伏見 憲明

作家。 1963年生まれ。 著書に『魔女の息子』(第40回文藝賞受賞/河出書房新社)、『さびしさの授業』(理論社)、『ゲイという[経験]増補版』(ポット出版)ほか多数。 編集長として『クィア・ジャパン vol.1〜5』(勁草書房)、『クィア・ジャパン・リターンズ』(ポット出版)を刊行。 詳細なプロフィールへ→

ゲイバァ終了、パレード大成功、おばさん万歳!

パレードを祝して催したゲイバァ伏見(リアル)ですが、大勢のお客さんにお越しいただきました。とくに2日目はトークもおおいに盛り上がり、実に有意義でした。ご来店くださったみなさん、トークのゲストの方々、誠にありがとうございま [...]

小谷野敦『片思いの発見』

● 小谷野敦『片思いの発見』(新潮社)
 小谷野敦はいつも、そこにある言説に己の実存を重ね合わせては、疎外感を募らせ、またそれを拠り所にして言葉を紡ぎ始める。
 かつては、「近代という時代が、あたかも誰もが『恋愛』をすべ [...]

小谷野敦『恋愛の超克』

● 小谷野敦『恋愛の超克』(角川書店)
私は、昨今話題の「セックスレス」や「ED(勃起障害)」の傾向が、人々の生物学的な変異に原因があるとは思っていない。それらはセックスの大衆化と、マスコミによる性的快楽の礼賛の結果とし [...]

小谷野敦『江戸幻想批判』

● 小谷野敦『江戸幻想批判』(新曜社)
私たちが過去の時代を振り返るとき、すでにそこには以前に観た映画やテレビドラマ、あるいは小説や劇画などから与えられた情報が頭の中に埋め込まれていて、過去のイメージは実体のごとくそこに [...]

豊田正義『オトコが「男らしさ」を棄てるとき』

● 豊田正義『オトコが「男らしさ」を棄てるとき』(飛鳥新社)
 ウーマンリブ→フェミニズムと、70年代初頭から「女らしさ」「性別役割り分業」を問い直す動きが活発化してきた。現在では、生物学的性「セックス」とは別に、社会・ [...]

D・モリス『セックス ウォッチング』

● D・モリス『セックス ウォッチング』(小学館)
 現在、男女の性について語ることは、極めて政治的な行為となっている。男らしさ、女らしさを「本能」という言葉に還元しようものなら、フェミニストらから「保守反動」との反発を [...]

北山晴一『男と女の「欲望」に掟はない』

● 北山晴一『男と女の「欲望」に掟はない』(講談社)
 一昔前まで恋愛や性、夫婦関係といったテーマは、大の男が論じるような問題ではなかった。男というもの、そうした「私事」は女子供に任せて、天下国家を憂えていればよいと。け [...]

榊原史保『やおい幻論』

● 榊原史保『やおい幻論』(夏目書房)
 本書の著者の定義によれば、「やおい」とは「女性による、女性を対象とした、男性同性愛をモチーフに使用した小説」ということになる。一般にはあまり知られていないが、こうした嗜好の小説や [...]

障害者の生と性の研究会『知的障害者の恋愛と性に光を』

● 障害者の生と性の研究会『知的障害者の恋愛と性に光を』(かもがわ出版)
 具体的な話しは説得力を持つ。『知的障害者の恋愛と性に光を』は読者に障害者の性の問題を他人ごとにしておけないほどの切実さを抱かせる。
 「映画を観 [...]

村瀬学『13歳論』

● 村瀬学『13歳論』(洋泉社)
 振り返ってみるに、90年代というのは「子供」という存在が問い直された時代だったと言えるかもしれない。援助交際、酒鬼薔薇聖斗、学級崩壊…。それまで「子供」という枠組みの中に押さえ込まれて [...]

梁石白・高村薫『快楽と救済』

● 梁石白・高村薫『快楽と救済』(NHK出版)
 本書は、『血と骨』の梁石白と、『レディ・ジョーカー』の高村薫という当代のエンタテイメント作家による対話。と言うより、現代という時代をもっとも鮮烈に描く二人の作家による時代 [...]

四方田犬彦『狼が来るぞ!』

● 四方田犬彦『狼が来るぞ!』(平凡社)
 本書は雑誌で連載されていたコラムを再構成して一冊にまとめたものである。が、読者に散漫な印象を与えないところは、著者の卓抜な文章力と、ふところの深い世界観によるのだろう。とくに紀 [...]

高橋源一郎『あ・だ・る・と』

● 高橋源一郎『あ・だ・る・と』(集英社文庫)
 人々がAVビデオに求めるものは、「本物」なのか、「本物っぽさ」なのか。
 一般的には「女子高校生もの」を消費するユーザーは、その作品に「本物の女子高校生」の登場を求めてい [...]

本日、参議院議員選挙

とりあえずまだ雨は降っていません。しっかり投票所に行って、自分たちの思いを候補者に託しましょう。なんだか明日未明までドキドキしそうですね。あとは祈るばかりです。一票で負けることもありますから、悔いの残らない選択を!

「私」から「私たち」から「私」へ

右を見左を見、周囲を気にしてゲイバーに入店した時代をおぼえているひとは、
もはや少なくなった。
ゲイ同士知り合ってもふつうに名字を名乗り合うことがなかった過去に、
現在リアリティを感じる者は多数ではないかもしれない。
で [...]

参議院選挙比例区って!?

特定の候補者を当選させたい人は、党名ではなく、個人名を書かないとそれが反映されないんだそうです。意外とそのことが知られていないようで、伏見もつい最近まで分かっていませんでした(人のこと言えない)。だから投票場では●●●○ [...]

小山内美智子『車椅子で夜明けのコーヒー』

● 小山内美智子『車椅子で夜明けのコーヒー』(ネスコ発行/文藝春秋発売)
 そもそも「障害者の性」といったことが問題にされること自体、へんな話だ。なぜなら障害者というのは特別な人ではなく、ハンデキャップを抱えた「ふつう」 [...]

藤本由香里『私の居場所はどこにあるの?』

● 藤本由香里『私の居場所はどこにあるの?』(学陽書房)
 藤本由香里著『私の居場所はどこにあるの?』は、「少女マンガが映す心のかたち」と副題にあるように、少女マンガを通じて、現代の女性たちがどのような心の問題を抱え、そ [...]

小田切明徳/橋本秀雄『インターセクシュアル(半陰陽者)の叫び』

● 小田切明徳/橋本秀雄『インターセクシュアル(半陰陽者)の叫び』(かもがわ出版)
 90年代に入り、ゲイ→レズビアン→バイセクシュアル→トランスセクシュアルと、性的少数者たちのカミングアウトが拡大してきた。皆、それまで [...]

バーバラ・マクドナルド/シンシア・リッチ『私の目を見て』

● バーバラ・マクドナルド/シンシア・リッチ『私の目を見てーーレズビアンが語るエイジズム』(原柳社発行/ウィメンズブックストア松香堂発売)
 僕には86歳になるゲイのボーイフレンドがいる。彼は新宿のど真ん中で独り暮らしを [...]