2008-12-02
マイケル・P. ギグリエリ『男はなぜ暴力をふるうのか』
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● マイケル・P. ギグリエリ『男はなぜ暴力をふるうのか―進化から見たレイプ・殺人・戦争』(朝日新聞社)
★★ ふつうに考えてみれば、性にだけ生物学的な影響がないはずがないよね
性をめぐる生物学的研究はフェミニズムの登場以後、苦戦を強いられてきた。それまで宿命だとされてきた男女の性差は、ジェンダーとして、ことごとく歴史や社会によって構築された虚構であると暴き立てられた。
実際、そういう視点が学問に持ち込まれることによって、研究者は相当注意深く議論を展開することになった。それは生物学という学問にとっても前進だったと考えられる。が、それでも社会的構築ということでは割り切れない現象として性があることは、否定しようもなかった。
『男はなぜ暴力をふるうのか』は、女性差別的なイデオロギーに加担しないことを前提としつつも、避けられない問題として生物学的な男女の違い、とくに男性の性の傾向を明らかにした一冊である。
「男の暴力の起源は氏か育ちかの問題ではない。育ちは氏によって遺伝的にプログラムされている…氏、生物学的性、育ち、社会的性などによって形成される繁殖戦略として現われてくるのである」
著者は霊長類の研究や、人類学の豊富な知見から、周到に人間の性の社会決定論を論駁していく。例えば、テレビの影響が殺人などの暴力を生じさせているとするのなら、なぜ、それは圧倒的に男性に引き起こさせているのか、と。
そうした背景を著者は自らの遺伝子を残そうとする雄の戦略に起因していると考える。そして、人間とほぼ同じ遺伝子を持つチンパンジーなどが、レイプや殺しや戦争をする実態を分析し、その本能の力を人間だけが免れているはずがないと結論づける。
著者の主張は、だからこそ、そういう事実を前提とした問題認識をしなければならない、ということになる。本書のロジックは比較的容易に、銃規制や防衛など現実の政治問題に結び付けられて語られるが、そうした点の評価は別にしても、著者の科学的な見識に学びうることは実に多い。