2007-02-09
2月8日 2回目
ベルリナーレのメイン会場前です。こんな感じで夕方からは雰囲気が出てきましたね。
隣にあるショッピングアーケード「アルカーデ」の中では、映画のチケットを購入するために、ものすごい人が並んでいました。
その中で新しくできたサービスは、インターネットを2ユーロから使えるコーナー。老若男女みんな楽しんでいました。
・・・
さて、「さくらん」に行って参りました!
写真家の蜷川実香が監督を務めた、土屋アンナ主演の映画です。
ぺトラと私、そして若い同僚で友達のHちゃんと3人で、プレス枠上映の会場前で待っていたら、「さくらん」の配給会社の方が、写真のような扇子やミニ風呂敷(?か、大判のハンカチというか)、それに豪華なパンフレットをくださいました。びっくり!
外国のジャーナリストがかなり喜んでいましたね。もちろん、私達も嬉しかったです。ありがとうございます!
が・・・・。
江戸時代の吉原ワールドで起こる、おいらんのさまざまなストーリィ。
中心になっている土屋アンナ演じるおいらんの、自由への道を綴っているのですが・・・・。漫画が原作なのも興味があったのですけれど・・。
途中で海外のジャーナリストが、どんどん出て行ってしまいました。
ベルリンはそういうところがシビアですからね・・・。
それに・・・半分くらい経った時、我が友ぺトラもギブアップ。帰ってしまいました!
結局Hちゃんと私は最後まで見ましたが、う~~ん・・・・。
その色彩と、吉原ワールドの美術やアイデアは、最高に素晴らしかったと思います。それは例えば、新しいアートを創造するような試みだったのかな、と思ったりして・・・。
でも、映画というジャンルで見た場合、何かバランスが悪いというか・・・。
物語の運び方にあまりにリズムがなく、見ていてすごく疲れたのです。
せっかく、ものすごく才能のある出演陣を起用しているのだから、それに美術も素敵なのだから、もっと良い形で表現できたのではないのかな、という印象を持ちました。写真作品の動画版という雰囲気がありました。
役者で特に素晴らしかったのは、菅野美穂と木村佳乃です。二人は本当にすご~~く良かった! 菅野美穂のなんとまぁ美しく妖艶なこと!
木村佳乃のはかない様子も良かったですし、二人とも品がありましたね。
ぺトラとは話ができませんでしたので、メールをもらいました:
「え~と、私はこの映画、全く意味のない人工的な感じの作品だと思ったわ。主演が自惚れタイプで、それが演技を
超えて透けて見えていたし、カメラもわざとらしさを強調するような撮り方だったし。
子どもが大人のように話したり、大人は下品な口調だし・・・。
一体何を伝えるために、こんな大掛かりで不自然な映画を作ったの??
そういう視点から見たら、素人の映画だと思う。効果狙いの作品というか?時間の無駄って思ったわ。」
・・・汗。非常に手厳しいです!
実際、こういうテーマ(男性が女性を買うという、売春の世界)は、ベルリナーレには合わないように思います。カンヌとかベニスの方が、映画関係者のノリも違うし良かったのではないかな?
ベルリンは、深くて重い戦争系のテーマが多いですから・・・。(最近はかなり変わってきてはいますけれども・・。ベルリナーが受け入れる作品は、ちょっと違うなと・・・。)
いろいろと素敵なプレゼントをいただいて申し訳ないのですが・・・とにかくそんな感じでした。上映後に質疑応答があったのですが、Hちゃんと私は質問することがなかったので、そのまま帰宅いたしました。(明日のために体力を温存しなければならないですし・・・汗)
・・・こうしてベルリナーレ第一日目は過ぎました。
明日は3本見る予定です! どうなりますでしょうか・・・。
私はまだ見ていないのですが、「さくらん」の評判が悪いようですね。
「写真作品の動画版」は予想どおりではあります。
話に関しては、原作そのものがまとまりがない、
未完かつ休止中ということもあると思います。
http://www.sakuran-themovie.com/
監督、原作、脚本、音楽、それに主演、みな女性で、
それが売りの1つであるようです。
椎名林檎ファンとしては音楽の感想がないのは残念でした。
EmilScherbeさま
コメントをありがとうございます!
