2007-02-14

2月13日


2月13日です。どんどん盛り上がってきている映画祭です。
写真は、スポンサーのひとつ、フォルクスワーゲンの送迎車です。
いろんなタイプがあります。もちろん、スターを乗せるデラックスなリムジンも!
もう1枚の写真は、テレビ局のもの。銀のメタリックなボディがちょっと面白いです。

3枚目は、メイン会場である「ベルリナーレ・パラスト」を中から見た写真。
中央の白い花で作られた道を、スターや監督が歩くのです。
そしてわんこちゃんの写真は!そりになっていて、1時間25ユーロで犬ぞりを楽しめるというもの! びっくりです!
このワンちゃんたちは、老人ホームや病院なども慰問も行っていて、いろんな人々を癒しているそうです。

結局、アンジェリーナ・ジョリーは来なかったようですね。でも、リストになかった二宮和也が、渡辺謙や井原剛志、クリント・イーストウッドと共に記者会見に出席したようです。昨日の新聞では、イーストウッド監督がかなりご機嫌で話をしていた様子が伺えます。ロバート・デニーロ監督は、他のジャーナリストから聞いた話では、質問を始終はぐらかして答えるという状態だったようです。何も言うことはない、映画を見て、ということなのでしょうか。でも、新聞に面白いことが載っていました。映画を作る時、最も好きな時間は?という問いに、一人でこもって編集をしている時と答えています。

今のところ、日本の映画については、「武士の一分」が紹介されていただけで(これは山田監督の3部作の最後ですし、他2作も過去にベルリナーレで上映されたので、触れておくという感じでしょうか。過去の2作品共、確かコンペだったと思いますが、今回はパノラマでの上映となっています。)、まだこれといった記事は掲載されていません。韓国の映画「サイボーグでもいい」は、何度も大きく取り上げられています。(監督が有名だからというのもありますが、今日はレインのアジアでの活躍に触れているインタビュー記事が出ていました。レインはインテリジェンスあふれる答えをしています。)

想田監督とお話した時は、いくつかの新聞に記事が掲載されるらしいとおっしゃっていましたので、楽しみです。(でも、私はベルリン新聞とターゲスシュピーゲルをチェックするのがやっとですが・・・。他は無理ですね、どう考えてみても・・汗。)

ベルリンはそもそも、格付けなど不要な空気があり、コンペだから崇高だとか、フォーラムだからまだまだだとか、そんなことはありません。大きくまとめると、

  • コンペ(金熊賞を競う)
  • パノラマ(こだわりのある作品が多いです。アート性の高いものも)
  • フォーラム(主に若手や新人のフレッシュな作品。この部門はベルリナーに愛されています。実際に個性あふれる良い作品が目白押し)
  • 子ども映画(子どもが見ても楽しめる、全ての人のための映画といえるかも)
  • ショートフィルム(短篇ですね)
  • 今年新設の食をテーマにした映画(食事付きで映画を鑑賞。食事なしでもOK)
  • ベルリナーレ・スペシャル(上記の枠ではおさまらない特別な作品が多いです)
  • レトロスペクティブ(今年はオマージュでアーサー・ペン、そして作品としては前に書いたようにファスビンダーの「ベルリン アレキサンダー広場」
  • ジャーマンシネマ(ドイツ映画の今を見られます)
  • テディ(ホモセクシュアルに関する映画で、ここもすごく人気があります)

・・・といった感じでしょうか。まだいろいろありますけれども、どれも人気があります。

・・・

13日までに私の耳に入ってきた日本映画に関する評判は、桃井かおり監督の「無花果の顔」、想田和弘監督 「選挙」、そしてアニメの「鉄コン筋クリート」(全てフォーラム部門)です。アニメはどうしても見ることができそうもないのですけれども、「無花果の顔」は、18日にチケットを買って見に行こうと思います。満杯だったらNGになってしまいますけれども・・・。拍手もあり、ベルリナーにかなり受け入れられたようです。う~ん、見たい!!
そもそもベルリン的な個性あふれる部門なのは、フォーラムなので、日本勢が健闘しているのは嬉しいですね。

それから、本日はジャンダルメン広場にて、フィルム・フォー・ピースというイベントがあり、リチャード・ギアが中心となって、チベットや世界の子供達への寄付などを呼びかけました。シャロン・ストーンも寄付したり(1000万円くらい)、出席したのは他にカトリーヌ・ドヌーブなど。そして、イーストウッドの「硫黄島からの手紙」とマンデラを描いた「グッバイ・バハマ」が受賞しました。

・・・

さて、では本日13日に見た映画です。なんと8本!笑
でも、そのうち5本はショートフィルムです・汗。そうです! 日本のショートフィルムを見ました。
あ、それから忘れないうちに! 読者の方のリクエスト、「Lost in Beijing 」は、ぺトラが16日に見ますので、その日のうちにアップは難しいかもしれませんが(私がニュルンベルクに行っていて、PCの環境が不明なので)、とにかく必ずアップいたします。

