1-1●日誌--沢辺

2010年9月決算は黒字を出せたので、決算賞与と社長賞を出したときの文書

ポットは9月末が決算、。
2010年9月の決算では約650万円の黒字を見込めた。
残念ながらその前年の決算は550万ほどの赤字決算で、一応帳消しに出来る程度の黒字にすぎない。
とはいえ、黒字は株主とスタッフと会社の貯金(内部留保)にすることにしている。なので、
1/4くらいを決算賞与と株主配当にした。

決算賞与の配分の仕方をスタッフ会議で議論。
結局、役員には決算賞与なし、スタッフに一律に配布ということになった。
ポットは、いわゆる「編集プロダクション」にあたる編集チームと、
デザインチーム、出版チーム、の3部門があり、それぞれ部門別の赤字黒字の数字もだしている。
そんなアンバランスもあるしってことで、その会議で「社長賞」をだすってことになった。
もちろん、これオレの財布からだすってことだけどね(笑)。

で、今日の会議で社長賞をだしたのだけど、そんときに、一応基本的な考えを話しておこうと思って、
短い文章にまとめた。以下がそれ。

社長賞は和田にだした。
和田くんありがとう。

────────────────────社長賞について

良いチームを作ることが、沢辺としてのポットの目標。
社長賞をつくって、良いチーム作りの重要さを忘れないでほしいので、
考えを整理しておく。

●チーム←→個人は相互に必要
良いチームが大切といっても、良い個人でなくてよいなどということではなく
当然良い個人も大切。
良いチームのためには→良い個人、のためには→良いチーム、のためには→、、、、
と循環するもの

●昔は、良い個人だけでも良いものができたけど、現代は良い個人に加えてよいチームがなければ良いものはできないと思う。
・良いもののレベルが上がっている
 先日ビラセレーナ祭で「anan」の創刊当時のふる雑誌を買ったけど、
 デザインだけ見れば、現代のデザインのレベルのほうがぜんぜん高いと思う。
 あの時代、あの技術環境、デザインなどがあまり一般に無関係だった時代に、アレを出したのだからスゴい。
 でも今はさらに良いものを出さなければ、「スゴい」にはならない。
・技術レベルがあがっているの
 写真はデジタルがあたりまえ、PSDファイル/RGBで印刷所(リップ)に渡せるようになった。
 ネットワーク、 FTPサーバ、PDFを使いこなせなければ円滑な進行ができない
 これらの技術を編集デザインの仕事のなかで、使いこなすためには、良い個人一人では無理
 ネットに強いけど、ザル校になってしまう編集者、とかいろんな良い部分(=個人)の集合でなければ実現できない

●ポットの売上げに即して
・ポットが編集制作/デザイン/出版/(ネットワークとデータベース)のセクションを持っているのは
 相乗効果を目指しているから
・ある部門の「赤字」ですら、ほんとうにその部門の赤字かどうかわからない

社長賞を出すにあたっての老婆心からかいたので、必要以上にチームの重要性を書いてしまったけど、
もちろん、良いチームのためには、良い個人がいなければできゃしない。

勉強会も引き続きやっていくけど、
・たとえば雑誌をみていても「あ、これあれの企画につかえるんじゃない?」という関心が、個人のベースに必要。
・仕事をしていく現場に現れた問題点を、普遍的な改善課題とする視点、それを共有する視点
が必要。そして、残念ながら勉強会だけではそうした一人一人の姿勢を作ることはできない。
個人に依拠する部分がまた多い。一層の奮闘を。

2010.12.03
沢辺 均

東京プライドのゴタゴタにうんざりしたってメールを公開

プライドパレード(昔のレズビアン・ゲイパレード)の運営主体=東京プライド、でまたごたごたなのかな?

なぜ、↓を書いたのか経緯を説明する気も失せてる。
もとめに応じて書いたメール、公開だけしておきますぜ。

────────────────────
Aさま

●パレード中止(2〜3年前の)以降の東京プライドの「内紛」はばかばかしいばかりだと感じていました。
●臨時総会要求、あるいは過去に参加した総会でも、どこかで聞いたような「会議運営ルール」=形式ばかり気にしていて、
 滑稽だと感じていました。
●例えば、なぜ会員同士のメーリングリストがないのかも疑問。
 今回の臨時総会要求にメールアドレスを教えていいか、とか手続きの厳格化ばかりで、
 オープンな議論の場もない。あきれかえっていました。
本当にくだらないなー、と。

さてAさんの臨時総会の前倒し開催と時間延長要求についててです。
どーでもいいです。こんな形式論はもうやめるほうがいいと思います。

・そもそも、代々木公園予約できなかった、というのも、僕は知りません。
 メールマガジンで告知されていたのかもしれないけど。
 すでに予約できなかった、という事実を前提に次の対処を考えるしかないです。
 砂川代表が、ドジったとしても、他にも役員はいるはずだから、みすみす砂川代表のドジにだれも気がつかなかったわけです。
 組織全体の責任でしょう。
 仮に、砂川代表が、悪意をもってサボタージュして予約できないまま過ごした、としても
 悪意の証明は、ほとんど出来ません。その悪意をやすやすと実現させてしまう構造が、役員にあったということです。
 悪意の証明はできないですが、それが罷免に値すると思う=悪意があったと認識する人が多ければ、首にすればいい。
 いまさら詳細な説明や、「議論を尽くす」という建前の要求をしても意味は無いです。
 議論も、ある時間的な制約でやるもんで、尽くすという正論だけで運営等できません。

・収支報告に疑問があるなら、一会員として、帳簿類/証拠書類を見せてもらいに、
 日時を相談したうえに、Aさんが見に行くのがいい。
 総会などでどんなに議論したって、誰かが詳細にみるのにはかなわないですよ。

・「スポンサーからの資金回収の現状の報告を要求する」って要求するほどのものはないでしょう。
 見せて下さい、って聞きに行けばいい。
 それが拒否されるわけない。

・砂川代表の総括、速やかな報告なんていらないでしょ。
 仕事の引き継ぎなんて、一緒に仕事をする時間を作らない限り、引き継げないし、
 まあ、引き継ぎなんて建前で、ほんとは絶望的に難しいことですよね。

・そもそも、それほどやりたいわけでもないひとが、かろうじて、
 とは言っても、だかれかやんなきゃね、あたりで運営されているってのが実態なんじゃないですか。
 やりたい人が山ほどいて、厳選されたメンバーで行われているとはおもえないです。
 そんな悪い循環から早く抜け出して、やりたい人がつねにいるって状態を作るのがかだいじゃないですか?
 
とはいえ、もう遅いかも。解散したほうがいいのかもしれませんよ。

結論をいえば、現時点でAさんの臨時総会の前倒し開催と時間延長要求に賛成する気分になれない。
このことは、Aさんの会員の連絡先教えて、にくだらない「本人了解を得たものだけ」みたいな対応をした、
現執行部を支持することを意味するのではなく、どうしようもないな、どいつもコイツも、という思いを深くしただけです。

Aサンも、疑問の点があれば、帳簿とかみせてもらうように自ら行動したほうがいいと思います。

と、長々と意見を書きましたが、僕にはAさんにしかこの意見を届ける手段がない、。
つまり、会員同士意見を交換しあう場がないことに、徒労感をもちます。

せめても、とおもい、東京プライドの公表されているメールアドレスCcします。

沢辺均 2010.12.01.23時30分

ポット出版社長・沢辺均の日記 -98[2010.11.23〜2010.11.28]

●2010.11.23火 祝
雑用を少々片付けたぞ。

●2010.11.24水
株式会社スタジオ・ポットの2009年度決算書完成。
今日は11月生まれの五賀のj「お誕生日会(笑)」で、キルフェボンのケーキで祝う。
キルフェボンといえば、果物がイッパイ乗っかっているのがいいと思ってたけど、
チーズケーキがうまかった。
夜は版元ドットコムの組合員会議。
いつものように飲み会に流れる。今日は「ひょうたん」。

●2010.11.25木
午前中、さわやか信用金庫の担当者が来て、借金の契約。3000万円。
あ、これ借り換えだから、、、2400万円くらいはすぐなくなる。
シャチョーのオレは「当然」連帯保証人。はい、いざとなったらスッカラカンでもたりません。
出版会議。マンガのモアレ問題。
画像の校正には、ウチのプリンターでも、シナノ印刷の「白焼き」でも役に立たん。
なんでそこが曖昧になるんだ?
それから整体(均整)を受ける。
夜は、ポットチャンネル
境真良さん。オタクで、経産省の官僚。
著作権のことから始まってジャパニーズ・ブックダムのことまで
ははは、でも、聴取者最低記録をつくる(笑)。
まったく問題ないんだけどね。
NDLの柳さんも来てくれて、帰りにみんなでイッパイ。
その場で、次回ポットチャンネルには植村さんがいいよね、って話になった。

●2010.11.26金
ポット会議。
午後は横浜パシフィコの図書館総合展でパネルディスカッション。
テーマは「首都・東京の図書館再生計画 −23区の図書館を考える−
司会は糸賀雅児(慶應義塾大学教授、中央教育審議会委員)さん。
パネラーは、
新谷迪子(千代田区立千代田図書館長)と野田勉(新宿区立中央図書館長)さんと、
千野信浩(ダイヤモンド社)さん、と。
レジュメをこの日誌に書いているんでご参考に。
終わってから、水道橋で開かれている、
版元ドットコム入門:版元ドットコム経由での書店への近刊及び書誌情報提供の現状とこれから」へいく。
終わって、永井さんたちと飲んでいたら、佐藤と友人の金さんから着信履歴。
この日、去年亡くなった共通の友人=坂本幸男さんの偲ぶ会をささやかにやることになってた。
慌てて中座して、新宿へ行く。

●2010.11.27土
東京堂で
『民主党政権への伏流』刊行記念トークイベント
「政治は誰がつくっているのか─聞き手(インタビュアー)が見る政権交代」
御厨貴さん(東京大学教授)×前田和男さん(『民主党政権への伏流』著者)。
司会をやる。Ustで見れます
御厨さんには、これまで面識もなにも無かったので、
突然、玄関から出演をお願いしたのだけど、二つ返事でOKしてもらったのだ。
この本に、御厨さんを動かす力があると思っていたけど、うれしいもんだ。
終わってからの打ち上げ(前田さんの友人が主宰してくれた)には、
前田さんの同級生や「全共闘白書」グループなどが多数。
御厨さんも同席してくれたけど、大丈夫だったかな? 毒気に当てられなかったかな?

●2010.11.28日
第三書館の「流出「公安テロ情報」全データ イスラム教徒=「テロリスト」なのか? 」の注文が、
版元ドットコムに殺到。
対策などを相談するのに第三書館へ。帰りに模索舎による。
ほかに、雑用を片付けたり、鉄とすずと絵画館前のイチョウを見に行ったり。

一年前に書いた書評○「わたしの戦後出版史」松本昌次

前もこの「ポットの日誌」に書いたと思うんだけど、
自分で書いた原稿やレジュメなんかはここにまとめておくことにしてるんだ。

一年前に、「d/sign」に書評を書いた。
17号に。そういえば18号がでたんで、ここに載っけておく。

書いたときはこんな酷い書評で、怒られるかと(誰から?)思ったりしたんだけど、
以外に褒めてもらったりして、、、。
面白い反応だったな。

ココから────────────────────
「わたしの戦後出版史」松本昌次(聞き手/上野明雄・鷲尾賢也)

●掲載誌
d/sign デザイン no.17  責任編集=鈴木一誌・戸田ツトム
発行=太田出版
価格=1800円+税 版型=A4判変型 ページ数=152ページ
ISBNコード=9784778311995 発売年月日2009.12.03


わたしの戦後出版史
松本昌次[著] 上野明雄・鷲尾賢也[聞き手]
発行=トランスビュー
46判上製・352頁・定価2940円(税込)
2008年8月刊行/ISBN:978-4-901510-65-3

本書は、その著者略歴によれば、「1927年、東京に生まれる。1953年、未来社に入社。以降三十数年編集者として勤め、83年退社、影書房を創設し現在に至る。関わった著者に花田清輝、埴谷雄高、丸山真男、平野謙、野間宏、杉浦明平、木下順二、山本安英、富士正晴、島尾敏雄、吉本隆明、井上光晴、橋川文三、上野英信、溝上泰子、藤田省三、廣末保、安東次男、上原専禄など。手がけた数々の名著は、そのまま戦後出版史の輝かしい軌跡を描く。」という著者・松本昌次の、出版史だ。
まったく、お気楽な本である。
すでにベルリンの壁が崩壊しているにもかかわらず、マルクス主義的な左翼気分を総括することもない。
現在の出版状況に、編集者の志がないといって、エラソーな説教をたれる。