う~ん、私もとても残念です! 写真家としての蜷川さんはとても好きだし、映画も画面は本当に素敵でした。吉原を独特の美術で表現していたし、いろんな小道具がセンス良かったし、音楽もすごく良かったんです。だから新しいアートとして見たら、私はやるなぁ!って感心して大拍手を送ります。
でも、映画は総合芸術ですから、全体のバランス、響き合いも大切だと思います。見た後の印象とか、全体に流れる雰囲気とか・・・。それに、吉原の美術が凝っていることなど、外国人にはわからないのですね。もともとそんなものだろうと思ってしまうし。
とにかく、とても沢山のジャーナリストが出て行ってしまったことは確かなのです。でも、「サイボーグでいい」のパク・チャヌク監督の時のような、出て行く人も多いけれども、すごく好きで残って最後に拍手する人も多いというノリでもなく、ちょっと中途半端な印象を残してしまったのは残念だったと思います。
10日の6時に再び上映されます。今度はベルリナー(観客)がお金を払って見に来ますので、もう少し違う反応をするかもしれません。新聞をチェックしてみますね。何か書かれていたら、またご報告いたします。
ベルリン・レポート…
ベルリン国際映画祭が始まりました。 初日となる2月8日に「さくらん」が上映された… (more…)
「さくらん」はアンナちゃんのおせおせキャラが
裏目に出てしまったのでしょうか。
監督としてはそれも読みだったのでしょうが
難しいですよね。
菅野さんは最近役柄によってまったく違った
雰囲気をかもし出してくれるので期待しています。
このタイプの役柄はこれといった役者自身の型作りから
レベルアップし、本当の役作りができるように
なってきたように思います。
観ようか観まいか迷っている作品なのでとても
参考になりました。ありがとうございました。
seikoさま
コメントをありがとうございます!
作品として、決して悪かったのではなく、ベルリンという特殊な場所の国際映画祭の中で、ベルリナーレ・スペシャルとして上映されることに、多くのジャーナリストが期待してしまうんですね。私達日本人は、吉原がどういう所なのかわかります。でも、外国の方はなかなか理解できない。そしてそこに漂う日本人の思考がまた理解できない。その辺が難しいところです。
でも、私が見たのはプレス枠で一般のベルリナーは見ていませんので、一般上映の時にどうだったのかは不明です。新聞にもまだ載っていないように思ったし(チェック足りなかったかも・・・)、これから何らかの反応が新聞であるかもしれません。
あまり参考にならないかも・・ごめんなさい!
淑子さん、
一般上映のプレミアの方に、友達が何人か行ったのですが
そこで、行われたコスリック氏のお話はとても恥ずかしいものだったとか(?)しかもそこで司会の人が、うっかり映画を『中国映画』と紹介するなど、ハプニングも・・(こちらの人には日本映画も中国映画も同じ??)
レッドカーペットに、蜷川さん、土屋さんともに着物で登場されたそうです。
チケットは売り切れで、会場は満場ではあったそうですが、
周りの人が寝ていた、あくびをしていた、という話も耳にしました。あまり評判はやはり良くなかったようです。
日本映画が好きな友達曰く
『たしかに画面はキレイだったけど、
映画には中身も必要ではないか。
キレイと言うだけならば、例えば、『修羅雪姫』とかのほうが、息を飲む程美しいシーンもあり、見応えがあった』
そうです・・・。
私はもうちょっと遊んで作ってしまっても良かったのでないかなと思いました。作り込みはすごいけれど
映画自体は普通に撮っているから、これももっと実験的にやってみれば良かったのに、と。
そういえば、蜷川さんの写真展覧会のオープニングにもお二人で着物で登場されたとか。こちらの展覧会は、宣伝がいまひとつ足りなかったのか、あまり人が来ていなかったと聞きました。
新聞には、今のところ報道は特にないようですよ〜。