2007-02-20

総括


57回目のベルリナーレも終わりました。途中2日ほど抜けてしまったけれども、ぺトラがしっかりとフォローしてくれたので、18日の最終日にもちゃんと2本も映画を見ることができたし、ぺトラがレポートもしてくれていたしで、彼女とのコンビ3年目はなかなかいい感じでした。
総括に入る前に、昨日あまりに疲れてしまって、ひどいレポートをアップしてしまい、申し訳ありませんでした!お詫びいたします。それで、書こうと思って掛けなかった、ぺトラのレポート3作品について先ずは書きます。

*「Blindsight」 (Panorama作品)
Lucy Walker監督

Erik Weihenmayer は、盲目の登山家。
Lhakpa Ri, 7045 メートルのエベレスト北部・・・そしてSabriye Tenberkenもまた盲目で、彼女はチベット学者であり教育学だった。(彼女は、チベット人のための点字を発明した人物でもある。) 二人は出会い、6名の盲目の学生達をLhakpa Ri へと導く・・・。

ぺトラ:
「この作品は、フィジカルなパワーではなく、盲目の登山家のとてもパーソナルな運命を描いているのね。チベットでは、盲目というのは前世からの神による罰とまだ考えられていることが多く、Sabriye T. kaempf は、そんな考えに反発しているの。Lucy Walkerはそれまで一度も登山をしたことがなく、いろんなことが起きるのね。病気にもなったり。でも、どんなことも楽しかったそうよ。
とても優れた、そして心がひとつになった作品で、人生において、何かを教えてくれる本当に素晴らしい作品だった!」

*「Invisibles」
Isabel Coixet, Fernando Leon de Aranoa, Mariano
Barroso, Javier Corcuera, Wim Wenders監督

ぺトラ:
「とても集中力に満ち溢れた、すごく重要な作品だと思った。5人の監督がひとつずつエピソードを映画の形で表現しているんだけれどもね、それぞれの違った危機や戦争の中での仕事について、私達観客はいろんなことを知ることができる。すごく感動したわ!
この映画は、絶対に多くの人々に見て感じてもらうべき映画だし、見なきゃいけないって感じた。
それぞれの監督は、とてもいい味を出していたけれども、例えばヴェンダース監督のようにベテランでプロ中のプロもいたのね。淑子が見たいって言っていた映画がこれだけれども、本当に淑子が見ることができなくて残念だったわ! きっとすぐに映画館かテレビで見られるはずだから、すぐに見て欲しい。
映画上映後には、監督全員が舞台に立って挨拶し、質疑応答があったのだけれども、観客もすごく熱心で、いろんな質問があったわ。ヴェンダースはコンゴでのエピソードだったのね・・・。」

*Scott Walker – 30 Century Man

ぺトラ:
「伝説的な歌手で音楽家のスコット・ウォーカーについてのドキュメンタリー。
「ウォーカー・ブラザーズ」として60年代から今に至るまで有名なグループにいたわけだけれど、彼は後にソロアルバムを出したのね。そしてついに最も影響力のあるスターになったんだけれど・・・。デビッド・ボウイやブライアン・ イーノなどに影響を与えたとされているのよね。2006年に、彼はかなり異様なアルバムを発表したの。この映画は、そんな彼の人生をなぞって紹介しているのね。彼のファンだったらもちろん必見、そしてそうじゃない人にとっても、最高に面白い作品よ。」

・・・

以上です。あ~~!! どれもこれも、すごく面白そう! 私もぺトラと一緒に見に行きたかったです~~。残念!

ではここで総括に入ります!

淑子:
「年々ベルリナーレのコンペ作品は、ひどいのが減ってきているように思うのだけれども、つまりどんどん良くなってきていると感じるの、ぺトラはどう思う?」

ぺトラ:
「そうね、特に戦争をテーマにしているものって、ベルリンではもう当たり前、ドイツやナチがひどく描かれるのが当たり前ってところがあったけれども、もういい加減そういうのが減ってきて、あったとしてもちょっと視点が違ってきているというか・・・。優れた作品が増えてきているよね。」

淑子:
「今回の金熊賞は、<ツヤの結婚>だったけれども、これはどう?
私はOKだけれども・・・。見て好きになったオススメ作品に入っていたしね。本当に良い映画だったし、受賞しても良い作品だとは思う。ただ、今中国が世界で最も注目されているってことも関係あるのかな~、なんて・・・?どう?」

ぺトラ:
「そうは思わないわ。だってシュレーダー監督は言っていたんだけれども、審査員もかなりモメたみたいね。結局5対2でこの作品が受賞したんだけれども、中国ってことではなく、場所がモンゴルでしょ。
それに、この監督作品は3回もベルリナーレのコンペで上映されているし、実力のある監督なのは間違いがないでしょう。」