社会全体がまだまだ貧しく、貧富の格差も圧倒的で、どう見ても偉いヤツや金持ちは信用ならんぞ、と思わざる得ない時代。
マルクス主義によれば、世界は解放されると信じられた時代。
そうした時代に青年時代を送ったのだから、松本が、全学連初代委員長の武井昭夫からの激励電報を記憶に深く残していてもまったく不思議はない。在学していた東北大学の「イールズ事件」に、関連して。
だがなー、と思わずにいられない。
2009年なんだよ、今は。ベルリンの壁が崩壊したんだよ。日本の新左翼も、社共などの旧左翼も、一部をのぞいて思想的格闘から逃れて経典に逃げ込んで衰退。現実の社会から目を背けて自滅。なんで自滅してしまったのか、なぜ普通の人たちは世界を解放するという大きな物語に共感してくれなかったのか、資本家たちが搾取して絞り上げるはずの労働者たちは、消費を楽しむようになったのか、なれたのか。本当に今、日本で、世界で、それぞれの人間たちにまとわりつく、それぞれの困難はなんなのか。
もし、丸山真男たちが戦後日本の、世界の課題に立ち向かったのならば、今、21世紀の、戦後のそれとは違った困難に格闘するのが、今も生きて発言する松本にも編集者として問われているんじゃないのかな。
ところが、本書では一貫して左翼的気分にノスタルジックにしがみついている。
相変わらず「悪い地主をやっつけろ」って、どこかに完全な悪者がいて社会をワルくしてるって発想にしがみついている。
例えば、拉致問題だ。
金日成の著作を未来社から出版している。たぶん著者買い上げのようなスタイルだったんだろう。金日成とその北朝鮮にエールを送ったのだ。
ところが、金正日が拉致を認めた。まともに考えれば大ショック、大混乱のはず。
にもかかわらず、松本は「三十六年間にわたる植民地支配とそれによる朝鮮分断の責任をとって謝罪し、日本から国交を開いていれば、現在のような『拉致問題』を始めとするこじれた事態を招かなかったことは明らかです」と、拉致=日本の侵略が原因、って書いている。
なんという思想的退廃なんだろう。たかが人間が考えついた理念・理想が、善い社会をつくるって思ってしまったことが根本的に問題だったんじゃない?
国家に変わるアイデアを提出することなくただ国家を嫌悪し、市場に変わるアイデアを提出することなく営利活動を嫌悪する、戦後の左翼思想との格闘を回避して、ノスタルジックな回顧を語りつづけたのが、この本だと思っちゃうな。

ところで、この本は多くのメディアに取り上げられている。
ノスタルジックな回顧と、頑固な左翼主義にすぎない松本を、まるで非転向で信念の編集者のように祭り上げる。
理念や信念に対する非転向などに意味があるワケはない。信念の対立こそが問題なのだ。非転向は現にその対立をますます固定的にする。信念の対立をどうやって繁多な共存のなかに解消するか、が21世紀の問題ではないか。
新聞書評では、産経・毎日・朝日・日経・北海道・山梨日日・中日・高知などなどが取り上げている。
これほど新聞書評に片っ端から取り上げられるのは、それなりの評判の本だ。
評判の本というのは、イッパイ売れているか、それほど売れてるわけじゃないけど、多くの評者を共感させてしまう本。
書店などでも見ても、それほど売れているとも思えない。版元だって、2,800円の本体価格をつけてるんだから、千部や二千部くらいでしょう、見込んでいる売上げは。紀伊國屋パブラインで売上げ実績を見たって、そのくらいだろう、って数字だ。
にもかかわらず、この掲載量。多くの評者や新聞の記者・編集者たちが共感してるのだろうね。で、そこから感じられるのは、日本のメディアは「左翼」が好き、なんですねってことだ。産経新聞まで載せてるんですよ。
これって、松本自身が本書で批判した「著者の肩書きや実績だけをたよりに判断する。いまもよくあることだけど、権威主義的で、ダメな編集会議の典型」ってのとおんなじじゃないですか。
丸山真男はスゴい、花田清輝は有名だ、吉本隆明も扱ってるぞ、だから松本はスゴいって。
印税を払えなかったっていう話も所々に出て来るが、それもこうした文脈におかれると、カネのことは考えないで、いい本をつくるんだというのが、知的レベルの高さを証明しているかのような補強の文脈におかれる。まあ当の著者たちが納得してるんだから問題ないんだろうけど、「あの人文書などで有名な○○社が丸山真男と印税でトラブル」って記事にもなりかねない話でしょ。ちなみに本書では、たとえば、「未来社じゃおカネが頼りないから、他の出版社がなんとか本を作ってくれて印税がいくらかでも入るようにならないか、と思っていました」とか「売れるか売れないかというより、いいものがどうかが出版企画の第一の基準」な風に語られている。

さて、松本は本は「志」だと言っている。
はい、この「志」ってのは私も強く賛成するところなんですね。ただ、すこしズレがある。
松本の「志」は、理念や信念、ある意味での「知」に偏っている。権力と戦うことに偏っている。まあ、まず良書というものがあって、それを経済性も無視して出版することが「志」ということのようなのである。
確かに、今日、志がむしろとてつもなく大切なものなんだと思う。
ユニクロの洋服だって、安ければいいってもんにはなってないでしょ。そこには体温を逃がさない新素材が使われるとか、カシミヤ使ってますよ、とか、ね。「いいものを安く多くの人に」ってのもリッパな「志」。
アマゾンだって、売上げ増をめざして商売してるでしょうが、少部数の本をジュンク堂よりいっぱい売っている可能性は高い。少部数=良書という見方にたてばいまや日本でイチバン良書の普及に貢献しているのはアマゾンだろう。
少数の考え方の本を大切にしてる、とも言えるのだ。
「志」は大切だ。
読者=普通の人が求める繁多なものをつくっていくということや、編集者自身の興味や関心などが、私の考える「志」なのだ。
そして、たかがそんな「志」(私の言い方で言えば興味や関心)で本を作りながら、松本の言うような、「編集者はただ本をつくっていればいいというもんじゃない。心をかけた著者と仕事をすることは、その著者とともに時代を変革する運動にみずからもかかわることなんですね」という「運動」に積極的に関わるのがいいのだ。
たとえば、ポット出版の20代の編集者でSM好きがいる。そいつが「懺悔録」という沼正三のエッセイ集を作った。そいつは次に石ノ森章太郎が書いたマンガ版の「家畜人ヤプー」を復刊させるべく作業している。多分、年内に出版できるだろう。
松本からみればまったく良書の範疇にはいらないんだろう。「志」もなにもないって見えるんじゃないかな? 
だが、「志」ってのは、多くの本好きがなるほどという良書を出すことではなく、編集者が(あるいは書き手でもあると思うんだけど)自分の興味と関心に即して、深く深く掘り下げるってことなんじゃないだろうか? (もちろん、この自分の興味と関心と同時にまた新しい本をつくるための経済性を兼ね備えなけりゃいけないんです)
そして、運動。編集者が興味や関心を深く深く掘り下げる目的地は、単に本を作るということに行き着くだけでなく、その著者と一緒にSMショーをやってみたり、SMサイトを作ってみたりといった狭い意味の本にかかわらない活動なんじゃないだろうか。そのことが「志」を共有した時代を変革する運動にもなり得て、それがまた本作りにブーメランのようにかえって来るのだと思う。だって、SMに市民権を獲得するなんて、スゴい「時代を変革する運動」じゃないですか(SMが市民権得ちゃうと面白くなくなるかもしれないけど)。

ところで、この本の登場人物の一部に妙に接触経験があるんだな、世代は違うはずなのに。
松本が最初に勤めた出版社=未来社の営業担当を一人で担っていたという小汀良久さん。
小汀さんは、未来社を退社して何年かしてから、新泉社を創業した人だけど、ポット出版が最初に発売代行をしてもらっていた径書房に「ず・ぼん 図書館とメディアの本」の発売代行を断られて、代わりに代行をお願いした人だ。
ゲラをもって、おそるおそる発売代行をお願いに行ったら、「はいよ」と二つ返事で引き受けてくれた人。
「あのー、ゲラを持ってきたんですけど」と、「あー、いい、いい」って眺めもしなかった(笑)。
NR出版協同組合や、出版流通対策協議会(流対協)などで、小零細出版社のリーダー的な人だった。
発売代行の他に、流対協の幹事を仰せつかったり、新泉社の不渡りに巻き込まれたりもした(その頃は、月末になると「5日まで○十万貸してくれ」ってよく電話がかかってきたっけ)。豪傑な感じで今でも好きな人の一人だけどね。
始めに発売代行をしてくれた径書房の創業者、原田奈翁雄さんも、山代巴の思い出のところに登場。
松本が同士のようにつきあってきた大工・庄幸司郎の月刊のミニコミは毎月購読してた。私が左翼をやってた頃。
その庄が、中野につくっていた市民運動の会議場所みたいなマンションの一室にも、なんの会議だかわすれたけど、一度行ったことがあった。
聞き手の一人、上野明雄は、ポット出版で発行している「ず・ぼん 図書館とメディアの本」に野上暁の名で、児童文学について書いてもらった。
そしてそもそもこの本を出版したトランスビューは、「出版社自身の手で書誌情報を発信しよう」という目的で始めた版元ドットコムの、役員なかま。
営業担当役員の工藤さんとは、毎月会議で同席して終わったら飲み屋に一緒にいっている。
この書評を書くと話したら、新聞や雑誌などに掲載された書評のPDFを送ってくれた(それでその書評の多さにビックリしたワケです)。
こういう具合に、世代違いでも、接触経験があると、どうも正直な気持ちを書きにくいな。だけど書いちゃった。

さて最後。
出版という仕事の意味の一つに、時を記録しておくという意味があるんだと思う。
記録があることで、戦後日本の意味などを後から追うことができるはずだから。
そういう点からいうと、この松本の「わたしの戦後出版史」は戦後日本の思想や、それに果たした出版業の役割などを振り返るときに大切な記録となっている。
だからこそ、編集、しっかりせいよ、と思わずにはいられない。
なぜ、索引がないのか? 人名索引も事項索引も書名索引も出版社名索引も欲しい。
なぜ、松本のフィルモグラフィー・全編集本一覧がないのか?
Googleブックサーチに本を送ったら全文検索できるから不要だとでも思ったんだろうか?
でも全文検索するためには、あらかじめ人名とか検索語を知っていなけりゃなんないじゃん。
月に一度は会議のあとに一緒に飲んでる工藤さんにワルいんだけど、版元にまで悪態ついちゃった。
もし松本から、出版したいんだって連絡があったなら、私もたぶん迷わず「出版させください」って言っただろうな。重要な記録の一つだと思うからだ。
だけど、売るのは難しいだろうな。
ならば印税値切るか。

ポット出版社長・沢辺均の日記 -97[2010.11.10〜2010.11.22]

またイッパイためてしまった日誌。
というより時間がたつのが早いのだ。

●2010.11.10水
アシェット婦人画報社へ、DTPシステムの見学。inCopyを利用してる。
出版社は印刷の手前まで=つまり印刷所に入稿するデータを完成させるまで、
社内でやるべきだと思ったな、やっぱり(つまり、いまポットでやってることなんだけど)。
アシェットの挑戦はいいよ。だけど、やっぱり「人」がいた。
ただ外注集めるだけじゃできないんだな。
その後、スタジオ・ポットSD会議、
夜は「ず・ぼん」の月例編集会議。

●2010.11.11木
出版会議。そのあと整体(均整)を受ける。
夜はポットチャンネルの下関マグロさんパーソナリティーの回。
ゲストは北尾トロさん。
その後打ち上げ。
実は、雑協の実証実験の会議があったのだけれど、重なったので欠席。

●2010.11.12金
ポット会議。
あとは何やってたのか記憶(も手帳もメモも)ない。

●2010.11.13土
久々のバンド練習。スーパーフライのマニュフェストとかクラプトンのレイラとかの新曲。
レイラは、ピアノが参加してくれているので、ほぼフルバージョンでやるんだ。
伊勢佐木町ブルースを青江三奈と、クレイジードッグス(木村充揮×近藤房之助)バージョンを融合することになった。

●2010.11.14日
13時から18時までの、シノドスセミナー・飯田泰之経済学入門の講義。
アタマがつかれたけど、充実!

