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[第9章●午前3時の小ワザ] 11… 測量野帳とSARASA3 |
[2004.03.18登録][2004.07.26更新] |
石田豊 |
このところいささかアップアップ状態なので、バックアップとかRubyの話題(正規表現の続き)は書けませんでした。雑談でお茶を濁そうか、と。ま、いつも雑談ではあるのですが……。 私の外出時の筆記用具はここんところずっと「コクヨ測量野帳+ゼブラ3色ボールペンSARASA3」で決まりです。これが私にとってはもっとも使いやすい。 この原稿を書くにあたって、わざわざ撮影用に新品を購入して参りました。使用中のはいささかくたびれていて撮影に耐えないためでもあり、現在もちゃんと「生きている」かどうかの確認のためでもあります。野帳150円+ボールペン350円のしめて500円。このように安価であるというのも、制式採用の理由のひとつかな。 この2品は、どこでも入手可能である、ということも私にとっては重要です。たいていの文具店で常備されています。うっかり持って出なかった場合や、ストックを切らした場合にも補充が容易です。 コクヨの測量野帳はタテ160mmヨコ91mmの小型のノートです。表紙がかなり厚い紙でできており、立ったままでも平気で書き込むことができます。電車の中でも楽勝。40枚(80ページ)ありますから、「容量」的な不安もありません。なにより、この40枚の紙が5つの折丁の糸かがり製本されているところが気に入っています。無線とじなどではないため、表紙を折り返して使ってもびくともしません。ヘビーデューティー仕様です。なんてったって野帳って言うほどですからね。 測量関係者や理学部の学生さん(野外調査によく使っている)の数はそうたくさんはいないでしょうに、場末の小さな文具店にもある(ことが多い)のは、密かな愛用者が多いことをうかがわせます。 このシリーズには実は3種類の変種が存在します。撮影したのはそのなかの「LEVEL BOOK」(セ-Y1)っての。これがもっともよく見かけます。近所の文具店にはこれしか常備していない。他に「TRANSIT BOOK」(セ-Y2)、「SKETCH BOOK」(セ-Y3)があります。これら相互の違いは中身の罫がどうなっているかだけです。私としては薄青色の3ミリ方眼罫になっている「SKETCH BOOK」がもっとも使いやすいのですが、売っていないことも多く、時によっては「LEVEL BOOK」を代打起用しています。それでもまったく使い物にならないなんてことはない。気分程度の差です。 これを常時携行用のメモ帳として使用しています。取材時のメモ取りにも使うし、街中で見かけたモノ思いついたコトを記入するのにも使います。 常時携行の条件を満たすためには、このように薄く小さいということが(私には)必須です。これならジャケットの内ポケットにも、ジーパンの尻ポケットにも入る。Tシャツ1枚の夏の散歩でも携行できるわけです。 ヘタなリングなどもないため、かさばらず書きやすい。薄いので、情けないほど汚れてしまう前に使い切ってしまえます。私のライフスタイル(おおげさな)では、以前に書いたメモを外出先で参照しなければならないなんてことは絶無なので、ある程度頻繁に更新されるほうが気分もいい。それに万一落としたり、なくしたりしても、ダメージは最小限ですみます。 取材時のメモ取りにいわゆる「大学ノート」を使っていた時期もありましたが、喫茶店の小さなテーブルでは広げにくいし、なによりインタビューイにノートの内容が見えてしまうことが、小心者の私には気になって仕方がない。 なんでインタビューイは取材者のメモをのぞき込む習性があるのかなあ。ヘタなこと書けなくなるし、キンチョーもする。勢いショボいメモになりがちで、あとで、何やってんだ、ってことになる。 野帳なら中表に折って「矢立をつかう芭蕉」風の筆記スタイルをとることで、相手の邪悪な視線を遮ることができます。「ココデハナヲホジル」などと書いてもOK。 よく似た理由でもって、電車の中でメモを取ることも、野帳なら可能です。これ以上のサイズのノートでは難しいんじゃないかな。表紙が十分に堅いから、立ったままでもふにゃふにゃしないし。 この野帳にゼブラのSARASA3を使って書く。 これは要するに3色ボールペンです。取材のメモに関して言うと、色が複数ないと、あとでとんでもないヘマをやらかすことがあります。「私が考えたこと」と「相手が言ったこと」を取り違えてしまう、などです。だから多色ボールペンは必須です。帰りの電車の中で記憶の熱いうちにメモに追記することも多く、その場合は色を変えないと、何のコトやら後でまったくわからなくなります。 それに多色ボールペンは必然的に軸が太くなり、細いボールペンに比べて長時間の筆記の際の疲れがまったく違ってきます。 数ある多色ボールペンの中にあって、なんでSARASA3を使っているかというと、ホントの理由はたまたま使っていて気に入ったからでしかないのです。