2006-02-12
2月11日・三日目
ベルリナーレ・三日目です。
今日は4本見ました! 私にしては頑張りました。息子も友達の家に泊まりに行ったし(今日は土曜日ですし)、4本にチャレンジしようと思ったのです。
1本目は、コンペ外作品の「tHE NEW WORLD」。監督はTerrence Marick。Colin Farrellなどが出演しているのですが、圧倒的に素適だったのが、未開の地のプリンセスを演じたQ’Orianka Kilcher。すごく上品で、人生に対して前向きでピュア、力強さを素適に演じていました。この作品は、二つの全く違う文化の間に、運命的にコマのように置かれた男女のストーリィを中心にして、二つの文明の間の衝突、戦争、変化などを描いているのですが、今までのようなちゃちな感じではなく、温かさとグレイスな雰囲気がありました。これは、プリンセスの力なのかもしれません。でも、どうしても許せなかったのが音楽!!! これ、あまりにも、あまりにもひどすぎます!!! もちろん、ただの私の意見であって、全くもって失礼な意見なのだと思うのですが、正直に書けば「本当に気持ち悪い音楽」でした。拒絶反応が出てしまったほど!このシーンで、またあの音楽のフレーズを聞かされるのか!と、うんざりした気分になりました。
2本目は、コンペのドイツの作品で、「The Elementary Particles」。Osker Roeher監督です。昨日のとてもよかったオーストリア作品に比べて(でも、カッコいいドイツ人俳優の演技が光ったのですが。オーストリア人のおじさん俳優もよかったし!)、俳優も内容もきらめきが全くなく、つまらなかったです。ヒッピーの母親から生まれた異父兄弟の2人の人生を、パラレルで追っていき、時にリンクするのですけれども、あまりにも救われない話と、幸せな話がクロスオーバーするのでした。言いたいことは何となくわからないでもないのですが、俳優達に魅力がなく、面白みに欠けていました。それなのに、いつものごとく、ドイツ人ジャーナリストがドイツ映画を応援するために(オリンピックか何かと勘違いしている人がいるんですね・・・)、必要以上に反応してヒステリックに笑ったりするのが、ちょっと気になりました。何だかナァ・・・ああいうの、もういい加減にやめたらいいのに、と思うのは、私だけなのでしょうか・・・。
3本目は、またまたコンペ外作品(とはいっても、私はいつもコンペ枠の中で映画を見ているのですが。要するに、注目されるスペースでの上映でコンペ外というのは、ある意味宣伝なのです。)Michael Gondry監督の「The Science of Sleep」。アルモドバル監督作品で熱演して、一躍有名になった俳優、Gael Garcia Bernal、そしてフランスの存在感のある女優、Charlotte Gainsbourの一風変わったラブコメ(と、簡単には言えないかもしれませんが・・・)。かなり実験的というか、アーティスティックというか、私はこういうフランス映画って好きなんですが、面白かったです。とはいえ、ちょっと長かったかな?Miou-Miouも出演していて、すごく可愛い〜〜! でも、彼女とのからみではなく、背の低い青年と、彼よりずっと背が高いオリーブみたいな女性が、同じ階の住人になることで、いろんなことが起こるのですが・・・その表現が奇想天外で、夢かうつつか、そんなふわふわした脳みその中を浮遊している感じの作品でした。昔見た、エリザとエリックという映画にちょっと雰囲気が似ていますが、それを多少ドタバタにして漫画風味を加え、現代的に進化させたと言いましょうか・・・。コンペ外ですから、楽しむには丁度良い作品でした。
4本目は、さぁ、いよいよフォーラム部門、つまり若手の監督作品の部門の作品を見たのでした! 日本の作品ですよ〜! Sono Shion監督作品「奇妙なサーカス」。日本では宮崎ますみが、女優にカムバックして大胆な濡れ場シーンに挑んだ力作と評判の映画です。他にいしだイッセイが怪演。これ、私は、「赤い影」という、ニコラス・ローグ監督でしたっけ?彼の作品を突然思い出しました。でも、それ以上にものすごく怖かった! この時間帯(19時)で、会場がポツダム広場ではなく、クーダム近くのデルフィになると、一般のお客様も多くいらっしゃいます。見ていると、なんとまぁ、60歳を過ぎているご夫妻の多いことか! でも、こんなに新感覚サイコスリラーに、よくいらっしゃるもんだわ、と感心していましたら、途中で出て行く方が続出しました。汗・・・
偶然、私の近くに座った知人のバーバラが声をかけてきてくれて、ちょっと帰り道に話したのですけれども(彼女は日本語ができるドイツ人で、私がずっと以前に仕事をしていた、日本人国際学校のドイツ語の先生なのです。私は小学校低学年を、彼女は中高学年に教えていました。懐かしい・・・)、彼女が言うには、日本映画贔屓のドイツ人って、お年寄りもすごく多いそうで、そういう人は、内容を確かめないで見に来るのだそう。「それが、毎回そうなの。だからあまりに凄い内容で、ショックを受けて出て行く人もいるのよね・・。」とバーバラ。そういうお客様が、毎年同じ過ちを繰り返すというのは、つまり無条件に日本を愛してくださっているということなのでしょうかね・・・?でもまぁ、日本語ができる彼女ですら、この作品はあまりにグロテスクで、途中で出たくなったと言っていました。すごかった・・・。少女への性的虐待をする義父と、それを嫉妬して娘をせっかんする実母。そして変態的な描写・・・。12歳の時から生き地獄を味わう少女と、彼女の母親のあまりにも悲しく、恐ろしいお話・・・。難しいテーマですが、描き方はかなり独特で、趣味からすれば私の好きな作品ではないものの、独創的で良く出来た作品だと思いました。実際、多くの方が拍手をしていらっしゃいました。
・・・ということで、アップしてくださるのはポットの編集部さんなので、お手すきの時にしていただきますので、あまりタイムリーではないかもしれませんが、私は一応毎日少しでも書いておりますので、アップしたらぜひ読んでくださいね!あと、時間のないところで急いで書いていますので、誤字、脱字、そして時に内容ミス(これは、わかった時点ですぐに書き直していますので、ご安心ください!)は、お許しいただければ幸いです・・。できるだけそのようなことのないようには気をつけているのですけれども、もはや帰宅してからは頭が朦朧としておりまして・・・申し訳ありません!!
ありがとうございます
園監督!!
ご本人からのコメント!! ありがとうございます!
びっくりしました。私の雑文を読んでくださったのですね。恐縮です。私は、監督の作品を初めて拝見したのですが、私のまわりの映画好きや専門家は、皆さん園監督のファンです。今までの作品も素晴らしいと、皆口をそろえて言っていました。
私だけ出遅れていたんですね!!
そんな訳で、私も監督の過去の作品をこれから拝見しようと思っています。楽しみです!
コメントをありがとうございました!
青木淑子