●2010.11.15月
午前中adobeへ行って、雑協のデジタル配信にむけてinDesignやアクロバット=PDFの機能などで質問したり、
意見交換したり。
「段落スタイルなど、DTP段階でテキストへの属性を設定しておかないと、inDesignを使った電子化のときにもよけいな手間が増えるってことですよね?」と聞いたら、そうなんだって膝たたいてた。
adobeでも何度も段落スタイル活用キャンペーンみたいなことをやっているけど、普及していないよう、だって。
うん、オレの考えてたポイント、ハズしてないぞってのが、感想。
午後はボイジャーが来て、新しいビュワーvoyagerbook、新しいショッピングモールvoyager storeの報告、説明、提案など。
萩野社長も一緒について来たんで、おしゃべりが弾んでしまったぞ。

●2010.11.16火
午前中はマンション管理組合。
マンションのエントランスに軽自動車屋台の弁当屋、週一の出張八百屋、を誘致できないか、と提案。
他の理事は賛成なんだけど、肝心な弁当屋、八百屋にコネなし。誰か紹介してちょうだいな。
午後は、深沢さんと「暮しの手帖社」へ、雑協の雑誌デジタル配信実証実験のためのサポート。
夜は、デザイナー鈴木一誌さんが編集してる「d/sign」(太田出版)の打ち上げで、
神楽坂のイタめし屋。ポットの山田、大田と一緒。
この本(というか雑誌というか)、スゲー良いよ。ぜひ買うべしですね。
鈴木さんの「ページネーションのための基本マニュアル」のPDF、.book版は無料で公開してるよ。
デザイン、出版、電子書籍の3つに関心のある人なら。
23時半までで、ベロベロ組も出る。

●2010.11.17水
昼は何してたんだか?
夜は、NDLのYさんが言い出しっぺでやってる「出版コンテンツ研」の会議。
来年は権利処理(もちろんより利用しやすくするためですよ)が課題だねって思った。
終わってカレー屋で飲み会。

●2010.11.18木
月例の出版会議。整体(均整)を受けて、夕方からポットチャンネル
パーソナリティーは掟ポルシェさん。ゲストは童貞の山口デザイナー。
最初から爆笑。突っ走る。終わって飲み会。

●2010.11.19金
第一回 次世代書誌情報共通化検討会議 近刊情報検討小委員会に出席。
小委員会だと一回会議に出席すると22,222円、交通費と日当がでるんだそうだ。
会社に入れると事務処理が面倒なようなので、個人口座=つまりオレのカネになるのだ。
会社のスタッフにオゴルか? ならフランス料理のル・ゴロワかな。
戻って来てポット会議。
代々木のBにもいったぞ。

●2010.11.20土
午前中、問題発生のメールあり。
午後は中央区立京橋図書館で創立100周年記念のシンポジウムのパネラー。
常世田良さんがメインの講義をして、その後ディスカッション。
帰りに常世田さんをメシに誘ったけど、そのまま大阪だそうでアッサリ振られた。
この日は毎月第三土曜に開かれている近所のスナックベラミでのセッションナイト。
片付けなきゃって仕事があって欠席したけど、チンピラーズの爆発で盛り上がったとのメールあり。
次回は12月18日土曜、19時すぎあたりから開かれる。だれか一緒しませんか?
楽器持って来ても、空身でもOKだよ。2000円飲み放題で、食べ物持ち込み放題。

●2010.11.21日
NPOげんきな図書館で受託した渋谷区立こもれび大和田図書館のオープン。13時に開く。
渋谷駅から徒歩5分。
昼頃から顔出して、夕方まで。人が多かった。1200人を越えたようだ。
快調な滑り出し。
このオープニングで、シノドスセミナー飯田泰之さんの経済学入門2回目を欠席してしまう。残念。
前日わかった問題は、なんとか解決できたようだ。

2010.11.22月
連休の谷間、ポットは「統一有休日」にしてるんだけど、
ここ1〜2ヶ月の大忙し・激動期のために、ほとんどのスタッフが出社してる。
オレも、普通に10時半ころ出勤。
午前中には請負仕事のサイト担当者と、サイト原稿やら、テキストのフォーマットなどの打ち合わせ。
近刊情報センターのウエブのデザインやらサイトマップやら、図書館総合展のレジュメやら。
そしてこのためた日誌下記に約50分もかけてしまった。

11/26(金)図書館総合展・学術情報オープンサミット「首都・東京の図書館再生計画」のレジュメ

糸賀さんに脅されて(笑)、必死に書き上げた。
まずは日誌で公開しておきます。

図書館総合展・学術情報オープンサミットの
首都・東京の図書館再生計画 −23区の図書館を考える−第9会場(第12回), 公共図書館関係者向け, 一般向け
のウエブ情報はコチラ

それにしても、図書館総合展のサイトはわかりづらい上に、情報が薄いな。
図書館総合展がコレじゃまずいなー。

ココから────────────────────
図書館総合展・学術情報オープンサミット 2010-11-26 15:30〜17:00
首都・東京の図書館再生計画 −23区の図書館を考える

●自己紹介
沢辺 均(ポット出版=(株)スタジオ・ポット)
・1956年生/東京生まれ
・ポット出版で『ず・ぼん(図書館とメディアの本)』のほか、図書館関連の本なども発行。年間20点、既刊約160点。
・版元ドットコム/JPO近刊情報センター/国立国会図書館全文テキスト化実証実験/雑誌協会雑誌デジタル化実証実験などに参加。
・NPOげんきな図書館理事(中野区 東中野図書館/江古田図書館 渋谷区 代々木図書館/こもれび大和田図書館を受託)
・20代で地方公務員を経験(渋谷区事務職、図書館勤務経験はなし)

●23区の公立図書館の現状と問題点の指摘(1人3点づつ)
日本の図書館は、23区でも全国でも、おおむね好評で、それなりにまわっている(住民に認知が高く好評な公立施設=タダ・低料金で近くにある余暇の施設が好評)
地域図書館の現場を見ていると、調べもの・レファレンスというより、タダで本を借りる場所/落ち着いて勉強+仕事をする場所、として使われているのではないかと思う
それはそれでよいと思う。図書館を運営している人、公共団体で働く人が現状維持で満足ならそれも、ヨシ、だと思っている。
利用者はそれで満足しているように見えるからだ。

ただ、
・人財はどんどん減っているいるように思える。
 正規職員は、図書館プロパーを育てられていない。団塊世代以降はどんどんへるのではないか? 「不良」職員問題もあるし、同僚職員、後輩職員を育てられていないのではないか
 委託現場でも、同じような問題を抱えていると思う。給料の問題もある(ただし、アルバイト時給ですませてよい仕事も図書館にはあると思う。カウンターでニーズを知るは教条主義)
・せっかく「民間の力を活用」といって委託・指定管理化しても、正規職員が権限を持ったままで、ただの低賃金導入だけのために使われているだけ。もったいない。
・ネットワークへの無知が著しい。岡崎市立図書館の問題/図書館のサイトから新しいサービスは生まれていない

●23区の図書館再生の可能性とその方法(処方箋)(1人3点以内づつ)
前提=現状の図書館だって充分その機能を果たしてると思う。
 みんなで悪いとこ探しまわるのはもうヤメたいと思っている。
 ただし
  書籍の年間販売冊数とほぼ同じだけの本を貸し出しているのもどうかと思うし、
  寄付要請にベストセラーを並べるのも品がないと思う。
  出版産業がなければ図書館のネタはないのだから
 という点は気になる。

・たった一人からの出発を応援する。
 面白い図書館には、面白い人がいる。古いタイプでも、新しいタイプでも
・たった一人からの出発はネットを活用する人から生まれてくる気がする。
 たとえばEnju。リスクや入札などのシステムのまえで、公共図書館で広がっていない。(むしろNDL、企業図書館での実績が先行)
・安上がりでない委託や指定管理にも可能性はあると思う。その場合、公設民営のように権限の一定期間の委譲、広域化が必要だと思う。

●以下はオマケ

○東京23区の特
・人口密度が高く、近隣に住民・仕事場があって、利用者・貸し出しはそれなりにおおい
・もともと正規職員は図書館採用でなく(特別区人事委員会に司書・図書館員採用がない)、事務職員=区役所内事務職場すべてに移動する
・民間委託・指定管理がすすんでいる。それでも図書館は大きな問題もなく回っている。

 貸出し1冊に使っている年間資料費 43.5円/43円(23区/全国)
 人口1人あたりの資料費 352円/210円(23区は全国にたいして一人あたり168%資料費をかけている)
 人口1人当たりの貸出し冊数 8.08冊/5.29冊(23区は全国より153%貸出しが多い)

○図書館はどれだけ本を買っているのか
(ポット出版サイト 「ポットの日誌」図書館はどれだけ本を買ってるか/貸してるのか 2010/07/07 沢辺均)

 2007年の数字だけど
・雑誌と書籍の実売金額は 2兆1983億円
(「出版年鑑 2008」出版ニュース社)
・図書館資料費決算額は 309億円
(「日本の図書館」日本図書館協会)
で 309億÷2兆1983億円で割ると、1.4% になる。

つまり、図書館は出版物の売上げのうち1.4%のお客さんなのだ。
ちなみに、1982年は、同様の計算で0.9%なので、「貢献度」は増えている。

○図書館はどれだけ本を貸しているのか
同じく2007年の数字だけど
・雑誌と書籍の推定販売部数は 33億6811万冊
(「出版指標年鑑 2009」出版科学研究所)
・図書館の貸出し冊数は 6億7496万冊
(「日本の図書館」日本図書館協会)
で、6億7496万冊÷33億6811万冊で割ると、20%

・33億6811万冊の推定販売部数は
書籍 7億5千万冊 雑誌26億1千万冊。

図書館は書籍も雑誌も貸しているわけだけど、
仮に、貸しているのは、ほとんどが書籍だ、
と考えれば、出版社が売っている書籍の部数の 90%くらい売って貸し出していることになる

だけど、日本図書館協会の調査には、貸出し冊数のうち書籍と雑誌の比率はみつからない。

とまあ、およその数字は押さえておこう、かと。

ココまで────────────────────

JPO近刊情報センター説明会(東京+大阪会場)のご案内

JPOで進めている近刊情報センターの説明会。

出版社が登録した近刊情報を書店や取次に提供し事前予約や広報宣伝に役立ててもらおうというものです。
来春の立ち上げを目指して実験を開始しており、
既にアマゾン・紀伊國屋書店・丸善・大学生協事業連合・NET21・本屋の村・トーハン(図書館)などが実験に参加、
TRC・bk1・楽天・ジュンク(HON)・有隣堂・旭屋書店・CCCなども話し合いの場に参加してます。

版元ドットコムは、会員社の近刊情報をまとめて「近刊情報センター」に送り始ている。
つまり、版元ドットコムにきちんと登録すれば、「近刊情報センター」経由で各書店・取次に
近刊情報を送ることができるようになるわけ。

出版社では、現在、講談社、小学館、集英社、版元ドットコム、筑摩書房などが送信を始てるし、
アマゾンは事前予約に生かしてる。

この取組みのJPOの説明会が↓です。
また、版元ドットコムの勉強会も11月26日(金)18時からやります。
どちらもおすすめだけど、個人的には、版元ドットコムの勉強会かな?
特に会員・会友以外の参加もオープンなんで、業界関係者以外でもOK。

ということでJPOのプレスリリースと、版元ドットコム勉強会の要項を↓に出しておきます

──────────────────────────────
関係者 各位
2010年11月吉日
一般社団法人日本出版インフラセンター

JPO近刊情報センター説明会(東京会場)のご案内

総務省委託事業「次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備」の一環として

日本出版インフラセンター(JPO)では、出版物の近刊情報に関する基盤を構築し、近刊情報の容易かつ迅速な入手および書店等への提供を目的とした近刊書誌情報の集配信とその標準的な運用を行うためのセンターの設立について検討を進めてまいりました。
このたび、日本書籍出版協会と協力し、総務省の委託事業として「次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備」プロジェクトを進めることが承認されましたが、そのプロジェクトの一環として、近刊情報の集配信システムを立上げ、これをできるだけ多くの出版社、取次、書店が利用できるようなものに仕上げるための実証実験を行うことになりました。
出版業界の多くの企業がこの近刊情報データ交換システムを活用して、売上を伸ばし、また業界最大の課題である返品を減らすことに役立てていただければと考えています。
このたびシステム準備が整いましたので、業界各位のご意見を伺いたく説明会を開催いたします。出版社・書店それぞれのシステムについてデモンストレーションも行ないますので、ぜひともご出席のほどよろしくお願いいたします。

(記)
◎日時  12月7日(火)14:00~16:00
◎場所  日本出版クラブ会館 3階
◎地図  http://www.shuppan-club.jp/map.html
◎参加申込み先  日本出版インフラセンター事務局
  ・Eメールアドレス  mail@jpo.or.jp
  ・FAX番号 03-3267-2304
以上

関係者 各位
2010年11月吉日
一般社団法人日本出版インフラセンター

JPO近刊情報センター説明会(関西会場)のご案内

総務省委託事業「次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備」の一環として

日本出版インフラセンター(JPO)では、出版物の近刊情報に関する基盤を構築し、近刊情報の容易かつ迅速な入手および書店等への提供を目的とした近刊書誌情報の集配信とその標準的な運用を行うためのセンターの設立について検討を進めてまいりました。
このたび、日本書籍出版協会と協力し、総務省の委託事業として「次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備」プロジェクトを進めることが承認されましたが、そのプロジェクトの一環として、近刊情報の集配信システムを立上げ、これをできるだけ多くの出版社、取次、書店が利用できるようなものに仕上げるための実証実験を行うことになりました。
出版業界の多くの企業がこの近刊情報データ交換システムを活用して、売上を伸ばし、また業界最大の課題である返品を減らすことに役立てていただければと考えています。
このたびシステム準備が整いましたので、業界各位のご意見を伺いたく説明会を開催いたします。出版社・書店それぞれのシステムについてデモンストレーションも行ないますので、ぜひともご出席のほどよろしくお願いいたします。

