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[第9章●午前3時の小ワザ] 12… ダーマトグラフ |
[2004.03.25登録][2004.04.05更新] |
石田豊 |
前回書いた測量野帳とボールペンの記事に対する反応の意外な大きさに、しょうじき、驚いています。前回記事の下には、お三方からのご意見が並んでいますが、その他にもメールや電話でこちょこちょといろいろ。正規表現を書いていた時とは全然違います。みなさん、お好きねえ、と。 で、今回は前回の補遺のつもりで。 まずはポストイッターさんの意見のなかにあった「ノックの部分の形状が各色ごとに異なる」多色ボールペン。こういうエピソードには激しく反応してしまいます。好きなんですね。こういう話。 しかし、よくよく冷静に考えてみたら、これは知っていた。しかも現物も触ったことがあるような記憶があります。それなのに、なぜ制式採用しなかったのか。もともとこういう話には惹かれるタイプなのに。 熟考の末、わかったことは、ノック部分に差異がなくても、いちいち視認しなくても色を間違えないで使っているということでした。つまりゼブラの3色ボールペンでも、ノック部分を見ないで赤インクを繰り出すことができます。 右手でペンを持った場合、クリップの手前にあるのが黒で、向こう側が赤。クリップの対向にあるのが青ということが、なんとなく無意識にわかっている。現に、誰かと話をしながら、無意識に近い感じで赤にかえてメモをぐりんと丸で囲んだりしています。 トンボの言う「看護婦さんの意見」ってのも、ちょっとマユツバのように思えちゃう。ほんとに現場からそういうニーズがあったのか、どうか。それがほんとに「現場」なのか、どうか。 源氏名「ポストイッター」さんは、まったく知らない人ではなく、実際にはお目にかかったことはないものの、いろいろと経緯があって、その過程のなかで、そのセンスとか判断力とかには満腔の敬意を感じている方ですが、あえて、ホンマかな、と疑義を呈しておきたい。 ペン類に関する私の嗜好は「突然書けなくなることがない」という軸を中心に作られているように思います。だからサインペン系のものは、もひとつ信用できない。いきなり書けなくなることがありますからね。ボールペンもかつてはこの理由から好きじゃなかったんですが、ゲル(ジェル)系のインクのものが出てから、安心して使えるようになりました。私の経験ではゲル系のものはインクがなくなる以外の理由で途中で書けなくなったことは一度もない。出始めのころは、書き始めのときにインクがボテっとなるようなことがよくありましたが、最近はそれも改善された。ですんで、もう、ジェルインク系で決まりと思っています。 「突然書けなくならない」という観点ではマーカー、つまりシルシを付けるための筆記具の王者はダーマトグラフだと思っています。紙巻きの色鉛筆で、ワックス分が多く、金属やフィルムの上にもちゃんと書ける。 たとえば校正紙を見ながら原稿を修正する場合とか、リストをひとつずつツブしていく場合など、何かにシルシを付ける場合にはこれがいちばんいい。ラインマーカーなどは、いきなりかすれて書けなくなることがあるのでコワくて使えない。 DTPの現場で、校正紙の修正部分を消す作業(ここはやったというシルシを付ける作業)をラインマーカーを使っているのをよく見るんですが、これが不思議でなりません。なんでダーマトを使わないのか、と。 校正紙の赤字をDTP上に反映したら、その赤字にマークをつける。そうしないと後でちゃんとやったかどうかがわからなくなります。そうして修正をほどこした結果を出力して、それが正しく赤字反映されているかを再度校正紙と見比べながらチェックする。このときも赤字に別色でマークを付ける。このマーク付けをなにでやるか。 校正を反映する作業は長丁場です。ラインマーカーのフタをその長丁場であけっぱなしにしておけば、かすれて書けなくなるんじゃないかな。ダーマトなら、そんな心配はいっさいしなくてすむ。色鉛筆は紙の素材によっては、ちゃんと乗らないこともありますが、ダーマトなら大丈夫。それにずいぶん経済的です。単行本1冊の赤字反映をやると、ラインマーカーならそれだけで1本使い切りになっちゃうでしょうが、ダーマトだったら、半分もいかない。 校正作業だけじゃなくって、一般の事務作業でもリストの消し込みなんかで使える部分はずいぶんあるでしょう。板坂元「考える技術・書く技術」(講談社現代新書・名著です)には、本に傍線を引くのに使うとあります。本の傍線は後で目立ちすぎるので実践してませんが、もらった企画書なんかにアンダーラインを引くのにはよく使っています。 このすばらしい製品が、なんとなく最近、必要以上におとしめられているのではないか、と思うのです。だってアスクル、カウネット両方のカタログに載ってない。 どうなってんねん、と私はいいたい。 |
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ポストイッターさんより [2004.04.05] |
3色ボールペンのノック 確認しました。ちょっとしたコツさえつかめば、他メーカーの多色ペンでもノック部をみなくてもペンの選び分けは可能でした。ワタシは形状が違わないと色が選べないとずっとおもっていました。当たり前のことを大騒ぎしていたようですごく恥ずかしいです。恥かきついでに当時のニュースリリースをネットで調べて読むと、多色ボールペンの大量消費者である医療従事者の、照明環境の整わない状況(つまり暗がり)でのインク選びを補佐する云々という記述がありました。ノック部の形状をそれぞれに変える、というアイデアから商品開発をして、それに当てはまるユーザーを探した可能性が高いようですね。暗がりで多色ペンを使用している看護婦さんたちが色の選び分けできないはずないですから。なんか不正確な情報ばかり提供してしまってすいませんでした。反省してます。 ____ いえいえ、そういうつもりで書いたわけではありません。でも、そんな方向のマーケティングって、よくありますよね。(石田) |
ポストイッターさんより [2004.04.05] |
だーまつ 会社のデザイン部署でポジフィルムに指示を書き込むのにダーマトを使っています。ワタシはずっと「だーまつ」だとおもってました。三角スケールを「さんすけ」と呼ぶように、親しみを込めて「だーまつ」と呼んでおりました。会社にはちびたダーマトグラフしかないもので側面に書かれた正しい名称を知らなかったんです。これもまた恥ずかしい話ですね。 ____ 年配の方で「デルマト」という人も多いですね。どーもお医者さん起源の呼び方ではないかとアタリをつけているのですがね。彼らもレントゲンフィルムの上にダーマトを使いますしね。(石田) |
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