淑子:
「そろそろ受賞してもいい時期っていうことなのかな・・・???」

ぺトラ:
「まぁそうかな。もしも中国に云々ってことがあったとしたら、それは例えば<ロスト・イン・ベイジン>が受賞したらそう思ったかもね。
でも、私も淑子同様、この作品が金というのは納得だわ。それと、新聞にもあったけれども、文化っていうのはいろいろあっていいわけで、西が最も良いだとか、極東がよくないとか、そういうのはないでしょう? そういう意味で、他の国の文化を理解し、芸術として評価するってことにも、ベルリナーレの意味があるのよね。」

淑子:
「それはとっても重要なことだよね。うん、本当にこの作品が受賞したのは良かったわ。主演の女優さんが、映画の中でも魅力的だけれども、受賞のステージでの美しさったら・・・!!! もう写真見てびっくりした!
それに、映画の中の人物は皆素人で、プロの役者さんは彼女だけだったそうね。

他に、例えば最優秀主演女優賞が、ドイツのニナ・ホスだったけれども、確かに上手だったけれど・・・、私はマリアンヌ・フェイスフルに受賞してもらいたかったな。」

ぺトラ:
「私は、エディット・ピアフの生涯を描いた作品、これはオープニングの作品だけれども、その映画で主演のピアフ役を演じたマリオン・クリアーにあげたかったな。だってあんなに若いのに、ピアフの若い時期から亡くなるまでの間を演じきったのだもの。素晴らしかったわ。確かにニナ・ホスも上手だったけれどもね。それと、フェイスフルも良かったけれども、ああいった役柄は、難しい訳ではないでしょう。役者として、簡単と言っては語弊があるけれども、演じやすく楽しい役ではあるんじゃない?
晴れがましい賞ってのは、難しくて大変なのに立派に演じきった役者に与えられるべきで、そう考えたらマリオンかニナかってところだったんじゃないかなぁ。」

淑子:
「なるほどね。そうなのかもしれないけれども、単純に楽しかったし面白くて盛り上がったし、そういう映画になったのも、フェイスフルのオーラーってものもあるんじゃないかな~って・・・。ちょっと残念だったなぁ。」

ぺトラ:
「それから、主演男優賞だけれど、これって何!?信じられない。何で<El Otro>のJulio Chavezが取るわけ? 映画はつまらなかったし、この男優だってこれといって感じるものは何もなかったのに・・。納得いかない! 私は<The Counterfeiters>の主演カール・マルコビッチにあげたかった。彼はとても上手だったわ。作品云々の前に、役者として難しい役をこなしたと思うもの。」

淑子:
「私は誰って今思い浮かばないのだけれども、この受賞は私も納得できない! だって、本当につまらなかったもの。それとこの作品って、銀熊賞も受賞しているよね。これもわからない!」

ぺトラ:
「私も理解できない! どうしてこんな作品が受賞してしまうわけ?今回は、他の文化に敬意を表するっていうのが、こういう形で現れたのね。
どうなのかな~。ちょっとがっかりだけれど・・・。あと、ギルド・ドイツ・シアター賞を、イギリスの<Hallam Foe>が受賞したわね。あの、有名な子役のジェイミー・ベル君が出た映画ね。」

淑子:
「ごめん、昨日随分疲れていたみたいで、間違った内容を書いてしまった・・・読者の方ごめんなさい! 映画の中で、主演は母親を殺してはいません!汗。ここで訂正させていただきます~。は~!
とにかくいろんな賞があるのよね。ショートフィルムは、残念ながら日本の作品は受賞できなかった・・・。かなり面白かったんだけれどもね。」

ぺトラ:
「ああ、淑子から聞いて、それだけでも笑ったわ~!笑。確かに日本に行くとわかるんだけれども、お辞儀と謝罪って独特よね。
あとね、忘れないうちに書くけれども、最優秀監督賞は、チェコのがすごく良かったから、この監督にあげたかったな。本当に素晴らしかったもの。金熊賞でも良かったくらい。」

淑子:
「16日の朝の上映だったよね・・・見られなくてとっても残念!! そんなに良かったのか~。映画館で見るわ!」

ぺトラ:
「見た中では、他にシュレーダーの作品もコンペじゃなかったけれども、すごく良かった。これはもう最高だったわ。あとはピアフの生涯を描いた作品ね。
最悪な作品は<ボーダータウン>あれはひどかった。テーマがいいのに残念としか言えない。
上質のドキュメンタリーは、いつでも素晴らしいわね。<Blindslight>パノラマ部門で、盲目のチベットの子どもについての作品だけれども、これは素晴らしくて、パノラマの観客賞を受賞したのよね。良かったわ~。」

淑子:
「見たかったな~。」

ぺトラ:
「スコット・ウォーカーの<30 Century Man>。これも良かった! デビッド・ボウイのプロデューサーだった人の話ね。<タマラ>もすごく良かった。もちろん、ヴェンダースが1作作っている5作競作の映画<Invisible>これはもう、絶対に見なければって映画だわよ。淑子がいいって言ってくれたし、見たけれども、本当に見て良かったって思う。パノラマの中で必見の作品。」

