ベルリン映画祭現地レポート スタジオ・ポット

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[2003-2-15(土)]

ベルリンでの「対イラク戦争反対」デモ
青木淑子
ambient@kt.rim.or.jp

 

 

 

 

 

 

 

2月15日、バレンタイン・デーの翌日、世界は「対イラク戦争反対」をデモで訴えた。ここベルリンでも例外ではなかった。新聞によると、世界中でおよそ1000万人が参加し、イギリスでも史上最大規模の200万人が参加したとか。日本は5千人だったと聞いて、少々驚きを隠せなかったけれども、ベルリンでは50万人が参加したそうだ。

とても寒い1日だった。少しでも外に留まっていると、耳も凍りつきそうなくらいキーンと冷え、つらくて立っていられないほど。体感温度はマイナス5度以上はあったと思う。15日の昼ごろ、私たちはクーダムにいた。五賀さんにベルリン名物「カレーソーセージ」を食べてもらうため、ベルリンで最も美味しいインビスに行ったのだった。そんな気持ちがなければ、おそらく私は外で食べなかっただろう、と思うほど、めちゃくちゃ寒かったのだ!

なのに、多くのドイツ人が、子供連れでひっきりなしに買いに来る。恐るべし!ドイツ人! と驚嘆し、しばらくウォッチングしていたら、バギーをひいた若いお母さんやお父さん達が、なにやらプラカードを脇にかかえている。読むと「イラク攻撃反対!」などと書かれている。皆デモに参加するために、クーダムに集まっていたのだ。

ベルリナーレの会場でも、数日前にビラが配られた。「対イラク戦争にナイン!」(ノーの意味)と書かれていて、2月15日、12時よりアレキサンダー広場に集合とある。デモの時間は1時から2時まで。2時から4時までに、「レパブリック広場(ライヒスタークという、国会議事堂のそば)か、ブランデンブルク門が最終地点。詳しくはwww.15februar.deで読める、と書かれている。私たちは、旧西地区のメインストリートでデモ参加者に会ったので、つまりはそのビラの場所以外でもいろんな場所で同時多発的に行われたようだ。

映画祭に参加している私たちは、デモには行けなかったけれども、心はデモの人々と同じだったと言いたい。新聞によると、今回の映画祭はもちろん失敗をしたとは言えないけれども、映画祭にやって来たアメリカの監督や俳優が反戦を訴えたりし、その中の数人はベルリンのテレビ番組でも反戦を語ったようである。世の中がイラク戦争という、大きな世界的問題で揺れている時期なので、ベルリンの市民は映画祭に集中できず、映画とテレビを行ったり来たりしていた、と書かれていた。

私も五賀さんと同じく見逃してしまった、金熊賞のウィンターボトム監督作品「In this World」は、戦争について観客に考えてもらう、感じてもらうという意味でも、受賞にふさわしかったのだと思った。早く映画館で見たいものである。 

[2003-2-15(土)]

結果発表!
五賀雅子
ambient@kt.rim.or.jp

森山京子さん、大久保賢一さん
ベルリナーレ名物(?)の、日本を代表する映画評論家のご夫妻。
お二人の呼吸はぴったり! お話もとっても楽しかったです! ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

速報!(もう日本の新聞に出てる?)
こちらでは、午後2時の記者会見で受賞作の発表があった。セレブが集まる華やかな授賞式は夜に行われる(入れるのは1部プレスのみ)。

コンペティション部門の主だった受賞作を紹介すると……。
☆金熊賞(最高賞)/『IN THIS WORLD』(マイケル・ウィンターボトム監督)なんて、おマヌケな私。昨日、青木さんが危惧したことが真実になってしまうとは…。コンペティションの22作品中、見逃したのはたった1本だけだったのに、よりにもよってその1本が金熊賞を受賞するなんて! お気楽ライターの私らしいオチがついてしまった。内容については、資料を調べて明日報告します。 

☆銀熊賞(審査員特別賞)/『アダプテーション』(スパイク・ジョーンズ監督)
8日のレポートを見てね!

