2007-02-16
2月15日
本日も、3本見ました。でも、最後の映画はぺトラとは違うものを選びました。彼女は、3本目を途中で出て、4本目に挑戦したようです!
今日はひとつお知らせが。「選挙」の想田監督と、主人公である山内さんが、15日の3時15分からデモンストレーション
をベルリナーレ・パラスト前で行いました!
写真はその様子です。最後には、かなりの人が集まりました。それに、海外のジャーナリストにはすごくウケているようです。新聞も、15日にはフランクフルター・アルゲマイネ紙に好意的に掲載されたそうですし、16日にはターゲスシュピーゲル紙とフランスのル・モンド紙にも載るそうです。すごいですね!
想田監督、ますますのご活躍を!
・・・
1本目は、韓国とフランスの合作で、中国の監督による映画「Hyazgar」。コンペ作品です。
モンゴルと中国の国境近くにある砂漠地帯のある小さな村。すでに多くの住人が村を去り、閑散としている。そこは、国が領土問題で激しく揺れているエリアだった。二つの場所にふたつの顔を持つ男、そしてそれぞれの場所で依存する女・・・・。変化は訪れるのだろうか・・・。
ぺトラ:
「ひどい映画。退屈する作品だわ。景色は素晴らしいし、自然がとても良かったけれども、それがあるから何とかなったのであり、心に何も残らない映画。前にあった、「ツヤの結婚」に比べたら、随分と見劣りしてしまうって感じ。」
淑子:
「確かに、「ツヤの結婚」と比べてしまったら厳しいかもしれないけれども、私はそんなにひどいって思わなかったなぁ。前半は退屈だったんだけれども、後半になっていい感じになった。
それに、気がついたんだけれども、おそらく全て手持ちカメラで撮影していたんだと思う。だから微妙な揺れがあって、ちょっとしたドキュメンタリーのタッチを感じさせて・・・。悪くなかったけれどもね。」
ぺトラ:
「そう? 淑子たちアジア人にとっては、そうなのかもしれないけれども、あの主人公の女性もあまりに華奢で平凡で、感動しなかったわ。それに女性を奴隷みたいに描くのって好きじゃないし。」
淑子:
「女優に感情移入しににくしたのは、アップのシーンが極端に少なくて、引いて撮っていたからではないのかな? それも監督の意図するところなのだと思うんだけれど・・。」
・・・
2本目は、ジェニファー・ロペスとアントニオ・バンデラス主演の「Bordertown」。アメリカ映画でGregory Nava監督。コンペです。
これは実際にあった話をベースにしているもので、アメリカとメキシコの国境近くにある街では、連続で若い女性が次々と殺されていた。事件を追うロペスとバンデラス。その時、襲われて命からがら逃げてきた女性がいた。彼女は警察には行きたくないと言う・・・。
淑子:
「ひどかったね、これ・・・途中で出ようと思ったんだけれども・・・。
最後までいたけれど、何だかなぁ・・・お金ばかりかけて、作りこんでいない感じで、お粗末でした。最後に、今回初めてのコンペ内での大ブーイングがあったね。」
ぺトラ:
「私もブーイングしたよ! 怒りだわよ、ひどいなんてもんじゃない。何も感じない、何も伝えていない。全くの表面的な映画。ジェニファー・ロペスを起用すればいいってもんじゃないでしょう。本当につまらなかった。でも、ストーリィそのものは取り上げるべき大事な問題だと思うけれども、途中で笑っていた人がいたよね。あれにはカチンときたわ。問題意識が低すぎ。」
淑子:
「全然心に響かなかった。監督が悪いのだと思う。」
・・・
そして3本目。先ずはぺトラから、コンペ作品を見に行きました。
「Ne touchez pas la hache」フランスとイタリアの合作で、監督はJacques Rivette, 主演はJeanne Balibar。ドパルデューの息子、ジェラルドも出演していることで注目でした。
ストーリィは、私は見ていないのでわからいので、総括の時にお知らせいたしますが、ぺトラからコメントがメールで届いて
います。
はっきり言って全く面白くなかった。例によって大量の言葉、凡庸でつまらなかった。無感動ムービーよ。あまりにひどかったので、途中で出てしまって、別の映画を見たの。
それはね、ドキュメンタリー映画で、「Tamara」というタイトル。タマラは旧東ドイツの”Silly”.というバンドに属していたシンガーで、このグループは東では本当に特別な存在だったのね。成功して西で活動することを許されたほどなのよ。音楽的にも優れたグループでね、特にタマラはカリスマだったの。2つのグループで活動していたの。でも彼女はある時がんだということがわかって・・・。それから彼女の死まで、まわりの誰もが彼女のことを想い、一緒に過ごそうとしたのね。
とても良いドキュメンタリーだった。このグループはね、実は今でも活動しているのよ。彼女がいなくなって、別のシンガーが参加しているのだけれども・・・。
・・・以上でした。
そして私が見た3本目は、パースペクティブ・ドイツ映画部門の作品で、ドキュメンタリーです。いろんな映画と重なっていたので、観客は少ないのでは、と思っていたのですが、4分の3はうまりましたし、ほとんど誰も出て行かなかったし、最後に拍手もありました!
マルセル・ヴェーン監督の「ヴェンダースの初期」というもの。文字通り、ヴィム・ヴェンダース監督の初期作品の頃に焦点をあてて、ヴェンダース本人にその頃を思い出して語ってもらうというもの。そして語った中の人物が、次々に現在の姿で登場し、それぞれがヴェンダースを語るというもの。
これは、かなり面白かったです! 引き込まれました。ヴェンダースの書斎と思われる場所も出て来たのですが、蓮實重彦著の小津安二郎についての本などが映って、興味深かったです。昔の恋人や、結婚していた女性、そして現在の奥様のドナータ、小説家のペーター・ハントケや俳優のブルーノ・ガンツなど、多彩な顔ぶれが登場し、また話す内容も面白く、とても楽しめました。ドナータもきれいに写っていて、奥様として鋭い観察でヴェンダースについて語っている姿も素敵でしたし、私の知人でもある、映画編集のペーター・プシコダも登場して、ずっと会っていないので、あれ~~老けたな~、でも痩せたな~、などと思ったり・・・笑。
ちょっぴりメランコリーな映画でした。
・・・
ということで、本日もてんこ盛りの内容でしたね!
明日はどうなるでしょうか? 私はニュルンベルクに行ってしまいますので・・・ぺトラがどうするか・・・。様子を見たいと思います。どういう形であれ、必ず総括までは続けますので、よろしくお願い申し上げます!
「選挙」の想田和弘です。ベルリン映画祭、最高に楽しかった!
アーセナルで行われた最後の上映も終わり、なんだか脱力感。
明日、ベルリンを後にします。この街が大好きになりました。
また絶対に来たいです。
想田監督へ
コメントをありがとうございました!
本当に大活躍、大成功でおめでとうございます!
賞のことは抜きにして、最も注目され、新聞にも取り上げられ、ベルリナーに喜ばれた日本作品は、想田監督の「選挙」でしたよ。
ぜひまたベルリンにいらしてくださいね!
お待ちしています!
お身体には気をつけて、ますますのご活躍を!