ベルリン映画祭現地レポート スタジオ・ポット

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[2003-2-8(土)]

総合ディレクター・コスリック氏によるマイナス面も

青木淑子
ambient@kt.rim.or.jp

映画祭の総合ディレクターコスリック氏

プレスセンターの掲示板

 

前に、映画祭の総合ディレクターである、コスリック氏の手腕について書いたが、良い部分の方が目立っていて、ビビッドな雰囲気になっているのは本当に嬉しい。でも悪い面もあるように思う。それは、今までコンペ作品は、アメリカ映画が多かったものの、東ヨーロッパの作品も数多く上映されていて、そこがベルリン国際映画祭の特色(戦争映画が多いということも含めて)の一つだったように思うのだけれど、今回はほとんど東ヨーロッパの作品はエントリーされてなく、アメリカ映画が今まで以上に目立っている点だ。

映画祭は、純粋に新しい映画を紹介するというだけではない。パノラマ、フォーラムなどには、珠玉の作品が目立ち、さすがベルリン! という個性あふれるセレクトで、今回も東ヨーロッパだけでなく、世界中のフレッシュな作品を集めて光っているが、コンペ部門は、記者会見でスターや監督が語り、その後すぐにベルリンの映画館でロードショーとなる場合が多く、かなりの割合でアメリカ作品が紹介される。お祭りという感覚よりも、プロモーションという名の下に展開される映画祭の風景・・・・。きれい事だけで語れない、映画祭の別の側面でもある。

私は、ハリウッド映画よりもヨーロッパや日本+アジアの映画が好きなので、コンペにももっと世界中の映画が紹介されたらいいのに、と心から思う。ベルリンという場所は、東ヨーロッパの入り口といわれている。そういう、間口の広さ、懐の深さがベルリンにはある。コスモポリス「ベルリン」ならではの展開に期待したい。そして今後のコスリック氏の動きに注目したい。

もうひとつ、別のお話を。ハイアット・ホテル内にあるプレスセンターには、掲示板が設置されている。そこには、毎日世界中のベルリナーレ関連の報道がコピーで張り出され、自由に読めるようになっている。たぶん、報道したジャーナリストが自主的に映画祭事務局にファックスしているのだと思う。(だから、全ての記事、という訳ではないだろう)これは、さすがにドイツ紙が多いのだが、それでも世界の報道の雰囲気が伝わってくるので興味深い。立ち止まって読むほどの時間は、今の私たちには残念ながらないけれども、そのうち落ち着いてきたらじっくりながめてみたいものだ。

[2003-2-8(土)]

『ソラリス』は高得点!クルーニーのお尻も!

五賀雅子
ambient@kt.rim.or.jp

雪のバス停

『アダプテーション』

『ソラリス』

クルーニー記者会見

『ソラリス』スティーブン・ソダーバーグ監督と、主演女優、クルーニー

朝起きたら一面の雪景色だった。ここベルリンは、寒い時は零下18度くらいまで下がることもあるが、雪が何十センチも降り積もることはない。かえって雪が降るぐらいの日は暖かいと言えるそうだ。
雪が降ったからではないが、今日は最寄り駅から何区間かの電車が工事かなんかで止まっていた。日本の常識では「えー! うそーっ!」とブーイングの嵐になりそうだが、こちらではよくあること。まあ、電車が動いている駅まで、バスで行けるので困ることはなかった。

朝8時40分に映画祭の会場に到着した。昨日説明したコンペティション部門のプレス向け上映は1日に3本ずつ、14日まで毎日ほぼ同じスケジュールで行われる(ベルリナーレ・パラストで朝9時〜と昼12時30分〜。すぐ近くのシネマックスXで16時30分〜)。その合間にハイアット・ホテルで記者会見が行われる。

今日の1本目はイタリア映画『IO NON HO PAURA(I’M NOT SCARED)』。
1978年の夏、南イタリアの小村を舞台にした話。村のかわいいバンビーノ(イタリア語の子どもをさす言葉って超かわいい!)たちの成長物語かと思って見ていたら、主役のミッシェルが穴の中の見慣れぬ少年を見つけたことから思わぬ方向に転がり始める。少年のまっすぐな純粋さが切ない。「蝶の舌」が大ヒットした日本では受けそうな予感。でも、日本公開は今のところ?です。監督はガブリエル・サルバトーレ。

2本目は、「マルコヴィッチの穴」のスパイク・ジョーンズと脚本家チャーリー・カウフマンによる第2作として話題の『アダプテーション』。内容は原作本の脚本化に苦悩した脚本家が現実とフィクションの世界を行ったり来たりするというかなり複雑な構成。ニコラス・ゲイジがハゲ頭で太った脚本家チャーリー・カウフマン+その双子の弟ドナルド(実在しない)を演じて、アメリカでは見事な演技と評判だったらしい。…が、作品的には一般ウケは難しそう。ニコラス・ゲイジの太った姿もかなり中途半端だったのも不満だ(だって、顔は細いし、上半身は筋骨隆々でぶよぶよしてないんだもん)。ただし、会場はかなり笑ってた人もいるので、やはり日本語字幕でもう一回見よっと。ほんと、英語をもっと勉強してれば良かった。日本で1本見る数倍疲れる…。(日本では今年公開の予定)。

さて、3本目はスティーブン・ソダーバーグ監督、ジョージ・クルーニー主演の『ソラリス』。
今は亡きタルコフスキーの「惑星ソラリス」のリメイクだ。こちらの新聞では、ジョージー・クルーニーのお尻が拝めることに絡めた紹介が目立っていた。かくいう私もかなり期待(うふふ)していたが、3本目、しかも動きの少ないセリフ劇の趣きだったので睡魔が! しかーし、勘が働いてヌードシーンの寸前に目ぱっちり! しっかり拝ませていただきました。アメリカでは評判悪かったらしいけど、私的にはかなり高得点(寝てて何だけど。お尻じゃないよ、内容だよ)。80歳を過ぎた原作者のスタニスラフ・レム氏は自分のホームページでリメイク版について「恋愛に重きを置いた内容になっている」などのコメントを発表しているようだ。(日本では6月公開の予定)。

今日は有名スターが多数来日したということで、ミーハーの私は記者会見も前のほうの席をゲット! 生ジョージ・クルーニーは超セクシーだったし、ニコラス・ゲイジの一生懸命話す姿もまた魅力的だった。本物のチャーリー・カウフマンも来てて、彼はちっとも太ってなかったけど、ぼわぼわしたひげが熊みたいな印象。記者会見では珍しく、脚本家に質問が集中してたのも興味深い出来事だったと言える。
(今日までの鑑賞映画数7本)

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