2006-02-15

6日目

ベルリナーレ6日目です。少し疲れてきていますが、まだまだ大丈夫でしょう。でも、やっぱり4本目は勇気が入ります・・・汗。本当は、すでに4本目を2回も見るつもりをしていて、昨日と今日はそのように予定を組んだのですが、体力を温存することにしました。2本とも日本映画だったのですけれどもね・・・。

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Invisible Waves

さて、本日の1本目は、コンペ作品「Invisible Waves」。タイ、オランダ、韓国、中国、香港合作映画です。Pen-ek Ratanaruang監督。浅野忠信や、韓国の実力派女優、カン・ヘジョン等が出演。う〜〜ん、この作品の最も突出しているところは、クリストファー・ドイルのカメラワークでしょうか・・・色合いや湿度感が映像から浮かび上がってきて、肌にはりつく感じ。内容は・・かなり切ないですね。浅野さんが発する最後の方の言葉が心に沁みるのです。殺し屋キョウジが、自分の愛人を殺すところから始まるのですが、彼女は彼のボスの妻であったことから、今度はキョウジが命を狙われます。その後、美しい女性、ノイと知り合うのですが、彼女には秘密があったのです・・・。何かこう〜〜キリキリってふきんを絞ってしまうというか、若干の物足りなさを感じました。ペトラなどは、ケチョンケチョンにけなしまくっていましたけれども・・・「ヨシコ、私は席が端っこだったら、絶対に途中から出ていたところだわよ!」と怒っているので「何もそこまで怒らなくても・・・そんなにひどくなかったんじゃないかなぁ。」と言ったら、「いいえ!ひどいわよ!駄目よこんなの!」とおかんむり・・・。彼女の意見は、20日の総括で聞くことにいたしましょう。

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The Road to Guantanamo

2本目は、これもコンペ作品「The Road to Guantanamo」。Michael Winterbottom監督のイギリス作品です。いやぁ、私にとって、今のところのコンペの中の最高作品です! ペトラもすごく気に入って、やはりダントツ1位とのこと。これは文句なく、上映後に2人で記者会見に足を運びました。内容は、パキスタン出身のイギリスで暮らすの4人の友達がいるのですが、その中のひとりが結婚することになったので、カラチに集合し、結婚式に招待されました。4人はその前に、アフガニスタンへのハードな旅をします。途中で病気になったり大変なことが起きるのですが、それでもカンダハルからカブールまでたどり着き、再びパキスタンに戻ろうとした時、2001年9・11による厳重なチェックがUSサイドで行なわれ、4人はあっという間に、一方的に「モハメド・アタ」や、「ビン・ラーディン」を知っているとされ、テロリスト扱いを受けてしまうのです。尋問(ほとんど拷問)は長く長く続けられ、最後にはキューバのGuantanamoに連れて行かれ、強制的に収容されたました。彼らは本当にタリバーンとは無縁だし、ビン・ラーディンとも無関係なのに、厳しい尋問によってテロリストにでっち上げられてしまう・・・。4人のうちの3人が結局帰国できたのは、なんと2年も後のことだったのです。そして残る一人は、今だに行方不明・・・。

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記者会見

そうです、これは実話に基づいて、半分をドキュメンタリーで、半分を俳優が演じた映画。とても緊張感が漂う、素晴らしい作品に仕上がっていると思いました。ドキュメンタリーの部分は、命からがら帰国した、実際の青年達の言葉を丁寧に拾っています。彼らのうちの2人が記者会見に出席しました。この作品は、会場でも、そして記者会見でも、ジャーナリストから大きな拍手で好意的に迎えられました。

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It’s Winter

そして3本目。これもコンペ作品で、「It’s Winter」。Rafi Pitts監督で、イランの作品。ある村で、失業した夫が海外で職をさがすために村を出るのですが、残された妻と娘は仕送りもなく、つつましく暮らしているのでした。そこに、メカニックの仕事をしている男性が職を求めて村にやって来ます。彼は、前述の若く美しい母親に惹かれるのですが、その時警察がやってきて、彼女の夫が死亡したと告げました・・・。う〜〜ん・・これはですね・・・ちょっときつかったです・・・。内容も映像も構成も、なんというか・・・馴染めませんでした。新しさも何も感じなかったです。問題の深さはわかるし、私はどちらかというと、こうした映画を応援したいとも思うのですけれども・・・。何か、映画自体にきらめくような魅力がないのでした。ガクっとして早めに退場しましたら(汗、というか、ちゃんとトイレに行ってから見たのに、何故か途中でどうしてもまたトイレに行きたくなり、そのことをペトラに告げると、待ってましたとばかり「ヨシコ、トイレに出るんじゃなくて、このまま出てしまいましょうよ!」と言われて・・・ずるずると出てしまったのでした・・)、会場前にペトラの知人で、エジプトの女性監督、ミアがいるではありませんか! びっくりし、再会を喜ぶミアとペトラ。「ヨシコ、ほら御覧なさい、出て正解なのよ! ミアもひどい作品だって怒っていたわよ。」・・・そうですか・・・。嗚呼、ついに最後まで見ない作品が出てしまいました〜〜!!! ごめんなさい、Pitts監督・・・。