参加ご希望の方は、別紙申込書にご記入の上お申込みいただきますようお願いします。
なお、会場の都合により先着80名様とさせていただきます。

(記)
◎日時  12月9日(木)14:00~16:00
◎場所  大阪市 中央公会堂大会議室 (北区中之島1-1-27)
◎地図  http://osaka-chuokokaido.jp/access/index.html
◎参加申込み先  日本出版インフラセンター事務局
  ・Eメールアドレス  mail@jpo.or.jp
  ・FAX番号 03-3267-2304
  ・電話番号  03-5261-0539

──────────────────────────────
●日時
11月26日(金)18時から

●場所
会議室内海 2階教室
東京都千代田区三崎町3-6-15

http://www.kaigishitsu.co.jp/access/

●講師
永井祥一さん(JPO)
浴野英生さん(JPO)
日高崇(版元ドットコム事務局長)

●会費
会員・会友:無料
それ以外の参加者:500円

●お申し込み
下記専用申し込みフォームにてお申し込みください

http://bit.ly/cwZSMB

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※今回の勉強会は会員・会友以外の方もご参加いただけますので、お知り合いも
どうぞお誘い下さい。

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ポット出版社長・沢辺均の日記 -96[2010.11.08〜2010.11.9]

●2010.11.08月
午前中は通販サイトのことで打ち合わせ。3時間。
午後は、石川くん(哲学者・石川輝吉の、ちょっと「ぐずぐず」した感じ)が来て打ち合わせ。
これからのことなんかを相談。
石川くんの新著ももらった、ぞ。
 書名●ニーチェはこう考えた
 著●石川輝吉
 発行●筑摩書房
 定価●780円+税
それから、国立国会図書館の「全文テキスト化実証実験」につて、●社の人が来て情報交換。
仲俣暁生編集長の「マガジン航」の原稿がアップされた。
Googleに頼らず日本語書籍の全文検索を
ジャパニーズ・ブックダム、国立国会図書館の「全文テキスト化実証実験」の関係とか。
今日から昔、ポットにいたデザイナー・塩井が助っ人にきてくれた。

●2010.11.09火
久々に、一日中予定の無い日。
やりかけのこと、やりたいと思っていたこと、アタマの中、などを整理。
机は整理できんかった。
突然思い出して、げんきな図書館で受託した「こもれび大和田図書館」に行く。
ケーキをおみやげに。16時をすぎたころだったんだけど、研修中。
Twitterをまだ始ていなかった。コラ!とカツをいれた。
帰りにこんどはポット用にケーキを買って帰社。
じっくり一日片付けられたので、やりたいやりたいと思っていた社内研修もメールで告知。
────────────────────
いそがしいので、開催は年内目標。

テキストは
組む。 – InDesignでつくる、美しい文字組版 [単行本]

・初級編 参加対象全員 講師沢辺 1時間
・上級編 デザインチーム+希望者 講師山田 2-3回×1時間

参加対象(除外者)
小久保は育休で休んでるうちに忘れてしまうだろうし、12月になりそうなキモするので参加しなくてもよし。
大脇は、アルバイト(ポットの社員教育対象外)なので、塩井は助っ人で、対象外。
 ただし、参加したければ、日報で休憩時間にして参加しても良い。
 参加希望の場合は、11/10木中に希望をだすこと。連絡なければ希望なしとする。

テキスト
 自主研修費(3000円)で、必ず買うこと。
 一端自費で支払い、自主研修費で清算する
 大原が集約して、Jstylebookで注文するように。
 大脇の連絡、すでに持っている人などをカウントして、今週中に注文だすように。

その次の研修は、ページネーションマニュアルを予定。
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那須の女友達(オイラも会ったことある)が、0歳と2歳の娘を連れて遊びにくる。
小久保(1月出産予定)に肌着のお古の受け渡し交渉も成立。
鉄とすずと、娘たち(2歳ははじめ怖がってたけど)との写真とったり。

ポット出版社長・沢辺均の日記 -95[2010.11.04〜2010.11.07]

●2010.11.04木
午前中出版会議。
午後は雑協で、「2010年度実証実験 委員会プログラム雑誌エントリー出版社説明会(第2回)」
で「雑誌タグテキスト書きだし手順マニュアル」で、デモ。
主に深沢さんが説明して、オレはタグをつけるためのツールをちょっとだけ説明。
終わってから、ファイルフォーマット協議会。
お茶の水駅そばの喫茶店で、深沢さんと少々打ち合わせしてから事務所へ。
ポットチャンネル第1回=松沢さんの回。ゲストは久保さん。
爆笑のおもしろ話。ミュージシャン、音楽、ドラッグ、、、。
観客は3名で、定員埋まらなかった。まああのくらいがスペース的にいいな。
200近くがUst見てくれた。せっかくの機会なんだから、見に来ればいいのに、。
ほんと、誰でも歓迎、ですよ。
終わってから、近くの「香港ロジ」で打ち上げ。

●2010.11.05金
午前中ポット会議。ココんとこ2回中止にしてたので、久しぶり。
9月末の決算の途中報告して、スタッフへの決算賞与の方針などの意見を聞く。
社長賞という、オイラの小遣いからカネをだすことに、なってしまった。
夜は、東工大・橋爪研究室
竹田さんとの対論「地球市民の正義」で司会。
東工大から1万円のギャラももらう。60人くらいいたかな? けっこういい入りじゃないかな。
議論も面白かったし。よーし、本にしよう。
終わって「味庵」という中華で打ち上げ。

●2010.11.06土
人間学アカデミー竹内洋さんの第三回目。
「公衆の幻想」。戦後民主主義インテリが幻想した大衆民主主義の幻想、って話だと理解。
終わってから「美鳳」という中華料理店で、受講者をふくめて懇親会。
竹内さんが左翼嫌いになった原因の一つが、塩見孝也がすぐ人を殴るのを見てイヤになったってことを話してくれた。
オイラにとっては単なる噂バナシにすぎないんだけど、さもありなん、なんぞと思ってしまうのは、なぜだ。
竹内さん、関西弁で、気取りのないオープンなおじいさんって感じで、いい人だな、って。
帰って、メルマとか読んでたらそのまま寝てしまった。

●2010.11.07日
3時/9時半/12時半、と三回おきたんだけど、やっと3回目で起き出す。
たっぷりすぎるほど寝てしまった。でも、オイラ、睡眠大好き。ほんとにいつも良く寝てる。
まあ、これでパワーが生まれるのではないかと勝手に解釈。
午後事務所にでて、この日誌など、いろんな雑用や、仕事などを片付ける(予定)。
マガジン「航」の原稿も書かねば。鉄とすずの散歩にも行きたい。

ポット出版社長・沢辺均の日記 -94[2010.10.25〜2010.11.03]

●2010.10.25月
今週はまず、信用金庫との借金申込からはじまった。
午後は、下関マグロさん、松沢呉一さんと「ポットチャンネル」の打ち合わせ。
夜は、「いかにしてやくざはやくざになったのか」をテーマにした論文を書いた●●さんと、
論文を下敷きにして本にする話。飲み屋で。

●2010.10.26火
午前中、中央公論新社と打ち合わせ。

●2010.10.27水
雑協ファイルフォオーマット協議会で、ご挨拶。
なんと50人くらい集まっていた。

●2010.10.28木
出版会議を中止。
S社の媒体の編集デザインでバタバタ。
午後は整体を2時間ちかく受ける。きもちー。

●2010.10.29金
S社媒体のチームは朝から物撮りだけど、
オレは国立国会図書館へ「全文テキスト化実証実験参加協力会社との定例会(第1回)」へ。
ちょっと頑張ってしまって後悔したけど、
なんご語研の高島さん(@takashimt )に、その件でつぶやいたことを「沢辺さん、国立国会図書館全文テキスト化実証実験定例会で怒る」とトゥギャられた。
資料概要記録はアップしましたぜ。
3時半から、日本橋あたりで、自費出版アドバイザー養成講座での講演。レジュメはこちら
漫才師満開で笑わせた、ぜよ。

●2010.10.31土
雑用したはず、だけど記憶も記録も、ない。

●2010.10.31日
午後六本木で、バンド仲間=ベースのヒノッチの、別バンドのライブ。
70年前後のロックのカバー。生かしてた。
17時から、でるべんの会の梶原くんの結婚記念パーティーで日比谷へ。
中途半端に時間があいてたので、裏道を選んで散歩して行く。
パーティは雑協の人たち、でるべんの会、業界紙、出版社のひととか。

●2010.11.01月
午後からマガジンハウスで、雑協の雑誌のデジタル配信実験の打ち合わせ。
印刷屋、社内に席を置く印刷屋派遣のオペレータを含め、いろいろ。
それから、アンテナハウスへいってPDF利用の可能性を相談。
事務所に戻って、4日にせまった雑協の実験のテスト説明会のための打ち合わせ。
簡単なツールも作ってデモすることになる。
道は困難だけど、失敗も含めていい「成果」はなんとかだせそうだな。

●2010.11.02火
雑協の配信実験の準備や、ともかく細々したことも含めて片付ける。
深夜0時ころになって、ワダとタヌコと高橋(終電までのちょっと)とビール。
おれと高橋はお茶だけど。おつまみをいろいろ買って来て、夕飯がわり。
3時すぎまで雑談。

●2010.11.03水/祝
夕方事務所にでて来て雑協の説明会の準備やら、たまった日誌や日報などなど。

「全文テキスト化実証実験参加協力会社との定例会(第1回)」の記録

国立国会図書館から、10月29日の概要記録を送ってもらいました。
議論の実態が、それなりにわかります。ごらんください。

────────────────────
全文テキスト化実証実験参加協力会社との定例会(第1回)
日 時: 平成22年10月29日(金)10時 ~11時
場 所: 国立国会図書館新館3階研修室
参加者: 参加協力会社29名(26社)、国立国会図書館(以下「NDL」)6名、
株式会社三菱総合研究所3名
※他オブザーバ参加:総務省2名、経済産業省2名
≪概要記録≫
○(資料2-2)電子書籍出力フォーマットについて
・ 全文テキスト化プロトタイプの電子書籍出力フォーマット6種の詳細は?
→(NDL)XMDF、.book、ePUB、透明テキスト付PDF等を想定している。
・ 電子書籍出力表示機能において、館内でiPadやガラパゴス、Kindleなどの利用を想定しているのか?
→(NDL)館内の利用は、基本的には端末での利用を想定している。今回の実証実験は技術検証を目的としたもので、具体的なサービスを想定したものではない。
・ OCRを用いたデジタル画像の全文テキスト化対象の資料も電子書籍フォーマットで出力されるのか?
→(NDL)その想定である。
・ 館内において端末で表示するだけであれば、電子書籍フォーマットでの出力対応は不要と考える。再考いただきたい。
→(NDL)検索以外のサービスは想定していない。ご指摘の点は重要なことであり、プロトタイプ構築の範囲について、ご理解を得られるようあらためて検討させていただきたい。
※ ご指摘の点を踏まえて、再考の結果、当初想定の各種フォーマット(6種類を予定)に対応した電子書籍出力機能は、公共サービスの観点で必要と思われるDAISYでの出力を除き、取りやめることといたします。
○(資料2-2)共同校正及び共同構造化作業について
・ 文字認識率の目標数値は?
→(NDL)実証実験ではバラエティに富んだ資料を対象にしているので、どの程度の認識精度になるか明らかにしていきたい。
・ 共同校正、共同構造化に出版社は関与するのか?
→(NDL)ボランティア団体等を想定したもので、出版社の関与は想定していない。
・ 校正システムにおける校正のレベルは?校正を反映した辞書の扱いは?
→(NDL)校正はできるだけ簡単な方法で行うことを目的としている。OCRの機能の活用、修正結果の学習を想定している。辞書はNDLに納品される。
○(資料1)全文テキスト化プロトの対象
・ 出版社提供データ300件(10/29時点)の内容、ジャンルについて教えてほしい。
→(NDL)出版社の要望もあり、すべてのタイトル等を明示できないが、ジャンル等の概要については、とりまとめて、次回定例会(11月)でお示ししたい。

2010.10.29 国立国会図書館全文テキスト化実証実験定例会の資料

10月29日にあった「国立国会図書館全文テキスト化実証実験定例会」の資料をpdfにしてアップします。

国立国会図書館全文テキスト化実証実験定例会の資料

Togetter – 「沢辺さん、国立国会図書館全文テキスト化実証実験定例会で怒る」

今日10時から「全文テキスト化実証実験参加協力会社との定例会(第1回)」があったんだけど、
そこで、腹をたててしまったことを、版元ドットコムの組合員仲間の高島さん(語研)に
togetterされてしまった

なんでそのことについてまとめとこう。

twitterに書いたのは、
↓──────────────────────────────
●国立国会図書館で、全文テキスト化実証実験参加出版社との定例会(第1回)が始まった。ジャパニーズ・ブックダムの小さな一歩。

●国立国会図書館で全文テキスト化定例会。三菱総研の人が説明。うーむ、Googleにかなわんな、コレじゃ。今更、そう思うか、おれ 。

●総研への依存、スピード、、、、 RT @sakaima そろそろ戦略見直しの時期です。どうしましょうかね?

