ベルリン映画祭現地レポート スタジオ・ポット

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[2004-02-05(木)]

ベルリナーレ(ベルリン国際映画祭)初日


text: 青木淑子&荒井剛
aoki@pot.co.jp

プログラムなど

街の様子

ノベルティのバッグ

ノベルティのミネラルウォーター

ポツダム広場・ソニーセンター

 

12時、つよしくんと私は、1年ぶりのベルリナーレにやって来ました。まず、プレスパスを入手。前日から事務所がオープンしていたためか、待たずにゲット。その後、12時15分に、下のロビー(ハイアット)で、タレントキャンパスに参加する日本人アーティストの畑中正人さんご夫妻にお会いしました。30分が待ち合わせだったのに、すでに奥様が私達を待っていてくださって、大感激! なのに私ったら、とんでもないドジをしてしまったのです!
昨日は、重要な会合があったので、1日中忙しくしていて、ベルリナーレのプログラムも手に入れていなかったため、5日の何時からプレス上映が始まるのかわからず、1時過ぎだろうと勝手に予想して、畑中さんと待ち合わせたのでした。ところが、初日オープニングを飾る作品「Cold Mountain」(Anthony Minghella監督)のプレス上映が、なんと12時半からだと知り、大パニック! 畑中夫妻にお詫びし、別の日に取材させていただくことにしました。畑中夫妻はお若く、優しく、あったかーーい印象のご夫妻で、快く許してくれました! ありがとうございます! なんと! 去年のベルリナーレのレポートに私が書いた、タレントキャンパスの情報を読んで、今回応募したのだそう!! そして、見事に選ばれたのです!! こういうことを聞くと、本当にライターをしていてハッピーだって思うものです。草の根文化交流!!

ということで、今日私達が見た映画:

「Cold Mountain」より

1)上記の、コンペのオープニングを飾る作品、「Cold Mountain」(AnthonyMinghella監督)。
Jude Law, Nicole Kidman, Renee Zellwegerという豪華俳優陣による、戦争と愛などをテーマにした作品。19世紀北アメリカの60年代を描いたこの作品。う〜〜ん、一緒に見たつよしくんと私は、「今さらこういうのを見るってのも・・・・・。」と、少々つらい思い。そもそも、ベルリナーレは、戦争ものが多く、でも新しいベルリナーレを目指して、新しいディレクターが就任したはず。なのに、またまたオープニングが戦争に関係する作品。
違うアプローチを期待してしまうのは、私だけでしょうか?
でも、ジュード・ロウの魅力はたっぷり堪能できる作品ではありますが・・・。もう一人、一緒に見たのは、私達の友人で、天下のフンボルト大学で日本映画を学生に教えている、足立加代さん。かよちゃんは、最近草思社より、「私はヒトラーの秘書だった」(2000円)の翻訳をお友達と二人で手がけ、出版したばかり。ノリに乗ってる彼女の感想は、「セルヴェガーが登場して、彼女の演技がうますぎて、全体が演劇のようになってしまい、バランスを崩した」とのこと。
確かに彼女が登場して、何だか作品の雰囲気が違ってきて、???という感じがしましたね。私個人は、彼女はアクが強すぎる女優かなって思うのだけれど。

 

 

 

 

「Walk on Water」より

2)その後、夜の9時から始まった、パノラマ部門のオープニング作品「Walk on Water」(Eytan Fox監督)。イスラエルとベルリンを結ぶ物語。政治的な背景と、人間の感情が微妙にからみあった、中庸の道をさぐる作品(だと思ったのですが・・。途中で疲れて寝てしまったので、間違っているかも・・・)。ローバジェットでも、良い作品は作れると思うのだけれども、何か監督に覚悟が足りないような、ちょっと中途半端な印象がありました。表現しようとすることは、とても深くてテーマも興味深いけれども、あまり入り込めない感じだったのは残念!!

・・・という具合に始まりました! 10日間、400本の映画が上映されるベルリナーレ。
シルベスター・スタローンやジャック・ニコルソンが、ゴールデン・カメラ賞を受賞して、華やかに新聞のトップを飾っていました。(ニコルソンなど、ドイツのスーパーモデル、クラウディア・シファーのキスを受けている恍惚な顔が掲載されていた!)これからどんなセレブがやってくるのでしょうか? みなさま、どうぞお楽しみに! (あ、でも私は、体力が続かないので、たぶん記者会見には行かないと思いますが・・・ごめんなさい!パワーが残っていたら、行ってみますね!)

・・・・それで! 今日は初日スペシャル! つよしくんの登場はなかったけれど、つよこが登場します!! ではどうぞ、つよこさん〜!


