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[第15章●その他よしなしごと] 22… 車内での携帯電話の |
[2005.11.09登録] |
石田豊 |
今時分なにをいっとるか、と突っ込まれるかもしれんが、電車内での携帯電話の使用ルールがかわってたんですね。JR東日本だけかもしれませんけど。 通話はだめ、メールは可、しかし、優先座席付近では電源を切る、というのが新ルールのようですな。 ポットの日高さんなどは、電車内での携帯電話通話に激しく不快を感じるそうで、いつもかなりイカっています。しかし、ぼくは電車内でケータイしててもええやないか、と思っています。ただ、ぼくのケータイ番号を知る人はほとんどいない上に、いつもたいていかからないので(電源が切れている)誰も掛けてきませんし、根が小心なので自分では通話したりはしませんが。 いつも思うのですが、このルールって、面白くないですか? その存在のシカタというか、歴史、というか……。 冷静に考えてみると、どうして電車内で携帯電話を使うことが、格別に禁止されなきゃならんのか、それがどうもよくわからん。 まず、ペースペーカー云々、って話がありますね。これは実験的にもダイジョブみたいです(誤動作なんぞしないってこと)が、よしんば、そのリスクが存在するとするなら、なにも禁止する場所は電車内に限らないでしょう。満員電車なみに混雑する場所なんかいくらでもある。たとえば初詣の明治神宮とか。そういうところでは、混雑していますから携帯電話はキンシでーすとアナウンスしたりはしないでしょ。だいいち、ケータイを買う時に「お客さん、ペースメーカー付けてませんよね」とは聞かれたりしない。もし、決定的にヤバいんだったら、この売り方は危険です。事故が起こった時に、販売店なりメーカーの責任が生じてくる。この一事をもっても、PM(と略してみました)が誤動作するというのは、少なくとも本質的な理由ではないように思えます。 たしかにケータイ通話はうるさい。話の一方しか聞こえないのがうるささ感を増幅するってこともあるんでしょうが、うるさいことはうるさい。しかし、電車内でうるさいものは他になんぼでもある。ケータイ通話が許容されないなら、女子中学生は乗車拒否していただきたい。少なくとも3名以上の団体はダメ。よっぱらいのサラリーマングループもやですねえ。上司の悪口なんかいうなよ。不快になるから。 前にも言ったかもしれませんが、新幹線の中で、スルメを食うのも厳禁にしていただきたい。だって、臭いでしょう。ケータイは許すが、スルメは殺意すら感じる。ま、それはぼくが、耳栓は常時携行しているが、鼻栓は保有すらしていないからゆえなのかもしれない。(注*スルメといっても、キオスクに売っているおつまみ用のソフトするめ。ただし、自分で食べる時はその匂いはことさら不快には感じない) ともあれ、ケータイ通話はことさら行動を指定してまで禁止せざるをえないような悪行ではないと思うのですよ。鼻毛を抜くとか、貧乏揺すりをするとかと同程度。 電車にしろ何にしろ、管理者は自分の権限でローカルルールを作ることは許されています。たとえばファミレスなんかで「長時間の商談はキンシ」ってとこもある。これに対して「なんでや。長時間の商談があかんちゅう法律でもあんのんか」と息巻いてもだめですね。きっと裁判でも負けることでありましょう。電車内でしてはいけないことを鉄道会社は恣意的に決めることはできる。しかし、一方では公共的な機関でありますから、何を禁止してもいいということにはならない。法、ないしそれに近い根拠が必要ではないかと思うのです(したがって、ぼくの意をくんで、車内でのスルメは他のお客様の迷惑になりますから、とすることはまずい)。 にもかかわらず、このお達しはずいぶん早くから、そしてずいぶん強硬に主張されましたね。 これはおそらく歴史的な経緯を反映しているのではないでしょうか。ご記憶のことと思いますが、携帯電話の黎明期っていうのは、お持ちの方のプロフィールにかなりの傾向があった。そのスジの方が非常に多かったですね。そして、「ほらみてみい、こんな高い機械、つこてんのやど」とばかりに、やけに大声で通話してらっしゃった。ことさらコワモテの口調で。 あれは不気味だった。もちろん、反感もありました。べつにコワい人じゃなくってもね。何しろ、使用料もすごく高かったし。やっかみも入っていたのでしょう。 鉄道各社は、そういう乗客の心理を敏感にくみ上げて、あのルールを作ったんじゃないかなあ。 ほら、銭湯とかサウナが入れ墨不可になっているのと同じ。 そういう経緯でルールができた、と。すると、こんどは(どんな規範でもそうですけど)そのルールが一人歩きすることになる。ルールを破っているから悪い、となるんですね。悪いことを制限ないし禁止するためにルールがある、というのが逆転して、ルール破りが悪行となり、ルール違反に対して不快感が生じる。 ですから、車内のケータイ通話に怒りや不快感を感じてらっしゃる方は、もしかすると、なまじそのルールがあるがゆえの不快感、であるかもしれないわけです。