2009-02-16

第59回ベルリナーレ 受賞作について(詳細)

今日のベルリンは、一面の雪景色です。
しんしんと雪が降り積もっています。

さて、先日速報で伝えた受賞作について、
今日は写真入りで紹介しますね。
(受賞作のタイトルのところをクリックすると、その映画を見た日のレポートに飛びます)

金熊賞 
★ペルー出身のClaudia Llosa監督の作品
La teta asustada (The Milk Of Sorrow)

20090090_1.jpg20090090_7.jpg

テーマの衝撃性、映像の迫力、社会性を全面に押し出さない抑えた演出、
どれをとっても、これをおいてほかにはなかった!という「金熊賞」だと
思います。とくに、欧米の人にとっても、アジアの人にとっても、
中東の人にとっても、遠いペルーでおきていたことは、未知のこと
だったのではないでしょうか。
右の写真は監督です。

銀熊賞ー審査委員大賞(2作)
★ドイツ映画「Alle Anderen (Everyone else)

20090016_1.jpg20090016_7_1.jpg

この映画、ドイツの新聞「ターゲスシュピーゲル」で、
ずっとトップの評価だったのですが、私自身はこの映画のどこを
そんなに評価するのか、納得できませんでした。
審査委員大賞と最優秀女優賞を取ったのですから、
自国だけでなく、世界が評価したということですね。
でも、私にはその評価点は分かりません。
テーマも、その描き方も、ありきたりで、新鮮みはありませんでした。
もし評価点があるとしたら、そのありきたりなテーマ、
シチュエーションを、奇をてらうことなく、真っ当に描いた、
ということでしょうか。
右の写真は監督です。
金熊賞の監督もそうですが、女優さんと言っていいぐらい、
2人とも美しいですね。

アルゼンチン出身の監督が撮った
Gigante

20091885_1.jpg20091885_7.jpg

これは、納得の受賞でした。
新人監督賞、アルフレッド・バウアー賞の計3賞の受賞です。
テイストは全く違うのですが、日本の「電車男」を
ちょっと思い出しました。
ウルグアイ、ドイツ、アルゼンチン、オランダの合作で
舞台はウルグアイのようです。
右の写真は監督です。

銀熊賞ー最優秀監督賞 
★イラン映画「Darbareye Elly (About Elly)」の
Asghar Farhadi監督

20097475_1.jpg20097475_5.jpg

これも、ドイツの新聞「ターゲスシュピーゲル」では、
すごく評価されていた作品です。でも、私自身はなぜそんな高い評価なのか、理解できませんでした。
扱っているテーマは、進歩的になりつつある都会的なイランの夫婦に、
事件が起こることで波紋が広がり、隠されていた秘密が明らかになる…、
という興味深いものでしたが、それが、観客にストレースに伝わる
作品には仕上がっていなかったように思います。
イランでは、映画制作に関してまだまだ規制があるのかもしれず、
その辺を加味してみると、評価できるということなのでしょうか。

映画は、社会に強烈なメッセージを送れる手段となりますが、
一方で、娯楽の要素もなければ多くの人に届きません。
その両方を両立させるのは至難の業で、それができたとき、
偉大な芸術作品が生まれるのだと思います。
私自身は娯楽要素だけのバカバカしい映画も大好きですが、
この作品は、そのどちらも中途半端だったような気がします。
右の写真は監督です。

銀熊賞ー最優秀女優賞 
★ドイツ映画「Alle Anderen (Everyone else)」の
Birgit Minichmayr

20090016_3.jpg

スタイルはとってもいいのですが、いわゆる美人でキュート、という
雰囲気の女優さんではありません。演技力ある〜!という人なのだと
思います。映画の中でも、すねたり、わがままいったり、
彼を喜ばせるために的外れのことをやったり…という一つ一つが、
自然体で、かわいげがなかったです。

銀熊賞ー最優秀男優賞 
★「London River」のSotigui Kouyate

20092220_3.jpg

私の一押しだった作品ですが、最優秀男優賞のみにとどまりました。
確かに、存在感は抜きん出ていました。
歩いているシーンだけでも、その人となりが出ていたように思います。

銀熊賞ー芸術貢献賞
★「Katalin Varga」の音楽担当者2人に

20091070_1_1.jpg

救いがない映画でしたが、私は結構心惹かれる映画でした。

銀熊賞ー脚本賞 
★イラク帰還兵を描いた「The Messenger」の
Oren Moverman and Alessandro Camon

20090094_4.jpg20090094_6.jpg

右の写真はオーレン・ムーヴァーマン監督です。

アルフレッド・バウアー賞
★「Gigante」のAdrian Biniez

審査委員大賞と最優秀新人監督賞のトリプル受賞です。

Tatarak (Sweet Rush) 」のAndrzej Wajda
巨匠が、新人監督と一緒に受賞しました。
82歳とは思えないエネルギッシュな監督ですね(写真右)。

20096932_7.jpg

最優秀新人監督賞
★「Gigante」のAdrian Biniez