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[2004-02-11(水)] ベルリナーレ(ベルリン国際映画祭)7日目
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いつものように、新鮮な青汁を飲んでから出発。電車の中で優雅に新聞を読んでいましたら、昨日の「Before sunset」の記事が、なんと2箇所に出ていました。とても評価が高いようです。昨日は私の手元に資料がなかったのでわからなかったのですが、9年前にベルリナーレで銀熊賞を受賞した作品の、いわば続編だったのです。受賞作品も、主演は今回の二人。どうりで今回の作品中に、回想シーンが出てきて、やけに若々しい二人が映っていたなぁと思いましたが、それはその時の映画のシーンを使っていたのですね。イーサン・ホークについては、いろいろ現在ゴシップがあって、そのことにも触れていました。奥さんのユマ・サーマンが、浮気をしたイーサンから去って、現在どうやらタランティーノ監督と一緒らしいとか、そういうプライベートと今回の映画がダブるとか・・・。著名な俳優さん達は、いろいろ言われてしまって災難ですね。これも有名税ってことなのでしょうか・・・。やはりいろいろ言われているジュード・ロウ(キッドマンに赤い靴を贈り、奥さんが猛烈に怒ったとか?)も、結局本日2時間だけベルリナーレのフォトコールに登場し、さささっとロンドンに戻ってしまったようですし・・・。何も聞かれたくないのかも・・・・。 今日見た映画に入る前に、まだ引きずっているサイモン・ラトルのことを少し・・・。友人より、こんなメールが届きました。 「サイモン・ラトルも登場なんて・・・音楽祭でもないのに気転の利く人だな〜。アバドに比べると頭もいいしセンスもいい。余談だけど、80年〜90年代に古楽オーケストラが流行って古典派のベートーベンとかモーツアルトが生き生きと蘇った。ラトルはその次の世代で、古楽の奏法やアーティキュレーションを逆に現代オケに応用した人。だから音楽が変に重くならなくて快活でフレッシュ。もともとティンパニー奏者のせいもあるのかな。 ・・・そうか〜〜〜!!! あ〜〜〜やっぱり見たかった(聞きたかった!)当日券が取れるかどうか、ちょっとトライしてみようかな、と思っています。なにせ、「春の祭典」だけの演奏ですから、本当に短いのです。なんとか確保したいものです。 それから、今日はいろいろな人に会いました。まず、大久保+森山さんご夫妻。 もうひとつ。大久保さんと森山さんご夫妻(映画評論家)と、少しお話させていただいたのですが、その時ヴェンダース監督の話になり、ドゥールーズ著「映画1、2」の本のことに触れました。この幻の名著は、ドゥールーズの映画理論書のようなものらしく、かよちゃんもドイツの大学で博士論文を書いた時に、大いに参考にした本なのだそうです。この本は、実はあまりに難しいため、原書であるフランス語から日本語に翻訳が難しく、随分前に出版されているのにも関わらず、今だ日本語訳が出ていないのだそう。かよちゃんは、ドイツ語で読んだのだそうですが、本当に難しいと言っていました。その本を、ヴェンダース監督は、学生に読ませようとしているようです。ヴェンダースは、昨年の後半より、ハンブルクの芸術大学の教授にも就任しました。そこでは、主に映像(映画や写真等)についての講義をしているようなのですが、そこでテキストとして使われているのが、このドゥールーズの名著なのだそうです。す、すごい〜〜!! これは、学生じゃなくても、どんな解釈をヴェンダースがするのか、どのようにテキストを使って講義しているのか、私も大学に聴講生として聞きに行ってみたくなりました。 ということで、今日の1本目。「Maria,llena eres de gracia」(Joshua Marston監督)アメリカ・コロンビア合作。ボゴタの小さな町で、バラ園の出荷工場で働く17歳のマリア。自分の中にくすぶっている、もやもやしたものを吐き出したくて、仕事を突然辞め、ボーイフレンドとも疎遠になり、別の男性の勧めで、割りの良い仕事をすることになります。村を出て、町で暮らしたいマリア。同じように、親友のブランカも考えていました。マリアのお腹には、前のBFの子供が宿っています。心が定まらないマリア。そして、マリアとブランカが就いた新しい仕事は、なんと麻薬の密輸(運びや)だったのです。繭のようにした麻薬を、どんどんと胃腸に流し込み、そのまま飛行機に乗ってNYのバイヤーに渡すのです。慣れないマリアは、辛いながらも懸命に仕事を成功させようとするのですが・・・・。
