芝居編 10|09|08|07|06|05|04|03|02|01 |
芝居編04●劇場の観客席における多様性の維持について |
●書き手 |
「障害者にやさしい社会はみんなにやさしい」という言葉は、誰でも一度は聞いたことがあると思う。 ・音声ガイド、日本語字幕の操作室として、プロのスタッフの使用「バリアフリー操作室」の条件 1.音響室、調光室と同様に、舞台が正面からよくみえること。将来、目が不自由な観客、耳が不自由な観客へのサポートの不足による観客席への影響が予想されます。 この問題の効果的な対策が、バリアフリー操作室の設置です。 現在も、目が不自由な観客、耳が不自由な観客は、劇場へ足を運んでいます。 音声ガイド、日本語字幕がない場合、演劇や映画の理解にはバリアがあります。このため、「同行者が隣の席で、視覚障害者には小声で、聴覚障害者には、手話や指文字、そして難聴者の場合には時としてやや大きな声で、舞台の説明をする」というのが現状です。 観客席は、舞台と一体化し、感動を創り出す場所です。静かなシーン、緊張するシーン、観客が集中できる環境が必要です。現在は、観客数が少ないことから、隣席でのサポートは、目立つ状況ではありませんが、『声がうるさい』『感興をそがれる』などの他の観客とのトラブルは、少数ですが発生しています。 今後、観客の増加に伴い、サポートが必要になることは明白です。 「バリアフリー操作室」の設置は、この問題の有効な解決策です。 2. 車椅子使用者が、ロビーも含めた劇場内を自由に楽しめるハード整備 劇場の楽しみは、観客席につく前に、始まっています。 劇場にスムーズに着き、「いらっしゃいませ」と迎えられてロビーに入り、飲み物やパンフレットなどを手にすること。偶然出会った知人とおしゃべりをし、ざわめきのなかで開演のベルを聞き、周りの観客といっしょに、開演・上映の時を待つこと。公演が終わり、「楽しかったね」「来てよかった」と満足し、同行した友人たちと、会話を楽しむこと。 これらの「普通の劇場の楽しさが、すべての人の楽しみになること」が、劇場のバリアフリーです。 「劇場の楽しみ」のための条件 1.車椅子使用者に、他の観客と同じ動線が確保されていること。このようなハードがあれば、以下のことが可能になります。 ・車椅子使用者の「普通の劇場の楽しみ」の享受現在も、車椅子使用者等の移動への、劇場スタッフの対応の問題があります。 この問題の効果的な対策は、他の観客と同じ動線の確保です。 現在は、劇場入り口からロビーをとおったスムーズな動線が確保されていないことが多いため、劇場で、スタッフが対応しなければならないことが多くあります。 劇場の場合、ホテルなどと根本的に違う「スタッフの問題」があります。 ホテルの場合は、フロントにいるのはそのホテルを熟知しているホテルスタッフです。しかし、劇場の場合は、「貸館」という使い方が、一般的に多く行われています。この場合、チケットもぎり、ロビー案内は、劇場のハードを熟知していない劇団スタッフや、外部スタッフです。 現在も、日常使わないエレベーターを使う、荷物運搬用の通路を使うなどの方法で観客席に案内することは、スタッフと観客の双方にとって、負担になっています。今後、観客の増加にしたがい、他の観客と別のルートにいちいちスタッフが案内しなければならないとすると、人的に対応しきれないことも考えられます。 また、非常災害時には、スタッフの対応は、不可能ではないかと考えられます。車椅子使用者が、ロビーも含めた劇場内を自由に移動できる動線を確保することは、この問題の有効な解決策です。 ●そして、ハードが、人を育てます。 図書館では、「対面朗読ボランティア」が活躍しています。 ここでは、「対面朗読室」の存在が、ボランティアが活躍するために必要な条件でした。 劇場でも、「バリアフリー操作室」や「他の観客と同じ動線の確保」で、多くのスタッフや、市民ボランティアが活躍します。 ●「多様な人がともにいる劇場」の実現を。 「多様な価値観や意見の共存」、が、バリアフリーシアター・ジャパンのテーマです。いろいろな人がここちよく共有、共存するためには、そのためのシステムが必要です。 観客の声、劇場スタッフの声、演劇映画の創り手などのプロフェッショナル…多様な意見のネットワーク、新しいノウハウの創造と交流と展開が、バリアフリーシアター・ジャパンのしごとです。 |
page top ↑ |
|ポット出版
|ず・ぼん全文記事|石田豊が使い倒すARENAメール術・補遺|ちんまん単語DB| |
|
|