2006-06-20

いただいたご本『同性婚』

douseikon.jpg副題に「ゲイの権利をめぐるアメリカ現代史」。著者はアメリカのジェンダー/セクシュアリティ研究者、ジョージ・チョーンシー氏。尾辻かな子・大阪府議の活躍で、日本でも同性カップルの社会保障についての議論が少し喚起されたタイミングだけに、こうした本の出版は意義深い。

訳者あとがきに、この本の企画を出版社に持ち込んだところ「市場価値」がないと断る版元もあった、とわざわざ記されていたが、たしかに、この本が売れる可能性はあまり高くない。大手書店の店員さんが「ジェンダー/セクシュアリティの本は本当に動かない」と嘆いているご時世だ(←そりゃそう、論点はとっくに出尽くしていて、あとは真似っこか、オタクに議論を細分化しているだけだもん)。フェミニズムならまだ人口の半分の問題だけど、ゲイやレズビアン、バイセクシュアルは人口の一割にも満たないのだから、尚更。

そういう条件の中で書籍を、あるいは言説をマーケットを通じて流通させていくことは本当に難しい。研究者の自己満足や「記念出版」に終わらせないためには、関係者はがんばって「営業実践」するしかない。ドブ板販促。必要があれば伏見も協力するつもりだ。

● ジョージ・チョーンシー『同性婚』(上杉富之・村上隆則訳/明石書店) 3500円+税