。もう一人は、『〈民主〉と〈愛国〉』で学会、出版界で大きな成功を収め、先頃パン!セに書き下ろされた『日本という国』もヒット中の小熊英二さん(慶応大学教員)。
小熊さんとは、パン!セ関係の会食でお目にかかった。その席にはデザイナーの祖父江慎さん、冒険家の石川直樹さん、イラストレーターの100% ORANGEさんという超個性的な方々がおられたのだが、小熊さんも彼らに勝るとも劣らない独特の魅力があった。伏見も、これが『〈民主〉と〈愛国〉』かあー!と感動&光栄に浸ってしまった。
前にこの日記でご紹介した『いま生きているという冒険』(理論社/よりみちパン!セ)を上梓された冒険家の石川直樹さんが、伏見の本の感想をサイトで書いてくださった。感動のあまり危うく破水しかける(←尿漏れ?)。
「尊敬しているゲイは?」と問われたら、今なら間違いなくゲイバー、
意味もなく
う”ーう”ー。
「クィア・ジャパン vol.5—夢見る老後!」でお世話になった社会学者の小倉康嗣さんに、博士論文(「高齢化社会と人間生成ー現代中年のライフストーリー調査にみるエイジング」)を製本したものをいただいた。電話帳くらいの厚さがある労作で、研究者にとって博士論文がいかに重要な仕事なのかがその重みからも伝わってきた。むろん、素人の伏見にはそこで展開されている議論について論評することなどできないのだが、研究者が人生を賭けて記したものであることは、行間からひしひしと感じ取れた。
先週からQJrの取材で毎日でいろんなところへ出向いているのだが、会う人ごとに体型について指摘される。待ち合わせ場所に立っていると、近づいて来るなり、「そんなにでかかったっけ?」と目を丸くした人もいれば、並んで歩いていて「2割増しになりましたね」とため息をもらした人もいる。振り向きざまに「山が動いた」と絶句した編集者もいる。あるゲイバーのママには腹部を10秒間だまって見つめられ(←同情)、別のゲイバーのママには「置物みたいですね!」とキラキラした目で言われた(←マニア)。
伏見が近年出会った人物の中でピカイチに印象深かったのが、この本の著者の石川直樹さんである。
映画『ブロークバック・マウンテン』に関しては、多くは語らず、いらだつので他人の批評は極力読まないようにしている。自分の心の聖域に確保しておきたい気分の作品なのだ。
斎藤綾子さんが新刊『ハッスル、ハッスル、大フィーバー!!』を発表した。その名の通り、パチンコ小説である。もうパチンコ依存症にはたまらない作品だ。帯の言葉を借りると、「セックスも男遊びもテキトーにこなし、執筆もパチンコほど熱中できない独身小説家が、ある日突然にとり憑かれた”死後の不安”。負け犬ポルノ作家(37)、ついに自分の墓を買う」。
他人ごととは思えないタイトルの本である。
パチンコで数時間にン万円すってもまったく平気なくせに、他のものにはほとんどお金を使わない伏見である。パチンコに印税丸ごと持っていかれて余裕がないのもあるが、そもそも消費という行為に興味がわかない。物欲はほとんどなし。その上、服飾品を買いに行くのが何より嫌い、ときてる。だって、なかなか合うサイズがないし、似合う(と思える)ものを見つけるのがとにかく至難の業。試着室は恐怖の空間で、あそこの鏡を見ることくらいつらい瞬間はない。それで服は必要最小限しか持っていない。
先週は人の生死について考えさせられる一週間だった。知人が相次いで亡くなったり、大病をしている恩人をお見舞いしたり、海外で働いていた親友が、あわや半身不随かといった大けがで成田に搬送されてきたり、なんだか慌ただしかった。
フォトグラファーの早坂ヒロイチ氏(他のお名前でもお仕事なさっていたのですが、伏見とはこのお名前だったので)が急逝されました。早坂氏には、もう十年近く前、ぼくがAERAの「現代の肖像」に取り上げられたときに、数ヶ月にわたって取材していただきました。(若き日の)エスムラルダや肉乃小路ニクヨとの二丁目での撮影、唐十郎氏などとのシンポジウム、名古屋でのゲイたちとの会議などに同行してくださった姿が、いまでも目に浮かびます。
週末は新潟へ行ってまいりました。新潟女性財団主催の講演会で、聴衆はおもに中年のおばさまたち。用意していった講演原稿が少々難しすぎることに途中で気づき、「ジェンダーフリーはなぜ駄目なのか」というテーマから、「なぜ「同性愛者」はいるのに「潮吹き者」がいないのか」といった古いネタに方向転換(笑)。みなさんと楽しい一時を過ごすことができました。講演の後は、しばし新潟日報のインタビューを受けて、ホテルへ。
単行本3冊一挙書き下ろしの反動で、このところパチンコに走っています。っていうか、書き下ろしの最中もストレス解消を言い訳にやっていたわけですが、先週あたりから病的に打っています。おもにエヴァだけど、新宿のエスパスでは水戸黄門で大フィーバー! やっぱオカマの聖地ではコウモン様でしょ(ベタ)。渡辺恒三はごめんだけど。
続けざまに、古くからつき合いのある親友たちにこんなことを言われた。