2019-09-18
新刊『ランスとロットのさがしもの』という絵本です
ポット出版の新刊です。
性的少数者(いわゆるLGBT)への理解を拡げようという、絵本です。
子どもの読み物として、性的少数者の実存をえがいています。
ゲイカップルが子どもを得ようと努力する話。
→内容紹介のページ
ポット出版のLGBT絵本シリーズの、4作目となります。
このシリーズは、尾辻かな子(現在衆議院議員)さんが日本での翻訳出版をポット出版に提案してくれて発行した『タンタンタンタンゴはパパふたり』から始まっています。2008年4月でした。
初刷2,500部は順調に売上て1年後には2刷できたのですが、3刷までに更に5年。しかし、以降は毎年1,000か2,000部で増刷できる、ロングセラーに育ってくれました。また、これ以降の絵本『王さまと王さま』、『くまのトーマスはおんなのこ』と出版してきて、どれも着実に売上ています。
まあ、出版業界全体でのロングセラーとは、一桁/二桁少ないんですけど、ポット出版では、堂々ロングセラーってことになります。
●『タンタンタンゴはパパふたり』の増刷経過
刷 発行日 印刷数 累計
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1 2008/04/15 2,500 2,500
2 2009/05/22 1,000 3,500
3 2014/07/08 1,000 4,500
4 2015/10/09 1,000 5,500
5 2016/04/18 1,000 6,500
6 2017/01/20 2,000 8,500
7 2018/04/02 2,000 10,500
8 2019/02/26 2,000 12,500
この『タンタンタンゴはパパふたり』の増刷や、ポット出版の性的少数者関連本発行の経過は、その運動や、社会への理解の深まりとリンクしています。
最初に出した本は2001年6月の『パレード 東京レズビアン&ゲイパレード2000の記録』。パレードが2000年夏に数年ぶりに復活開催されたものの記録集でした。
2007年7月には、尾辻かな子さんがレズビアンとして参議院比例区に立候補したものの2万票代の得票で落選。『タンタンタンゴはパパふたり』はそんな尾辻さんの企画で、落選後の活動模索中のものです。
性的少数者の声が社会に聞こえだした初期の時期で、理解を得るところへの出発点のころかと思います。
そんな状況のなかで売上も足踏みしてた。
2015年11月には渋谷区と世田谷区で同性パートナー制度がつくられます。
性的少数者への理解の拡がりの、おおきな一つの結節点でした。
マスコミで取り上げられることも増えた。
そうした拡がりのなかで、2014年から年に一度は増刷するようになり、2017年からは、増刷部数が倍増(1,000→2,000)です。
書店からの受注電話の印象から言えば、
多くの注文は、書店に注文してくれた人からの「客注」。
そのなかに、図書館、とくに学校図書館からの注文が多い、という印象です。
こんな経過で2001年から始まった、ポット出版の性的少数者をめぐる本。
15年くらいかかって拡がってきたジャンルとなりました。
そして今度の新刊は『ランスとロットのさがしもの』の発行です。
絵本『王さまと王さま』が結婚までのお話、こちらは、結婚後のお話です。
著者も翻訳者も同じチーム。
ぜひ手にとってください。しばらくすると、ためし読みも公開できます。
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ランスとロットのさがしもの
Lance & Lot zoeken zich rot
発行:ポット出版
リンダ・ハーン 文・絵, アンドレア・ゲルマー 訳, 眞野 豊 訳
希望小売価格:1,500円 + 税 (この商品は非再販商品です)
ISBN978-4-7808-0235-1 C8798
A4変 36ページ /上製
[2019年10月刊行]
内容紹介
騎士のランスとロットは、いつもいっしょに世界中を旅したりして楽しく暮らしていました。でも、二人が暮らすお城に帰ると、そこは誰もいない静かで、空っぽで、寒い場所でした。二人は何かが欠けていると感じます。
そして、何日も考えた末、二人は家族を作る「冒険」に出発したのです。
二人の王子さまが恋して結ばれる『王さまと王さま』の作者が次に作った物語は、二人の父親が子どもに愛情を注ぐ、家族の愛のお話です。
・訳者あとがきより
オランダの絵本『ランスとロットのさがしもの』(原題:Lance & Lot zoeken zich rot)の日本語版を全ての子どもたちに届けられることをとても嬉しく思います。
二人の王子さまが恋をして結ばれる物語『王さまと王さま』の次に、リンダさんが作ったこの絵本は、もう一つの愛のお話です。今回の絵本で描かれているのは、家族の愛です。
(中略)
この絵本が生まれたオランダは、2001年に世界で初めて同性婚が法的に認められた国です。これによって同性同士のカップルとその子ども、いわゆる「レインボーファミリー(にじいろかぞく)」は、法的な親子関係を結ぶ権利が保障されました。そうした家族は、日本ではまだ法的に認められていませんが、すでにこの国に存在し、生活しています。日本で暮らすにじいろかぞくは、お互いのサポートのために市民団体を立ち上げ、東京だけではなく地方でもイベントを開催したり、世界中のレインボーファミリー団体と連携したりしています。にじいろかぞくとその団体に共通しているのは、子どもの幸せを中心にして多様な家族のあり方とその子どもの権利を主張していることです。なぜなら、彼らは愛が家族を作ると知っているからです。