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[第13章●本の買い方読み方しまい方] 10… 洋書の買い方を変えたAmazon |
[2004.06.25登録] |
石田豊 |
先日自分の事情を書いたときに挙げた「権力の失墜」ですが、その後読み出したところ、たいそうおもしろく、日曜日にまとめ読みで1を読了してしまいました。こんな一気読みは久しぶりです。さっそく下巻を買いに走り、今週の寝る前30分程度のともだちは、この本です。 中身は面白いんだけど、訳文がどうもひっかかる。原文と対照しているわけではないので、定かではないんだけど、ちょっとヘンだぞ、と思うところが多くありました。誤訳ではなく誤植の部類でしょうが、こんな記述があります。 「ビンセント・W・フォスター・ジュニアは三八口径回転式拳銃から口膣内に弾丸を撃ちこんで自殺した。」 ワープロ時代にこの手の誤植は珍しいと思います。もし訳者がワープロを使用していたなら英和辞典で引いた口腔という熟語が読めなかったんでしょうね。そうとしか考えられない。「拳銃から」という部分も日本語としてはおかしいですね。もちろんビンセントは男性。 さて。 ■N.Yさん……男性、46歳、既婚、子ども1人で3人暮らし。会社員 「本ですか。ものすごく減りましたね。月2冊程度じゃないの」 かつては月20冊程度は読んでいたし、もっと前、学生時代には日に4,5冊読むようなことも普通にあったけど、最近は激減。その理由は、 「やはりWebでしょうな。なにしろ読むものがいっぱいある。Webに時間がとられて、本は少なくなりました」 読む本は全量を購入。図書館利用は仕事上の調べもので国立国会にいくくらいで、楽しみのための読み物はすべて購入。ネットと書店の比率は4対6。ネット書店はAmazonを利用。どうしてAmazonなんですか? 「だって他のネット書店はほとんど洋書を扱っていないでしょ」 つまりネットで買うのは洋書のみ、書店で買うのは和書のみ。分野は歴史、小説、ファンタジーってところ。 Amazon.comは日本への発送を行わなくなった。co.jpを使え、ということだ。これはこれで 「ちょっと頭にくることもある。だって価格もずいぶん違ったりするし、なによりあっちにはあって、こっちにはないものもたくさんある。comではちゃんと在庫があるのに、co.jpではリストにも載っていない。そんな商品だけでもいいから、購入できるようになっているといいんだけど」 しかし、両者に在庫のあるものに関しては、価格差は送料を考えるとco.jpで購入するほうが安上がりになる。船便を使ったりしたら、いつ来るかわからないし、それでもずいぶんかかる。 ともあれ、Amazon.co.jpができたことは画期的な大事件だ。いままでは洋書は高いだけではなく、入手がほぼ不可能だといっても過言ではなかった。大都市には洋書を扱う店はあったが、品揃えはベストセラーか堅めの古典しかなく、ホントに手に入れたい本は入ってこなかった。洋書店のラインナップは、翻訳が存在するか、少し待てば出てくる本ばかりだったといってもよかろう。写真集などは別にしても。 Amazon.co.jpの出現によって、洋書の入手の困難さが根底から変わってしまった。 読むべき本の情報は、和書の場合はほとんどが新聞広告。好きな作家の新刊がでたな、とか。 「でも、本屋の店頭でそれがなかなかなかったりするんだよね。今? 丸谷才一の新刊が出たって見たけど、会社の近くの本屋にはなかった」 「ゴシップ的日本語論、ですか。阿佐ヶ谷駅前の例の本屋には平積みでありまっせ。ぼくは買った」 「じゃ、こんど途中下車して買い物がてら、そこで待ち合わせ。イッパイ、どう?」 彼は国分寺在住である。 本を読むのは自宅の自室でねっころがって読む。それはなにも就寝前というわけではない。就寝時とは別の時間に読む。 どちらかというと完読主義で、読み始めると最後まで読んでしまうことが多い。 「あとは通勤の電車の中ですけど、これも最近はネットを見ていることが多くなったかな」 彼はモバイル端末(リナザウ+AirH"でどこでもインターネット環境を実現している。 読み終えた本は積んでおく。以前は置き場所に困ったが、家内と自分の実家にドンと送ってしまってからはそういう心配はなくなった。最近は読む量が少ないので、本の増加に頭を悩ませなくてもすむようになった。 最近読んだ本から1冊。 「笑われるかもしれないけど、春に指輪物語を読んだ」 ほほー。ま、彼の場合、原書ということにはなるのだが。 「最初はオヤジがいまさら指輪かよ、という口吻でしたが、英語というだけで手のひらをかえしたように言うのは、ちょっとヘンだと思うぜ」 「いや、翻訳では、ま、その、なんですが、原語だと『批評』という感じがするじゃない」 「なんだかなー」 怒られてしまった。 |
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