2006-02-16
7日目
随分寒さが薄らいだ感じがしているベルリン。1度からマイナス2度程度なので、本当に楽になってきています。でも、ポツダム広場から帰宅する夕方には、しとしとと雨が降っていましたけれども・・・。
さて、7日目の1本目。「Longing」コンペ作品で、監督はドイツのValeska Grisebach。女性です。ある村で仕事をしている夫とその妻。幸せなはずだったのに、ある時夫が別の女性(ウェイトレス)を好きになってしまいます。妻によそよそしくなる夫、でも、彼は妻も別の女性も両方愛していると思うのでした。気持ちが袋小路に入ってしまい、ついに妻にそのことを話し、しばらく家を留守にすると伝えて別の女性に会いに行くのですが、結局彼女に別れを告げます。ところが、その時に思わぬ事故が起きてしまい、彼女が入院することになりました。その後家に戻った夫は、妻が出て行ったことを知るや、彼女に会いに行き、彼女なしの人生はありえない、と伝えますが・・・。いや、この話は後半が凄いです。その後の展開がびっくりするような感じで、でも新鮮とか斬新とかいうのではなくて、アイロニカルだなぁ、と思いました。最後に公園で、まるで大人の井戸端会議のような会話を子供達にさせているのですが、それが圧巻。夫は自殺未遂をするのですが、子供達によれば、そのどちらかの女性と今はその男性は暮らしているのだとか・・・どちらだったのでしょうね。監督はインタビューで、「私にもどちらなのかわかりません。」と言ったそうです。なかなか興味深い映画ではありました。私の趣味ではないですけれど・・・。
2本目は、やはりコンペ作品で、イタリアの「Kriminalroman」。70年代のギャングの世界、情夫やその他もろもろが展開する人間模様・・・。はっきり言ってつまらなかったです。最後まで見る気になれませんでした。新しいものは何も感じられなかったし、しかも長すぎ(146分)。そこまで延ばして表現したいことがあるのか・・・・?ちょっと理解できない作品でした。それにバイオレンスが凄いし・・・・。アートとしての高められた映画ではなかったと思います。頭痛がしたので、途中退場してしまいました。もちろん、ペトラもです。彼女は怒っていました!(いつも怒る!笑)
3本目は、これもコンペで「Candy」。ドラッグ中毒の話でした。オーストラリア作品で、Neil Armfield監督。ドラッグから抜けられないカップルが、どんどん深みに入っていき、経済的にも追い詰められ、盗難や売春などして生き延びていくうに、妊娠してしまう。戸惑う二人だったのですが、産む決心をして、2人してドラッグをやめることにし、再生に努めたものの(そう簡単には更正できないのですけれど)、子供は残念だながら死産。モチベーションを失った二人はまたドラッグを始め、どんどんと行き場のない薬漬けになっていき、ついに地獄を見るのでした・・・。この作品、悪くなかったです。はっとする輝きはないものの、映像もリズムも良く、観客を最後まで飽きさせませんでした。素晴らしいとまではいかなくても、何か考えさせられる内容だったと思います。ペトラも気に入っていたようです。
「それにしても、昨日のイランの作品はペトラはケチョンケヨンに言っていたけれども、このベルリナーレでイラン作品が上映されたのは、これが最初なのよ。あと、パノラマにも1本来ているけれど。」と言ったら、「ふん、そうよね、今イランは世界で注目の的だものね、だからエントリーできたのよ。そうじゃなければあんなひどい作品、コンペで見るなんてありえないわよ!ミアだってひどいって言っていたもの!」と、思い出して再び激怒。何もそこまで言わなくても・・汗。私は、好きな作品ではないけれども、イランの事情が少し見えてくるようで、興味深いとは思いましたけれどもね・・・。映画という芸術として見た場合は、何も感じるものはなかったですが・・・。
そして、今日の新聞(ターゲスシュピーゲルとベルリン新聞)には、大きく昨日のウィンターボトム監督作品についての記事が掲載されていました。とても興味深く読みました。これについては、最後の総括でお話いたしますね