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[第13章●本の買い方読み方しまい方] 21… ISBNについて |
[2005.08.12登録] |
石田豊 |
本とはなにか。などというと非常に難解な、テツガクテキとも言いうる設問になってしまいう。 電子書籍は「本」なのか。いわゆる古書は当然ながら「本」だろうし、和綴じのものも「本」でしょう。じゃあ、巻物はどうなのか。がっしりとしたハードカバーの日記帳はどうなのか。 雑誌は「本」じゃないとすると、ムックはどうなのか。携帯電話の取説は200ページほどの分量があって、しかもちゃんと製本されているが、それは「本」なのか。学校の卒業文集は? 卒業アルバムは? 非売品の「定年退官記念論文集」は?(これはおそらく「本」なんでしょうな) 考えてもキリがないし、議論をしてもハテがないので、最近、各方面で「実務的」に行われている定義が「ISBNのついているものを本とみなす」というものだ。たしか版元ドットコムも、実務上、この「定義」を原則としているはずだ。 こと国内の新刊に限った世界では、この実務上の方便は、われわれが漠然といだいている「本」のイメージにかなり適合する。 だが、ISBN(International Standard Book Number)は、実は、何に対しても(極言すればたとえばアンパンに対しても)付けることができる。 現行のISBNは、周知のとおり、たとえば「4-8399-1451-6」というふうな体裁をしている。アタマの「4」は国番号、次の「8399」は発行者(要は出版社ですね)番号、次の「1451」は出版社が付けたその書籍に固有の番号、最後の「6」はチェックデジットである。 発行者番号は「00」(2桁)から「9999999」(7桁)までと(乱暴に言ってしまえば)出版社の規模によって桁数がかわる。そのため書籍番号は2桁の出版社コードをもつ出版社なら5桁(100万点)、8桁の出版社なら1桁(10点)のコードを振ることができる。 出版社コードの発行は、国内ではJPO日本出版インフラセンターの下部組織である日本図書コード管理センターが行っている。ここに3年分17,850円を支払うことで7桁の出版社コードを取得することができる。 ISBNは非売品にも付けることが推奨されているので、別に書籍取次会社との取引がなくてもいいし、本を出版した実績が必要なわけでもない。法人である必要もない。 書籍コードについては、出版社コードを取得した側が自分の責任で付けていいことになっている。業界には、どういうものについてはISBNを付ける/付けないという内部ルールがあるが、実際のところは、それは出版者の行動を制約するものではない(もちろん、流通にのせるということを考えると、また話は変わってくる)。 なので、たとえばぼくが図書コード管理センターに上記のお金を振り込めば、自動的に出版社コードは与えられる(資格審査はない)。すると0〜9までの書籍コードを振る権限は、ぼくに付託される。だから、それを「アンパン」につけることだって、リロン的にはなんら問題はない(現在付番の権限を集中させることに関する議論が行われている。付番権限が一元化されれば、「リロン的に」問題になる)。 なにをアホなことをゆうとるんか、と思われてしまいそうだが、「ナイーブな感覚でとらえた本というものとISBNがついているものとの間には、かなり強い相関関係がある」というのは、日本国内に限った話だ。さすがに「アンパン」にISBNコードが付いている例はないだろうが、アメリカでは、かなりさまざまなものにISBNが付いている。たとえば弊社が「快読ショップYomupara」で扱っているブックライト(マイティブライト・トリプルLED・ブックライト、むちゃくちゃいいです←センデン)は、「1-891747-98-3」というISBNを持っている。英米では、このようにかなり広範囲の製品にISBNがついているし、Web上のコンテンツですら、ISBNを持つものがある。 おそらく、そのような使い方をしたためであろう。英米など(英語圏)ではそろそろISBNの空きというか、残り番号が少なくなってきた。それを受けて、国際的に現行の10桁から13桁への切り替えが進められている。 日本ではどうするんだろう、と、部外者ながら気をもんでいたのだが、やはり国際規格である以上、乗っかっていくほかはなく、今年5月に2007年1月1日に13桁に移行するということが発表された。 ぼくがヤキモキしていた理由は、いくつかのISBNがらみのスクリプトを記述しているからである。