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映画編05●「映画館で観れた」という感激 |
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和田佐知子さんは、City Lights のメンバーの1人。 ある視覚障碍者の外出支援サポートを行っているグループの代表と方とお会いしたときに、和田さんのお話をはじめて聞いて「この人にはすぐに会わねば!」と思ったのです。それで彼女と会ったのが縁で、私は「映画館でなければ!」という思いをさらに募らせたのです。 彼女は視力を失った直後、映画館が自分から遠ざかっていく悲しみを、なんとかして伝えようと、映画配給会社や映画雑誌の出版者や映画解説の有名人に手紙を書きまくったそうなのですが、返事がもらえず、すっかりふさぎ込んでしまい、外出すらあまりしなくなってしまったそうです。 当時は、海外の障害者の映画鑑賞事情まで調べて、あれほど活発に動き回っていた人なのに・・今は全くあきらめてしまったようだ……とそのグループの方も心配している様子でした。 私は「この人がもう一度元気を取り戻すには……映画しかない!」と思いました。 では、彼女の文を紹介します。 私は映画好きな視覚障害者の1人。 というのは、私は大学時代に見えなくなったいわゆる中途失明者なんです。 でも、テレビや雑誌で紹介される映画情報を聞いて、「やっぱり見たいなー」と思って映画館に足を運んでも、字幕が見えなくてはちっともストーリーがわからず、感動や人生観を考えられる時間のはずが、すごく苦痛な時間に変わってしまったものでした。 それと、映画好きな友達と見終わった後に「あのシーンよかったよね」とか「あんな所行ってみたいよね」と、ただ単に映画を見るだけではなく友達との共有の話題があったのですが、それに入っていけずすごく阻害感を感じたものでした。 映画館ではせめて字幕だけでも隣で読んでくれるシステムはできないかなとずっと思っていたものでした。そうしたらひょんなきっかけで City
Lights の稲葉さんと出会い、私がまさに思っていることを活動されていると聞き、初対面ながら稲葉さんの積極的なところには驚き、「この人なら、もう一度洋画を映画館でという願いをかなえてくれそう」という何かピンときたものを感じちゃったんですね。そうしたら本当にMDに字幕を事前に録音しておいてくれ、ましてや状況説明も付けてくれて、数年ぶりに映画館で「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を見ることができたんです。 「映画館で洋画」を見ることは、どうしても視覚障害者にとって字幕をフォローすることと、洋画に限らず状況説明がないとどうしても楽しむことができません。 目が不自由になったとしても、やはり好きなものは好きなわけで、画面が見えなくたって少しでも映画の感動を味わいたいという気持はなくなったわけではありません。 これからもこのような活動が活発となり、目が不自由な方にも映画の素晴らしさを1人でも多くの方に味わっていただければなと思っています。 |
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