2005-02-14
映画評「ヴェラ・ドレイク」(Vera Drake)……英国中絶物語……
家政婦として働くVera Drakeは誰に接するときも優しい。
いつも明るく挨拶を交わし、嘆き悲しみのうちにある女性には、やさしく包み込む。おそらく60代であろうヴェラには夫と、20代の息子・娘がいる。いくつかの家で働きながら、90過ぎの母親のもとを訪れては介護したりもする。献身的に働く小柄な姿はマザー・テレサのようにつましく、こうごうしい。家庭では控えめな母だが、家族には内緒でしばしば、法に反する犯罪に手を染める。彼女は妊娠した若い女性たちの中絶を、金銭を受け取らず利他心に基づき、しかし非合法で行っている。 続きを読む…