2005-02-17

「Sometimes in April」ほか3本

ペトラ(以下P):100日間で、なんと100万人も殺戮で殺された悲劇、ルワンダの民族闘争を描いた作品。前に見た、ホテル・ルワンダと全く同じテーマでコンペ作品として登場したのがこれ、「Sometimes in April」。Raoul Peck監督作品。

 *「ホテル・ルワンダ」のレポートはこちら

 

Sometimes In April

Sometimes In April
「Sometimes In April」
監督Raoul Peck

 
アメリカとルワンダの共同作品で、前の映画と同じように、ふたつの民族の戦いが怖いくらいにリアルに映像化していて、本当に見ていてつらくなった。

淑子(以下Y):前のホテル・ルワンダの時は、それでも希望があって、危ない所でみんな助かったりしたけれども、この映画は本当にあった悲惨な部分を残酷に見せていて、かなり怖かったわ。アメリカなども助けようとせず、ひたすら殺戮の中で困り果てる人々。凄かったけれども・・映画的に見たら、あまり新しいものはなく、ちょっと残念な気がした。もう少し別の表現方法があったのではないかって。気持ちはわかるのだけれどもね。

P:石油がないために、全くアメリカなどが援助もせずに放ってしまうという現実。ひどいって思うし、この監督はそういう人間の負の部分をいつもたくみに映画化しているのよね。立派なことだと思うし、映画も悪いとは思わなかったけれど、それにしてもひどい現実・・・。

Y:新聞評も悪かったけれど、現実を見つめるにはこうした映画が映画祭で、世界中の人々に見てもらえるのには、大きな意味があるなと思う。私もこうして、知らなかったルワンダの悲劇を知ることができなしね。

P:本当につらいけれども、何か世の中がわかってくれればいいわね。そのためには、こうした映画も必要かもね。
 
 
Y:そして、待ってました! 私の大好きなイッセー尾形さんと、やはり女優としてとても大好きな桃井かおりさんが出演している、「太陽」。ロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督作品。
 

Solnze
「Solnze」
監督Alexander Sokurov

これは、3部作として、権力を持った人間に迫る最後の作品として作られたのよね。ヒトラー、レーニン、そして昭和天皇。この天皇に扮したのがイッセー尾形さん。戦後まもなくの話を描いていた。

P:まず、ものすごく俳優に力があった! これにはびっくり。私はね、昭和天皇がお亡くなりになった時に、わけもわからず、友だちに誘われて、皇居に伺ったのよ。

Y:え!! そういえば、その頃ペトラは日本に留学していたんだよね。そうだったの。

P:私は、昭和天皇は国民に愛されていたってことしか知らなかった。でも、この映画を通して、もっと深い意味に気づいたことは、素晴らしいって思う。良い映画だったわ。それに、監督も記者会見で言っていたけれども、とにかく映画というのは総合芸術で、そういう意味でもカメラも自分で撮って、最も自分の気持ちを表現できるように頑張ったって。そういう努力も感じられる、映画的にも素晴らしい作品だと思った。

Y:私の中では、コンペで一番良かった作品だし、イッセー尾形さんの演技が本当に素晴らしくて、主演男優賞を受賞しても良かったって思うほど。それに、皇室をテーマにした作品というのは、日本ではとても難しく、なかなか思うようにはいかないし、報道規制もあるのでね、それなのに、天皇の側から描いたというのは、とっても勇気のあることだと思う。

P:私も好きな映画だわ。それに、記者会見では、ソクーロフ監督が、「映画というのはまるで木のようなもの。水を与え、世話をし、何が咲くか楽しみで、そうやってたわわに美しく成長していく。そういう映画を作っていきたい。」と言ったのは素敵だった。よくわかったしね。

Y:3部作だけでは物足りなくなって、4部作、5部作になるって意欲も見せていたよね。彼は、大きな権力を持った人間が、極限の状況に立たされた時、一体どのような行動や思考を持つのか、そのことに興味があるって言っていたよね。しかも、ロシアは、天皇とマッカーサーによる、早期の平和的解決を決断したことで、多くの国民が救われたと思っている、だから、日本の皆さんに私は感謝しています。ありがとうございます!」って言ったのには驚いた! ロシア人に感謝されるとは! 感動的なお話で、記者会見も映画同様面白かったね。

P:音楽も、最初は邦楽なども検討していたけれども、いろいろ進めているうちに、クラシックにいきついた、あるいはそういう方向の音楽にすることにした、ということも興味深かったわ。それにしても、尾形氏はあのような昭和天皇を演じることは、今の日本ではさぞかし勇気のあることなのでは?

Y:そうね・・・。何事もなく、日本で受け入れられて、上映されることを祈っているわ。見ればわかる! ものすごく素晴らしいんだし!

P:この映画は、ロシア、フランス、スイス、イタリアの共同制作ね。

Y:桃井かおりさんの皇后役も良かった。でも、最後のワンシーンのみの出演だったけれども。

P:今日の最後の作品は、「De battre mon coer s’est arrêté」。フランス映画でJacques Audiard監督。

De battre mon coeur s'est arrêté
「De battre mon coeur s’est arrêté」
監督Jacques Audiard

これについては、あまりに神経逆なでされるような内容で、うんざりで、せっかくいい作品を見た後なのに参ってしまって、途中で出てしまったのよね。

Y:父と息子の話よね。それくらいしかわからなかった!! それくらい早く出てしまった!笑

P:ひどかったわ。何が何だかわからず・・・。とにかく見ていて腹立たしくなってきて、イライラするのよ。どうしてこんなものを強制的に見なくてはならないのって。だからこの映画については、もう言わなくてもいいよね。

Y:何も言うことがございませ〜〜ん! というか、言えない・・わからないから!