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[第13章●本の買い方読み方しまい方]
16… 眼鏡装着側臥位読書用マクラ
[2004.07.29登録]

石田豊
ishida@pot.co.jp

POTへ資料を返却に行った。沢辺さん日高さん木村さんとの間で接待的雑談。前に書いた書店に対する不満、つまり、なんで本屋では「読書を快適に行うためのグッズ(本箱とか読書用ベッドとか)の販売をしていないのか」(聞き手の雑感1)に関して、沢辺さんから「あれはおもしろかった」との感想をもらった。ほめてもらうとうれしいもんで、ふむふむそれでと聞いていたら、「ついてはああいう商品をPOTのサイトでWeb通販するショップを開設するのはどうだろう」と。このへんが沢辺さんが商売人たるゆえんだね。驚きました。

実現のためには、困難や紆余曲折が予想される。たとえばベッドの在庫はどこに置くんだ、とか。しかし、ホントにできたらいいね。何だったらウチ(ぼくは何を隠そう「株式会社若松屋」の社長であるのだ)でやったっていいくらいだ。

そこから話は螺旋状に展開し、とうとう沢辺さんの発議で「読書生活研究所」なる組織がでっちあげられ、ぼくが所長に任命された。所員は現在のところ上記四名である。なんだかなー。

こういう任意団体組織の発作的結成は飲み会の席上ではよくあることだが、ノンアルコールの集いで出てきちゃうのが、POT大気の揮発性の高さだろう。

この組織がどうなっていくのかわからない。暫定的な目標としては千名程度の所員を擁し世界進出していくということくらいしかない。行方はわからないものの、考え方としては、実に正しいものではないかと思うのだ。本を読むという趣味・娯楽は思想的倫理的精神的には語られすぎるほど語られてきたのだが、その行為を実践していくための技術的環境的商品的な支援アプローチはほとんどされてこなかった。たとえば明かりひとつをとっても、本を読むという目的に添ったレビューを見ることはできない。こういうアプローチって必要だろうな、と思うのだ。冗談から駒で、ホントに形のあるものに育っていくと嬉しいのだが。

で、会話は自動的に読書生活研究所の第1回目の全体会議になったわけだが、そこで議論されたことごとのひとつとして、ベッドで本を読む際の姿勢とその問題点があった。議論の全体は(会議で語られたことはフニャラけた萌芽的なものでしかないから)今後まとめていこうと思うが、その中で気になった問題提起がキムラ所員からあった。横向けの姿勢で本を読む場合、メガネのツルが枕に押さえつけられ、鼻や耳が痛くなり、メガネも変形する。これはなんとかならないのか、と。

まったくその通りで、ぼく自身、それには長い間苦慮している。側臥状態で本を読むとメガネが枕に押さえられ、痛みを生じるほか、レンズの焦点が反マクラ方向に若干動くことにより、紙面がぼやけて見えたりする。それはぼくがかなり強度の乱視であるからかもしれない。大袈裟に言えば数十年間苦慮していたことである。

しかし、ぼくはすでに呉下の阿蒙にあらず。なんてったって所長である。言下に解決策を提示した(正直、自分でも驚いたのであるが)。

断面が「凹」の字型のマクラを開発すればよい。そのスリット部にメガネおよび耳が入ることにより、それらに対する圧迫を回避せしめ、かつ頭部は十分に支持されるマクラがあれば、その問題は解決する。

即座に日高所員から「なるほどスケベ椅子の思想ですな」とのフォローがあったが、こういうのは無視してどんどん進む。

そのマクラは裏返せば普通のマクラとして使えるようにしてもいいし、小型の読書専用のものであってもいい。睡眠用のそれより、高さがあった方が、読書には適しているだろう。側臥位での読書では小判のものはともかく、単行本サイズになると、下方になった側のページをおくためのクリアランスが不足している。

われながら実に革新的なアイディアだと思ったので、帰宅後即座に実験してみる。新書版の本を数冊ずつ2つの山に積み、両者の間隔を10cmほどあけて、ふた山をマクラに見立てて側臥する。マクラは本であるから、堅く、快適ではない。しかし目的の「側臥読書時におけるメガネへの圧迫」は完全にクリアしている。

大発明じゃないか。ぼくは思った。これなら特許をとって大儲けができるかもしれない。そうなったらカリブ海に浮かべたクルーザーでのんびり暮らそう。

そこで、特許庁・特許電子図書館で同様の特許がすでに出願されていないかどうか調べる(上記の「特許・実用検索へ」のプルダウンメニューから「公開特許公報フロントページ検索」へ進み、そこで「読書」&「枕」で検索する)。いやー、やはり先覚の人はいるものですなあ。この検索でヒットする「メガネフレーム保護枕」ってのがそれ。牧野亮さんとおっしゃるかたが、98年にすでに出願されていた。

牧野式(とかってに呼ばせてもらう)は読生研式(もはや略称までできているぞ)とは異なり、チューブ状のものを馬蹄型に曲げたような形をしている。なるほど、これなら凹の字型にくらべてより安定するだろうし、凹部の下側をどうつなげるかという加工上の難点もない。負けたね。出願時期の遅さでもアプローチの確かさでも。

これでカリブの夢は蒸発したのだが、だったら、この枕を試してみて、効果があればそのブローカーとなってみるというのはどうだろう。世界に売ったら、もしかしたら木更津沖のクルーザーで暮らせるかもしれないじゃないか。

検索してみたのだが、インターネットではこの枕の情報は、ひとつもヒットしない。商品化されていないのか。(もしこの「牧野亮」さんないし「メガネフレーム保護枕」について何かご存じのことがあれば教えてください)

牧野さんの権利を侵害するつもりはサラサラないが、これに似たようなものを自作して、効果のほどを実験してみようと思っている。報告を待たれよ。

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