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芝居編 10090807060504030201
映画編 10090807060504030201

芝居編01●バリアフリーシアター・ジャパンって何だ?

●書き手
高島琴美さん
バリアフリーシアター・
ジャパン

さて、カクスコの芝居を観に、相模原まで行ってきました。
え?来年解散を控え、チケットとれない公演になっているカクスコのチケットをどうしてまた入手したんだい??とか、何故に新宿のシアタ−トップスではなく、新宿から小田急線で40分の、相模原?という疑問をお持ちの貴兄、あるいはなんだそれ、それ劇団の名前なの?などの疑問をお持ちの貴方にはおいおい説明をいたしたいと存じますが、とりあえず、芝居を観に行ってきたのです。

今回の公演、昨日は、千葉から、全盲の男の子がカクスコ観たさに来てくれました。
彼は前日に渋谷の友人宅に泊まり、普段あまり乗らない小田急線に乗って、降りたことのない相模大野の駅まで、一人で、来てくれました。

慣れない路線なので、たぶん急行と準急を間違えたのか、すこし遅れて到着。相模大野の駅の中央改札を出たところで、初めて会う私と待ち合わせをして、駅からホ−ルまでは道案内をしながら、一緒に行きました。

帰りの道すがら、芝居面白かったね!とか話していると、彼は駆け出しの彫刻家だとのこと。収入が不安定なので、好きな芝居もあんまり観にいけない、ということで、芝居を観にいくにあたってのバリアは、彼の場合、チケットの値段!とのこと。

価格破壊の昨今、なぜ芝居のチケットが値下がりしないのか?という話になり、やっぱりユニクロと違って、芝居は人件費が安い国に工場を作ることもできないし、空洞化しにくい産業だよねー、って話をしたり、最近、テルミンがなんかブ−ムだよね、彼は、こないだその映画観にいったけど、洋画だから、台詞は英語で、字幕朗読がなかったので、よくわかんなかったーみたいな話をしているうちに、新宿についたので、ではまたね、と言って別れました。

人はさまざま。彼は全盲だけど、こんなふうに観たいからという理由でどこにでも一
人で行ってしまう。つまり、「全盲の人には必ずいつでも絶対にガイドヘルパーが必要だ」、というわけではないのです。

でも、一人で外出するなんて、そんなこと絶対に無理な、目の不自由な人も、沢山いる。

私が今、急に目が不自由になったら、点字も読めないし、今までだって方向音痴だったのだから、それが突然治るはずもなく、ゆえに、一人で何処へでも出掛けていくなんて、すごく大変な、不可能に近いことになると思う。
芝居を観にいく、劇場へ行く、なんて、どうしても必要な事ではないかもしれないけれど一人で劇場へ行くことが不可能に近いことになる、映画を観にいっても、字幕がまったく読めない、としたら?

バリアフリーっていうと、すぐに車椅子、エレベーター、と思いがちだけど、ショウガイの種類も、状況も、ほんとさまざま、ひとそれぞれ。バリアは思いがけないところに転がっています。

「劇場の観客席をすべての人に開くこと」を目標に活動しているバリアフリーシアタージャパンの思うこと、日々であうこと、いろんなバリア、いろんなこと、を書いていきたいと思います。バリアはほんと、ひとそれぞれ。劇場のバリアフリーって、何?と聞かれても、一口では説明しにくいので、長い話になりますが、どうぞよろしくお付き合いくださいませ。

   
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