2005-02-11

「Thumbsucker」ほか3本


 

ポツダム広場の行列
ポツダム広場の行列

ベルリナーレの間は、チケットを求めて多くの人がチケットセンターに並びます。写真はポツダム広場の行列。
 

 
 
 
 
 
 
 

Thumbsucer

Thumbsucer

Thumbsucer
「Thumbsucker」
監督Mike Mills

「Thumbsucker」
監督Mike Wills
 
淑子(以下Y):この映画に、キアヌ・リーブスが医者の役で出ていたね。ちょこっとだけベルリナーレに来て、でも寒い中じっと長いこと待っていたファンにクールな態度で、サインもしてあげなかったので、ベルリナーはオカンムリって新聞に出ていたね。

ペトラ(以下P):彼のことはいやじゃないけれども、別に特別じゃなかったわよね。映画の中で歯の矯正のドクターを演じていたけれど、どうということはなかった。17歳の心が揺れる青年が、精神的にぐらついていて、いつも親指をなめているってーのね。オーケーって思える映画だわ。一人の青年が成長する過程ってのは興味深いし、青年も良く演じてはいたけれど、だからといって、どうして国際映画祭のコンペにそういう映画が出なければならないの?それって変じゃないの?テレビ番組だったら問題なかったわよ。

Y:私も、この映画はそんなに心に響かなかった。何か表面的で、それにこの青年は私にとっては、それほどうまい演技だと思えなかった。親指をなめるシーンが不自然なのよね。もっと本当に親指なめてばかりいる人だったら、指に何かしらのクセがあって、執着があって、もっと自然に口と指がくっつくんじゃないかなぁ。違和感あったわ。でも、彼が最優秀男優賞を受賞したのよね。ちょっと??だな。

P:この映画監督、コッポラと友だちだとかで、ふふ〜〜んって感じ。そういう特権的なことがあって、初めてコンペに出られたって印象もあり。

Y:実力がある人なのかもしれないけれども、どうにも面白いと思わなかった。会場もブーイングあったし、何かが欠けていたように思ったわ。

P:記者会見に行ったけれど、どうということはなかった。
キアヌ・リーブスも遅れたとかで来なかったし、とにかくわさわさしていてね。それにアメリカ映画などやスターのいる映画だと、記者会見でも規制が激しくて、小さなデジカメでも撮影禁止だものね。

Y:他の国のだったら問題ないのにね。神経質になっているね。

Asylum
「Asylum」
監督David MacKenzie

P:2本目は、「Asylum」David MacKenzie監督作品。
あるお金持ちと結婚した女性が、家の改装のために監獄から派遣された庭師の仕事をする男とラブ・アフェアーをし、その男は過去に自分の愛人を殺したということで、さぁどうなる、と・・・。
良かったと思う。カメラと脚本が特に良かったな。

Y:え〜〜!! 本当に? 私は悪いとは思わなかったし、最後まで見たし、ドキドキもしたけれども、特に感じなかったわ。子供が一番かわいそうだって思っただけ。大人のいろんなことを描いてはいるけれども、最も注目すべきは子供だったんじゃないかって思うんだけれどもね・・・。何か、その辺の描写が甘いって気がして。だって自分も子供がいるし、そういうことが気になる。

P:それにしても、とっても疲れるよね。時間なくって、映画見てすぐに食事しないと、食べたり休んだりする暇もない!

Y:それが映画祭ってものなのよ〜〜!

P:3本目だけれど、これはコンペ外作品。でも、コンペ枠のプログラムで見ることができるので、私達は一応それも見ることにしたのよね。

Y:そう、やっぱりちゃんとコンペ枠を全て見ないと、全体がつかめないしね。

Hotel Rwanda
「Hotel Rwanda」
監督Terry George

Hotel Rwanda

P:「Hotel Ruwanda」Terry George監督作品で、1994年に起こったルワンダの悲劇を、ホテルのマネージャーを通して描いた作品。

Y:これ、私はけっこう好きだった。一緒に記者会見にも行ったものね。

P:そう、感動したよね。イギリス、アメリカ、アフリカ、イタリアの共同制作。よかったよね。主人公のDon Cheadle。素晴らしい演技だった!

Y:そう、彼はいつも脇役で登場するけれども、ものすごく上手くて、いろんな監督のお気に入りだそうね。どこかで読んだけれども、ブラッド・ピットなどの若手白人俳優が、ドン(黒人)ほどの実力を持っていたら、とっくに沢山のオスカーを手に入れていただろうって。それくらい素晴らしい演技!

P:いわゆるHutuとTutsiという、同じ国の民族間の闘争だけれども、これには深い問題がある。そもそもこの戦いの時に、アメリカもヨーロッパも何もしないで静観していたのが最悪だった。この映画は、本当に起こった話をベースにしていて、実際沢山のTutsiを救ったという。

Y:シンドラーのリストみたいに・・・。彼の奥さんは敵対側のTutsi出身で、そういうこともありえるわけで、この闘争の時もいろんなショックなことが起きる。本当にあった話には説得力があり、俳優も素晴らしかったので、かなり印象深かったわ。白人が先に保護されたり、何かどうすることもできない大きな壁の前で、マネージャーが必死になって全ての人間を救おうとするのよね。

P:この話を見ることには意味があると思う。だって、ほとんどの人がこうした事実を知らないでしょう。映画祭という国際舞台で上映されることで、少しでも多くの人が事実を知ってくれるのであれば、こうしたことが二度と起こらないようになるんじゃないかしら。だから、こういう映画こそ、どんどん映画祭で上映されるべきって思う。

Y:映画祭の魅力はそれだけじゃないとは思うけれども、とても重要な部分だと私も思う。それにしても、この映画がコンペ外というのは意外だったよね。

P:後でその意味がわかったのだけれどもね。

このエントリへの反応

  1. はじめまして。Thumbsuckerの歯医者役で出ているキアヌのファンで勢いあまってファンサイトまで作ってしまっているものですが、現地からの生生しいレポートをとても面白く拝見しました。もしできたらこちらでも紹介をしたいのですが、よいでしょうか?
    (批判的なコメントも当方は全くOKですし)
    また、来年も楽しみにレポートを待っています。

  2. 映画 Thumbsucker

    Thumbsucker

    タイトルのイラストに惹かれて予告を見て以来、すげー気になって仕方がない映画。遅ればせながら気がついたんだけどマイク・ミルズが初の長編映画を撮ったとのこと。 あん