たまたまかもしれませんがパイロットの製品は2回連続でシャツの中でインク漏れを起こしたりして、もう2度と使うか! と次回購入時に候補から排除する、なんていう具合の消極的選定法の中で勝ち上がってきたのがコレです。 といっても私は替え芯補充派なので、新規にボールペン本体を買う機会はそうなく、そんなにたくさんの製品を使い比べたわけではありません。 これはジェルインクということで、同じゼブラのクリップオンシリーズ(油性。こちらは4色タイプがある。4色はエラく便利なのだが)よりも、書き味がなめらかで、特に高速筆記時にその違いは歴然です。よく知らないんですけど、ジェルインク(あるいはゲルインク)で多色のノック式ってのは他にあるんでしょうか。 ただ、難点は通常の油性ボールペンに比べると、インクの減りがむちゃくちゃ早いということ。取材の途中などでインクがなくなると、タマをうち尽くした203高地守備兵のような絶望的な気分になります。もちろんそういう場合は別の筆記具も持参しているわけですが、人馬一体とでも言うのでしょうか、途中で武器をとりかえると同じ調子を維持できるものではありません。 以前の多色ボールペンは、軸と芯の間にアソビがあり、筆記時に多少のガタつき感があるものが少なくありませんでした(今でもある)。こういう分野でも技術は着実に進化しているようで、最近のもの、とくにゼブラの製品では、このガタつき感はほぼ完全に解消されていると思います。 いまふと気が付いてみると、私はどうもゼブラの製品が好きであるようです。多色ボールペンにしても、この会社の製品は、どことなくキッチュ感を濃厚に漂わせている。この感覚が好きなのでしょう。350円程度のものに高級感があることのほうがヘンだと思うんですよね。 ともあれ、野帳+SARASA3の組み合わせは私にとって今のところ野戦での鉄壁の標準です。 |
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ひだかさんより [2004.03.18] |
モバイラーではないので ●「多色の筆記用具が必須」は激しく同意 ●「適度な薄さ」にも激しく同意。メモなんて使い捨てにしとかないとコワいですから ●「持ち運びできるサイズ」については、基本的に筆記用具はカバンに入れるので不同意。しかし、大学ノートくらいデカいと「覗かれる鴨」という不安感には激しく同意 ●基本的にモバイラーではないので、A4の紙を紙挟みで綴じたものにガンガンモノを書きます。文字情報として必要ならばPCに移すし、図とかスケッチならば仕事別のフートーに入れて保存、というのが比較的定番のパターン。みんなに見せたり、書き込んでもらう超小型ホワイトボードとしてもこれくらいのサイズが嬉しい ●個人的には「コレだー!」という筆記具にはまだ出会えていません。ゲルインク系だな、という点は同意できますが。赤いボールペンと黒いボールペンとA5リング式メモ帳(この3点は会社支給なので補給が容易)、ですかね。 ____ 私も「かばん時」「非かばん時」でのノートの使い分けをしていた時期もあるのですが、そうすると、非かばん時のノート不携行あシマッタ事故が多く発生し、だったらぜんぶ小型で行こう、と、こうなりました。ま、それでもいろいろ揺れ動いているのではありますが。(石田) |
大富亮さんより [2004.03.19] |
野帳、前に使っていました いつも参考にさせていただいています。 野帳、前に使っていました。10冊ほど使って、その後、筆記にイラストが入ってきた時期はA5判のノートを20冊くらい使って、その後は丸善のダックノートという、本みたいなノートを使っていろいろ書き付けていました。 が、一冊のノートにいろいろ書き込んでいくと、あとで情報として見つけづらく、取り出しにくい。そこで最近B6カードシステムを復活させています。何世代も前の情報ツールを使うくらいならノートパソコンを使ってモバイルにしてしまえばいいと思われそうですが、やっぱり手で書くのは、パソコンに入力するより自由度が高くて手ごろです。 いまのところ、いくつかの薄いノートを同時に持ち歩いています。まずスケジュール帳。そして「やること帳」と名づけた小さいノート。B6カード10枚ほど、それから、場合によっては日記帳。でもまだこれだ!っていう感じではないですね。 ____ ほんとうにパソコンって「自由度」低いですね。なんとかならんのか、と、(メモをデータ化するときなどに)よく思います。(石田) |
ポストイッターさんより [2004.03.19] |
トンボの4色ボールペン 記事を読んでモーレツに野帳が欲しくなり、昼休みに会社の近くの文具店で買ってきました。行きつけの文具店なのに今までこんな手帳があるなんて全く知りませんでした。 多色ペンについてはワタシも一家言持っております。 お薦めしたいのはトンボのOBJECT K4 TOUCHという4色ボールペンです。ペンのノック部分の形状が各色ごとに違うため、慣れると目で確認せずに指先で色を選べます。思考を中断せずに色を変えられるのでとても便利です。夜間勤務の看護婦さんなどの筆記用途として開発されたと聞きました。トンボのホームページで確認しましたら4色は生産完了していて3色しか残っていないようです。ちなみにワタシは4本買いだめしています。 ____ 「ノック部分の形状が各色ごとに違う」!! こういう部分に激しく反応してしまう自分がいます。(石田) |
