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[第13章●本の買い方読み方しまい方] 22… 国番号と出版者番号 |
[2005.08.13登録] |
石田豊 |
前回書いたところに1カ所、間違いというか、言い過ぎの部分がある。 出版者が自分に管理を任された書籍コードをどのように使っても(極端に言えばアンパンに付番しても)リロン的には何の問題もない、と書いたが、これは間違いだということに気がついた。 出版者コードを申請する際に、出版者は図書コード管理センターとの間で契約を交わす。その契約には「何に対して番号を付けてよいか」という部分が含まれているため、アンパンに付番すると、その契約に違反することになり、訴えられるかもしれない。 アンパンは言い過ぎであった。 あくまで契約では「書籍」に対してのみ使用するということになっているからだ。しかし、昨日も書いたように、書籍とは何かというのは、実に難問である。アンパンは極端にしても、小冊子にアンパンがおまけとして付いているものであればどうなのか、と言うのは不透明だし、現にCD-ROMなどにISBNが付けられている場合もある。なにをもって書籍となすのかという境界は判然としない。 慌てて言い添えておくと、だから、どうこうすべきであるとか、こういう運用はおかしいというような批判をしたいわけではない。 批判したいことがないではないが、それはひとまず置いて、まずはISBNの構造の話から。 ISBNコードの構造は「国番号」ー「出版者番号」ー「書籍番号」ー「チェックデジット」という風になっている。 「国番号」と書いたが、これは英文のユーザーマニュアルでは「グループインジケーター」となっている。「国」ではないのだ。現に、「0」および「1」の「国」番号は「English speaking area」というふうになっている。つまり「英語圏」だ。ここには アメリカ合衆国、イギリス、オーストラリア、カナダ(英語圏)、ジブラルタル、アイルランド、ニュージーランド、プエルトリコ、南アフリカ、スワジランド、ジンバブエと、かっこ書きでナンビアがリストされている。 同様に「2」は「French speaking area」でフランス、ベルギー(仏語圏)、カナダ(仏語圏)、ルクセンブルグ、スイス(仏語圏)となっており、「3」は「German speaking area」だ。 こういう並びできて、つづいて「4」は「Japanese speaking area」になっているかといえば、ここはシンプルに「Japan」とのみ書いてある。この「順位」というのは、なんとなく、ぷち愛国心をくすぐられる(あほみたいな感想ですが)。 ただ、国番号が「言語」での切り分けで貫徹されているかといえば、そうでもなく、「5」は「Russian Federation」となっており「ロシア連邦」以外のアゼルバイジャンなんかもグループに入っている。 言語圏で切り分けられているのは0〜3までだけで、スペイン語を使うはずのスペイン、メキシコ、アルゼンチンなどはぜんぶ別々の国番号を持っている。 国番号も後述の出版社番号と同じく、可変式の桁になっており、1桁のは、上記の他は7の中国だけである(台湾香港は別番号)。 スペイン84、セルビアモンテネグロ86というように2桁の国もあれば、チリ956、ギリシア960のように3桁もあり、99942Sudanのように5桁のところもある。中でいっぱいになれば、これも出版社番号のように、別番を交付してもらえるようだ。たとえば台湾は957と986を与えられており、シンガポールは9971と981だ。シンガポールの場合は、最初9971と4桁だったのが、出版点数がかなりおおいぞということで、2番目の交付の際には1クラス上にお直りしたんだろう。 それでもなあ、国番号に実質使える9桁のうち5桁も取られちゃったら、1万点しか出版できないってことだ。いくら別番号が交付されるとはいえ、あまりすっきりしたモデルであるとはいいにくいよな印象。これは出版社番号でも同じ。 ま、ともあれ、我々が(いや、ワタシが、だな)使うのは、結局のところ「4」だけで十分である。だから、つづいて出版者コード。 前回書いたように、10桁のISBNコードの中で、出版者コードは2桁から7桁を使う。たとえば岩波書店は「00」であり、旺文社は「01」である。また新潮社は「10」となっている。これは2桁だ。 3桁の例をすこしあげると、河出書房新社が「309」、筑摩書房が「480」などである。 出版者コードの長さが可変であるとしても、上の例からもうすうす明らかなように、ルールが存在する。それは「2桁の出版者コードの最初の1桁は0、ないし1である」ということだ。2桁の最後は「19」徳間書店であり、3桁のトップバッターは「251」あかね書房である。 つまりたとえば「119」などという出版者コードはありえないのだ。 だからISBNをアタマから順に読んでいくと、出版者コードが何桁なのか(どこまでが出版者コードなのか)は論理的にわかるようになっている(つまり、国番号4の次の桁が0なら、出版者コードは2桁である、という具合)。 この時、先ほどの例でみたように、たしかに「現実面」では2桁は「19」でおわり、3桁は「251」から始まっている。では、リクツとしての切れ目はどこなのかだろうか。ぼくたち外部の人間は、「20」という二桁コードが存在する(可能性がある)のか、それとも「201」とここから3桁になるのかがわからない。 現実にはそこは空き番なのだろうが、将来的にはどうなんだろう。 たとえばプログラムを書く場合には、その情報が必ず必要になる。プログラムなんぞを書かなくても、知りたいと思うのは人情である。 つまり「出版者コードの切れ目はどこか」ということだ。 この情報が(こんなにネット社会になっているのに)ネット上のどこにもない。もちろん、本家勧進元である「日本図書コード管理センター」のサイトにもない。 数年前、必要があって、この切れ目をさがしまわったが、結局見つけたのは英語のサイトだった。その時みっけたサイトは現在存在しないようなのだが、今でもたとえば総本家である「International ISBN Agency」には、 00 - 19 200 - 699 7000 - 8499 85000 - 89999 900000 - 949999 9500000 - 9999999 というふうに明記してある。つまりは「20」という2桁出版者コードはなく、「201」という3桁出版者コードは(少なくとも体系上は)ありうるということになる。 しかし、それは For example, the publisher identifier ranges of group number 0 in the English language group (Australia, English speaking Canada, Ireland, New Zealand, Puerto Rico, South Africa, Swaziland,United Kingdom, United States, and Zimbabwe) are as follows: つまり「たとえば国番号0の場合は」という具合に提示されているのだ。国番号4はどうなっているのかは、これではわからないし、For exsampleという書き方が、ますます不安を募らせる。 「批判したいことはあるけど」って書いたのは、実はここのところも含まれる。こういう情報はなんでネット公開されないんだろう。とても不思議だ。別に、こんなこと、ちょこっと乗せといてくれればいいのに、と、強く思う。 実務上は経験的に日本の出版者コードでこの切り方に矛盾するものは見つけていないので、おそらく「4」もこのロジックになっているのだろうと思う。 ともあれ、これで国番号と出版者コードの構造がわかった(といっても推測だけど)。つづいて書籍の番号とチェックデジットなのだが、長くなったので、次回廻しとさせていただく。 |
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ひらめさんより [2006-06-27] |
出版者コードの切れ目 「出版者コードの切れ目」について同じような道をとおった者です。 どうにも気になりましたので日本図書コード管理センターに電話を してみたのはもう1年程前。電話をとられた方が「ああ、それは」と 上記の分け方を教えてくださいました。 たまたま詳しい方が電話をとられたのか、そこでは常識だったのか。 本当にサイトに上げておいてほしいと思いました。 安心したのも束の間、次は13桁化で切れ目がどうなるのか気がかりです。 |
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