2006-04-02
いただいたご本『オバサン論』
他人ごととは思えないタイトルの本である。
以前、二丁目で背後から「オバサン!」の呼び声を耳にして瞬時に振り返ってしまった自分は、オバサン・アイデンティティを持っているに違いない(あぁ、アルチュセール……)。昨今では「オカマ!」よりも「オバサン!」のほうにドキッとする四十二歳さ。ここのところ足をくじいて散歩をさぼっていたら、体臭がすぐにオジサンになって、自分でもウンザリしているのだが、気持ちのほうはやっぱオバサンそのもの。
著者の大塚ひかりさんは、源氏物語などを独自の解釈を紹介している古典エッセイストである。伏見はQJ vol.3「魅惑のブス」で、「ブス論」の第一人者としてお招きしたことがあって、そのインタビューも実にコクのあるものだった(『性という[饗宴]』収録)。古典的な知識と、ご本人のこだわりとが絶妙にミックスされた文体は、彼女にしかないもので、本作も最初から怨念全開でとばしている(笑)。
副題の「オバの復権をめざして」に共感する全国のオバサン諸君、この本に結集せよ!
●大塚ひかり著『オバサン論』(筑摩書房) 1400円+税