2004-11-29

デザイナーに採用されるコツ?

11月16日(木)の柳瀬の日誌についてです。

そうそう、沢辺さんの教育方針に“デザインは学校より現場で習え”があります。“タダでいいから働かせてください、といって現場に入るくらいじゃないと”とも。入社するときに言われたことなので、含意として“本来、給与を出せるような人材じゃないんだけど”があるんだと感じ、ちょっと複雑でした。(「複雑」その2)たぶんストレートな解釈としては、教養や趣味としての勉強をするわけではないので、それぞれの現場で使わないワザや知識は要らない、時間のムダだという意味でしょうか。正しく現場の要望、スケジュール(締切)の下でしか、つかえるスキルは身に付かないというワケです。ああ、早く見習いを脱したいところです。

 
これ、ちょっと僕の考えとは違うと思うんです。
これじゃ、ただの現場主義のおじさんじゃないですか?
(オレってもっと考えてるぞ、と言いたくなってしまうおじさんではあるですけどね)
 
「学校より現場で、タダではたらけ」の意味です。
柳瀬は
●[“本来、給与を出せるような人材じゃないんだけど”]
●[教養や趣味としての勉強をするわけではないので、それぞれの現場で使わないワザや知識は要らない、時間のムダだという意味でしょうか]
と認識してるようです。
 
で、僕の考えです。
 
●デザインの前の、「道具」のロジックもわからない。
これまでデザイン専門学校を出たてのひとを社員に採用したことが何度もありますけど、「1級は0.25ミリ」から教えることが多かったと記憶してます。
「1行43字・17行、13級・字送りベタ・行送り21歯の文字スペースの天地左右は何ミリか?」という問題に答えられたものはいなかったんじゃないかな? それどころか、その問題の意味から解説したと思う。まして、字送りベタを、字送り12.5歯、などにしたらさらに混乱しちゃう。
フィルム版も見たことなくて「抜き合わせ」を理解させるのも苦労する。
4〜5人くらいのデータだけど。
 
●デザインを勉強するのに学校にいくのは、費用がむだだ
2年間の専門学校を想定すると、その学費は200万〜300万じゃないかな? 1年で100万から150万。面倒なので120万と想定して月に10万円。
こんなに金かけて、意味ないとしか思えない。
デザイナー志望者がいて、この金を勉強のためにつかえるなら、その金を1年間の生活費にしてただ働きの丁稚をするほうが、確実に仕事を覚えられると思う。1年で大丈夫だろうから月に20万の生活ができるんですよ。
 
●仕事先を見つけやすいと思う。
デザイナー募集を見つけて、面接にいったって、採用する側から見たらどいつもこいつも、たいした違いはないと思う。
で、なんか売り物を考えないと。
「能力」だとか「個性」なんてそれほど違いはないんじゃないかな、僕も含めた多くの人間は。だから、それ以外で勝負するほうがいい。
「1年間給料なしで働きます。勉強させてください」はすごく有効だと思う。
多くの経営者は社員教育の費用にアタマを悩ませていると思う。まあ、1年くらいはまともに稼いでくれませんから。
たぶん柳瀬が[“本来、給与を出せるような人材じゃないんだけど”]と言われたように感じたのは、こういうことだったんじゃないですかね。
 
あ、それから面接で「勉強させてもらいたい」って言われるの、すごくイヤ。
「あんたに勉強してもらうなら、なんで給料払わなくちゃならないの」って思うもん。
 
●ワザも知識も身に付いていないでしょ、あんまり。
柳瀬は
[それぞれの現場で使わないワザや知識は要らない、時間のムダだという意味でしょうか]とかいてますけど、[現場でつかわないワザや知識]ですら身に付いてるんでしょうかね? どんなワザ? どんな知識? って感じです。
 
学校に行くと同年代の、同じような志望の連中と出会えるし、卒業後の人脈ができるのはいいと思う。
で、そうした機能のためには200〜300万は高いでしょ。
 
また、能力を高めるんなら、せめて1年くらい働いてから学校なんかに行き直して勉強したほうがいいと思う。
「わかりたいこと」がわかるようになるから。