●01=国立国会図書館で「全文テキスト化実証実験さんか協力会社との定例会(第1回)の件。
今週は久しぶりに会議で怒ってしまった。それも2度。
2度目が今日の定例会。恥ずかしいし後悔。
火がついてしまったポイントの1は、今日の資料は外部に公開するなってとこ。

●02=私企業の私的なとりくみなら、必ずしも公開しなくていもいいとは思う(それでもできるだけ公開したほうがいい)。けど、公共機関がやる実験だろう。情報公開請求でもしてやろうか、と。
情報が公開されることの必要性、認識が違いすぎるなオレと。公開がデフォルトだろう。

●03=2つ目は、館内で画面で読ませる6つくらいのフォーマットはなに、って質問に、今はあきらかにできないっての。オレたち出版社も一緒に取組んでる主体だろうが、その主体に今はあきらかに出来ないって何じゃ。それも答えたのが三菱総研の若造。

●04=3つめは、館内の画面で閲覧するために、スキャン→OCR→テキストを、XMDFとか.bookとかに変換するテストをやるだと。出版社が「NDLに渡したら、100円200円でうられちゃうかも、何をするかわかない」と思っている中で、画面でみるために、電子書籍まんまをつくる?

●05=電子書籍フォーマットで受け入れた実験用の書籍をそのまま見せるってならわかるけど、OCRでつくったテキストを電子書籍にするなんて、出版社の誤解を増幅しないか?

●06=4つ目は、定例会が儀式になっちゃってるってとこ。共同でやる事業なんだってことをもっと強烈に打ち出さなきゃ。まあ、ほかにも有識者に評価してもらうとか、あんな調査と三菱総研に出してカネがつかわれるとか、気分の悪いとこがあったけど。

●07=テキスト→電子書籍フォーマットは、再考することになった。会議でたたき台が変更されることは、儀式か会議かのメルクマールだとおもうので良かった良かった。
ということでひとまず今日の国立国会図書館での「全文テキスト化実証実験さんか協力会社との定例会(第1回)」のこと終了でした。

●今すぐには思いつかないけど、うん、立て直し考えましょう。 RT @sakaima 役人の限界。依頼するパートナーの開拓と地ならしに十分な投入をしていないから。後悔するより、戦略立て直しですよ! RT @sawabekin:
↑──────────────────────────────
で高島さんが
↓──────────────────────────────
●RT @takashimt オレは電車が遅れて遅刻したんで「沢辺さん、なんであんなにカリカリしてんだろう」とか思ってたけど、一発目があったんだな。事情がようやく飲みこめた。 http://togetter.com/li/63874
↑──────────────────────────────
それを見た人がいたんでオレが、
↓──────────────────────────────
●このプロジェクト問題が多い訳じゃないですよ。レポートじゃなく、腹立てたことの言い訳でした(笑)。RT @mao3mao3: @sawabekin 国立国会図書館の「全文テキスト化実証実験」定例会レポート、ありがとうございました。なんだか問題多そうですね

●会議が儀式になってしまうこと、とかに怒っちゃう。このプレジェクトは、意味あるし、意見を言ったことでか方針の変更もされた。 RT @mao3mao3: @sawabekin 国立国会図書館の「全文テキスト化実証実験」定例会レポート、ありがとうございました。なんだか問題多そうですね
↑──────────────────────────────
ってやり取り。

で、高島さんのtogetter、かなり前のからまとめてくれて、それはありがたかったんですね。

10/29金の「電子書籍と自費出版の未来」のレジュメです

あさっての金曜日(2010.10.29)、自費出版アドバイザー養成講座というところで講演します。
レジュメを公開。

残席あるかどうかわからないですけど、興味のあるかたは問い合わせてみて下さい。
たしか主催者からのメールで40数名の申込があったと書いてくれていたとおもうんだけど。

主催者の告知はコチラです。

────────────────────
レジュメをおくります。

事前ではあるけど、ポットの日誌に公開させてもらいます。
・事前だから来場者を増やせる可能性がある
・この程度知られたからって、なにがなんだかわからない

リンクは貼っておきます。
ご了解を。
沢辺

────────────────────
電子書籍と自費出版の未来

2010.10.29金 15:30〜17:30
自費出版アドバイザー認定試験 受験資格該当研修会
第15回 自費出版アドバイザー養成講座

●沢辺が今取組んでいること
・ポット出版(年間約20点発行・既刊160くらい)、2010.01から新刊と.bookの同時発行。
・LLP版元ドットコム
・NPOげんきな図書館
・国立国会図書館全文テキスト化実証実験(ジャパニーズ・ブックダムの第一歩。最終的には全文検索一部表示が目標)
・JPO(日本出版インフラセンター)近刊情報センター
・雑誌協会 デジタルコンテンツ推進委員会同時配信実験デジタル編集支援

●電子書籍とはなにか?
◎電子書籍=テキスト中心の長文の読み物(リフローさせられるもの)
◎電子雑誌=レイアウトデザインしているもので、短文・分割可能、ビジュアルの多いもの(リフロオーさせにくいもの)
◎ネットワークを介した流通→なんらかのデバイス(PC含む)を読者が持つ
→音楽、ステレオ装置+CD/テープ/レコード 本と雑誌の現状 紙+文字や写真や絵

●電子書籍は広がるか?
◎現状は、確実に広がるようみ見える。ただし0対100はない
◎自動車と馬車 手紙・ファックス・メール

●電子書籍状況の著作権
◎著作物は読まれたり見られたりすることをイチバン求める
◎どれだけ利用しやすくするかが必要
◎著作権集中処理と、違法配布取締のデジタル技術の活用

●外から見る自費出版
◎自費出版の二つのやりかた
・自費出版として請け負う→量的な拡大の可能性/利益のでる条件でできる
・ないしょ自費出版として発行→ブランド意識に働きかける/利益を減らさなければならない
◎自費出版の意義→記録(出版の目的=新しい価値の提示/記録)
◎年輩者は紙、若年層はミニコミ発行(ブログなどを含む)→ネットワークでその機能をもつと思う
◎自費出版物の電子化、データベース化が求められると思う。
 年輩者には記録、若年層にはネットでの露出と検索性

●事前にもらった質問について
・ご自身の事例……実際に立ち上げた方のお話しは、皆さん、一番知りたいことだと思います。
どうして立ち上げたのか、そしてどんな変化が始まったのか、始めてみて初めて分かったこと、始めてみて電子書籍について思うこと、電子書籍の可能性など(電子書籍化が進むと思うか、そう思っておられないのなら、思惑通りにいっていない事例など)
・沢辺さんならではの、出版全般についての「面白い」お話し。
・電子書籍(の登場、普及)によって、著作権が現在とどのように変化するのか?
・同じく、流通がどのように変化するのか? 既存のシステムとの比較においてお話いただけると、既存のシステム自体をあまり知らない方にも理解しやすいと思います。
・電子書籍が今後普及しても、なくならないだろう紙媒体本の良さ、個人が自費で出版する場合、費用だけではないものが紙にはあるのではないかという意見もあります。どのように思われますか。
・自費出版の会の研修ですので、「自費出版にとっての電子書籍」といった観点から、何かご提言などをいただけたらと思います。自費出版にとって、電子書籍の登場はチャンスなのか?とか。
・いわゆる団塊世代以上のあまりITに詳しくない世代に(自費出版の大きなマーケットでもあるので)、電子書籍をわかりやすく伝えるセールスプロモーションのヒント。

●プロフィール
(さわべきん)1956年生まれ。
ポット出版(出版業)、スタジオ・ポット(デザイン/編集制作請負)代表取締役。
LLP版元ドットコム(書籍データ発信の出版社団体)の一員。
NPOげんきな図書館(公共図書館運営受託)理事。
日本語書籍の全文検索、一部表示のジャパニーズ・ブックダムを提唱。
★twitter http://twitter.com/sawabekin

ポット出版社長・沢辺均の日記 -93[2010.10.18〜2010.10.24]

●2010.10.18月
渡辺克己さんの写真集をだそうという企画で、フリー編集者永寿さんと打ち合わせ、など。

●2010.10.19火
午前中、マンション管理組合の理事会。
あとはなにをやっていたんだか?、、、、忘れた。

●2010.10.20水
午前中、プリンタ/コピー/ファックス/スキャナの複合機入れ替え。
メンテ料とトナー料金込みで、毎月12〜15万かかってたのが、10万くらいになるはず。
そのうえ、スキャナが無茶苦茶使い勝手向上。
手元のSCANSNAPは不要だな。
夕方中央区立京橋図書館の菅原さんと長田さんが来て打ち合わせ。
利用者相手のシンポに、常世田さんはともかく、オレってどうよ?って思ったけど、
すでに来月。それほど中身を聞かないで受けてしまった。
夜は版元ドットコム組合員会議。
終わった後の飲み会で、ポットチャンネルと、ツイッターを使った本の販促にいい案が出る。
版元ドットコムメンバーと飲んだり話したりするのは、こういうことがいつもあるんで、
大切なんだな。

●2010.10.21木
11時から雑協のファイルフォーマット協議会に、深沢さんと一緒に出席。
1月実証実験にむけて、雑誌のPDFとそのタグ付きテキストを、編集部でどうつくるか?
って話。午後には、販売サイト担当の主に技術の人たちと打ち合わせ。
やっと具体的に開けて来たって感じかな?
そして、22時から、掟ポルシェさんが来て「ポットチャンネル」の打ち合わせ。
掟ポルシェさんは毎月第三木曜、最初は11月18日の木曜日。

●2010.10.22金
この日も朝からJPOの近刊関係の会議の2連続。
よるは、なにやってたんだ?、もう忘れてるし。

●2010.10.23土
人間学アカデミーの竹内洋さんの講義「高度大衆社会から下流大衆社会へ」の2回目。
竹内洋さんの中公新書「丸山真夫の時代」を買う。
参考文献一覧みたら、すげー幅広く資料をひろってるんだな。全部読んでるんだろうな。すげーな。

●2010.10.24日
高円寺フェア 公園de本の楽市に行く。
北尾トロさんがいておしゃべり。娘を初めてみたぞ(写真もとったけど、見せないんだ)
カタヅケになって、小雨がふって来た。かろうじてセーフ。
庚申通り商店街で、5歳くらいな女の子に、巻き舌で「テメーなんか、、、、」て無茶なしかりしてる
若い母親がいた。
ほんとに「じゃ、その娘、もらうよ」っていいたかったんだけど、娘だってこまるだろうし、
他に解決策ないしな、とおもって結局なにもせずに通りすぎた。
家に帰るとオイラの娘がmacbookをもって、PCのことを聞きに来ていた。
一緒に、ココ・シャネルの映画みたいり、派手に焼き肉(それも高い肉ばっかり)をオゴる。
深夜、サー寝ようと思ったら、池田信夫氏のブログ「講談社の「デジタル的利用許諾契約書」について」と、それにたいする西田宗千佳氏のつぶやきとまとめのtogetterを読んでしまう。
なんかどっかが反応したんだよね。ポットの日誌に「池田信夫氏の「講談社の「デジタル的利用許諾契約書」について」はひどいでしょう」を書いてしまう。

池田信夫氏の「講談社の「デジタル的利用許諾契約書」について」はひどいでしょう

日曜日、頼まれ仕事のチェックを終えて、高円寺フェスに行って、家に戻り、娘を焼肉でつって久々のデート。
ハードディスクに録画しておいた映画や龍馬を見て、ボケーとして、寝る前にメールチェックしてた。
Googleアラートで、池田信夫氏のブログ「講談社の「デジタル的利用許諾契約書」について」と、西田宗千佳の異論がツイッターにあってtogetterにもまとめられているのが気になって、togetterと池田氏のブログを読んだ。

今、2時20分。日曜の(つまり月曜)こんな時間に日誌を書き出すことなんかほとんどなかったはずなんだけど、池田氏のあまりの記述にテンションがあがったのかな? 突然PCに向かってしまった。

まず池田氏の冒頭。
「講談社の野間副社長は「年内に2万点をデジタル化しろ」と社内に号令をかけ、同社のほとんどの著者に「契約書」を送っているようだ。その1通を入手したので、一部を引用する:」とあって、契約書を引用。その後、
「最大の問題は、上の第3条と第4条の講談社がデジタル化権を著者から奪って独占するという規定である。」

うーん、講談社は「提案」「提示」してるだけでしょう。
契約は双方が納得してサインするもんなんだから、デジタル化権の独占がやなら、
独占出版化権(いわゆる紙の本を独占的につくって売る権利を出版社が得る事)だけを売りたいんだけど、
電子化権は売らないよ、って言えばいいダケじゃん。
全然問題なし、でしょ。
それに、契約書には「契約期間」があるんで、池田氏の契約書の引用にはでてこないけど、
3年とか何年とかあって、どちらからも「延長しない」みたいな話がなければ、
自動で延長、みたいになっているだけだと思うよ。

さらに、
「したがって他の出版社から電子出版したいという話があっても、著者は出すことができない。しかも講談社は、この本を電子出版すると約束していないので、彼らが出さないかぎりどこの電子書店でも売れない。」

あたりまえじゃん。今だって紙の本を、他の出版社からはだせない。
出版する権利を、独占しなけりゃならないもんではないけど、まあ独占したくなるでしょ。普通。
それがいやだって言われて、その出版社で出版したくなくなっても、まあしょうがない。
村上春樹の「1Q84」を複数の出版社から出したいって言われたら、
広告費やら、宣伝作戦やら、書店への営業なんかできないししたくなくなるでしょう。
新潮社(「1Q84」を出したとこ)が打った新聞の全面広告見て、ポット出版の「1Q84」の方を買われちゃうかもしれないでしょ。
で、紙の本だしたら、電子書籍も出したいでしょう。

だから、電子書籍の権利は売りません、といえばいいんじゃないのかな?