グ〜テンタ〜ク。つよこ・フォン・ブランデンブルクでぇ〜す。うふふふ、いきなりつよこの登場でびっくりしたかしら?元々は荒井剛の予定だったんだけど、今日ベルリナーレの初日にいってきたら、こけら落としの映画がとってもひどかったんで、ハイドがジキルへと人格移動するがごとく、赤ら顔で怒りの征伐を下す大魔人へと変身するがごとく、毒舌のドラッククイーンつよこがどろどろどろ〜って出てきてしまったという訳。一度出てしまったつよこ様(の暴走)は、親友の淑子さんでも「もうどうにも止められない」。今回の「淑子&つよし」のベルリナーレ速報、は「淑子&つよ子」に改題してお送りいたしま〜す。どうぞよろしく〜♥

で、冒頭にも触れたこけら落としの「Cold Mountain」。正直いってぱっとしない作品よね〜、これ。なんでこんな映画館出たら忘却のかなたに沈んでしまうタイプの映画をオープニングに持って来るのかしらん?ミンゲラは96年に「The EnglishPatient」で最優秀「金熊賞」を受賞してるんだけど、そういう訳?(印象に残っているといえば、「ブリジット・ジョーンズの日記」でまるまると太り、もしかして作品によって外見を変えてしまう女デニーロか?と一瞬思わせたレネ・ゼルヴェガーの口曲がり演技。)
内容は、言ってしまえば、ハリウッドきっての美男美女ニコール・キッドマンとジュード・ロー、による西部劇版ロミオ&ジュリエットなんだけど、なんでミンゲラはこんな古いテーマを今ここで作るのかしらん?制作意図は最後までつかめず。
ニコール・キッドマンが不幸に落ちていくシーンは、思わずラース・フォン・トリアの「ドッグヴィル」のグレースを思い出させ、ハラハラ感が高まってしまう。ニコール・キッドマンが「いじめられ上手な女役のプロ」であることを証明したという意味においてこの映画の存在価値はあるかもしれないわねぇ。(言いたい放題)

パノラマ部門のオープニング作品は、2002年の「Yossi & Jagger」で、内容はないが主人公の男の子の可愛さでベルリンのゲイのハートをがっしり掴んだイスラエル人の監督Eytan Foxの「Walk on Water」。これはね〜、ミンゲラの後だっただけにローバジェットな完成度の低さがやけに目立ってしまった。イスラエルとドイツ間の過去、ナチ問題に、ちょっぴりゲイの社会問題をからめたストーリーでやっぱり前作と同様、プロットは甘く、内容は子供騙し。ただユーモアのセンスが観客には異常にうけてて、監督も来てたけど上映前からすっごく盛り上がってた。(会場は満員で、プレス用スクリーニングが急遽もうけられたほど!)こういうノリっていうのはパノラマならでは。会場には、毎年常連のジャーナリストの顔もちらほらし、「また、ベルリナーレがはじまったのねぇ〜」としみじみした初日の夜だった。
ちなみに、ベルリンを代表するドラッククイーン、ビギー・ファン・ブロンドも(ネオナチに襲われる薄っぺら〜いドラッグクイーンの役として)出演。まぁ、わたくしの前では、彼女も大人しくしているけどね。オ〜ッホッホホホホホ…

ビギーのサイト→
<http://www.biggyvanblond.de/>

ここで、つよこのベルリナーレ講座その1(その2があるかどうかは不明)

ベルリナーレの部門
●コンペティション(ハリウッド中心の大作もの)
●パノラマ(マイノリティーがテーマだったり、ベルリンの観客を意識した作品)
●フォーラム(若い監督の作品)
●ニュー・ジャーマンシネマ(その名のとおり新しいドイツの映画)
●レトロスペクティブ(昔の映画)
●ショートフィルム(短編映画)
●子供映画
●タレントキャンパス(これについては淑子さんが書いているはず)

スターが来て赤い絨毯の上をカメラのフラッシュ浴びて歩いたりするのがコンペ。これは淑子さんがやるとして、わたくしはひたすらマイノリティーものを扱うパノラマを中心に見る予定。

そうそう、ベルリン映画祭では、平行してゲイ&レズビアン映画祭が開催されます。特別な枠があるわけではなくて、映画祭の出展作品(主にパノラマやフォーラム)でゲイ&レズビアンのテーマをあつかったものが対象になるという世界でも異例の開かれたイベント。こちらについては以下のHPを開けてみてね〜

http://www.teddyaward.org/


今回は、54回目のベルリン国際映画祭。コンペティションが一応、世界から見れば最も華のある、メインの催しなのですが、ベルリン子からすれば、「コンペはあまり面白い作品がなく、個性が光るパノラマやフォーラム部門が」お気に入り。

でも、とにかく私はコンペをメインに見る役目ですので、とりあえずちょこっとコンペの情報を:今回は23作品がノミネートされたのですが、ベルチナーレは日本作品が比較的多く紹介される、という言われているのに、今回は残念ながら日本作品のノミネートはゼロ。関係者によると、その水準にいたる作品があまりなかったとか、予定されていた作品がまだ完成できず、カンヌに持っていかれてしまったとか、いろんな噂が飛び交っています。でも、それはともかく、日本作品がノミネートされなかったのは、ちょっとさびしいですね・・・。
私個人は、コンペではテオ・アンゲロプロス監督、エリック・ロメール監督、パトリス・ルコント監督あたりが気になる! 特にエリック・ロメールは、好きな作品が多いので、かなり楽しみにしているのです!!

そして6日は、コンペ以外で、もしも体力が残っていたら、日本の作品を見る予定。
それは、パノラマ部門で紹介されている「赤目四十八瀧心中未遂」(荒戸源次郎監督)や「きょうのできごと」(行定勲監督)です。ということで、ベルリナーレ・レポート、どうぞ続きをお楽しみに!!
PS:つよこも燃えておりますので・・・・(ど、どうなるんだろうか!!???)

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