2014-10-07

標準的なepub制作ツールについて

先日「標準的なepub制作ツールはないのか」というご質問をいただきました。
沢辺さんに相談をして、自分なりに文章をまとめたので、こちらにも残しておきます。

記載し忘れましたが、この文章の主体は「出版社」です。(書いた直後に沢辺さんから指摘を受けました。)
「電子書籍」を「商品」として扱う立場からの意見です。

——以下、返信——
ご質問いただきました「標準的なepub制作ツール」ですが、沢辺にも相談しましたが、
現状、そのようなツールはない、という認識です。

なぜならば、現在全てのビューアで表示でき、全ての電子書店で売ることが出来
るepub、を制作出来るツールが無いから、です。

現状、epub制作の最終目的は、
『電子書店で販売すること』
『各電子書籍ビューアで表示できること』
の2点です。

しかし現在の電子書店は、それぞれで個別のepub制作ルールを設けていることが
多々あります。
(ex.この電子書店で販売するには、opfファイルに<●●●>というタグの表
記が必要になる、等のルール)

さらに、この個別のepub制作ルールが改訂されても、情報がアナウンスされない
ことが多い、という問題もあります。
(全ての改訂を公表している電子書店や、取引出版社にのみアナウンスする電子
書店、全くアナウンスしない電子書店など、電子書店によって対応も様々です。)

そのため、epub制作ツールを制作している会社が知らない、または知ることが出
来ない、個別の電子書店のepub制作ルールがある、ということになります。

全ての電子書店の個別ルールを反映していないと、全ての電子書籍ビューアで表
示でき、全ての電子書店で販売できるepubを制作できるツールではない、という
ことになってしまうので、現状は「標準的なepub制作ツール」はない、という認
識になりました。

全てのepub制作ツールに言えることだと思いますが、目標(ビューアでの表示・
電子書店での販売)が常に変化し続けており、なおかつ情報を手に入れられない
こともあるため、最終的なepub制作方法を絞り込めない、確定出来ない、という
のが現状だと思われます。

現在、スタジオ・ポットからepubの制作を依頼している制作会社は、独自のスク
リプトを用いて、epubを制作しています。
簡単な手順は以下となります。

●本の組版で制作したInDesignファイルの、見出しをなるべくわかりやすいよう
に設定するなど、調整を行い、InDesignからxmlファイルを書き出します。
(見出しの設定は、タグを付けるのと同義の作業になります。)

●書き出したxmlファイルを、スクリプトを用いて、xhtml(タグのついたテキス
ト)へ変換していきます。

●opfファイルなどの必須ファイルを作成します。

●全てを併せて、パッケージ作業を行います。

このスクリプトで変換していく際に、各電子書店の個別epub制作ルールを適用し
ていきます。
また、使用するスクリプトも各社独自のものを使用しており、コレを使用してい
る、という明確なお答えはできません。
出来る限り自動で作業を行うそうですが、一部はどうしても人の目や手が必要に
なってくるそうです。
——以上、返信——

このエントリへの反応

  1. 「でんでんコンバータ」で作りさえすれば、IBOOK以外は通用すると思っていますが、違いますでしょうか。

  2. 個人で作って売る目的ならでんでんコンバータで特に問題はないと思いますが、特定の出版社に納品するデータを作るような場合には、出版社の定めた規約に沿って作らなければなりませんので、でんでんコンバータでは作れなかったりします。

    例えばKADOKAWAさんは仕様を公開していますが、これに沿って作らなければ当然ハネられます。

    http://kadokawa-epub.bookwalker.co.jp/home

    今現在、多くの大手出版社は電書協ガイドをベースに仕様を策定していますが、各社ごとに少しずつハウスルールは違うと思います。それに対応して制作できるツールは現状ないという認識です。