☆銀熊賞(監督賞)/パトリス・シェロー監督(『SON FRERE(HIS BROTHER)』
11日のレポートを見てね!

☆銀熊賞(最優秀女優賞)/メリル・ストリープ、ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア(『THE HOURS』)
9日のレポートを見てね!

☆銀熊賞(最優秀男優賞)/サム・ロックウェル(『コンフェッション』)
10日のレポートを見てね!
☆銀熊賞(芸術貢献賞?)/Li Yang(『MANG JING(BLIND SHAFT)』
12日のレポートを見てね!

☆AGICOA’s賞(ベスト・ヨーロッパ・フィルム)/『GOOD BYE,LENIN!』(ウォルフガング・ベッカー監督)
9日のレポートを見てね!

☆アルフレッド・バウワー賞/『YING XIONG(HERO)』(チャン・イーモウ監督)
7日のレポートを見てね!

〜ゲイ&レズビアンを題材としたベストフィルムに与えられる〜
☆テディ賞/パノラマ部門の『MIL NUBES DE PAZ CERCAN EL CIELO,AMOR,JAMAS ACABARAS DE SER AMOR(A THOUSAND PEACE CLOUDS ENCIRCLE THE SKY,LOVE,YOU WILL NEVER STOP BEING LOVE)』

めちゃめちゃ長いタイトルで打つの大変だったわー。メキシコ映画のようだが、内容は資料を見て明日報告します。
昨年は、金熊賞の『千と千尋の神隠し』をはじめ、『リリイ・シュシュのすべて』と『アレクセイの泉』も賞をもらうなど、日本映画の健闘が目立った。今年は、『たそがれ清兵衛』ほか、阪本順治監督の『ぼくんち』や中田秀夫監督の『ラストシーン』、さぶ監督の『幸福の鐘』、またこのレポートでも紹介した『ボーダーライン』や『味』など多数が出品された。青木さんのドイツ新聞リサーチでは、『たそがれ清兵衛』や『ボーダーライン』など、新聞で取り上げられたりもして、決して評判は悪くなかったのだけど…、結局、さぶ監督の『幸福の鐘』がNETPAC賞というのをとっただけ。NETPACが何かって? それは聞かないで! 私もよくわからない。金熊賞、銀熊賞以外にも実にいろんな賞があるんです。

さて、今日は、毎年ベルリン映画祭を取材している有名な映画評論家ご夫妻と夕食をご一緒した! だんなさまは大久保賢一さん、おくさまは森山京子さん。多数の雑誌に映画評などを書いていて、私もよく記事を読んでるがお目にかかるのは初めて。青木さんが以前からご縁があるということで、私もご一緒させてもらったのだ。感激! おふたりはカンヌにも行ってるし、とんぼ返りでシュワちゃんなどハリウッドスターのインタビューをこなすことも多いそう。日本料理を食べながら、いろんなお話が聞けて楽しかったー。写真撮って、サイトに載せてもいいですか?と聞いたら、快く承諾してくださったので紹介します。今度映画記事を読む時は、誰が書いているか
気をつけて見てみてね。
なお、お二人の「マイ・ベスト」コンペ作品は:
*森山京子さん→「25時「アワーズ」」が良かったと思う。
*大久保賢一さん→「In this World」が金熊賞で僕はOK!
・・・というお答えでした。

映画祭もあと1日を残すのみ。受賞作が決まったのになぜ明日が最終日か? 私も不思議なんだけど、エントリー作品の上映は1回だけじゃなくて、コンペで3、4回、パノラマやフォーラムでも2、3回ある。なので、300近くある出品作の第1回目上映は15日までにすべて終わったのだけど、2回目、3回目がまだ済んでない映画があって、それらがすべて終了するのが明日というわけ。なので私は、明日もポツダム広場へ行く!
(今日観た映画については明日まとめて報告の予定。今日までの鑑賞本数35本。ショートフィルム7本を観たので、一挙に増えたー! 目標の40本まであとちょっと。でもこれって、セコイ手?)

P.S NETPAC(ネットパック)賞というのは、アジア映画の振興のために設けられた賞で、「幸福の鐘」(SABU監督)が選ばれました。  

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