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アダルトビデオの助監督という仕事 [下関マグロ 第17回]

「もしもし、増田くん、またお願いできるかな」
芳友舎の土屋監督から電話がくるとうれしかった。アダルトビデオ助監督の仕事依頼であるが、うれしい理由はギャラが取っ払いだからだ。
ライターが原稿料を受け取るのは、早い場合で仕事 [...]

いきなり単行本の著者になった [北尾トロ 第16回]

パインの仕切りで、夏の終わりに総勢10名数名で長野県の野尻湖へ遊びに出かけた。車なんてシャレたものはないから電車である。大半が普段フリーで活動しているライターやデザイナーなので、大勢でどこかへ行くというだけでむやみに盛り [...]

読者チャレンジ企画とAVの助監督 [下関マグロ 第16回]

新橋の駅ビルの地下に、ウエイトレスの制服がミニスカートの喫茶店があった。といってもいかがわしいお店ではなく、ごく普通の喫茶店だった。
僕はその喫茶店で雑誌『とらばーゆ』の原稿を書いた。『とらばーゆ』は週刊だったから、最初 [...]

オイルぬりぬりマンの夏 [北尾トロ 第15回]

季節は巡り、暑い夏が近づいてきた。去年の今頃はパインの家に居候してプール通いをしていたのだ。あれからもう1年。相変わらず生活はカツカツだが、ライター稼業で持ちこたえてきたのは上出来のような気がする。
キンキンに冷房を効か [...]

初めてのライター仕事 [下関マグロ 第15回]

1984年の暮れのことだ。手帳に書きとめた住所と地図を交互に見ながら、新橋にある『とらばーゆ』の編集部にやっとたどりついた。
担当は長崎さんという、僕と同じくらいの年頃の女性だった。テキパキと事務的に打ち合わせが進んでい [...]

幻のアフリカ旅雑誌企画 [北尾トロ 第14回]

「アフリカの雑誌をやりたがっている人がいるんだけど会ってみない?」
1985年の3月頃、デザイナーの友人から電話がかかってきた。海外なんて学生時代にインドへ旅行したことしかないが、こっちはおもしろそうな仕事に飢えている身 [...]

高橋名人とカメラ [下関マグロ 第14回]

このシリーズには多くの個人名や会社名が出てくるが、ほとんどは月並みな仮名にしてある。しかし、編集プロダクションの社長につけられた「パイン」という名前は、なんだか突拍子もない感じがするだろう。
それには理由がある。パインと [...]

パイン事務所での暗黒時代 [北尾トロ 第13回]

パインの事務所では月刊誌の「ロンロン」に加えて、パソコン周辺機器のムック製作が始まった。当時はまだパソコンそのものが一般的になりつつあった頃で、この手のカタログ的なものにも需要があったのだ。いち早くパソコンを使いこなして [...]

エロ本の仕事で女の子の路上撮影 [下関マグロ 第13回]

若生出版の柳井が応接室で見せてくれた雑誌は『ムサシ』というごく普通のエロ雑誌だった。まだインターネットもない時代、エロ雑誌というのは、いまから考えられないほど種類があったし、部数もけっこう出ていた。
業界にはまだ余裕があ [...]

等身大パネルと愛の暮らしを [北尾トロ 第12回]

いつものようにアートサプライ内のパイン事務所でうだうだしてると、増田剛己がやってきて仕事の話があるという。
「最近知り合ったムサシっていうエロ本の編集者から、何かやってよって言われてるんだよ。一緒にやんない?」
「ほぅ、 [...]

こうしてエロ本の仕事をすることになった [下関マグロ 第12回]

今でも四谷四丁目から四谷三丁目にかけての新宿通りを歩くと、ここを3輪の原付バイクで走ったことを思い出す。時期は1984年の秋から1985年の暮れまで。麹町にあるパインの事務所に通っていたのだ。
今でもそうだが、新宿通りか [...]

合格電報屋で一稼ぎをもくろんだ [北尾トロ 第11回]

アートサプライの事務所は四谷と半蔵門の中間にあり、食事処には不自由しなかったが、決して安くはなかった。そこで、少しでも食費を安く上げたい駆け出しライターたちは、上智大学の学食によく足を運んだ。ここなら300円もあればまと [...]

第22回 出版不況の原因について

出版不況と言われますが新刊書籍だけでなく古書や図書館での貸し出しも含めて考えると単純に本が読まれなくなったということでもないようです。ただし、新刊書籍や雑誌一点あたりの売上は、決して全てが減っているわけではありませんが、 [...]

怪しいニューメキシコの水島 [下関マグロ 第11回]

去年の夏のことだ。千代田区立図書館で本を借りようとしているときに後から「まっさん」と声をかける男がいた。
僕のことを「まっさん」と呼ぶ人間は限られている。本名が増田だから、〝まっさん〟と呼ばれていたが、そういう呼び方をす [...]

ほろ苦い焼き鳥の味 [北尾トロ 第10回]

1985年になっても代わりばえのしない日々が続いていた。1月、ぼくは27歳になったが、それで気持ちが変化するわけでもない。唯一の趣味であり、かつては生活費稼ぎの手段でもあった競馬は、資金難のため当分封印。週に3日ほど四谷 [...]

放送作家にしてやると騙された [下関マグロ 第10回]

最初に買ったワープロは富士通のマイ・オアシス2だった。高見山がテレビコマーシャルをしていた「ザ・文房具」というシリーズのワープロで、こんなに小さいと宣伝していたわけだが、相撲取りのなかでも巨体の高見山が持っているのだから [...]

四谷の間借り事務所に通い始めた [北尾トロ 第9回]

そうか、下関マグロ(増田剛己)は失業保険をもらっていたのか。前回の原稿を読むまで、そんなことはすっかり忘れていた。いまどうやって食いつないでいるかというのは切実なことではあるのだが、会社員経験がないぼくには関係のない話だ [...]

ゲスト:永江朗 第1回「重要なのは再販制度、じゃない」

●再販制は、あってもなくてもどっちでもいい
沢辺 今回の「談話室沢辺」は『本の現場』の販促も兼ねているので、再販のことについて話そうと思うんですよ。
永江 やっぱり、再販のことになりますか。
沢辺 出版業界の人も、新聞や [...]

無職になり、失業保険をもらうこととなった [下関マグロ 第9回]

雑誌『スウィンガー』の編集長である佐々木公明さんが、電話をくれた。
「増田くんも独身でどこで、ちゃんとご飯食べてないんじゃないの? たまにはウチにきなよ」
佐々木さんは新婚で、同じ会社の女性と結婚していた。だから、僕は両 [...]

借金して吉祥寺に引っ越した [北尾トロ 第8回]

いたいだけいていいよと言ってくれたからといって、2カ月半は好意に甘え過ぎである。出て行ってくれとパインに言われるのも仕方なかった。新しい住処を見つけなければ。
さりとて引っ越し資金などあるはずもなく、借りるアテは親しかな [...]