2009-02-15
第59回ベルリナーレ 2月14日
こちらベルリンは、今14日の夜7時45分です。
今日の8時半に賞の発表が行われます。
その前に、今日見た映画を紹介しますね。
●コンペ部門のクロージング映画は、
ギリシャ出身監督の「Eden is West」(コンペ外)
クロージング映画だというのに、冒頭からハプニングがありました。
音声が出ないまま上映が始まり、それに劇場関係者がなかなか気づかず、
気づいて再度音声入りで上映したものの、
途中からだったものだから、ブーイングが起きて、再び中断。
ようやく、冒頭からやり直したという信じられない出来事でした。
コンペ最終日で、関係者も気を抜いてしまったのでしょうか。
でも、映画の方は思いのほか良くて、
こちらもちょっとお疲れモードで最初は寝ちゃうかも?と
思ったのですが、ヨーロッパの知らない一面を垣間見てしまいました。
物語は、エーゲ海で始まります。
ギリシャを経由して、ヨーロッパへ移住するため、
たくさんの人がお金を払って船に乗り込み、密航しようとしています。
航海の最中に警察に見つかり、逃げるために海に飛び込む男たち。
主人公のEliasは、そんな男たちのうちの一人でした。
彼が、ギリシャのリゾート地(ヌーディスト村?)に流れ着き、
そこから遠くパリを目指す物語です。
警察から逃れるために、身を隠しながらの逃走なのですが、
年上の女性に助けられたり、ドイツへ帰るトラックの運転手さんに
助けられたり、そうかと思えば、だまされてお金を取られたり…。
主役を演じるRiccardo Scamarcioが、吸い込まれそうな瞳をしていて、
とっても美しく、思わず引き込まれてしまいました。
彼自身が、英語も話せない設定で、助けられる人々とは、
言葉が通じないので、見ているこちらも心細くなって、
彼と一緒に旅しているような気分にもなります。
ラストシーンには不満が残りましたが、
クロージングに選ばれただけの見応えがありました。
監督は、Costa-Gavras(写真下右)
●フォーラム部門&パノラマ部門の映画も見ました!
韓国の結婚にまつわるドキュメンタリー
「Die Koreanische Hochzeitstruhe」
ドイツ人の女性監督Ulrike Ottinger(写真下右)が
韓国の結婚にまつわる儀式をテーマに撮ったドキュメンタリーです。
お隣の国だけど、知らないことがいっぱいでした。
例えば、結婚する前に、贈り物を交わす儀式では、
大きな箱に品物を入れ、それを男性が背負って運んだり、
ウエディングドレスも着るけれど、古い昔の着物を着て
儀式に挑んだり…。そこでは、花婿が、お嫁さん抱っこならぬ、
お嫁さんおんぶをするんです。
みんながみんな、このような結婚式をするわけではないでしょうが、
とても興味深くて面白かったです。
橋口亮輔監督のヒット作「ぐるりのこと」が
パノラマ部門で上映!
日本で公開されたときに見て、とっても感動したのですが、
ベルリンで見て、再び涙しました。
改めて、心に染みるいい映画だなぁと思いました。
青木さんは開幕してすぐに、会場そばでリリー・フランキーさんを
見かけたそうです。私は見逃してしまったのですが、来ていたのですね。
この映画、ドイツの人にはどのように受け入れられるだろうと
思ったのですが、すご〜くいい感じでした。
青木さんによると、通常エンドロールが始まるとすぐにみんな立って
帰ってしまうそうですが、質疑応答もないのに
最後までいた人が多く、拍手のとても大きかったです。
最初の方で、妻がセックスの日を週3日と決めて強要するシーンが
あるのですが、そこでの微妙なやりとりにも、
くすくす笑いでかなり会場が沸いていたので、
うれしくなりました。
写真下は橋口監督。
日本映画「そらそい」がジェネレーション14プラスで上映!
ジェネレーション部門は子ども向けの映画で、
今日は土曜日ということもあり、
子ども連れの人々で、あっという間に会場は満席になりました。
創作ダンスサークルの大学生のひと夏の合宿を描いた映画なのですが、
びっくりしました。客席の反応に。
中年女が見ると、冒頭から中盤までは、
ちょっと子どもっぽいなぁと、ちょっと引いて見ていたのですが、
会場からは終始笑い声が上がるんです。
子どもって、理屈じゃないんですよね。
私の隣の女の子なんて、身を乗り出して見ていましたからね。
私も最後は、結構面白く見ました。
学生たちが練習しているダンスが、
すごく下手なんだけど(毎年最下位という設定)、
最後に見せる海岸でのダンスシーンは、とっても素敵に見えるんです。
コンペでずっと、どっちかというと、年配の人々の暗い、
考える映画ばかり見ていたので、
若いっていいなぁと素直に思える映画でした。
映画に出た女の子たちが結構な人数でベルリンに来ていて、
写真下の右は、この日の質疑応答のシーンです。