renzaiさんより [2004.06.28] |
中学生のわたしも 中学生のわたしも測量野帳を使っています。 授業のノートはコクヨのフィラーノートですが, 個人用のメモ,見つけた本の名前や新聞の切り抜きなどはすべてこれに 書き付けています。大体2か月に1冊の周期で消費します。 梅棹忠夫先生の『知的生産の技術』を読んだことが使用のきっかけです。 この本はB6判カードで有名ですが,野帳についての記述も見られます。 この薄さと,片手で持ったとき安心する大きさが良い。 また表紙のデザインがいかにもプロ向けで格好いいです。 緑色に金文字で"LEVEL BOOK"というのが150円で買えるの ですから。中学生が手軽な値段でクラシックな気分を味わえる。 再生紙版の紺色の表紙もいいです。 難点は,学生のYシャツの胸ポケットには1cm程の差で入らない こと。冬の間は上着に入れれば何とかなりますが,夏はどこに入れるか 困ります。 ペンについて。 わたしも色分けには賛成です。 慣れると何かと便利です。 でも,いまいちいいデザインの多色ペンがない。 軸が太いのは好きじゃないし,透明なボディーは嫌いです。 そんな贅沢いったって,軸が細くて全身がメタリックなんていう のは中学生には買えやしないわけで... 結局,授業ノートにはパイロットの赤・青・緑の3色ボールペンを, 野帳には単色ゲルインキ(青色)を使っています。 授業の方は,齋藤孝さんの三色方式をまねています。 野帳のほうはいずれ,トンボの「黒赤鉛筆」を使おうかと考えている ところです。文具業界に30年ぶりに登場した,黒HB+朱というもの。 色数は少ないですが見た目はプラスチックよりはいいですし, 個人用の野帳で色分けが必要なのはめったにないので,という判断からです。 野帳とサラサ3でこれだけ語るのはすごいです。 石田さんの愛用が,よくわかります。 これからも頑張ってください。 ____ renzaiさん。ありがとう。ホントに中学生?ぼくより文章うまい。いやになっちゃうね。 授業に多色ボールペンを使うですか。 たしかぼくの中学生時分は、ノートをとるのに鉛筆以外はオコられたような気が。(石田) |
鈴木雄介さんより [2004.07.26] |
SARASAの4mm SARASAはここ数年愛用しています。中学で生徒手帳をもらったのが嬉しくて、爾来ずっと手帳に一言日記(授業何回サボったとか、どこに行ったとかロクでもないことしか書いてませんが)をつけ続けていますが、何分書くスペースが小さいのでSARASAの4mmに出会ったときは生涯の伴侶を見つけた気分でした(って大げさな)。 地元の文房具屋に「SARASAはもうじき製造中止」というガセネタを掴まされ、慌てて4mmの替え芯を箱買いしたのですが、まだちゃんと売ってますね。嬉しいけどなんだかフクザツです。 石田式色変え戦術はなるほど便利とばかり、3色を買って黒だけ4mmに(何せ箱で持ってるんで)差し替えて試用中。結構イイ感じどす。 |
k-74さんより [2004-11-03] |
コクヨ測量野帳, |
k-74さんより [2004-11-03] |
コクヨ測量野帳 すいません。 誤って途中で書き込みしてしまいました。 コクヨ測量野帳のスケッチブック、私も愛用しています。 仕事は全然野外とは関係ないんですがね。メモをけっこうとる方なので重宝しています。 これを使い始めてから気づいたのですが、モールスキンのポケットも同じような仕様ですよね。でもコクヨ測量野帳の方が値段が安い分、使いやすい。 |
北海道のヒグマさんより [2005-01-30] |
測量野帳 昔の職業が工事現場の測量担当だったものですから、野帳は良く使いましたね。ちなみにレベルは主に高さを測るときに使用する器材。トランシットは主に方向を見るときに使用する器材です。 まだカシオの電卓が出回る前の話ですが、測量結果は算盤や計算尺で計算をやっていました。算盤でルートを開いたり、丸善の対数計算表をめくったり。でも私は戦後生まれですよ。今は別の仕事でワードやエクセルを使っています。野帳と聞くと独身時代がよみがえります。 |
tacmさんより [2005-09-02] |
考古学の業界でも定番です 大学に入って考古学を学んで以来、ずっと遺跡の調査を仕事としています。 遺跡発掘の業界で昔から定番なのが、このコクヨの野帳(方眼のやつ)。常にズボンのポケットに入れているため、固い表紙が尻のカーブに沿って曲がってしまいます。出土品を入れるビニール袋にマジックでナンバーを書くときにはちょうど良いサイズの「下敷き」ともなり、完全に必須のアイテムとして定着しています。 今まで関わった遺跡の数だけ、泥にまみれた野帳が思い出と共に手元にのこっています。 |
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