村上龍さんの「歌うクジラ」は、電子書籍を先に、村上さん自身が選んだ出版社ではないパートナーと出している。
この「歌うクジラ」は、どこぞの出版社の雑誌かなにか掲載されたものを、
紙の本にするまえに、著者自身の手で電子書籍にしたってこと。
こういうことができてるじゃん。
たぶん、紙の本は、出版社から出す気でいるとどこかで書いていた気がするしね。

ただ、この店に西田さんが書いてるのはちょっと方向ずれているとは思う。
西田氏はツイッターで「出版社に電子版の権利を渡すと、他の電子書籍ストアからは売れない>間違い 各出版社はそこからさらに電子書籍ストアに「卸す」存在。だからどこで売るかは別問題です。ただし出版社に筆者がなにも言わなければ、当然ストアは選べません」と書いてる。
池田氏が指摘しているのは「しかも講談社は、この本を電子出版すると約束していないので、彼らが出さないかぎりどこの電子書店でも売れない。」だから、この場合出版社が出さなければ、やっぱりどんな電子書籍ストアで売られる事は(そもそも)ない。
で池田氏の指摘に対して言うなら、その通り、独占したいっていってるんだから、他からは出させない。
ましてや電子書籍ストアを選ぶどころか、どこの電子書籍ストアも売りようがないはず。
でもおこる事じゃなくて、交渉したり、契約を断ればいいだけのこと。

次の池田氏のブログ。
「印税は第6条で「乙が当該利用によって得た金額×15%(消費税別)」と定められている。印刷・製本などの工程がなく間接費の小さい電子書籍で、このように低い印税率を設定するのは異常である。」
印刷・製本の費用、ポット出版では20%前後にしかならないよ。
2000円×2000冊の本で書店店頭売り上げ400万円。印刷+紙+製本+組版費用で80万円前後。
で、これを電子書籍にすればたしかにタグをつける作業でまあ10万〜20万円。2.5〜5%に減るのは間違えないけど、
電子書籍にすれ定価半額になるでしょうとか、何冊売れるかとかあるから、印税をあげることに異議ないけど、
「異常」といわれるほどのこともないでしょう。

つづけて池田氏。
「アマゾンもアップルも、著者が完全にレイアウトした場合は70%還元するとしており、アゴラブックスでは(当社でレイアウトした場合も)最大50%である。15%という印税率は(当社以外の)日本のほとんどの電子出版社で同一であり、カルテルを組んでいる疑いがある。」
アップル・アマゾンで70%、アゴラで最大50%、その差は20%。その違いはレイアウトだけなのかな?
上のポット出版の場合と比べて、とり過ぎじゃないのアゴラ。それも最大、でしょ。
そんなら、著者は10万円払って、直接アップル・アマゾンで販売してもらえばいいんじゃないの?
うちに連絡くれれば10万円でやりまっせ。
で、どこも15%というのはカルテル、っていうなら、紙の本の10%って常識もカルテルか?
あ、最近8%とか、うちみたいに「実売(で10%)」みたいなところが増えてるみたいだから、カルテルじゃないと思ってくれてるのか?
うーん、オイラの知り合いの出版社の(経営に近い)人たちって、
結構独禁法に神経質だけどな〜。
それに紙の本の10%だって、著作物の市場で、均衡してるって話じゃないの?
数字が同じだからカルテルって、市場の機能を軽んじてるんじゃないか。

池田氏。
「契約書も見ないで「どこからでも電子版は出せます」などといい加減なことを書いている業界ライターもいるが、こんな契約を結んだら、著者はアマゾンからもアップルからも電子書籍を出せないし、講談社が出さないと埋もれたままになる。出版するあてもないのに版権を囲い込むだけの契約を結ぶのは、著者を愚弄するものだ。アゴラブックスは、契約した電子書籍は必ず出版する(もちろん電子化権は独占しない)ので、問い合わせは申し込み窓口まで。」

そんなこと書いてる業界ライターっているの?
そもそもこうした電子書籍込みの契約書ってつい最近始まったんじゃないの。
ポット出版はかなり近い文言で、もう何年も前から契約書に電子書籍のこと書き込んでいるけどね、って自慢ポイ?!)
つい最近始まったこの種の契約書をさして、「どこからでも電子版は出せます」なんて書いている人がいたら、
大バカもんだね、そのライター。

「出版するあてもないのに版権を囲い込むだけの契約」っていうけど、紙の本を出す際の契約で、
同時に電子書籍化のこともいれたいよ、ってことでしょ。
2010年段階で、紙の本をだし、電子書籍版は結果的にださない+出す権利は確保したまま、となっても、
それを「出版するあてもないのに版権を囲い込むだけの契約を結ぶのは、著者を愚弄するものだ。」
とまでは言えないでしょ。紙の本出すんだから。

で、最後はアゴラブックスの売り込み?
いいんだけどさ、。

うーん前からへんな人だなって思ってたけど、
やっぱりへんな人だと思った池田信夫氏のブログについての、意見でした。
と時計をみたら3時18分と1時間もかけてしまった。

最後に池田氏が貼付けていた講談社の契約書の部分。
池田氏がはりつけたのここんとこだけです。念のため。
────────────────────
第3条(本著作物のデジタル的利用の目的)

1. 甲[著者]は、第2条記載の目的にそって本著作物のデジタル的利用を乙[講談社]に許諾する。
2. 本契約期間中、甲は自ら本著作物のデジタル的利用を行なわず、また、乙以外に本著作物のデジタル的利用を許諾しない。

第4条(利用の範囲)

1. 乙は、本契約に基づき、本著作物のデジタル的利用について次の各号に掲げる行為をすることができる。
1. 本著作物を自己の費用負担でデジタル化して、本デジタルコンテンツを製作すること。なお、本デジタルコンテンツは乙が管理し、デジタル化の過程で発生した本デジタルコンテンツに関する所有権は全て乙に帰属する。
2. 本デジタルコンテンツをデジタル的利用すること。なお、本デジタルコンテンツの卸価格または販売価格、販売サイト、販売の条件および方法に関しては乙が自主的に決定することができるものとする。
────────────────────

京橋図書館開設 百周年記念シンポジウムのパネリストやります

シンポジウムのパネリストやります。関心のある方はどうぞご出席を。

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京橋図書館開設百周年記念シンポジウムを開催します!!

京橋図書館は、1910(明治43)年8月に東京市立京橋簡易図書館として設立認可され、
今年は開設百周年を迎えることとなりました。
これを記念して、シンポジウムと展示会の開催および刊行物の特別価格頒布を実施します。
皆様のお越しをお待ちしています!!

シンポジウム 演題・内容
『図書館の将来像を語る—京橋図書館開設百周年を迎えて』
元浦安市立中央図書館長常世田氏の基調講演と図書館の将来像などについてのシンポジウムを行います。
日時     平成22年11月20日(土) 午後2時~4時30分
場所     中央区役所 8階大会議室
パネリスト  常世田 良氏(日本図書館協会理事・元浦安市立中央図書館長)
       沢辺 均氏(ポット出版代表)および図書館利用者2名
定員     100名(先着順) 入場無料 *直接会場にお越しください。

◆記念展示会『京橋図書館百年のあゆみ展』
 日時  平成22年11月19日(金)~11月30日(火) 午前10時~午後4時
 場所  京橋図書館 地下2階鑑賞室

◆刊行物の特別価格頒布(数量限定になります) ※展示会開催中のみ会場にて頒布
 中央区沿革図集三巻(京橋篇・日本橋篇・月島篇)セット (限定100セット) 通常価格31,000円→15,000円
 中央区年表 江戸時代(上・中・下) (限定100セット) 通常価格4,800円→2,500円
 京橋地区図・日本橋地区図セット (限定50セット) 通常価格840円→500円

中央区役所・京橋図書館  中央区築地1-1-1
【電車】
 有楽町線「新富町」駅1番出口 徒歩1分
 日比谷線「築地」駅3・4番出口 徒歩5分
 都営線「東銀座」駅A7・8番出口 徒歩7分
【都バス】「築地二丁目」徒歩1分
【江戸バス】「中央区役所」

問い合わせ先:中央区立京橋図書館 TEL03-3543-9025

ポットチャンネル(掟ポルシェ/下関マグロ/松沢呉一/沢辺均)始めます

はー、ついにやることにしてしまいました。
この前文春の人が言っていたけど、出版界ではサイゾーとどっかがやっていて、文春が11月から始めるって、USTREAMを利用した生放送。
なんで、三番目か四番目か?(ってこんなこと自慢するのは自重したほうがいいんだけど、、)

で、やることにしました。
正直、毎週一回やっていけるのか少しビビってるけど、USTREAMを利用した生放送。

そんでパーソナリティー(っていうのでいいんかな?)は
掟ポルシェさん
下関マグロさん
松沢呉一さん
あと、オレ(沢辺均)。
みなさんに出演了解もらいました。
それぞれが毎回ゲストを呼んで喋ってもらう対談番組。
毎回10人限定で、有料入場者に入ってもらおうかとも考えているけど、これはさまざま状況を考えてコレから決めます。

↓企画書だす。11月から初めて、まずは来年3月まではやります。
今後の打ち合わせで、いくつか修正するかもしれないけど、とりあえず。
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ポットチャンネル企画

●放送全体の名前は「ポットチャンネル」(仮称)

●Ustreamで生放送(基本保存)
ポット出版のUstream

http://www.ustream.tv/discovery/live/all?q=potpub

●パーソナリティがゲストを呼んで対話もしくはインタビューする
 内容はパーソナリティが決定

●パーソナリティ候補(依頼中)了解もらいました。
掟ポルシェさん
下関マグロさん
松沢呉一さん
に依頼。
ほかに、沢辺均

●毎週一回木曜日 19時から21時間(19時は厳守、21時前に終了すること/21時を越えることはる)
 祝日も放送 年末年始は放送なし
 パーソナリティーは第●木曜のように、固定したい
 第5週のある月の5週目は、一回のパーソナリティを別に依頼する
以上は予定

●期間 2010年11月〜2011年3月までを予定
 開始11月については、了解を得られたパーソナリティに
 以降の継続は今後の検討による

●謝礼
(内緒だよ)

●利用権
保存した放送の利用権はポット出版に属し、有料での放送の販売、他社への転売や、単行本化などへの利用の決定はポット出版が決定できる。
ただし、転売や利用の事前連絡は電子メールでおこない、売上げが上がった場合は必ずパーソナリティとゲストに配分する。
配分はパーソナリティとポット出版で協議して決めるが、協議の出発点は50%ずつとする

●ポット出版の単行本化
ポット出版は、この放送を単行本化するなどの売上げ・収益化に努力する。
このためポット出版に単行本化(電子書籍を含む)するなどの第一優先権があるものとする
ただし、パーソナリティとゲスト自身が他社で単行本化するなどの計画にはポット出版は誠意をもって協議する。

ポット出版社長・沢辺均の日記 -92[2010.09.27〜2010.10.17]

日記をためた最長かもしれない。

●2010.09.27月
昼前に北軽井沢に出発。
鉄とすずを思い切り走らせるためだ。
「ポットのお出迎え犬 鉄とすず」コーナーに写真掲載。
犬たちの夏休み
恒例
リードなし
生理現象
それぞれの災難
初日は軽井沢の平安堂で、DVDを借りて、本を少し補充。