うわー、これを直さなあかんやん。いややなあ。ということ。 あまりにうんざりしていたもので、13桁ISBNとはどのような体系であるのかを調べることも放棄していた。昨日、何の気なしに日本図書コード管理センターのサイト内にあるISBN規格改定のお知らせという文書を一読したのだが、あっという間に、うんざり感が雲散霧消した。なんや、こういうことやったんか。 さすがに国際規格というか、なんというか。10桁→13桁の移行は(出版社や販売に従事する人にはともかく)、ユーザ側からみると、非常に「すっきり」したものである、ということがわかった。 これも周知のように、市販されている書籍(のほとんど)には、ISBNコードと並んで、2段のバーコードが印刷されている。いわゆるJANコードである。 単純に言い切ってしまうと、13桁化のISBNというのは、バーコード上段の内容とまったく同じであるということがわかったのだ。 であるから、スクリプト処理にあっては、バーコードとISBNのふたつのフィールドをもっておき、両者が同じ桁数であれば、新体系に移行済み、違えば旧体系のコードであると見なせばいいことになる。 JANコードもISBNも最後の1桁はチェックデジットで、それ以外の桁の値から、簡単な算術式で計算できる。だから、そのふたつのコードは相互に変換することはすこぶる簡単である。13桁化されても、実質的には出版社コードは当面変わることはない。よって、どのようなスクリプトでも、おおむね、変更点は赤目吊るほどのことはない。 ほっとしました。 ほっとしついでにといえば変だが、ISBNがらみのことを数回にわたってまとめておくことにする。 |
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YSさんより [2005-08-13] |
JANから |
YSさんより [2005-08-13] |
JANからEAN 失礼しました。操作ミスで空コメントを送信してしまいました。 いま、色々な分野でEANコードへの移行が進んでいるようで、コンビニ収納(代金回収をコンビニが代行する)に使うバーコードも来夏からEAN128バーコードに移行することになっています。 24時間365日代金回収が可能とあって、税金からガス、水道、電気料金、通販から学校の学費まで、年々取扱高が激増しているコンビニ収納のバーコードシステムが変わるのであります。 コンビニ払い用の請求書に印字されるバーコードは現行JANコードが4段に分けるのに対して、EAN128は1本。より多くの情報を盛り込みながら、読み取りミスを減らすというのが狙いです。 たとえば肉の生産地や流通の経路を明示するトレーサビリティの問題を解決したい食肉業界や、バイト君が読み取りミスして本来より少ない金額で処理してしまうと、差額を自腹で補填しなけりゃならないコンビニオーナー達は嬉しいという寸法。 ところが、今コンビニで使っているバーコードリーダーの読み取り幅は60mmと狭く、今までのプリンターでは多くの情報を詰め込んだEAN128バーコードを読み取り幅以内に印字できないことがある。プリンター業界にとっては大いなるビジネスチャンス、ユーザーにとっては甚だ迷惑な副作用も孕んでいるのであります。 コンビニ収納代行を利用している、あるいは今後検討中のショップ(たとえばyomupara.com)オーナーの皆さん、貴社のプリンター、大丈夫ですか?。 なんか、プリンター屋の宣伝みたいだな。 |
新参者さんより [2005-09-12] |
ISBNの謎 このたび訳書で世に出ることとなれたものですが、彼ら番号に ついてはずっとどういったものか知りたかったことでした。 おかげさまでつかみ所があるものを読ませて頂きました。 誠にありがとうございました。 |
浅野 大輔さんより [2006-10-25] |
教えてください 「たとえばぼくが図書コード管理センターに上記のお金を振り込めば、自動的に出版社コードは与えられる」 とありますがこのコードで実際に素人でも取次に販売委託してもらえるものなのでしょうか? 素人なりに推測してみてもなんの実績もない素人を相手にしてもらえなそうですが、コードがあれば問題ないのでしょうか? また上記の17850円で3年と書いてありますが、このコードで年間9冊までの発行が出来ると考えていいのでしょうか? お忙しいとは思いますが上記メールアドレスまで返信していただければ幸いです。 宜しくお願い致します。 |
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