コンペ2本目に行く前に、大久保さんと森山さんを誘って、イン・アーがプロデュースした作品、「Best of Wurst」(Grace Lee監督)を見ました。20分程度のデジタル映像で、見ていたらあっという間に終わってしまった感じですが、なかなかベルリンのいろんな雰囲気を捉えていて、好感が持てました。ベルリンの風景は、早回しで表現したり、テンポもあって映像は悪くなかったです。カレーソーセージは、ベルリンで生まれた名物。だから、このカレーソーセージにスポットを当て、さまざまな人にインタビューをしているという、ベルリンのドキュメンタリーに仕上がっていました。インビスでソーセージを食べている人々を中心にして、他にはベルリンの有名な高級レストラン「Vau」のオーナー・シュフにもインタビューをしていました。ひとつだけ残念だったのは、つよ子と私がお気に入りの店、有機栽培のじゃがいもや、安全な肉を使用した、ミラーボールが目印のゲイ+レズビアン経営のインビスが映像に入っていなかったこと!! きっと素敵なメッセージがもらえたにな、と思いました〜〜!! 残念〜〜〜!! そして2本目。「Die Nacht singt ihre Lieder」(Romuald Karmakar監督)ドイツの作品です。主人公に名前がない。若い夫と若い妻。そして乳飲み子。夫は作家なのですが、出版できない状態になっていて、不毛な日々をソファに横になって本を読みながら過ごす状態。妻はそれを空しく感じ、吐き出せないエネルギーの持って行き場を見つけられず、夫を挑発し続けます。さまざまなやり取りが続き、妻のアフェアの相手も出てきて、コメディ風なのか何なのか、わからないままクライマックスを向かえるのですが・・・・。終わり方は、決して笑えません。この監督は、インディペンデントで有名になったようなのですが、いろいろ注目度もあるようで(とはいっても、生粋のドイツ人として注目されているのではなく、彼の両親はフランス+ペルシャ)、最初から少し拍手がわきましたが、それはそれ、ドイツ人特有の、新国粋主義的盛り上がり方で、なんだかわざとらしい笑いが途中で起こるのです。「ほら、この映画はこんなに面白いよ」と言わんばかりの笑い方。なんだか・・・・私は白けて笑えませんでしたし、途中でつまらなくなって寝てしまって、森山さんに起こされました。だって、俳優も魅力的じゃないし、なによりドイツ語の発音や言葉の流れが美しくなかった。聞いていて不快感ばかりが募って、本当にやるせない気持ちになってきたのでした。最後もドイツ人ジャーナリストの、思いっきり力を込めた拍手がありましたが・・・私にはあまり響いて来ない作品でしたね。 そして今日最後の作品、コンペの3本目。「The final cut」(Omar Naim監督)。アメリカの作品で、主演はロビー・ウィリアムスです。アレン(ウィリアムス)は、"Zoe-Implantat"システムの最も優秀なカッター。このシステムは、人間がこの世に生まれた時に、あるチップを脳内に入れることで、その人間の目を通して一生を記録できるというもの。 さて、つよ子から電話があり、3本見る予定だったのが、急にばたばたと仕事が入り、すぐに取材をしなければならなくなったとのこと。やっと1本は見たそうなのですが、その原稿を書いている暇がない! ということで、皆様少々お待ちくださいね!! 今日はお休みです。でも、体調が悪い訳ではないので、大丈夫です!! (彼も青汁飲んでいます・・・)そんな訳で、残りのベルリナーレに、つよ子はあまり参加できないかもしれません・・・。 一応、明日彼のために、私は1本目の映画を見た後、チケットセンターに行って、これまた評判のベルリナーレ・スペシャル枠の作品「Rhythm is it!」(Thomas Grube監督)のチケットを入手するために行列に並ぼうと思っています!! 並ぶからにゲットしたいです〜〜!! 明日はいよいよ、テオ・アンゲロプロス監督の登場!! 170分の映画っていったい・・・。居眠りだけはしないようにしないと!! (2時間50分の作品! 体力がもつかなぁ) |
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