ベルリン映画祭現地レポート スタジオ・ポット

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[2003-2-12(水)]

コン・リーも通った中華料理店「アジアン・パビリオン」
青木淑子
ambient@kt.rim.or.jp

今日は久々にランチのサンドイッチをやめて、二人で外食することにした。ポツダム広場の中には、ほとんど何も美味しいものがない、と書いたけれども、一箇所だけ、すごく美味しいとは言えないかもしれないけれども、私たち日本人+アジア人にとって「助かるわ〜〜!」と駆け込み寺のように利用できる「アジアン・パビリオン」という、インビス系の中華がある。

焼きソバがメインだが、ご飯ものも少しあり、スープやドリンクも安い。3,5ユーロくらいから、豪華なものでも19ユーロくらいまでのメインディッシュが約30種類ほど用意されており、あっという間に料理されて出て来るので、時間のない私たちには丁度よい。私たちが注文したものは、中華味の鳥入りヤキソバと、タイ風えびヤキソバ。二つで14ユーロ!安い〜〜。
ドイツ人はかなり食べるので、量が私たちには多く、食べすぎ状態・・・・。結果、食後の映画はかなり眠くなってしまいます。

数年前、コン・リーがベルリナーレのコンペ部門の審査委員長を務めた時、私も彼女にインタビューをしたのだけれども、とってもきさくで素敵な女性だった。彼女はハイアット・ホテルに泊まっていたんだけど、食事はいつも、このアジアン・パビリオンだったのだとか。(彼女の場合は、テイクアウトで召し上がってたそうです)
わかる! わかるわ〜〜、コン・リー!

[2003-2-12(水)]

●MANG JING
(BLIND SHAFT
●PETITES COUPURES
(SMALL CUTS)
●25TH HOUR
五賀雅子
ambient@kt.rim.or.jp

駅のホームに設置されている切符の自動販売機

切符を買ったら、日付の機械に切符を差し込んで「チン」

 

 

 

 

今日でベルリン8日目。5日に買った電車・バス乗り放題のチケットが期限切れになったので、今日また駅で買わなければならなかった。券売機は駅のホームに置いてある。しかし、この1週間で一度も検札部隊と遭遇したことはない。こないだ買ったチケットも初日に日付を打刻したきり、ずっとバッグに入ったまま。一度も取り出したことがないから、「このままチケットなくても大丈夫じゃん」なんて思いもあったけど、根がまじめだからねー。ちゃんと買ったエライ私です(エラクないか?)。

ドイツの電車に乗っててびっくりするのは、犬連れや大きな自転車持参の人が何食わぬ顔で乗り込んでくること。日本だったら、盲導犬以外はかごに入れなくちゃダメだし、自転車なんか言語道断。まあ、青木さんに聞いたら、ベルリンは日本みたいな通勤ラッシュがないということで、それも可能みたい。(それに犬も自転車も小額だけれども切符を買う必要があるそう。)確かに、毎日8時頃の電車に乗ってポツダム広場に向うとき、座れなかったことは一度もないからね。これぞ異文化!

さて、今日は映画の話にいく前に青木さんの友人、荒井剛くんから仕入れた情報をひとつ紹介。彼もベルリン在住のジャーナリストで、日本の雑誌「PEN」や「フィガロ・ジャポン」などに書いてるんだけど、聞いたのはベルリン映画祭の賞のひとつ、テディ賞の話だ。

ドイツでは、日本よりもゲイやレズビアンなどマイノリティの人々が暮しやすいそうで、この映画祭にも同性愛を題材にした映画がいっぱい出品されている。それで、このテディ賞というのは、コンペティションやパノラマ、フォーラムなどの枠をとっぱらって、ゲイ&レズビアン関連の映画だけをピックアップし、その中の最高賞に与えられるとのこと。エントリー作品を紹介した小冊子も作られていて、今、手元にあるがざっと見たところ40本近く。今までに紹介したコンペ部門でも『THE HOURS』や昨日のおバカミュージカル映画などもエントリーされていて驚いた。青木さんの話では、14日の夜9時から、授賞式の様子をテレビ放映するらしい。これは絶対観て報告するので、お楽しみにね。

今日の1本目は、Li Yang監督の『MANG JING(BLIND SHAFT)』。冒頭、くらーい画面の中、炭鉱で作業する男たちの様子がドキュメンタリータッチで描写される。いやー、中国の清く正しくまっとうな人々が出てくる岩波ホールでかかるような映画かー、勘弁してよーとマジで思った。昨日4本観た疲れが朝から出てて、半ば「寝よ!」と朦朧とした意識の中で画面を観てたら、いきなり殺人シーンが出てきて目ぱっちり。要するにこれ、清く正しいまっとうな人々じゃなくて、遊ぶための金を得るため人をだまして殺す悪人の話だったのだ。主役は2人の男。殺人シーンのあとは一転してこの男たちが風俗で遊ぶシーンが出てくる。もう女性はおっぱいポロリで、えー、いつから中国映画は裸が良くなったの?と2度びっくり! 途中で中国版えなりかずきが出てきていい味出してるし、シリアスなテーマをほどよく料理して、意外な拾い物という感じだった。資料によると、香港・中国・ドイツの合作映画。

 

 

2本目はダニエル・オートゥイユ、クリスティン・スコット・トーマス主演の『PETITES COUPURES(SMALL CUTS)』。ダニエル・オートゥイユはハンサムじゃないけど、演技がすごいから期待して観てたものの、私の中では大コケ。妻がいるのに若い女に手を出して、さらに夫のある女性と不倫しようとしたり、その彼女が踏み切れないでいると、今度は秘書に手を出して…と。そういう話しか出てこないから、ただの女好き男の話にしか見えなかった。多分、セリフの面白さとさりげないしぐさで笑わせる、小粋なコメディなんだろうなぁ。でも言葉がわからないと全然ダメね。会場も笑いはあるけど、そんなに盛り上がってなかったし、寝てたとこもあって、はい、日本でもう1回観ます(って、公開されるかな?)。監督は、Pascal Bonitzer。

 


3本目は、スパイク・リー監督の『25TH HOUR』。エドワード・ノートンが麻薬ディーラーの役というのは事前の資料で知っていたんだけど、この映画、まったくどういう内容なのか理解できなかったわー。これまでの映画では、英語がわからないといっても、人物の動きや行動、表情と、分かる範囲での単語から推察して、映画の内容、そのテーマや言いたいことはだいたい理解できた。それが、この映画はほとんど状況描写とかがなくて、セリフで説明するシーンが多い。張り詰めた緊張感、怒りとかはわかっても、なぜそうなってるのかがまったくわからないのだ。だって、ノートンが麻薬ディーラーといっても、売買のシーンはほとんど出てこないんだから。もう途中で疲れちゃって、寝ちゃったわ。終わってから青木さんに聞いたら「面白かったわー」っていうから、かいつまんで説明してもらったのね。グラウンド・ゼロやアメリカ国旗が印象的に使われた意味やどうにでも読み取れるラストについてとか、いろいろ話してくれて、なんだかスゴイ映画そう!と私も興奮してきた。まあ、これも帰国後にもう1回観るリストに入れなくちゃ。

 

今日のベルリンはマイナス6度の気温だったと新聞に書いてあったそう。だいぶ寒さにも慣れたけど、体にこたえないのはせいぜい外歩きが5分程度で済むからだと思う。でも5分でも、帽子かぶって、手袋しないと骨身に沁みます(脂肪にかな?)
(今日までの鑑賞本数21本)

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