・・・

1本目は、コンペで「」 Ariel Rotter監督、スペインの作品です。
自分の現在の人生に満足していない中年の男。彼は新しい何かを求めて旅をする。それはイコール、「自分」へ向う旅でもあった。

ぺトラ:
「自分の今の人生をやめてしまいたいという表現を、主人公はとてもうまく演じていたと想うけれども、リアリティに欠けているって思ったわ。つまらなかった。いろんなところに旅するわけだけれども、そこで綺麗な若い女性と知り合ってねんごろになるだなんて、あんなくたびれたおっさんなのに、ありえないでしょ!!とはいえ、OKといえる映画ではあるけれどもね。どこかしら不満の残る映画だったわ。」

淑子:
「私はそこまでは思わなかったけれども、自分に向う旅というのは、あまり私自身と重ねたくなくて・・・。ちょっと気持ちが重くなる映画だった。家の問題、介護などを少しひねって描いていたし、無音の効果もあったし、映画の作り方はけっこう楽しめた。拍手もあったし、良い映画だとは思ったけれども、自分の趣味ではないな。だから心には響かなかった。」

・・・
2本目は、イギリス作品、Sam Garbarski監督、Marianne Faithfull主演のコンペ作品「Irina Palm」。フェイスフル演じるマギーは、息子夫婦の子ども、すなわち彼女の孫の病気を治すために必要なお金を工面するために、なんとロンドンにあるセックス・ショップで働くことになった。もちろん彼女はすでに年老いているのだが、セックス・ショップのオーナーによれば、たぐい稀なる指の持ち主と言われ、そこでホステスとして働くことになった・・・。

淑子:
「いや、この作品、すごかったね! ジャーナリストのウケも今までの中で最高だったし(つまりものすごい拍手でした!)、めちゃくちゃ面白くてみんな大笑いしていたよね。」

ぺトラ:
「すごく面白かった! 絶対にオススメの映画よね。いやって言う人はいなかったのではないかしら~。みんな楽しんだよね。こう、暗い映画が多いベルリナーレ、特にコンペだけれども、その中でこうした作品に出会うと、癒しになるっていうか(笑)、リフレッシュできていいわ。本当に楽しかったよね。」

淑子:
「いやはや、笑った笑った!もっとストーリィを説明したいのだけれども、それは野暮というものでしょう。ぜひ映画館に足を運んでいただきたいよね。主演のフェイスフルがものすごくチャーミングなおばちゃんを演じていて、本当に良かったわ~。」

ぺトラ:
「知っていると思うけれども、彼女は70年代に歌手としてとても人気のあった女性で、特に有名になったのは、当時ミック・ジャガーの恋人だったってことね。長くつきあっていたと記憶しているけれども。その後ドラッグにおぼれて声も変化してしまい、一時は引っ込んでいたんだけれども、何年かしてカムバックしてね、それからは歌も歌い、演技もしているみたいね。とてもよかったよね!」

淑子:
「うん、台詞もいいし、つまり脚本が光っていたし、監督の表現方法も優れていた。役者も達者だし、とにかくツボをおさえたいい映画!」

ぺトラ:
「淑子は5分しか移動時間がなくて、ショートフィルムに行ったけれども、私はこの記者会見に行ったのよね。そうしたら満杯で大拍手で、みんな大喜びだった。フェイスフルは、この映画がラブストーリィだから出演を決めたって言っていたわ。そうなのよね、なかなか良いのよね。」

淑子:
「なんというのかな、私的には大人のメルヘンって感じ?笑。そういう印象があったな。見終わった時にさわやかだったし、フェイスフルの魅力が最大限に発揮されていたと思う。彼女のタンカも痛快なのよね~~。」

ぺトラ:
「彼女もセックスショップのオーナー役のMiki Manojlovicも、完全にその人物になりきっていたよね。素晴らしかった!」

淑子:
「それにしても・・・マギーがねぇ・・・。そのショップが導入したノウハウは、東京から来ているっていう設定にはちょっと恥ずかしいものがあったけれども・・・汗。ぜひご覧ください!見て損のない映画だと思います。」

・・・
3本目は、コンペ外作品で、今回のコンペの審査委員長であるポール・シュレーダー監督作品「The Walker」。Woody Harrelson, Kristin Scott Thomas, Lauren Bacall, Moritz Bleibtreuと豪華な顔ぶれ。ちょい役でウィレム・デフォーも出演。
Carter Page(Harrelson)は、奇妙なビジネスをしていた。それは、高尚な文化を妻と共有できない夫の代わりに、その夫人とオペラ鑑賞などに行くということ。しかも彼は、毎水曜日にリン(スコット・トーマス)達と会って、カナスタをするサロンに通っていた。ある時、リンの愛人宅に二人で車で行った時、彼女だけが家に入ったが、すぐに戻って来て彼が死んでいると告げた。しかし、リンの立場を守るために、カーターは第一発見者は自分だと嘘をつく。そこからストーリィはさらにドラマチックになっていく。カーターの恋人である男性んのエメク(ブライプトロイ)は、カーターを助けようとするのだが・・・。