●2010.09.28火
昼に奥様を軽井沢駅までお送りする。
奥様は沼田に住んでいる両親を軽井沢の星野やに2泊ご招待。
1泊一人2〜3万するらしい。それもメシなし。スゲー大盤振る舞いだ。
夕方電話が来て、車で星野やまで行く。部屋でルームサービスで一緒に夕飯
その後一人で北軽の小屋までもどり、鉄とすずと3人。

●2010.09.29水
雑協の実証実験の打ち合わせで、11時お茶の水/雑協着。
軽井沢駅まで車、新幹線(8時半頃の)で東京へ。
午前と午後の打ち合わせを終えて15時過ぎの新幹線で軽井沢へ。
う〜ん、こういうの一度やってみたかったのだ。
夜はまた3人。テレキャスで「LAYLA」の練習。iPadのTabToolkit。これいい。

●2010.09.30木
夕方、奥様を軽井沢のプリンスアウトレットモールまでお出迎え。
両親は車で、沼田へ帰っていったので。

●2010.10.01金
北軽井沢の小屋でのんびり。夕飯は万座鹿沢口の三原食堂で、ラーメンと半ソースカツ丼セット。
ここ、うまいのだ。

●2010.10.02土
小屋を片付けて東京へ。
5泊の北軽井沢で、本を読み、DVDで映画を見て、仕事の資料を読んで、鉄とすずと散歩して、
ギターの練習して、、、。

●2010.10.3日
日曜のうちにたまったメール(といっても北軽井沢でも結構チェックしていたんだけど)、
郵便物、などなどを。それなりに時間がかかってしまった。

●2010.10.04月
午前中はS社でデザインの打ち合わせ。
午後はJPO近刊情報の会議。
これ、なかなか面白いことになりそうだぞ。
それからカラーコピー/プリンタ/ファックスの買い替えの打ち合わせ。
4年前にリースしたものの買い替えで月額11万が、8万くらいになりそう。

●2010.10.05火
午後は雑協プロジェクトのことで深沢さんと打ち合わせ
夜は、新宿ジュンク堂で
『お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ!』刊行記念イベント
「1981年生まれの批評家は、1968年をどう読んだか?」(加納明弘×荻上チキ)
レポートはコチラ

●2010.10.06水
午後は法政大学の学生さんのレポートのインタビュー。
おもわず3時間も話してしまう。
夜は植村八潮さんの出版記念パーティー。
電子出版の構図—実体のない書物の行方
戻って来て、ず・ぼん編集会議に滑り込み

●2010.10.07木
午前中は銀行と借金の相談。それから出版会議。
午後、郷良文さんのインタビュー
16:30にお茶の水の雑協に行ったら、会議は14:30からだった。
無駄足。と思ったら突然バームクーヘンが喰いたくなって、
千駄ヶ谷のユーハイムで3本かってポットのお土産にする。

●2010.10.08金
ポット会議。毎週木曜の整体がこの日に変更になった。
飯島会長からヌードカレンダーの相談を受ける。
夜は「リストラなう」のタヌキチさんと「談話室沢辺」のインタビュー。
Ustreamで中継。お客さんも6人くらいはいった。
終わって飲み屋へ行って(割勘ね)。

●2010.10.09土
新宿のロフトへ「キノコホテル」のライブを見に行く。

●2010.10.10日
事務所で雑用など。
夜ヨドバシカメラで、Lumixの20ミリF1.7のパンケーキレンズを買いにいく。
GF1とセットでなんと44,200円+10%ポイント付き。
レンズ単体だと37,300円だから、7,000で一眼レフのデジカメを買ったことになるな。

●2010.10.11月祝日
事務所で雑用など。

●2010.10.12火
中央公論新社の販売部のパンフレットのデザイン打ち合わせ。
夕方S社のIさんが、新しい編集+デザインの仕事で飛び込み打ち合わせ。

●2010.10.13水
飛び込んできたS社の仕事の打ち合わせやら段取りやら。
月に一度のSD会議に遅刻。夜はげんきな図書館の理事会。

●2010.10.14木
午前中出版会議。そのあと整体を受けてから、
10月生まれの誕生日会(!)。キルフェボンのホールケーキ二つ
夜は編集プロダクションチームのスタッフ採用面接。
青弓社でアルバイトのあとに採用×になったやつ。

●2010.10.15金
一年に一度のビラセレーナ祭
事務所のあるマンションの管理組合でやってる、昼はフリーマーケット/夜は持ち寄りの飲み会。
紫金飯店の出前の寺ちゃんが「フリーマーケット」というオリジナルを書いてきて、ギター引きながら歌う。
シンクビットの菊ちゃんと一緒にギターやったりうたったり。
さらにトナリのビラフレスカというマンションでも同じ企画が同日開催。
あっちの飲み会はろうそくはたってるし、白いテーブルクロスで、食べものも全部手作りの豪華版。
いや遊んでばかりいた訳じゃなくて、昼は雑協プロジェクトの打ち合わせ。
かなり有意義な内容に出来たと思う、ぞ。

●2010.10.16土
人間学アカデミーの二人目、竹内さんの第一回講義だったのだけど、
「お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ!  肺がんで死にかけている団塊元東大全共闘頑固親父を団塊ジュニア・ハゲタカファンド勤務の息子がとことん聞き倒す! 」の出版記念パーティー。
全共闘と三派全学連関連とかの人々。
イチバンレアな話題は、反戦連合/埼玉大学滝沢氏死亡事件の当事者の事件そのものに対する発言。
30年ぶりにインターを歌った。
あれほど毛嫌いしてたんだけど、やっと歌ったってどうでもないよ、って気分になったからだな。
二次会で●出版社の社長に絡まれた。ダルイし偉そうなやつだ。WACだそうで、そうですか?!って感じ。

●2010.10.17日
事務所に。途中、鉄とすずをつれて長距離散歩。レンズを買えてもらうためにメガネヤに寄り、
ピーコックで総菜を買って日曜出勤のスタッフにふるまう。
なかなかいい買物ができた。
そして、この日誌をやっつけて、帰ろうと思っていたらN嬢まで登場。

専門図書館に書いた●デジタルと出版

専門図書館協議会の機関誌(?)に原稿をかきました。
7月発行号なので、10月1日に公開します。
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デジタルと出版
沢 辺 均(ポット出版社長)

1.はじめに
 国民読書年を機に本のこれからを考えてみる。
 その国民読書年だけど、ウエブをみたら、テレビ番組なども作ってるみたい。「コトバダイブしよう。」ってコピーで広告、テレビCMとかもやってる。金かかりそー、だ。啓蒙の匂いがするなー。というワケで、国民読書年はどうも好きになれない。
 啓蒙なんかに金使わないで、国立国会図書館のジャパンマークを本の発行日に間に合わせるとか、日本語の書籍の全文検索とその結果の一部表示を実現させるとか、基盤の整備こそやってもらいたいもんだ。というのは前フリ。「デジタル出版について」というのを書くことになったので、そっちにいこう。

2.出版とは何なのか?
 まず、出版とは、いったい何なのだろうか?
 僕の中では、(1)文字や絵・図表などを使って/(2)選別して/(3)知識や情報を/(4)複数の人に発信していく、というふうに整理している(まあ、正直、この原稿を書くために整理したんで、いつもいつも頭の中にあったのではないけど)。

(1)文字や絵・図表などを使う
 文字情報(書記言語といってもいいかな)が伝える力は、ほとんど最高のものを持っていると思う。「○月○日に飲み会をやりましょう」ってことを、絵や動画で伝えるのはとってもむずかしい。もちろん音声言語を使えば文字情報と同じくらい正確に伝えることができる。それでも、文字情報を読む時間に比べればちょっと長くかかるし、正確さ、あとでもう一度確認できること、記録しておくという点で、音にも勝る。
 音楽はメロディーを通して「情感」を伝えることに優れているのだけれど、知識や情報を正確に伝えるという点では、文字情報にかなわない。
 もちろん、文字情報を使う場合も補助的に絵や写真、図表などを使うことも多い。例えば、戦争の写真。実際の現場をイメージさせる点では、写真のほうが文字情報より優れているけど、それがいつどこの戦争なのかといった知識や情報はキャプション=写真説明という文字情報に頼らなければならない。

(2)選別する
 出版は、知識や情報を発信していくおこないだが、どれもこれも片っ端から発信する訳じゃない。そんなことをしたら、意味の薄いものがどんどん混じるので、読む方もメンドウだ。伝える意味のあるものを選別して発信するのだ。

(3)知識や情報
 たぶんこのあたりがイチバン出版らしいイメージだ。知識や情報を、主に文字情報を使って伝えるのが出版。
 ただし、この知識・情報というのは、とりあえずあらゆる知識・情報をさしているのであって、マンガだろうがエロ本であろうが知識・情報だ。

(4)複数の人に発信する
 複数の人に、というのが結構大切なポイントだと思う。人はだれもがさまざまな知識や情報を他の人に伝えている。だけど、出版がそれらの一対一のやり取りと違うのは、複数の人を対象にしたものだということ。だから、暑中見舞いのハガキなどは、出版とは別なものだ。
 逆に、学校の先生が配る「学級通信」のようなものは、複数の人に発信するのだから、広義の出版の範疇になると思う。

 この四つのポイントが満たされているのが出版だと思う。逆に言えば、有料なのか無料なのか、職業なのか職業ではないのか(有償でない)というのは出版を定義する場合に関係ないと、僕は思っている。
 だから、ブログはもちろん、友人知人をBccにいれて複数発信するメールも出版という行為としておきたい。「R25」のようなフリーペーパーも出版だし、企業の社内報も出版。出版社の社員などのように給料を受け取って知識や情報を発信しているのも出版だし、アフターファイブで無償のブログ書きも出版だと思う。

3.出版の現状をめぐってよく言われていることを考える
 最近、出版をめぐる話題がメディアをよく賑わせている。
 たとえばこんなことだ。(1)本が読まれない(2)本が売れない=出版(社)の危機(3)ネットワークに出版社がやられている。

(1)本が読まれない
 毎日新聞が毎年「読書世論調査」というのをやっている。
ライターの永江朗さんによれば、ほぼ唯一の日本全国を対象にした継続的な調査だということだ。その「2009年版読書世論調査」(毎日新聞社)によれば、
 88年=73% 95年=70% 00年=84% 05年=71% 08年=79%
というように、70年代〜90年代にかけてほぼ70%前後。2008年調査では79%と、ほぼ8割の人が読書をしている。これは総合読書率という数字で、書籍・週刊誌・月刊誌のいずれかを読んでいる人の率、である。
 この場合の対象となるのは、「紙の本」である。総合読書率だけをみれば、決して「本」を読む人の率は減っていない。しかし、出版業界の売上げは近年減り続けていることを考えれば、「紙の本」を読む人の「率」は変わらなくても、読む「量」は減っているのかもしれない。
 では、僕自身はどうだろうか? 文字はあいかわらず読んでいる。でも、その媒体はだんだんとパソコンの画面やiPhone(iPadはまだそれほど文字を読むことに使ってないけど)といったデジタルの媒体で文字を読む割合が増えていると思う。若い人たちに聞いたり、見たりしても、やはりその傾向は変わらないように思う。携帯電話を中心にしたメールや、携帯サイトといったデジタル媒体を読む頻度が高いようだ。
 さらに、若い人たちを中心に、読むだけでなく文字を書く頻度も増えているのではないか。それは主にメールだけど、一昔前はハガキや手紙を書くことなんてほとんどなかったのに比べれば、書くという頻度、その文字量は増えているように思える。
 僕は「本を読む」という行為を、ウエブサイトやメールの文字を含んだあらゆる文字情報を読む、というように読み替えるべきだと考えている。
 「紙」の文字を読む量は減ってきたかもしれないが、いっぽうで、デジタルな文字を読む量は確実に増えている。つまり、僕らが「文字を読む」量は、ますます増えている、と考えるのが妥当ではないだろうか。

(2)本が売れない=出版(社)の危機
 「本が売れない=出版(社)の危機」という言われ方にはいくつもの要素が混じっていると思う。たとえば、本の発行点数は1970年に比べて近年は4倍になっているが、販売冊数は2倍に満たない。一タイトルあたりの販売冊数が半減している。また、雑誌が特に売れないし、広告が入らなくなっている。出版社の決算が悪くなっている。たとえば講談社、小学館のような業界1位2位は、ココ数年赤字決算だ。
 これらの物言いには、基本的には同意である。そしてその原因はネットワークだ。
 読むものが、「紙」のものからデジタルとネットワークの文字へとシフトし、紙の本や雑誌は読まれる頻度が減っている。つまり売れなくなってきているのだ。ネットワーク上での広告が増えているが「紙」の広告は減っている。紙が主体の出版社は、ネットワークに読む人をとられ、広告をとられているので、決算が悪く、赤字も目立つようになってきたのだ。
 現にこの僕も、これまで寝るときは本を読みながら眠りについていた。今は、本を読む前にiPhoneでこれまで読まずにすませていたメールマガジンや、ちょっと長文のウエブサイトの文章、ツイッターなどを読む。それらを読み終えてから本に向かうのだけど、ほとんど読み進められないまま眠ってしまう。

