石井政之『顔面バカ一代』
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● 石井政之『顔面バカ一代―アザをもつジャーナリスト (講談社文庫)』
★★★★★ 美醜の問題を考える上で、もはや古典ともいえる作品
*単行本版のタイトルは『顔面漂流記―アザをもつジャーナリスト』
衝撃的な本である。そして、名著として評価されるべき内容の作品でもある。
衝撃的というのは、顔にアザを持って生まれた一人の青年が、そのことによってどれほど心に深い傷を受けてきたかを赤裸々に綴ったという意味で、これまでにあまり類のない告白であるということ。
著者は単純性血管腫という病気で、生まれつき顔面に赤アザを持っていた。幼児のときにドライアイス療法というのを受けるが、アザは消えることなく残った。そして顔面に「障害」を持つものの多くが「体験」するように、子供時代にはイジメを受ける。思春期以後、コンプレックスに打ち勝とうと勉強に専念したり、身体を鍛えたり、アザを隠すメイクを施してみたりと、さまざまなことを試みるが、心の平安はやってこなかった。成人してさえ、見知らぬ子供たちにも侮蔑的な言葉を投げ付けられる人生。 続きを読む…