ぺトラ:
「こうね、複雑にからまった事件というか、それを監督が意図して作ったというか。とにかく素晴らしい映画だと思う。プロが到達できる世界ね、そして最高の役者陣。特に主演のHarrelsonがいい!でもカメラもすごい!全てがパーフェクト!雰囲気がすごくあってね。最初のうちは、正直どうかなって感じだったのね。あまりに話が複雑で、ついていかれるかなってね・・・でも、どんどん引き込まれていったの。すごく良い映画、これは絶対に見る価値あり!」

淑子:
「シュレーダー監督って、もともと傑作の映画の脚本を何本も手がけていて、ストーリィを作るのが得意だよね。参りましたって感じだけれども、ぺトラほどには興奮しなかったなぁ。私もすごい映画だと思うし、オススメなんだけれども、感動するってところまではいかなかった。プロ中のプロで、本当に素晴らしいのだけれども、シュレーダー監督ならすごいのを作ってくれるだろうっていう期待もあったし、当たり前だって気持ちもあったのかも。思った通りのすごい作品です!と言いたい。ぺトラは記者会見に行ったのよね。」

ぺトラ:
「そう、シュレーダー監督は、政治にもホモセクシュアルにも無関係な映画を作りたかったと言っていたわ。そうね、どちらもありそうな感じではあったけれども、だからあえてそう語ったのでしょうね。とにかく、ただキャラクターに興味があるだけなんだと言っていた。ヒルム・ノワールを喚起させるわね。アメリカン・ジゴロとの比較も面白い。
ローレン・バコールは、彼女の飼っている犬と一緒だったけれども、この映画にはものすごくエネルギーを要したし、それにより自分はフィットし続けるという感覚があったって。活力が生まれたのでしょうね、いいことだわね。」

淑子:
「ドイツ映画で活躍中の、去年最優秀男優賞を受賞した、ブライプトロイがけっこうすごい役で出ているのよね、主人公の恋人の男性の役。」

ぺトラ:
「そうそう、ゲイってことなのでしょうけれども。彼は記者会見で、このような素晴らしい映画に参加できたことは、自分にとってとても名誉なことで光栄だって言っていた、それにより、神経質になっていたのも吹き飛んでしまったって。ジャーナリストの質問にそう答えていたわ。」

・・・
そして私は、2本目と3本目の間に、日本のショートフィルム「謝罪」を他4本と一緒に見ました。他の作品は割愛させていただきますが(あまり面白くなかったし・・・)「謝罪」は、前にも書きましたように、NAMIKIBASHI監督→小島淳二と小林賢太郎のユニット。短篇部門に日本作品がノミネートされたのは、なんと31年ぶりということで、興味シンシンで行って参りました。
これ、かなりウケていましたよ!! 会場が笑いの渦になっていました!他の作品では、少なくても私が見た他4本には、ほとんど笑いがなかったですけれども、これはもう、ものすごくありましたね。楽しめました。私はこのシリーズのDVDを見てみたくなりました。日本人としてもすごく笑えたし、この内容を外国人にも面白いと思ってもらえる作りは見事です。短い時間で、あそこまで人を笑わせることができるだなんて・・。脱帽です!
受賞するかもですよ! というか、して欲しいです!

ということで、今日はこの辺で!誤字脱字があったらごめんなさい!

このエントリへの反応

  1. すごいですね、8本!お疲れじゃないですか。。
    会場近辺の雰囲気もわかり、とても楽しく読ませていただいてます。

    次の更新も楽しみにしています(^^)!

  2. 連日ハードスケジュールの中、レポートしてくれて有難うございます。

    >イーストウッドの「硫黄島からの手紙」とマンデラを描いた「グッバイ・バハマ」が受賞しました。

    とありますが、何を受賞したのでしょうか?

  3. はじめまして。レポ楽しく読ませていただきました。
    実は小林賢太郎のファンでして、実際に見たお客さんの反応がどうだったか気になってたんです。好評だったみたいで、すごく安心しました!
    日本でのDVD発売は3月なので、それまで楽しみに待つことにします。

  4. rainy さま、kontoriさま

    コメントをありがとうございます!
    いい加減な内容ですが、本人はけっこうそれなりにまじめに
    頑張っております・笑。

    さて、受賞はですね、シネマ・フォー・ピースという名前で与えられたもののようです。映画が平和に貢献したということだと思います。
    ごめんなさい、映画祭の場所で行われているのではなkて、映画祭の期間中に同時に行うことで、注目度もアップするということもあるのだと思います。リチャード・ギアがメインとなって、さまざまな社会活動をしている団体のようですが・・・。また詳細がわかりましたら、19日頃にアップ予定の総括でお知らせいたします。

  5. お返事ありがとうございます。
    お忙しい中大変だと想いますが、楽しんでください!!

  6. マチコさま

    コメントをありがとうございます!
    残念ながら、ショートフィルムで受賞はなりませんでしたけれ
    ども、本当にとってもウケていましたよ。あの激しい笑い方に、
    圧倒されてしまったほどです!笑

    私もこのDVDはぜひ欲しいと思います。一家に1本ですね!笑

    ではでは