(3)ネットワークに出版社がやられている
 こうした状況は、これまでの出版が、ネットワークでの「出版」に取って代わられているということだ。
 さて、この状況は、良くないことなのか・良いことなのか、止めるべきか・止められるのか? 僕は良いことなのだと思うし、たとえ止めようとしても止められないことなのだと思う。
 売れっ子の勝間和代さんの本のタイトル「起きていることはすべて正しい」を新聞広告で目にして、すげー、うまいタイトルだと感心した。僕は「起きていることはすべて正しい」と思う。正確にいえば起きていることは僕らがみんなで受け入れているということ、だから正しいと考える以外にどういう対処も成り立たない、ということだ。
 自動車。公害はまき散らして来たし、交通事故で毎年何万人も「殺し」てしまった。だけど、僕らはひとたび知ってしまった自動車の便利さ、自動車を利用することで社会全体が豊かになったことを手放すことができなかった。だから、少しでも自動車のマイナス点である公害や事故を減らすということに社会全体として取組んできたのだ。そして、こうしたマイナスを減らしてプラスを生かすという行動以外、とる道を見つけることができなかったし、今も見つけられていない。
 こう考えると、今ネットワークが広がっていること、僕らがネットワークを受け入れていることを、良いことか悪いことかを問うても意味がなく、その弱点を減らして、強みを増やすというように考える以外にないのだと思う。
 では、出版が、ネットワークでの「出版」に取って代わられているというのは、どういうことなのだろうか?
 第一に、だれもが「出版」できる状況を生み出したのだ。これまでの出版は少額といえ資本金を必要とした。取次との取引契約という条件を必要とした。放送が放送免許という条件を必要としたようにだ。
 たとえば印刷の費用の特性を考えればわかりやすいと思う。10万字程度の文字情報を詰め込んだ本の印刷費用は、千部で50万円(単価500円)程度だ。二千部でも60万円(単価300円)、五千部では80万円(単価160円)。逆に少部数の場合、五百部で40万円(単価800円)、百部でも30万円(単価3,000円)。これがデジタル情報なら、印刷費用に該当するものはほとんどゼロだ。さらに、紙という物理物を全国の書店を通して販売するには必要な輸送、店舗費などなど多くの流通費用も不要。
 第二に、こうしたことを背景にして、無料で文字情報を提供する人、したい人が膨大に生まれた。これに対して、出版社は「質」の高さを有料の根拠にして商売を継続したのだけれど、すでに個別の場面では敗退したり、陣地が少しずつ浸食されている。
 小説はまだまだ生き延びているとはいえ、携帯小説の登場で、やや侵食された。辞書・辞典類にいたっては、Wikipediaはもちろん、ネットワーク検索というあらたな調べものツールにすでに浸食されている。もちろん、紙の辞書がネットワークにすべて取って代わられている訳ではなく、専門家の説明や、編集という力、それらに対する信頼にもとづいて一定の陣地をまだ確保し続けているが。
 雑誌などに掲載されていた広告については、すでに売上げそのものが半分程度までネットワークに浸食されている。ネットワークでは、個人のブログ(マスではない!)でさえも広告の掲載媒体の対象であり、その範囲は広がっている。
 既存の出版社にとっては、まずい状況かもしれない。
 しかしこれは、まずい・まずくない、ということではない。出版の場が、たんに紙からネットワークに移動したにすぎない、ということなのだ。

4.今おこっている出版(メディア)の変容
 今、出版や、出版社をめぐって起きていることは、基本的に出版が紙媒体からデジタルとネットワークに移行しているってこと。それがどのような経過をへて移行しているのかをもう一度整理しておこう。

 ・コンピュータのパーソナル化と、アーパネットにはじまるTCP/IPの通信プロトコルによるネットワークの広がりがあり
 ・さらにその費用が劇的に低下して
 ・出版を生み出したり、流通させる道具として実に使い勝手の良いものになり
 ・知識や情報の発信を、だれもが自由にできる状況を生み出し
 ・これまで生産費用や流通コストを負担できる組織の出版社がほぼ独占して来た発信者の位置を、すべてに人に明け渡さざるを得なくなった
 というように整理できると思う。

 ところが、まだ、何点かの結論の出ていない問題がある。
 一つは、選別をどうするかということだ。はじめに「出版とは何なのだろう」で、(1)文字や絵・図表などを使って/(2)選別して/(3)知識や情報を/(4)複数の人に発信していく、を出版の定義とした。
 出版の制作と流通がパソコンとネットワークによってまかなわれる度合いが大きくなっている中で、(1)文字や絵・図表などを使う、というのは、質を別にすればだれでもできることになった。だが(2)選別する、ということは、質そのものを判断することだ。
 これまでは出版社がその選別を担ってきた。出版社はひとまず「そこそこ」にその役割を果たしてきたと思う。出版社が発行した本の多くのものは、一定の質を持っているものが、それなりに多くあったと思う。もちろん評価は別である。「バカの壁」を評価する人も、評価しない人もいるだろうが、そういう両方の評価を得るということ自体が、一定の質を持っていたということだとも思う。2チャンネルから生まれた「電車男」も、こうした出版社の選別をへているのだ。
 ところが、ネットワークを通じて、誰もが自由に発信することができる現在、あまたあるウエブサイト・ブログなどを、だれもがすべてチェックして、直接選別することができるだろうか? 普通の人に評価する能力がない、と言いたいのではない。普通の人に、そんな時間はない、と言いたいのだ。そんな必要もない。出版社は、そういった普通の人のかわりに、時間を節約するために選別を行ってきた。
 出版がだれもができるものになった時に、誰がこうした選別を引き受けるのか?    出版が一人一人の自分の発信したい知識と情報を自ら発信していくときには、一人で知識と情報を文字にして、他者の選別をへずに行われることになるからだ。
 では、ネットワーク上では誰が選別を担っていくのか。候補はいくつかあると思う。人であり、検索ロジックなどを始めとしたシステムである。
 人という場合、専門的な人が選別する場合と、無報酬で日々ネットを見て回っている膨大な人によって選別が行われる場合である。専門的な人の場合は、これまでの出版社社員のような人であったり、ブロガーと言われる人なども候補になるかもしれない。あるいは図書館員も候補者のひとつである。
 いっぽう膨大な人々によって選別がなされるというのは、たとえば多くの人がアクセスしている、などというロジックから選別が行われるといった可能性である。あるいはいくつかの候補者が併存するという可能性もある。
 今後どのように選別が行われるようになるのか、僕にはわからない。いずれにしても、僕らは、だれかの選別を抜きにして、もともと膨大な知識や情報、ましてやネットワークによってそれがさらに膨大にふくれあがる社会のなかで、一定の有効性を持った知識や情報にアクセスすることはできないと思うのだ。

 二つ目の課題は、知識や情報の事実確認をだれがどうするのかということである。これも基本的な論理は「選別」と同じだ。これまでは職業として担う人によって主に行われていた。
 そして、課題の三つ目は、費用をだれがどのようにして負担するのか、確保するのか、ということである。決して出版社が引き続きその費用を徴収すべきだと思うのではない。しかし、なんらかのコストが必要なのだ、ということは間違いない。
 例えばさんざん話題になった、各大臣の記者会見取材のオープン化。現時点のオープン化の評価はともかくとして、今後は、一定の手続きさえ踏めばどのようなメディアも会見に参加できるという方向に進んでいくはずだ。後戻りするのはとても難しいだろう。さて、その記者会見だが、オープン直後の記者会見の質問を見て僕が感じてしまったのは、継続的にその分野の知識と情報を自分の頭の中に蓄積していない人の質問は、やはり単純なものだなー、ということだ。
 また、時間的にも、真っ昼間、定期的に(あるいは突発的に)その記者会見を無償でフォローできる人がいるだろうか? それも継続的な知識と情報を蓄積させながら。
 もちろん将来、衣食住に関わる労働をロボットなどが人間に替わって行うような社会にまでなれば、不可能ではないかもしれない。ギリシャ市民が、奴隷に支えられ、もっぱら衣食住を支える労働をしないで、政治議論ばかりしていたように。しかし、そうした社会は、実現する可能性はここ数十年のスパンではないと思う(あくまで予想でしかないけれど)。
 なので、例えば、僕たちの日本の進み方を決める政治の有様を、継続的に、質の高い、知識と情報を提供することに、職業的(それによって衣食住といった生存のための費用が提供される人という意味で)な担当者を置く以外に、僕には現実的な可能性を見ることができない。
 しかし、現状インターネット上の多くのメディアは、無料の情報公開にとどまっている。そこでは売上げが見込めていない。「売る」ということで、そういう専門性をもった担当者を確保して主に行われてきた従来の出版のモデルは成り立っていないのが現状だ。もちろんそれ以外にも、方法があるかもしれない。例えば、テレビとラジオは、ほぼ一貫して広告費モデルという、インターネット上の商売と同じ方法で、職業的な担当者をまかなってきた。学術出版の一定数は、研究者自身の資金によって成立してもきた。
 ネットワーク上における「選別」の費用は、有料で販売する、広告費というスポンサーからの収入を当てにする、メディア発信者自身の拠出、あるいは図書館が典型のように税金でそれらをまかなう(科研費による出版補助だってあるし)などのどれかかもしれないし、複数の方法が混ざりあっていくのかもしれない。しかし、いずれにしても、当面そうした職業的な担当者を、どこかに置かなければ、選別や事実確認などを行う費用をまかなうことができないと思うのだ。

5.出版社の現状
 出版社のこうしたネットワーク状況に対する対応はさまざまであり、出版社をひとくくりにしてその現状を述べることは適切ではない。このことをふまえた上で、しかし、それでも、多くの人は、出版社はデジタルに対して後ろ向きだと見ているのではないか?
 それは、出版(メディア)の変容を前にして、どのような方向で望むのかといった方向性、方針の不明瞭さである。そこから派生して、方向・方針をたてることへの恐れ。例えば、長尾真国立国会図書館長の電子図書館構想への、なんとなく後ろ向きな反応。あるいは、Googleブックサーチに対する出版界の反発、などのようなものだ。
 しかし、出版社の多くがただ単に後ろ向きな姿勢だと断じるのは少し不正確だと思う。
 第一に2000年の電子書籍コンソーシアムに始まった、数々の電子書籍の取組みだ。これは、利用者の要望を、むしろ先取りして取組まれたと思う。しかし、いずれもほぼ「失敗」。もちろん今も継続しているデジタルとネットワーク活用の取組みもある。
 第二に、長尾電子図書館構想への反発の中心にあるのは、電子書籍の取組みが失敗したことをふまえて、投資に見合う売上げ見込みがたたない、ということへの違和感であり、デジタル利用=電子図書館構想のすべてに対する反発ではないと思う。

 だが一方、デジタルとネットワークの広がりの中で、その状況を大胆に活用・利用して、あらたな出版の可能性を切り開こうとしているわけでもない、というのが出版社の現状だろう。経済合理性、出版としての質の確保(選別と事実確認)、著作者の権利保持、そしてデジタルとネットワークの技術そのものの発展への対応、といった要素の絡み合う複雑な状況のなかから、出版社はまだ解答を生み出せていない。
 そして、その解答は、同じ時代を生きている人々のだれもが生み出せていないと思う。

6.デジタルとネットワーク時代の出版
 出版はなくなるどころか、ますます多くの担い手を得て発展していくと思う。
 そして、デジタルとネットワークをうまく使いこなすことは、今後の出版にとって必要不可欠なことだと思う。また、極めて複雑になった現代社会では、複数の人によるチームでなければそれは生み出せないように思う。
 デジタル・ネットワークの技術をもち、出版に対する深い思想をもち、経済性を担保し、チームのより良いあらたなルールを生み出し、複数の意思を担保しつつ、一つの意思としてチームの方向を生み出す方法をつくりだす、といった広い範囲の対応が必要で、それはとても一人でカバーできるようなものではないからだ。
 これまで出版を担ってきた出版社がこのままの状態で、それを引き続き主要に担うポジショにはなりえないと思う。今後も出版社が担うには、自らのあり方を大きく変えなければならない。
 アイディア次第で、出版というおこないは大きく状況を変え得るときだと思う。
 今後、だれが、どう担うかはわからないけれども、出版はますます発展することは間違いないと思うのである。
(さわべ きん)

デジタルと出版
沢辺 均(ポット出版社長)

 キンドルやiPadといった端末の日本での発売でますます出版界の大きな課題としてたち現れた電子書籍。この電子書籍状況から今後の出版を考えるために、まず出版とは何なのか?という確認から出発。そこから、今おこっている出版(メディア)の変容をデジタルとネットワークによる出版の大衆化として、それが出版のありようをどのようにしていくのかという視点を提示する。