淑子:
「オススメした私が見られなかったのは、本当にただただ残念としか言えないわ・・涙。早く映画館で上映されないかな。」

ぺトラ:
「<グッバイ・バファナ>だけれども、これはたいした映画じゃなかったけれども、1968年から1970年まで私も南アフリカにいたので、ちょっと考えてしまう映画だったわね。」

淑子:
「今日は、わざわざぺトラのその頃の写真だの証明書だの、新聞の切り抜きとか持って来てくれたのよね。ありがとう。読者の皆さん、写真をクリックして大きくしてご覧ください。若き日のぺトラが映っております。」

ぺトラ:
「その頃アパルトヘイトの時期だったから、本当にハードだったわ。もちろん、私は単なる外国人に過ぎないのだけれども、本当にすごい時代に行っていたんだなって思う。同じ車に黒人と一緒に乗っていることも禁止されていて、ホテルでバイトしていたんだけれども、危険なこともいっぱいあったわ。」

淑子:
「この写真、すごいよね~。美しい!」

ぺトラ:
「やめてよ!笑 もうはるか昔の写真だしね~。

ってことで、今年も終わったけれども、ベルリナーレはどんどんいい感じになってきていると思うわ。それに、いろんな国のジャーナリストと話ができるのも素晴らしいしね。」

淑子:
「私はそこまでエネルギーがないので、知らないジャーナリストに声をかけるってことは全くしないけれども、ぺトラはけっこうするよね。」

ぺトラ:
「いい感じだったらね。おかげでシンパシーのあるジャーナリストとも友達になれたし。淑子のチケットをゲットするためにプレスセンターで並んでいた時に知り合った女性なんて、ものすごく気に入ってくれてね。メル友になったのよ・笑」

淑子:
「脱帽です・・・。ぺトラのエネルギーを少しでも分けて欲しいわ~。私は今日とっても体調が悪くて・・・。昨日がひどくてコンサートにも行かれなかったし、2本映画を見ることができたのは嬉しかったけれども、ニュルンベルクの健康メッセで7時間もプロ用の重いカメラを持って撮影していたので、完全に背中をやられてしまって・・・汗。筋肉痛で痛いの~。つらい・・・涙。」

ぺトラ:
「無理しないでよ! 淑子が倒れたらた~いへんだから!」

淑子:
「どうもありがと~! もう随分回復しているのです。おかげさまで、早めに治って元気になる気がしてきた!笑」

ぺトラ:
「来年は、もうちょっと元気になって、バリバリいろんな映画をた~くさん見ましょうよね。役割分担もしっかししてね。メモもとるからね。それに、ラウンジでスターにインタビューっていうのもいいかも!
今からとっても楽しみだわ!!」

淑子:
「え! 来年もやるの??? 本気でしょうね?!! 読者の皆さんを裏切ってはダメよ。そこまで言うなら、ちゃんと予定組んで手帳に書いておいてね!まぁ、ラウンジでスターにインタビューってのは、ちょっとわからないけれども・・。」

ぺトラ:
「それに、ちゃんと私達のブログがベルリナーレでもそれなりに認知+評価されれば、来年はもうちょっと境遇の良い状態になるかも・・。これはまだわからないけれどもね・・・トライしてみる価値はあるわよ。」

淑子:
「そうなの・・・?? どうなのかな~。でもとにかく、ぺトラが来年も頑張ると言ってくれていますので、ではまた来年~~!!笑」

ぺトラ:
「私は冗談は言わないからね・笑。楽しんで映画祭に参加しましょうよね。」

淑子:
「そうね・・・力の限りチャレンジいたします!

・・・

ここまで頑張ってこられたのも、ポット出版さんの編集者さん、石塚さんと、そしてずっと関わってくださっている日高さんのおかげです!!!

ぺトラも私も、心から感謝しています!
ありがとうございました!

そして熱心に読んでくださった皆様にも、心よりお礼申し上げます!

それではまた!
お元気でお過ごしくださいね!

そして、できればまた来年にお会いいたしましょう♪

淑子&ぺトラ

このエントリへの反応

  1. 素晴らしい映画祭リポートをありがとう!
    私はScott Walkerの音楽と生き方に関心があり、blogを作って1年になります。
    映画”30 Century Man”が日本で果たして上映されるのか今のところ不明のため日本でヤキモキしているばかりなのですが、ベルリン映画祭のペトラさんの感想が好評でしたので、本当に嬉しく思っております。
    Scott本人も大変な映画ファンで、彼の音楽の重要なバックボーンとなっています。また私自身も映画少女のまま今に至っています。
    来年のリポートも楽しみにしていますね。

  2. carwalkerさま

    コメントをありがとうございます!
    ぺトラがとても喜びます!早速伝えます。

    catwalkerさんのブログも拝見したいです。さがしてみますね。
    楽しみです!

    来年のベルリン国際映画祭も、できればまたレポートしたいと思っています。そのためには体調を整えないとですね!笑

    お付き合いくださり、ありがとうございます!
    それではまた

    来年もよろしくお願いします!