2013-09-03

今年もインターン生。

昨年に引き続き、今年も8月19日から2週間、
インターン生がやってきた。今年は女子ひとり。
古着屋さんで働いているというだけあって、
60年代?70年代?風の個性的なワンピースを着て
毎朝、あでやかにさわやかに出勤。

取材やら版元ドットコム会議やらにも同席。
面食らうこともあっただろうにもかかわらず、
萎縮もせず、かといって背伸びもせず。
自然体の振る舞いに感心しました。

まだハタチくらいなんですね、彼女は。
いまから20年前の1993年を検索してみると、
クリントンがアメリカ大統領に。
曙が横綱に。
Jリーグ開幕。
皇太子が雅子さんと結婚。
北海道南西沖地震おきる。
55年体制崩壊、連立政権、細川内閣誕生。
ヤクルト日本一。
田中角栄、逸見アナウンサー死去。
この年にはやった歌は広瀬香美「ロマンスの神様」ZARD「負けないで」
ドラマは「高校教師」「同窓会」「あすなろ白書」「ひとつ屋根の下」

ふーむ、思えば遠くへ来たもんだ。

前置きが長くなりましたが、
昨年同様、最後に日誌用の感想文を書いてもらったのでここに公開します。

インターンシップ感想

専修大学文学部人文・ジャーナリズム学科 3年 中田真弥

朝、ポット出版までの道のりには、同じように出勤をしている人がたくさん歩いています。古着が好きな私にとって原宿は、来ると「ただいま!」と思うくらい慣れ親しんだ場所だったのに、原宿の見たことがない表情にそわそわしながら出社をしました。

まずはじめに、売店の仕組みやゴミ集めなどを松村さんに教えていただきました。その時、「良かったらお昼一緒に行きませんか?」と優しく声をかけてくださったおかげで、不安でいっぱいだった私の嫌な緊張感がホっと抜けたのをよく覚えています。
松村さんは事あるごとに優しく丁寧に接してくださいました。どうやら松村さんの妹さんと私の雰囲気が似ているらしく、私もこんな優しいお姉さんが欲しい…と切実に思いました。

私がインターンシップ先にポット出版を希望したのは、まず第一に、出版社の仕事を肌で感じたいと思ったからです。机の上で勉強しているだけではなく、現場に実際に行ってみたい、と思っていました。
また、私はジェンダーの問題や、セクシャルマイノリティについて日頃から関心が高く、ポット出版が出している書籍の数々に興味があったこと、版元ドットコムや、非再販制の本の出版、電子書籍と紙の本を同時に発売するなど、様々なチャレンジをしていることに惹かれて、ポット出版を選びました。

実際にやらせていただいた仕事はどれも勉強になることばかりでした。
例えば、原稿のつけあわせ、素読み、ファクトチェックなどの校正作業は、編集の仕事の一端を垣間見ることができて、まさに出版社の仕事を肌で感じることができました。

また、様々な打ち合わせや会議にも同席させていただきました。
例えば著者の方とデザイン部の、カバーのデザインの打ち合わせでは、見返しの色について、著者が狙っている読者層に適した色なのか、カバーや帯などに使われている色との相性はどうか、など、見返しひとつでもこんなに議論がされるのか、と思い、本一冊が完成するまでにこれだけの時間が費やされて、これだけの人が関わっているんだということを実感しました。
出版会議などに参加させていただいたときは、電子書籍のISBNについての議論があり、タイムリーな出版界を見ることができたのも、インターンで実際に現場にいる醍醐味だと思いました。
版元ドットコムの会議にも参加させていただきましたが、様々な出版社の方たちの意見が聞けたり、意見のぶつかり合いが見れたり、仕事をする上での信頼関係とは、ただ円滑に仲良くできれば良いと言うわけではないんだな、とひしひしと感じました。

また、取材に同行させてほしいとお願いしたところ、佐藤さんが交渉して連れて行ってくださったり、五賀さんが取材の下調べとして、資料集めを手伝わせてくださったり、こちらからの要望にも応えてくださいました。
インタビューに同行させていただいて、人によってインタビューの仕方が違ったり、記事の分量に見合ったお話を聞く、など、実際に行かないと感じられないことをたくさん学ぶことができました。

「二週間で仕事を理解するなんて無理。むしろインターンっていうのは、仕事をしている人が何を考えて、どういう姿勢でいるのかを学べるものだと思うよ。」という上野さんのアドバイスを参考に、インターン中は仕事の内容の他にも、その人が何を考えて、どういうことに注意して仕事をしているのか、ということにも注目しながら過ごしました。
そうすることで学べたことはたくさんありましたが、中でも一番実感したのが、出版のお仕事は、頭の中のことをきちんと言語化して相手に伝えなければいけない場面が多い、ということです。そしてそれはとても難しいことだとも実感しました。

一番最初にそう思ったのは、私が上野さんに質問をした時、「その質問はつまりこういうことですか?」と捉え返された時です。自分の質問の仕方は、自分が知りたい情報を相手がパッと答えられるような、的を射た聞き方ができていないんだ、と自覚しました。インターン中は、相手に的確に伝わるように意識して話すように心がけましたが、まだまだ練習が必要だと思います…。
また、那須さんが、「ぼそぼそと自信なさげに話さないで、大きな声で話した方が自分の間違いに気付ける」と注意していたり、佐藤さんが「語尾までちゃんと話して」と言っているのを聞いて、話し方というのも大事なんだということも学びました。
小久保さんにも教えて頂きましたが、これから生活していく中で、コミュニケーション力、というものを意識して養っていきたいと思います。(小久保さん流の、バーに一人で行って色々な人とお話してコミュニケーション力を高める、というのも実践してみようと思います!)

また、インターン中に新しい自分を発見することもありました。私は今まで、地道なコツコツとした作業が向いていない、と思っていて、出版社で働きたいとは言っても、編集というより営業の方が向いているのかな、と思っていました。
しかし実際に校正をやらせていただいて、その奥の深さに見事にハマってしまいました。校正が楽しくて、お昼ごはんの時間も、食べながら原稿とずっとにらめっこしていました。

他にも吸収できたことが書ききれないほどたくさんありました。それも全て、たかだか二週間しかいないようなインターン生に、たくさんの時間とエネルギーをかけてくださったポット出版のみなさんのおかげです。
インターンに来る前は、少しでもお役に立てれば…と思っていましたが、むしろインターン生に仕事を体験させるというお仕事を増やしていると早々に気付き、申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にみなさんありがとうございました。