こんなルールがなければ、なにも、心にさざなみをたてずにすむ。 いや、なまじ人ごとではないんです。 たまたまケータイ不感症といいますか、そのルールに対して激しい反応が起こらない化学物質なんですね、ぼくの脳は。でも、なぜか激しく反応してしまう「ルール」もあります。近所の商店街のアーケードは自転車通行禁止になっているんですが、違反者はかなり多い。あぶないやないか、と思うんです。いつも。内心、かなり激しい反応が起こっている。いつか自転車を蹴り倒してしまうんじゃないか、と、自分の暴発を心底おそれているほどです。 これも考えてみりゃアホなはなしで、違反者が多い、つまり自転車が後ろから近づいてくるかもしれないということは経験的に熟知しているわけでしょ。そのうえ、そういう状況は他の道路では当たり前(自転車通行が禁止されていないから)なわけでしょ。だったら、「そういう道路だ」と思えばいいわけで、なにもいちいちイカらなくともよい。 これも「ルールが私を不快にさせている」という例ではないか、と思うわけです。 これは単に「心の平安」というテーマにとどまらない。実はすごくこわいことじゃないかなあ。ルールの有無に善悪の判断をゆだねてしまうと、いつのまにか善悪に対しての思考停止に陥ってしまうのではないか。自分でそれが考えられなくなるんじゃないか。そうなってしまったらおしまいだ。くわばらくわばら。 |
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日高崇さんより [2005-11-09] |
タバコもいっしょですな ケータイに関しては興味関心が途中からワタシとずれているのでおいといて、「ルールが私を不快に」というのはまさに感じております。近頃の嫌煙って、これと深い関連があるなあ、と思っています。 特に読んでてグッタリしたのはコレ↓ あなた的には、「喫煙」ってどう? Webvoter : Hotwired http://hotwired.goo.ne.jp/webvoter/?id=7 完全に「ルール」にアタマを支配されちゃってる方々の議論を見ていると、自分の似姿を見せられているようでアタマが痛くなりますね。(ま、ワタシはタバコ問題については「断煙エヴァンジェリスト」として、個人的に草の根活動するしかない、という結論ですが) |
鈴木雄介さんより [2005-11-14] |
ルール説賛同、でもチト違う気もする カネガネ疑問に思ってた、私の脳は激しく嫌悪感物質を分泌しますのよ、車内ケータイに。でも理由がわからん。「なんで車内ケータイ嫌なんやろ?」という疑問に明快に答えを出せるトモダチは今までおらなんだ。その点イシダ説は明快ですね、ルール一人歩き危険説自体には全面的に同意できる。でもこと車内ケータイに関して言えば疑問符付きます。ちうのは、電車のウオークマンシャシャカ音、電車で化粧する女(別に男でも良いんだが、圧倒的に女が多いので)、通勤電車で飯食う奴にも「同じ種類の」嫌悪感を覚えるんでございますよ。なんかですね、ここに「俺」が居るのに無視されてるような感じとでも言いましょうか、もうちっと他人に気ぃ遣わんかい!、みたいな怒りを覚えてしまうのでございます。 自分が知ってる奴以外は目の前に居ようが居ないのと同じ、、、という感覚が世にはびこっているような気がして、それが嫌なのかなあ?、、、まだ未消化ですが、、。 |
日高崇さんより [2005-11-15] |
電車において、ケータイ電話が不愉快な理由仮説 ↓こっちでちょろっと書いてみました。 http://www.period3.to/wp/archives/2005/02/15/keitai/ ヒマと金があれば、一度実験してみたいテーマではあるんですが。 |
ichiroさんより [2005-11-29] |
ルール擁護 ルールはお互いが不利益にならないための取り決めですから、ルールを守ることには合理性があります。違った見方をすると皆がルールを守ることによって、らくちんができるということになります。 ルール守らない輩に不快感を感じるのは、らくちんな状態を侵されることを本能的に感じるからではないでしょうか。 ここまで書いてきて、はたと気がつきました。これはゲームの理論そのまんまですね。お互いに協調すれば、お互い利益を得られ、お互い自分の利益のみを追求しようすれば、お互い不利益になるという図式です。 そっちが化粧をするなら、こっちはスルメを食べる、あっちは寝転がる、では電車は悲惨なことになります。すべての人が静かに読書をするという選択をすればトータルの満足度は高くなります。 |
ディベートさんより [2005-12-13] |
参考になりました。 ディベートする上でとても参考になりました。 ありがとう御座います。 ※ディベート ある議論に賛成、反対に分かれて第三者に判定していただく。 |
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