2006-11-21

責任販売について

ここ何年か、本の責任販売の取り組みが続いています。
また、増えているようにも思います。

責任販売とは、ある本を
・書店が責任を持って注文する
・その責任とは
 買切り(返品しない)や、仮に返品するとしても仕入れた値段全額はもどらない
・そうしたリスクを書店が背負うかわりに、通常より安い値段で本を仕入れることができる
(これを出版社からいうと、通常より安い値段・割合で卸す・出荷する)
ということでしょうか。

返品がへるのではないか、
経営難に苦しむ小零細書店の利益を上げるのではないか、
といった期待が、この責任販売にかけられています。

さて、ぼくの意見です。

数年前までは、ポット出版で出来るだけ早く、こうした「責任販売」のようなものに取り組もう、
と考えていました。
ですが、ここ2〜3年はそうした意見が変わってしまいました。

本という商品は、委託というシステムがあっているのではないか、
という考えにシフトしているのです。
委託ですから、返品してよい、ということになります。

もっというと、返品というのはいいシステムなのではないか、ということです。

たとえば、1,000円の本を書店が仕入れると780円(これは一般的な数字で、店によって違いますが)。
220円の粗利になるわけです。
仮に10冊も売ったとすれば、全部で2,200円の粗利というワケです。
10冊以上仕入れたとしても、返品出来るのですから、その粗利は変わりないはずです。

で、責任販売とした場合です。

さきの日書連と講談社で取り組んだ「窓ぎわのトットちゃん」のときはたしか、
書店の粗利は40%だったと記憶してます。これを前提に考えると、

1,000円の本の仕入れで、600円の仕入れ、400円の粗利です。
10冊売れば、4,000円です。
通常の取引より、1,800円粗利が増えます。
が、これは3冊売れ残すと、責任販売で増えた粗利は消えてしまいます。
13冊仕入れたら、3冊の売れ残りで粗利変わらず、4冊以上の売れ残りをだすと逆に損する。
2冊の売れ残りでやっと
(11冊×1,000円ー13冊×600円=3,200円 11冊×1,000円ー11冊-780円=2,420)
で、780円粗利増、という具合です。

書店は、この780円の粗利増のために、リスクを増やす気がするでしょうか?
僕は無理じゃないかな、と思うようになったのです。

これは、いつも言われる本の特性からくるのではないかな、
とおもうのです。
・単価が安いーしたがって1冊1冊ていねいなフォローができない
パソコンを売るならまだ、1台1台、在庫チェックしたりできるだろうけど。
・代替えかききづらいー「ず・ぼん」を買いに行って、その店にないからといって「図書館雑誌」を代わりに買って帰るとは考えづらい
NECでも富士通でもWindows機ならいいや、という客はいるだろうけど
・現物を見て買うことも多い

などなどの特性です。

するとどうしても、「試しに店頭においてみよう」というのを多くせざる得ない、
つまり、返品が発生しやすい。

僕は今、返品40%(業界の平均返品率がこのあたりだそうです)、を
それほど苦労なく(つまりコストもそこそこで)可能なやり方をみつけるのがいいのではないか、
と考えてます。
宅急便・メール便、がこれほど進化してるのですから。