2007-06-04

うすうす気づいていたこと

日誌を書くようにという業務命令が出たので、今日から日誌メンバーに入ります。

ポット出版からのお知らせ●来週にもパリ市長が書いた自叙伝の翻訳本『リベルテに生きる──パリ市長ドラノエ自叙伝』が本屋さんに並びます。3月にパリまで行って、パリ市庁舎にパリ市長宛の手紙を届け、そして結局、願いは成就することなく、あげくの果てにはあやうく出版できないことになりそうだったといういわくつきの本なので、出版できて感慨もひとしおな本です。翻訳ものははじめてで、こうすればよかったなあという思いもつきないのですが、まずは出版できてよかった。よかったらお求めください。

さて、うすうす気づいているが、放ったらかしにしていること、そしてあとで手痛い思いをすることという出来事が私にはママある。日常の場面でも仕事の場面でも。例えば、原稿かき。「この文章、ちょっとまずいんじゃないの。ここもう少しきちんと説明しないと甘すぎるよ。」と心の声がしているにもかかわらず、スルーと書き飛ばしてしまうことがある。心の声を聞かなかったことにする。でもうすうすだめなことに気づいている。そして案の定、編集の人からまんまとその部分の指摘を受ける。「あーやっぱり」。校正もしかり。「ああこの章ちゃんと読めてないなー。ここもう一回読んでおかないと」と心の声がする。しかし聞かなかったことにする。そして誤植で涙する。わかっちゃいるのにやめられない。前に『不幸になりたがる人たち』という本を読んだ時に、私にもその気があるんじゃないかと怖くなった。
そして、いよいよ週末、わが家では大事件が勃発した。これも「うすうす気づいていたけど、見ないふりをしていたこと」結果起きてしまったことなのだ。
シロアリ。シロアリですよ、シロアリ。前から一階の南西の角の天井のクロスが少しずつめくれてきていることにうすうす気づいていた。掃除機をかけるときに、そのクロスがはがれてきている真下の床にうっすらと黒い粉がたまっていてなんだろう、これってと思いながら、しかし頭のどこかではそれが、天井のクロスのはがれと何らかの関連があることにうすうす気づいてはいた。なんかとんでもないことが進行しているのではないかとうすうす気づいていたのに、知らないふりをしていた。
そしてとうとうクロスのめくれがベロンと広がって見過ごしてはいられないほどになって、いよいよ恐ろしいことになってきたので、おそるおそる工務店の人に電話した。事情を説明したら「そりゃあシロアリ臭いね」と言われた。もちろんうすうす気づいていた。
「もうだめでしょうか」「いまはシロアリ駆除の技術もあがったし、簡単にできると思うけど」。「シロアリ駆除…」天童荒太氏の『家族狩り』が頭に浮かぶ。「まあ天井までいっているというのがちょっと心配だね。たいていほらシロアリは土からあがって基礎からいくからさ。柱もやってそれで天井もってなってんのかなあ」「…ということは床もやられてる可能性があると」「まあもぐってみなきゃわかんないけどさ。行くまでにさ、天井のクロスのはがれた部分をめくってそこに殺虫剤のスプレーでもふいといてよ。死骸があったら何の虫かわかるから」と言われ、「善処します」と答えて電話を切った。でも恐ろしくて近づくこともできない。あとは工務店の人が来るのを待つだけだ。頭の中を「もっと早くに連絡してたら被害も少なくてすんだかもしれない」という声がする。これもみな、うすうすのせいだ。
うすうす気づきすぎちゃう自分がいるからこうなるのか、よその人はうすうす気づいたら即座に対応しているのか私には謎だが、とにもかくにも「こうなることが実はわかっていたのにやってしまった」うすうす事件。シロアリに食われたわが家はさてどうなっていくのだろうか? おそろしい。